コスモス「このポケモンはタイプ:ヌルというらしいです」
レッド「……タイプ:ワイルドじゃなくて?」
コスモス「いつのまにかそんな名前にはなってません」
「先生、ご迷惑をお掛けしました」
燦々と降り注ぐ日光の下、すっかり快復したコスモスがレッドに一礼する。
「ぜんぜん。気にしてない」
「元々体力に富んだ方ではないと自覚しておりましたが、こうなってしまった以上、日課に体力作りを組み込む必要性が出てきました。……先生は普段何かされておられますか?」
「え? 普段……ピカチュウの電撃なら毎日浴びてるけど」
「なるほど。電撃による筋肉への刺激と……」
「やめた方がいいと思う」
「まだ私には早いと? ……先生がそうおっしゃるのであれば」
確かに早い。今の人類には。
せっかくの指導を実践できないと落ち込むコスモスだが、実践した日には風邪の比ではない日数をベッドの上で過ごす羽目になるだろう。ポケモンの技を喰らえば、常人では無事で済まない。もう一度言おう、常人では無事では済まない。
体力作りの話題も程々に、早速コスモスは次なる目標へ向けての指針を明らかにする。
彼女の旅の目的からも明白だが、
「打倒・スナオカジムリーダー……です」
「予約に行ったけど、ジムの外観すごく綺麗だった」
「その節はお世話になりました」
小学生並みの感想を述べるレッドへ、コスモスは改めて頭を下げる。
と言うのも、彼女が風邪で休養する際に予約を取るようレッドへと頼んでいたのだ。
現在、ホウジョウ地方とセトー地方、両地方に設立されているジムは連日のように挑戦者で溢れかえっていた。これもひとえにリーグ設立初めての年だからに尽きる。
早めに予約を取らなければ、挑戦できる順番も後ろへ後ろへと回されてしまう。その為、コスモスは風邪が治る見込みも立っていない内に予約を取ろうとしていた。
結果、コスモスがジムに挑戦できるのは二日後。病み上がりである事実を踏まえれば、少々物足りない時間にも思える。
「ですが、負けるつもりは毛頭ありません。挑むからには一発目での攻略を果たす。それが合理性というものですから」
「お~」
弟子の目一杯張られた胸と同じくらい起伏に乏しい声音と共に、レッドはささやかな拍手を送る。
「でも、今の手持ち的に有利なポケモンは居ないんじゃ……?」
「問題ありません。居ないなりに策は考えます。そこで先生にはまた助力願いたいのですが……」
「うん。俺でいいなら付き合うよ」
「ありがとうございます」
レッドの手持ちにはリザードンが居る。
ヒトカゲの最終進化形で、彼にとっては旅の始まりであるマサラタウンからの長い付き合いだ。実力は折り紙付きであり、並みのみずタイプやいわタイプならば返り討ちにするほど。ほのおジム対策特訓の相手としてはこれ以上ない相手と言えよう。
「という訳だから、リザードン……キミに決め───」
「グォオオオオオオ!!!」
「たてとぷすっ!」
参上。無情。大炎上。
繰り出された傍から主人であるレッドに“かえんほうしゃ”を浴びせた橙色の火竜は、雄々しい咆哮を空に轟かせながらの登場を果たした。
その迫力満点な登場に、流石のコスモスもドン引きだ。
「せ、先生……」
「大丈夫。慣れてる」
「それなら良かったです」
───良くはない。
だが、いよいよ毒されてきているコスモスは麻痺した己の感覚に気づかぬまま、黒焦げ&アフロになった師匠の姿にホッと胸を撫で下ろす。
「しかし先生のリザードンはいつ見ても凄まじい迫力ですね」
「それほどでも」
「今回の特訓相手を務めてくれる訳ですが、何か注意点は?」
「リザードンはね、気分が高ぶった時……つい
ちょっとした放火魔である。
トキワの森が無事だったのはまだヒトカゲだったからに違いない。
「ちなみに炎を吐くのは先生だけにですか?」
「うん」
「それなら問題ないですね」
「問題……うん、ないね」
師匠への信頼が厚い弟子の図である。
少なくとも自身が特訓中火達磨になる事態はないと確信を得たコスモスは、早速今回のジム戦に挑む手持ちを呼び出す。
「ルカリオ。ゴルバット。ニンフィア」
「バウッ」
「ゴルバッ!」
「フィア!」
出てきた三匹は元気一杯だ。
だが、まだ場に出てきていないポケモンが居る。
「……ヌル」
「ヴルルルルァーッ!!!」
「フォーメーション!」
出てくるや敵意を露わにしてコスモス───正確には彼女のバッグの中に収まっているコスモッグへと飛び掛かろうとするタイプ:ヌルに、あらかじめ場に出ていた三匹が拘束に入った。
ゴルバットが“いやなおと”を奏でて動きを鈍らせ、ニンフィアが巻き付けた触角より“いやしのはどう”を流し込んで気分を宥め、ルカリオが真正面からタイプ:ヌルを組み伏せる。これでようやくタイプ:ヌルの暴走は落ち着く。少なくとも本能のままにコスモッグを襲おうとする真似は止められるのだ。
「……毎度冷や冷やさせてくれますね」
「ヴルルッ……」
「貴方も私の手持ちなんです。しっかりと言う事を聞いてくれないと困ります」
「ヴァアー!」
「……はぁ」
溜め息を禁じ得ないコスモスは、先が思いやられると頭を抱える。
気性が荒いとはラムダから聞いていた。しかし、仮にもジムバッジを二つ獲得した自分の言う事を聞かないとなると、相応にレベルが高いと思われる。
「大丈夫?」
「問題ありません。これも想定の内ですので」
「……そっか」
口ではああ言ったものの、レッドの心配も尤もだと心の中で頷くコスモス。
ポケモンが言う事を聞かないなど、トレーナーとしては死活問題だ。言う事を聞くまで育てるのもトレーナーの努めと言われればそれまでであるが、如何せんジム戦までの時間が足りない。
普段であれば今後の活躍に期待と割り切るコスモスであるが、自身の手持ちの大半がほのおタイプに有効打と持たないと話は変わってくる。
ルカリオははがねタイプ。単純にほのお技に弱い。
ニンフィアの主力技であるフェアリー技の威力は、ほのおポケモンには半減だ。
ゴルバットもこれと言った有効打はない。
コスモッグは論外だ。現時点では賑やかし&有事の脱出要員である。
つまり、手持ちを3匹、もしくは4匹以上選出する必要が出てくるならば、タイプ:ヌルの選出もあり得る。
だが、指示通り動かないポケモンで勝てるほど甘くはない。
地力に相当の差があれば、ポケモンの独断で勝てるかもしれないが、ジムリーダーともなればそうはいかない。練られた戦術や正確な指示も、すべてはトレーナーとポケモンとの信頼関係があってこそ。
(まあ、可能な限り選出しない方針のまま全体的に育成するけれど)
それでも万が一に備えて損はないだろう。
いくらか育成を進めれば、多少なりとも言う事を聞くようになっているかもしれないと希望的観測を抱きながら、特訓は始まる。
メジャーなほのおタイプの技の見取り稽古に始まり、技の解説、回避方法の解説、最終的には実戦形式を行うのがコスモス流のトレーニングだ。
「“かえんほうしゃ”は大抵口から放たれます。ですので、攻撃を躱すのであれば相手の顔の向きに注目すること。さすれば、回避すべき方向も自ずと見えてきます。しかし、当然顔の角度が変われば射角も変化する以上……」
チラッ、と自分のポケモンを一瞥する。
ルカリオやゴルバットは当然ながら、比較的新参のニンフィアもしっかりと講義を聞いている様子だ。
唯一見向きもしないのはタイプ:ヌルのみ。
兜で隠れる視線は明後日の方を向いている……ように見える。
思わず舌打ちを鳴らしたくなるも、寸でのところで我慢するコスモスは淡々と講義を続ける。
それが終われば実践だ。
実際に“かえんほうしゃ”を放ってもらい、回避の感覚を掴む。初見の技を避けることは難しいだろうが、何度か見なれば技ならば自然と体が覚えるものだ。
感知に長けたルカリオは当然ながら、最初こそ四苦八苦していたゴルバットやニンフィアも次第に避け方が分かってくる。炎に怯えていたのが嘘のように、軽やかな身のこなしで回避を繰り返す。
(ヌルは……)
コスモスは改めてタイプ:ヌルの様子を窺う。
全くと言って良いほど特訓に参加していないが、一体全体何をしているのだろうか?
「ん?」
何やら黄色い物体がタイプ:ヌルの傍に近寄り、もぞもぞと動いている。
赤いほっぺに黄色いシャツ、極めつけのギザギザ模様。その愛くるしい姿は、紛れもなく皆のベストフレンドである彼のポケモン。
「ピカチュ?」
そう、ピカチュウだ。
昼寝を決め込んでいるタイプ:ヌルに対し、語り掛けるように鳴き声を上げている。最初の内はシカトをされていたものの、それで折れるような性格ではない。
しばらくの間声を上げ、それでも無視されたのならばと体を軽く叩いてみせる。ポンポンと毛ほどの痛みも感じなさそうなボディタッチだ。
それでもタイプ:ヌルは、フンと一度鼻を鳴らすだけでピカチュウに取り合う様子を見せることはない。
しかしながら、これで諦めるピカチュウさんではない。
手持ちの輪に入らない彼を慮っているのか、根気強く喋りかけていた。相手は自分より一回り以上大きな体躯を誇っている。
普通ならば『大した度胸だ』と感心と不安が半々だろうが、レッドのピカチュウに限っては要らぬ心配だと切り捨てられよう。
そう思った矢先だ。
ゴンッ!
鈍い音だ。
何事かと振り返れば、尻餅をついているピカチュウと、それを見下ろしているタイプ:ヌルの姿が見えた。
つぶらな瞳をまんまると見開くピカチュウ。
額を両手で押さえているところを見るに、堪忍袋の緒が切らした相手から頭突きを貰ったのだろう。
すると、なんということでしょう。あのキュートなご尊顔が、途端に目を細め、眉間に皺を寄せたしわしわフェイスへと変わるではありませんか。
───あ。
刹那、ポケモン達の空気が絶対零度の如く固まった。
レッドとコスモス、二人の手持ちを併せたヒエラルキーの中でピカチュウは最上位に位置する。誰一人としてピカチュウを無視する真似など許されることはなく、それはレッドの手持ちの最古参であるリザードンも例外ではない。
万が一にも無視すれば、
「ヂュウウウ!」
「ヴァアアア!?」
バリバリと電光が爆ぜる音に交じり、タイプ:ヌルの悲鳴が響く。
知っている者が見れば、大分威力を抑えたじゃれ合い用の電撃と分かるが、そのような実情を新参者が知っているはずもない。ましてや、自ら他者を排斥するような性格の個体なら尚更だ。
「ヴルルルルッ!!」
そして、当然のように怒り狂うタイプ:ヌルがピカチュウに向けて唸り声を上げる。
しかし、当の電気鼠はふさふさの毛に覆われたおしりをぺんぺんと叩き、これでもかと相手を挑発した。
「ちょ、ピカチュウ……」
「ヌル、戻れ!」
「ガアアアアッ!!」
怒りは既に頂点に達している。こうなってしまえば、最早トレーナーの指示を聞くはずもなく、ピカチュウとタイプ:ヌルによる喧嘩が勃発してしまう───が。
(力の差は歴然ですね)
開始早々、ピカチュウにあしらわれる手持ちの姿に隔絶した地力の差を悟るコスモス。
力任せに爪を振るうタイプ:ヌルに対し、ピカチュウは“アイアンテール”で受け流し、時には“でんきショック”を浴びせて相手の動きを鈍らせる。いかなる暴力も卓越した技術には通用しないという訳だ。
さらにでんき技では威力の低い“でんきショック”も、立て続けに食らえば麻痺は必至だ。敢え無く麻痺に陥ったタイプ:ヌルは、自身を縛る拘束具の重量も相まって、その場から動けなくなってダウンする。
「ヴッ……!」
「……格上の相手に挑むガッツは認める。けれど、無策で勝てるような相手ではなかったですね」
「ヴルル……!」
「はいはい。今からまひなおしを使うから」
『じっとしていて』。
そう言おうとした瞬間だった。
「ヴルァ!」
「つッ……!?」
乾いた音が木霊し、放物線を描いてまひなおしが地面に落ちた。
じんじんと痛む手を抑えるコスモスは、今まさに自身を引っぱたいた尾ヒレを見つめる。
「……やってくれますね」
「バウッ! バウバウッ!」
「ルカリオ、いい」
主人に危害を加えられ黙っていられないルカリオを制し、今度は違う道具をバッグから取り出す。
「これならどうです」
「!」
コスモスが取り出したのは二股の茎の先に赤い果実が実ったきのみだった。
「クラボのみ。これでも麻痺は治りますよ」
「……」
まひなおしのような人の手で生産された道具ではなく、自然由来の効能を有したきのみを見せつけた。
これにはタイプ:ヌルも興味があるらしい。どうにも彼は人工物を忌避するきらいがあるようだった。事情にはさておき、文明の叡智と言える道具に囲まれる現代のトレーナーにとっては、中々厄介な手合いだ。
そこで出てきた自然の恵み、きのみである。
道具を忌避するのならば、代替品となるきのみを用いるだけ。
(さあ、どうです)
目と目を合わせ、じっと待つ。
長い呼吸を繰り返される。
どうやら、これ以上の進展を期待するのは無駄なようだった。
さっきの今で手渡しは逆効果だと、コスモスはタイプ:ヌルの近くへそっと放り投げる。人間を睨みつける不審に染まった眼光が衰えないのを確かめ、静かに踵を返した。
(人の目がある中じゃ食べたくない、と。そういうことですか)
人間から施しを受けたくないのか、はたまた別の理由か。
ともかく、地面に転がしたクラボのみはそのままに、コスモスは特訓へと戻ろうとする───と、その時だった。
ドッ!
ザンッ!
バリバリバリッ!
「ヴァアアアッ!!?」
「……なにやってるんです?」
「ヴッ……ウウッ……!」
振り返れば、再び麻痺に陥ったらしきタイプ:ヌルが地に這い蹲っていた。
地面と一体化している彼の目の前には得意げに腕を組んでふんぞり返っているピカチュウが居る。きのみを食べて麻痺が治るや挑みかかって返り討ちにあったと見るのが。
「はぁ……ほら、今度こそまひなおしを」
「ヴルルルルッ!!」
「……やっぱりこっちがいいですか」
やむなしと二個目のクラボのみを取り出し、手で渡そうとする。
今度こそはと思ったが、やはりタイプ:ヌルは受け取らない。
早々に結論づけたコスモスは、先ほど同様にきのみを目の前に転がし、その場から立ち去る。
「ん?」
デジャブだ、と立ち止まったが時既に遅し。
「ヂュウウウ!」
「ヴァアアア!」
リベンジならず。
電撃で所々が黒焦げになったタイプ:ヌルが、案の定麻痺して倒れている。
「……きのみだってタダじゃないんですよ」
「ヴァア!」
「あだッ!」
呆れた顔でクラボのみを取り出せば、あろうことか手に齧りつかれる形できのみを奪われた。
ジンジンと痛む手を押さえながら復活するタイプ:ヌルを見遣れば、同じ光景の再放送だ。パワーはあるもスピードに劣るタイプ:ヌルがピカチュウに翻弄され、最後には電撃を喰らう。
「フーッ! フーッ!」
「……もうクラボのみはありませんよ」
「ヴゥーッ!」
「唸ってもダメです。先生のピカチュウに一矢報いたいなら、せめてトレーナーの私の指示を聞く事ですね」
『それに体力も限界でしょう』と、依然闘志は尽きていないタイプ:ヌルを強引にボールへ戻す。
ここまでの闘争心には目を見張るものがあるが、戦い方は粗削りという評価が関の山だ。野生的な本能に任せた力押しの戦法。数多の強者が使役するポケモンと鎬を削ったピカチュウ相手には、その立派な爪や牙も鈍ら同然である。
(でも、怒りに我を忘れて手から受け取ると……覚えておきますか)
少々手持ちの性格を把握できたところで、噛みつかれた手に目線を向ける。やはり腫れている。ベイビィポケモンの甘噛みならばともかく、あれだけ大きなポケモンに噛まれたとなれば当然の結果か。
「まあ、後で薬を塗っとけば大丈夫でしょう」
と呟いていれば、
「……手、大丈夫?」
「はい。見た目はこんなですが、問題ありません」
「そっか。でも、化膿したら大変だから……はい」
「? これは……」
レッドに小瓶を渡された。
一見すれば薬にも見えなくないものの、明らかにお手製と言わんばかりの外観だ。だからこそ怪訝に思ったコスモスは問い返したのだったが、
「きずぐすり」
「きずぐすり? ……フレンドリィショップで売ってるものには見えませんけれど」
「作った」
「先生が……これをですか?」
「人にも使える……はず」
「……ありがとうございます」
本当に手作りだった事実に、コスモスは内心驚いた。
確かに専門書を開けば製法くらいは載っているだろうが、こんな町中で、しかも徒歩五分以内にフレンドリィショップがあるような場所で、手作りを渡されるとは思いもしなかった。
だが、師匠の厚意を受け取らない訳にはいかない。
小瓶を開けたコスモスは、ハンドクリームの要領で手作りきずぐすりを腫れた手に塗り込んでいく。
「ところで先生。きずぐすりの作り方なんて誰に教わったんです?」
「……親切な山男さんに」
「親切な山男さん? 実在するんですか?」
「幻のポケモンか何かだと思ってる?」
ヌリヌリヌリ。
「その人には何か別に教えてもらったりは?」
「……原料? とか……。それと山での暮らし方とか」
「そう言えば先生は長い間山籠もりされてたんでしたね」
「あの山男さんが居なきゃ、俺はきっと野垂死んでいたよ……」
ヌリヌリヌリ。
「食べてもいい山菜とかきのみとか教えてもらったし……。その人は化石ポケモンを持ってて、バトルも凄く強くて……話は戻るけど、そういうポケモンは今の時代のごはんとか薬が合わなかったりするんだって」
「なるほど……。それは勉強になります」
「ポケモンに合わせたごはんや道具を作ってあげるのも愛情……その山男さんは言ってたなぁ」
ヌリッ……。
このように、その時の言葉はレッドの心に染み渡っていた。
ポケモンへの愛情の形は人それぞれであるが、あれもまた確かな一つの愛情だ───その時の確信を思い返すレッドは、シロガネ山で出会った山男に思いを馳せていた。
「また会いたいなぁ……あの石が好きでバトルの強い山男さん」
「名前とかは聞いてないんですか?」
「たしか……ダ……ダイ……」
「ダイノーズみたいな名前ですか?」
「ごめん。今の名前に記憶全部塗り替えられちゃった」
「すみません」
名前を忘れ去られるとは、親切な山男、大誤算である。
───ありがとう、知らない山男さん。
しかし、彼らの感謝の気持ちは海を渡り……多分、西の地方辺りに届いていることだろう。
スナオカジム挑戦まで、あと二日。
***
───それは突然のメッセージだった。
キョウダンジムにて。
「会議の招集? 定例のじゃなくて緊急……ってマジ!? 挑戦者の予約入っちゃってるし! どどど、どうしようドラミドロ!」
「ドラ?」
***
オキノジムにて。
「やっぱり……
「どうしたの、パパ? 仕事の連絡?」
「いや、なんでもないぞリーキ! 今日はせっかく休みだし、パパとのデート楽しもうな♪」
「ちょっと! デートとか言わないで! 気持ち悪い!」
「う゛ッ!」
***
スナオカジムにて。
「……あちゃあ」
「ど、どうするんです? ジムリーダーが不在となったら、挑戦者の人に帰ってもらうしか……」
「……いや。残念だけど他の方法についてもメッセージで送られてきたよ」
「え?」
「ホントに残念だけど……はあ」
***
カチョウジムにて。
「───馬鹿馬鹿しい」
「リ、リーダー……!」
「『ジムトレーナーで代理を立てろ』? ……ぼくぁはせっかく来た客人に不義理を通すつもりはねえ」
「するってぇと、どうするおつもりで……?!」
「そりゃあ当然───」
***
ユウナギジムにて。
「困ったわぁ……。会議くらいテレビ通話でもいいと思わなぁい?」
「ローダ……」
「あらぁ、ごめんなさいジャローダ。貴女に言ってもしょうがないわよねぇ……でもぉ、留守にするとなるとお店を閉めておかないとぉ」
***
ツナミジムにて。
「二日後なんて急な話ね~。こっちにだって予定があったのに……」
「姉さん、どうするの?」
「どうするのったって……とりあえず、
***
カルストジムにて。
「眠ぃ……昨日ゲームし過ぎたぁ……」
『ちょっと! 話聞いてたロトか!?』
「会議のことっしょ? 絶対寝るやつ……すっぽかしていい?」
『駄目ロト! ちゃんと出席しないと怒られるロト!』
「やっぱりかぁ~……エナドリ買い込んでこ……」
***
アサナギタウンにて。
「……このタイミングで……か」
「場所はイリエシティ。トーホウポケモンリーグの所在地ですな。代理の件はさておき、出席は如何様に?」
「ダメ、できない。その日には大事な用があるもの」
「……それでは仰せのままに」
「そう、大事な用が……ね」
***
ホウジョウ地方とセトー地方。
両地方のポケモンリーグは、カントー地方とジョウト地方がセキエイリーグとして統合されているように一括されている。
トーホウポケモンリーグ───その本拠地は、両地方の中心に存在する町に居を構えている。
その名も『イリエシティ』。
トーホウにおいて、最も発展していると言って過言ではない都市に、依然空のままである玉座は静かに佇んでいるのであった。
Tis:ホウジョウ地方・セトー地方
ジョウト地方と陸続きの西に位置する地方が、肥沃な大地が拡がるホウジョウ地方。セトー地方はホウジョウ地方に南に位置し、大地から流れ出でた豊かな栄養に溢れている為、おおくの海洋に棲むポケモンの戸口となる関係上から、『瀬戸』から転じセトー地方と呼ばれている。二つの地方の東西に掛かっている巨大な橋は、両地方の友好の証とされている。
両地方のポケモンリーグである『トーホウポケモンリーグ』は、その中でもホウジョウ地方の南にある『イリエシティ』に居を構えている。
↓タウンマップ
【挿絵表示】
ポケモンで加入したい組織は?
-
サカキ様万歳! ロケット団
-
カガリ様hshs... マグマ団
-
ウホ、イイ男... アクア団
-
このアカギにさからららら…! ギンガ団
-
ゲーチス♪ゲーチス♪ プラズマ団
-
フレーフレーフレア! フレア団
-
グズマさんが最高でスカら! スカル団
-
代表に保護されたい… エーテル財団
-
マリィ愛してるぜー! エール団