レッド「旅行先でバトル仕掛けられた」
コスモス「負けた。弟子にして」
レッド「……」
№001:天才な馬鹿が二人
その年、二人のトレーナーがポケモンリーグを賑わせた。
一人はカントー最強の遺伝子を継ぐ男、グリーン。彼の携帯獣学科の権威、オーキド・ユキナリの孫だ。
今でこそポケモン博士という立場で有名になっているオーキドだが、かつては凄腕のポケモントレーナーとして名を知られていた男。ジョウトリーグと併合する以前のカントーリーグの殿堂入り者の名前には、彼の名前も刻まれている程だ。
故に孫のグリーンに対する期待も大きかった。事実、彼は破竹の勢いでジムバッジを勝ち取り、旅に出てから一年でリーグ挑戦権を獲得するに至り、その飛びぬけた才覚を世に知らしめた。
豊富なポケモンへの知識。
大人顔負けのバトルの腕。
どれを取っても優秀な才能はリーグ本戦でも十二分に発揮され、その年のチャンピオンを懸けたリーグ本戦では、初戦に四天王最古参・ゴースト使いのキクコ、準決勝では四天王大将・ワタルと激戦を繰り広げ、見事決勝戦への切符を手に入れた。
一年でジムバッジを集め切ったことも十分に偉業であるが、新人である彼が四天王最強の男を打倒した事実は、スタジアムの観客やテレビの前の人間を狂気的にまで熱くさせた。
誰もが認めるに至った。
グリーンは“天才”と。
ワタルを負かしたことにより、ほとんどの人間はその年のチャンピオンがグリーンであると信じて疑わなかった。
───しかし、ダークホースがもう一人。
無名の少年。彼はグリーンのように著名な人物の血筋という訳でもなく、当初は観客の誰からも目に留められていなかった。
初戦の相手はカンナ。キクコやワタルと同様に、地方最強の一角を担う四天王の一人であり、時にはワタルさえも打ち負かすほどの実力者であった。無論、どこの馬の骨ともわからぬ相手に負けるようなカンナではない。
誰もが彼女の勝利を疑わなかった。
結果、勝者は───少年だった。
グリーンと同じ、マサラタウン出身のポケモントレーナー・レッド。
彼もまた、王者の祭典に大波乱を巻き起こす一人だと、当時のジムリーダーたちはあらかじめ予見していたという。
曰く、彼は非常識だった。
曰く、彼は型破りだった。
曰く、彼は破天荒だった。
常識に囚われない自由な発想に柔軟な戦術。そして臨機応変なバトルスタイルにより、名立たる8人のジムリーダーは次々に打ち破られた。
いずれもが紛うことなき激戦であり、記録にも記憶に残る前代未聞の連続。思ってもやらない、やろうとしたところで普通はできない戦法を成し得ていく姿は───伝説の幕開けに他ならなかったという。
その後も少年は順調に本戦を勝ち進み、とうとう準決勝では四天王シバと衝突した。
ただでさえ優勝候補のワタルが新人に負け、浮足立っているところでのカード。
運命的とも言うべきタイミングのバトルは、リーグの威信を一身に背負っていたシバを上回る形で、少年の勝利で終わった。
ここまで至り、ようやく観客は気づく。
彼もまた本物───グリーンに並ぶ“超”のつく天才であると。
しかし、彼らは遂ぞ知ることはなかった。
ポケモンリーグ決勝戦。
バトルコートが天変地異に見舞われたかの如き焦土に塗り替えられ、その中央には二体のポケモンが佇んでいた。
一体はカメックス。堅牢な守りも形無しと全身が煤塗れになる巨砲は、地に伏せたままピクリとも動かない。
片やもう一体、倒れた相手にも勝るとも劣らない死に体を晒しながらも、瞳に灯る闘志の炎は絶えることはなく、天に向かって猛々しい勝鬨を上げた。
震える。大地が、海が、大空が。
玉座を争う王者の祭典の最後を飾るに相応しいバトルに、人々の歓声はセキエイ高原中に響き渡った。
一方、
放心している訳でも、感動している訳でもなく。表彰を終えても尚、最後まで無言を貫いた彼は───そのままチャンピオンを辞退し、カントーの地から姿を消した。
ある人間は、後にこう語る。
───レッドは“天災”だ。
拮抗しえる者は誰もなく。
もはや伝説に意味はなく。
通り過ぎる嵐のように凄惨に。
覗き込んだ日のように鮮烈に。
歴史に大きな爪痕を残し。
言葉を残さず消えていく。
彼ある限り伝説は塗り替えられる。
故に彼こそが伝説そのものなのだ。
誰かが呼んだ、『リビング・レジェンド』と。
彼こそがカントー最強のポケモントレーナーだ。
***
(どうしてこうなった)
そして、今に至る(?)。
耳をすませば、穏やかな波の音と賑わう街の活気あふれるやり取りが鼓膜を揺らす。
燦々と降り注ぐ日の光は熱い程に肌を焼く。そんな体を冷ましてくれるのは、海側から吹き渡る一陣の優しい潮風だ。
まるで、この土地に訪れた遍く生命を歓迎するかのような喜びに溢れた風は、彼等にも届いていた。
「先生、キョウダンタウンにはジムがあるようです」
「挑戦するの?」
「勿論」
互いの距離感を計るように一歩身を引く青年に対し、頭二つ分ほど背の低い少女がグイグイと迫っていく。
前者の名はレッド、後者の名はコスモス。
先日、ここキョウダンタウンにて偶然ポケモンバトルに興じて以来、コスモスの熱い頼み込みもあり、師弟関係を結ぶことになった二人だった。
(……どうしよう)
レッドは悩んだ。
悩み、悩み、悩み過ぎて寝不足からの寝坊のダブルアタックを決め、ピカチュウの手痛い
彼はマサラタウン出身のポケモントレーナー。カントー地方においては、リーグチャンピオンとして殿堂入りを果たした伝説に名を刻むトレーナーの一人でもある。
そんな彼がどうしてホウジョウ地方等といった片田舎に来たのか―――その理由は至極単純、観光だ。
好奇心のままに訪れ、船を降り、偶然立ち寄ったバトルコートでポケモンバトルを申し込まれた記憶は新しい。というよりも昨日の出来事だ。
それがまさか弟子を取る羽目になるとは、人生は思いもよらぬ出会いに溢れている。
(―――なんて思わないよ、俺は)
表情にこそ出ないが、内心面倒事に巻き込まれたとげんなりするレッド。
別に新米トレーナーにあれこれ指導することが嫌いな訳ではない。しかしながら、駆け出しの右も左も分からないトレーナーならばまだしも、自分の目から見て明らかに初心者から逸脱した実力者が相手ともなれば話は違う。
彼は感覚派の人間。幼馴染のように論理的に強さを追い求める性質ではなく、これまでのポケモンバトルのほとんどを感じるがままに戦い抜いてきた。まったく考えていない訳でもないが、気がついた時には無我夢中であったのだから、結果的にはそうだった、という話なのである。
だからこそ、すでに腕の立つコスモス相手に教えられることはない。
―――一流のポケモントレーナーであっても、一流のトレーナーコーチではない。
彼の悩みは、まさにそれだった。
「先生」
「どうしたの?」
「先生はどうやってポケモンを鍛えていましたか?」
「ん゛っ」
早速答え辛い質問が来た。
予想通り過ぎて喉から変な声が出たが、聞こえていないのか大して気に留めた様子のないコスモスは、夜空のような深い藍色を漂わせ、星に似た黄色を煌かせている瞳でジッと見つめてくる。
“くろいまなざし”―――なるほど、逃げられない。
今すぐにでも彼女にピッピ人形を投げつけてやりたい衝動に駆られるが、それはできそうもない。
彼女の手持ち兼ボディーガードでもあるルカリオが、レッドの思考を波動で読み取り、変な動きをさせぬよう監視しているからだ。
しかし、ここまで監視がキツく感じてしまうのも、昨日コスモスが弟子入りした後、手持ちのピカチュウが「おう、新入り。ワレ、レッドの子分っちゅうことならワシにケチャップの一つでも差し入れんかい」と、大層憎たらしくキュートであんちきしょうな笑みを湛えながら差し入れを催促した結果、大喧嘩したのが原因である。
その一件から、ルカリオは完全にレッド達を敵視。
主人の目が離れた一瞬でもあれば、牙をむき出しにして「グルルッ!!」と唸り声を上げてくる。それはもう通りすがりの幼女が泣き叫ぶ狂暴な顔で。レッドにしてみれば、いつか喉笛を噛み千切られないかと不安で仕方がない。
「(ピカチュウのせいだからね……)」
「ピカァ?」
ぶりっ子しやがって……!
レッドは心から相棒に腹を立てた。今のレッドは、眠っていたカビゴンが飛び起きてメガトンパンチを振り抜いてくるレベルで怒っていた。
が、叱ったところで自分が返り討ちに合うのは目に見えている。
主従関係ってなんだろう? レッドはポケモントレーナーの存在意義が分からなくなった。
閑話休題。
「ど、どうやって鍛えたか……」
「はい」
真っ先に浮かぶのは山籠もり。
「えっと~、リーグが認めた実力者しか入れない、と~っても強いポケモンしか住んでない山で数年鍛えてれば強くなれるよ☆」等と宣えたらどれだけ楽になれただろうか。
寧ろ、軽蔑されても、前述の言葉をそっくりそのままでなくともありのままを伝えられたら良かった。
(―――いや、その手があった)
ピカンと閃く妙案。
そうだ、事実をありのまま伝えればいいのだ。
そして、それらが常軌を逸した方法であるならば、「あ、この人は関わっちゃいけない」となって自然と距離を置いてくれるはず。それからは師弟関係も自然解消、自分も彼女もそれぞれの道を歩んでハッピーになれる。
思い立ったが吉日。レッドは、かつてカントー地方を旅していた時、故郷の人間以外に話した時、ドン引きされたエピソードを思い出す。
あ、なんだか涙が溢れてきた、と過去の心の傷を抉られたものの、特に白い目で見られたエピソードが一つ。
「イシツブテ……」
「イシツブテ?」
「イシツブテを投げ合えば……強くなれる」
マサラ名物、イシツブテ合戦。
あの行事があるからこそ、マサラの子供は心身ともに強くなれると老人は声高々に語っている。
「……ポケモンがですよね?」
「いや、主に人間が」
決して嘘は吐いていない。
ポケモンにイシツブテを投げさせ合うのではなく、投げていたのは人間だ。
どこぞの野蛮な部族が繰り広げていそうな内容に目を丸めるコスモス。
そもそもポケモンを鍛える方法を聞いていたのに、いざ返ってきたのは人間がイシツブテを投げ合うという内容なのだから、彼女の反応も致し方ない。
しばらく彼女は思考停止したロボットのように固まる。
ルカリオも、初めて見る主人の様子に慌てふためきながら体を揺らす。
すると、ふいにコスモスの瞳に光が戻った。
「なるほど」
何がなるほどなの? 言った張本人でさえ思った。
と、レッドが納得したコスモスを前に瞠目していれば、レポート紙を取り出したコスモスが徐にペンを走らせる。
「ポケモンバトルはトレーナーも心身体力を使う競技。つまり、ポケモンバトルにとって第一に必要なのはトレーナー自身の体力……そういう訳ですね?」
「……うん」
合点がいった。
(この子……アホなのかもしれない)
そう、コスモスはアホなのだ。いや、アホと言っても勉強はできる。トレーナーズスクールのテストでも満点は当たり前の秀才だ。だが、アホというのは価値観の頑迷さ―――つまり、意地っ張りな部分にあった。
彼女は合理的思考で事を進めるきらいがある。だが、その絶対的な基準となっているのは“強さ”だ。
勝利こそが“強さ”の絶対的証明。論理の正しさや統計論等よりも、コスモスの中で正しさの答えであった。
そこでイシツブテ合戦に見出した合理的価値こそが、トレーナーの体力増強。
「流石は先生。コスモスは感銘を受けました。先生を倣って、イシツブテを投げてみます」
「……そっか」
レッドは天を仰いだ。
離れるどころか感銘を受ける等、予想外に他ならない。
(え? なんで納得しちゃうの? 今のどこに納得しちゃう部分があったの? え、お前こそ風習に倣ってイシツブテ投げ合ってただろって? はい、ごもっともです)
恨むのならば、マサラタウンという未開の部族同然の行事が行われる地に生まれ落ちたことだろう。が、感謝こそすれど恨む通りはない―――今のところ。今後の旅次第で変わるとでも言っておこう。
「でも、まずはジムの予約をしておきます」
「それがいいね」
「では、参りましょう」
「うん」
話は戻り、ジムについて。
ホウジョウ地方及びセトー地方のジムは、隣り合ったジョウトやホウエンと形式に差異はない。ガラル地方のようにジム戦が一大エンターテインメントと違い、基本的に一年中開いているジムに挑戦者が挑める形式だ。
ホウジョウ地方の玄関口とも言えるキョウダンタウン。単純に考えれば、ジム巡りを目的に他地方からやって来たトレーナーが最初に訪れる可能性が高い町だ。
だからこそ、リーグもキョウダンタウンにジムを構えさせた。
コスモスにとってはジム制覇の緒戦を飾ることになるジム戦。
その相手は―――。
「竜を唸らすドラゴンレディ、ピタヤ」
「……何見てるの?」
「スマホロトムでホームページを見てます」
「スマホ……ロトム?」
「スポンサーから貰いました」
「スポンサー」
コスモスの腕を高く買い、金銭を支出する団体から旅に際して送られたのがスマホロトム。スマホの名の通り、電話やメール、ウェブ検索は勿論のこと、アプリ次第ではポケモン図鑑の機能も得られる万能機器となっている。無論、コスモスの持っているスマホロトムにはポケモン図鑑の機能が組み込まれている。
一方、世俗から離れていたレッドにとってスマホなど未知の道具。どこぞの青狸がお腹のポケットから取り出すそれにしか見えない。
彼が持っているポケモン図鑑よりも広い画面には、ボーマンダを従えている豪気に構えた女性の姿が映っている。
「文明の……利器」
「何か言いましたか」
「……ううん」
「さいですか。ともかく、リーグのホームページでこう紹介されている以上、ドラゴンタイプを使ってくるでしょう」
リーグ初開催とだけあって、任命されたジムリーダーの情報は他の地方に比べて少ない。
しかしながら、まったくないという訳でもなく、リーグの宣伝もかねてジムリーダーの紹介はある程度なされている。
(ドラゴン……)
考え込むレッド。
ドラゴン使いと言えば、
「……コスモス」
「はい、先生」
「“はかいこうせん”撃ち込まれない? 大丈夫?」
「相手が繰り出してくる技ですか? そこまで詳しい情報は確認できませんが」
「いや、トレーナーにダイレクトアタックしないかって……」
「はい?」
少なくとも、自分が知っているドラゴン使いは人間に“はかいこうせん”を撃ち込む(と聞いた)。
素っ頓狂な心配に硬直するコスモス。
その隣で神妙な面持ちを浮かべるレッドは、やはりマサラの教えが正しいものであったと反省した。
「よし……用事が済んだら特訓しよう」
「ジム戦のですか? それでしたら望むところで……」
「ううん、“はかいこうせん”の」
「“はかいこうせん”の?」
「“はかいこうせん”の」
「“はかいこうせん”の……何を?」
だんだん“はかいこうせん”のゲシュタルトが破壊されてきたところで、ようやくレッドはさわりに触れる。
「“はかいこうせん”を耐えられる体を……作る」
「………………なるほど」
どこがなるほどなの? とツッコむ者は、この場に誰一人として居なかった。
***
私はコスモス。
ホウジョウ地方に来る前は、キキョウシティのトレーナーズスクールに通っていたポケモントレーナーである。
いずれ、敬愛するボスをお迎えに上がるべくロケット団再興の足掛かりとして、片田舎の地方でチャンピオンになろうと思った矢先で苦渋を味わったところだ。
その張本人こそ、今は「先生」と呼び慕っているポケモントレーナー・レッド。あまり饒舌な人間でないのだろう。強さの秘訣を聞き出す為にあれこれ問いかけても大っぴらに語らない。
だが、軽薄で無駄にお喋り好きであるよりかは好感が持てる。強者としての箔、とでも言っておこうか。口ではなく腕で語る。私にとって理想の強者像でもあった。
と、軽く理由は挙げてみたが、それらは全て私の経験値に―――延いては、ロケット団再興の糧とする為だ。
だからこそ、さっさと強さの秘訣を聞き出してみた。
まず一番に教えられたのはイシツブテ合戦。どうにも、あのイシツブテを投げ合う訓練法とのことだが、トレーナーズスクールで用いていた教科書や書店で買った参考書にも記載されていた記憶はない。
しかも、鍛えるのはポケモンでなくトレーナー自身だというではないか。
一瞬、思考が止まった。
その時、私の目に入ったのは先生の眼差しだった。
凡人には分かるまい。だが、私ははっきりと理解した。その眼差しが私というトレーナーを値踏みしていることを。
いわば、今伝えられた訓練の趣旨を理解できるかが、先生のお眼鏡に叶うか否かの分水嶺。つまり試金石だったのだ。
かつて、これほどまで頭を使った経験はない。
イシツブテを投げ合い、トレーナーを鍛える行いの合理性を見出す為―――この時の頭の回転はフーディンにも負けない、とまで言えば大げさであるが、そう言える程度には考えた自負があった。
足りない頭で必死に考えた答えを口に出す。
正直、唇は震えていた。
その時先生は―――笑っていた。さながら春の麗らかな陽気の如く温かな笑みを湛え、私を見下ろしていたのだ。
ホッと胸を撫で下す。重く、それでいて寒い重圧―――まるで氷山でも背負っていた肩はスッと軽くなった。
とりあえず、何も盗めぬまま破門される事態は避けられたようだ。
しかし、最初の関門「キョウダンジム」について軽く話すと、みるみるうちに先生の面持ちが険しくなっていた。
私とルカリオの全力を前にしてもピクリとも動かなかった表情が、だ。
恐らく余程の事態。……いいや、きっと未熟な私のレベルで考えた上で、重大な問題にぶち当たったのだろう。
肌が粟立つ感覚を覚えた。顔こそ平静を保っていたが、私の感情に敏いルカリオは、その青と黒の体毛をゾワリと逆立たせる。
先生が懸念していたのは“はかいこうせん”という技。
ノーマルタイプの特殊技。威力は同タイプ中最高峰を誇り、一度放てば反動で動けなくなるデメリットを有す。このようにメリットとデメリットがはっきりとしている技だ。
反動の大きさから、一度撃てば隙ができる。加えて、そもそもルカリオが有すはがねタイプは、ノーマルタイプの技を半減するのだ。一撃喰らったところで痛手は負うまい―――そう楽観視していた私の考えを払拭したのは、他ならぬ先生の雰囲気だった。
まさか先生程の実力者の世界ともなれば、“はかいこうせん”も世間の認知とはかけ離れた用途や戦術が存在するのだろうか?
肌がヒリヒリと焼ける感覚を覚えたのは、きっと港町の日差しだけが原因ではない。
いつの間にか乾いていた唇を舐って湿らせ、キョウダンジムにてジム戦の予約を済ませる。念には念を入れて予約を先延ばしにする考えも過ったが、既に一度敗北した身だ。自分のレベルを確かめる意味でも、勝敗はともかく挑むべきだろう。
……いけない、敗北を合理化する
私にもう敗北は許されない。許されるのは、敬愛するボスと先生とのポケモンバトルだけだ。
及び腰になっていた意志を奮い立たせる。
そうこうしている間、連れられてきたのはキョウダンタウンから少し離れた道路。野生のポケモンが飛び出してくる地域だった。
ここで一体どのような“はかいこうせん”を耐える特訓をするのか。
自然と身構えていた私に、足を止めた先生はこう告げる。
「まずは……ポケモンをゲットだぜ」
「………………なるほど」
どこがなるほどなの?
そうツッコんでくれる人間は、まだ居ない……。
Tips:コスモス
ロケット団の尖兵「ロケットチルドレン」として育てられた少女。
組織崩壊後は、淡々とロケット団再興を虎視眈々と狙いながら、キキョウシティの施設で暮らしていた。
組織で育てられたトレーナーの中でも実力は特に優れており、トレーナーズスクールのテストで満点を取るなど、頭脳明晰な部分を覗かせる。
しかしながら、”強さ”という一点を絶対的価値観として置いていること、加えて合理的思考を優先することから、時折一般的にはありえないと断ずる内容を強引に解釈してしまう頑迷さがある。要するに、馬鹿と天才は紙一重的な人間。
実は甘味が好物。特にチョコレートは迅速なエネルギー補給ができるとして、普段から持ち歩いている
手持ちポケモンはルカリオ。
コスモス(ドット絵)
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【挿絵表示】
ジムリーダーと言えばどの地方?
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元祖! 伝説のはじまり カント―
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チコリータに厳しい旅路 ジョウト
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ケッキング強過ぎない? ホウエン
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一番目からA種族値125 シンオウ
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オーオーオオー♪ ガラル