イノベイター壊滅RTA ガンダムマイスターチャート【参考記録】   作:ナマステ

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 新型コロナが猛威を振るっておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
 外出自粛とか緊急事態宣言とか穏やかじゃないニュースばかりで中々大変でしょうが、少しでも皆様の暇潰しになれば幸いです。
 それはそうと、そっち関係の記事に「人類は試されている」という見出しがあって、うっかり大型新人の声が聞こえました。やはり脆弱な人類を導くのはこの僕、リボンズ・アルマークということだね。


(無垢なる歪み)〜(拭えぬ過去)

 世界の歪みを見つけるRTA、みんな踊れー! 

 

 前回はアレルヤが女を連れ込んできたところまででした。これでトレミーも立派なホテルです。いや、『ホテル・プトレマイオス』って探せばありそうですけど。

 まあ、ガンダムをホテルにしないだけマシですかそうですか。そんなんじゃ甘いよ。

 

 何にせよ、これでピーリス姉貴ことマリーが非戦闘員として仲間になりました。非戦闘員でも脳量子波は使えるため、今後の作戦で必要な人です。沙慈くんはイアンの手伝いとかしてくれますし、慢性的な人手不足でも私達は元気です。

 

 絹江姉貴は何してるのか、だって? 

 彼女はこう……マスコミの動向とか色々と探ってくれていたり、まとめたりしています。情報とか目に見えないものを整理する、って役割は意外と大切です。フェルトやミレイナでもできますが、ミレイナは別行動するイアンの代わりに整備担当を兼任するため、しっかり分担してあげましょう。

 

 あっ、そうだ(思いつき)

 先述のとおり、イアンのおっさんはオーライザーの最終調整のために別行動で先に空へ上がります。せっかくなので、ラグランジュ3で新武装を作ってもらいましょう。武装作れ! メカニックだろ! 責任果たせ! 

 無茶言うなとか、色々言われますが、大丈夫だって安心しろよヘーキヘーキ。今回依頼するのはそこまで凝った武装ではないため、何だかんだラグランジュ3での戦闘前には間に合います。

 ピーリス姉貴が使っていたアヘッドも大事に仕舞ってバラしてあげましたので、資材は充分です。はい、じゃあヨロシクゥ! 

 

 そんな感じでおっさんを送り出すと、今度は王留美からの暗号通信が入ります。用件を簡単にまとめると、中華連邦でアロウズの首脳陣のパーティーあるから参加して情報集めてきます、というやつです。ですが、これはティエリアを釣るための釣り針です。この通信の裏には()ジェネ・()ジェッタがいます。何度か言いましたが、あの元ツインテチャイナは敵ではないですが、味方でもないです。気をつけましょう。

 

 そんなことを知らないティエリアはホイホイと釣られて、偵察への参加を希望します。刹那がフォローに回るため大丈夫かと思われますが、彼の顔を覚えているビリーくんも参加しているためマズ味です。ビリーくんの拗らせは最早手遅れですが、これ以上事態を拗らせないためにも、ホモくんも参加しましょう。フォローのフォローって意味分かんねぇなオイ。

 

 ただ、潜入プランはスメラギさんに一任されるため、配役と配置はランダムです。場合によっては完全にフォローできないかもしれないため、刹那には「お前顔が割れている可能性あるから気をつけろ」とか言っておきましょう。焼け石に水ですけどね。

 

 さあて、ホモくんの配置は何でしょうか。王留美の護衛は既に使った顔のため、二度目はないでしょうが……出ました。

 なるほど、出資者のひとりですか。まあ順当っちゃあ順当ですね。では、ビリーくんと話をして死ぬほど酒を飲んでもらいましょう。お前を二日酔いにして……やんだよ! 

 

 

「あと、北斗は作戦中は常にこれをつけること。外しちゃだめよ?」

 

 

 ん? 何かスメラギさんから受け取りました。

 それに咥えて何か特殊能力も得られましたね。見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【仮面】

 

 

 へ、変態だ────!!!!!!!

 

 えっと、これは低確率で発生する能力取得イベントですね。この能力は動揺を悟られないとか、表情の変化に気づかれない的な能力です。

 今回は仮面を受け取っていますが、装備ではなく能力なので、別につけなくても効果は発動します。でも、今回の作戦はつけろという指示なのでつけましょうか。いや能力的にはプラスなんですけど、これじゃあブシ仮面のことを言えないですね……スメラギさんの悪意が見えるようだよ……。テンメェ! ポイテーロ……! 

 

 四の五の言ってる暇もありませんでした。

 不本意ですが、仮面をつけて会場に参りましょう。パーティーに来たみたいだぜ。テンション上がるな〜。

 

 うっへぇ、予想通りホモくんがすっげぇ目立ってますね。王留美とか吹きそうになってますし、とんだ恥晒しもんですよ全くもう。まあ、おかげで女装しているティエリアは注目されないで済んでますから良いでしょう。そう言う……奸計だったのか……!

 

 おっ、カタギリ親子を発見しました。

 では息子のビリーくんに度数の高いワインを注ぎにいきましょう。変態仮面にドン引きしながらも受け取るあたり良い人ですね。

 仮面については、ルイス姉貴の設定を借りて昔スローネの介入に巻き込まれて、顔に傷がついた的なことを言って同情を誘いましょう。絶対許さねぇぞガンダム……! 

 

 

「……それはお気の毒に」

 

 

 そう言うと友人(ハム)と重なって見えたのか、態度が軟化します。へへっ、チョロいぜ。

 ビリーくんは女性関係以外は真っ当なんですよね、女性関係以外は。まあ彼が歪んだのはスメラギさんも悪いんですけど。

 でも数年後にはドチャクソ美人で甘々ボイスの科学者に筆下○しされるので同情はしませんが。カーッ、ペッ(嫉妬)

 

 まあ、これも何かの縁ということで形だけの商談をしながらドンドン酒を飲ませましょう。

 私、モンターク商会のゼクス・マーキスという者で、“ 他社より強く、他社より先へ、他社より上へ”をモットーに、ハレヴィ家ほどではないにせよアロウズへ投資させていただいている云々かんぬん。フハハハ怖かろう。

 

 

「そうなのですか……! 実は私もモビルスーツの技術開発顧問をしておりまして、かつてエイフマン教授の残した資料をもとに、ソレスタルビーイングも使っているとあるシステムの……」

 

 それは嬉しい報告ですね(白目)

 いやあ話も酒も進む進む。さらっととんでもない情報が出てきますが、知っているので何の問題もないです。

 

 さすがにパーティーなので潰すほど飲ませられませんが、判断能力を鈍らせるほどには酔わせられましたね。呂律が回っていないあたり、これなら刹那には気づかないでしょう。任務完了。

 

 っと、会場ではティエリアと諸悪の根元が踊ってますね。傍から見るとティエリアの顔が怖すぎますよ。ほら、もっとスマイルスマイル! 

 

 

「失礼」

 

 

 何か声をかけられましたね。

 こんな変態仮面に話しかけるなんて物好きなヤツが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、ヒリング・ケアと申しますわ。よろしければ、私とも一曲踊っていただけないかしら?」

 

 

 断る(真顔)

 ダンスは……苦手だな……。

 

 

「冗談よ。私もダンスは苦手なの。なんで人間ってこんなことするのかしらね」

 

 

 申年だからでしょ(真顔)

 なんか絡んできましたが、()はヒリング・ケアという戦闘型のイノベイドです。本編ではタキシードだったのに、今回はなんかドレス着てますね。

 

 一応、知らないノンケのために説明しておきますと、ヒリングは女ではないです。かといって男でもない中性型です。そのため、彼女(・・)ではなく()です。純粋な青少年ノンケくんは、ナンパされたからと言って舞い上がるのは禁物です(1敗)

 さて、彼が絡んできたということは、ホモくんもリボンズに招待されたということですか。まあ、誘いに乗ってやりましょう。おう、さっさと案内するんだよ。あくしろよ。

 

 

「あら、つれないのね。ねぇ、もう少し私とお話しない?」

 

 

 (抹殺対象に交わす言葉なんて)ないです。

 ここでやることは、ティエリアが自身の在り方についての葛藤するイベント起こすためですし、目的が済んだらさっさと帰りますよ。そんな感じでヒリングにリボンズ部屋に連れて行かれます。

 

 

「やあ、よく来たね。僕はリボンズ・アルマーク──────君が乗っていた0ガンダムの、初代マイスターさ」

 

 

 そう(無関心)

 合流したティエリアがめっちゃ驚いていますが、だから何だよって話です。

 

 さて、ようやく会えました。このリボンズが、自分のことをイノベイターだと勘違いしている精神異常イノベイドの親玉です。この場で銃をパンパンパンパンしたいところですが無駄行動です。気をつけましょう。

 

 

「まさか君まで来てくれるとは思わなかったよ。リジェネには感謝しないとね」

 

 

 ウン(生返事)

 

 

「君も座りなよ。前から君とは直接言葉を交わしたかったんだ。ワインしかなかったけどいいかな?」

 

 

 ウン(生返事)

 

 

「今日は面白い被り物をしているんだね。それで変装のつもりなのかい?」

 

 

 ……いや、ホモくんばかり話しかけてないでティエリアと話をしろよ。

 コイツといいヒリングといい、初対面の敵なのにやたら好感度高くないですかね? いや、初期好感度はランダムなので珍しいわけじゃないですが……これじゃあいつまで経っても終わらないよ(棒読み)

 

 

「はぐらかすな。僕たちがここに来たのはそんな世間話をするためではない!」

 

 

 よう言うた! それでこそティエリアや! 

 こちらのイライラを代弁してくれました。こちとらタァイムがかかってるんだから、さっさとしてくれよなあ、オイ。

 

 

「……君との話はもう終わっているよ、ティエリア・アーデ。君たちの壊滅は計画の中に入っていた。それだけだよ」

 

「ただ、それを聞いて引き下がれると思っているのか?」

 

 

 あ、もう一連のイベント終わってるんですね。

 ならもうここに用はないです。お疲れ様でした! 

 

 

「やれやれ……なら、ちょっとしたゲームをしようじゃないか──────ヒリング」

 

「はーい」

 

 

 は? 

 

 先輩、こいつらチェス盤なんて取り出し始めましたよ。やっぱ(遅延行為が)好きなんすねぇ? 

 

 

「これに勝ったら教えてあげるよ。ヴェーダの所在でも何でも、ね?」

 

 

 ん? 今、何でもするって言ったよね? 

 

 あー、これも一定確率で起こるミニゲームイベントです。リボンズとチェス勝負をして、勝った方がひとつ情報を開示する、というやつです。

 勝ったら成長点と敵の情報が得られるためウマ味です。通常プレイならやって見るのもいいです。

 

 ですが、相手のAIはクソ強に設定されていますし、一応RTAですし、さっさと負けましょう。負けたらこちらの情報をひとつ開示しないといけなくなりますが……このイベントが起きている時点で既にロスなので、勝つメリットよりデメリットの方が大きいです。終わりっ! 閉廷! 

 

 

「フフッ、少し大人気なかったかな?」

 

 

 ハァー……(クソデカため息)

 接待で勝ってキモティカ? まあ普通にやっても勝てないですが。

 負けは負けなので、ここは甘んじて情報を開示しましょう。さすがにツインドライヴの情報は渡すつもりはありませんので、ホモくんは責任取ってゼロの情報を──────

 

 

「なら、君のことを教えてくれないかい?」

 

 

 き、きしょい……(ドン引き)

 

 こんなホモ野郎のこと知りたいとか、こいつすげぇ変態だぜ? まあ、ほぼデメリットはないでしょうし、いやそもそもホモくんの情報なんてこっちも知っていること少ないですし、別にいいですよ。見たけりゃ見せてやるよ。

 

 じゃあ俺、ギャラ貰って帰るから(半ギレ)

 では、不服そうなティエリアを連れて帰ります。なんかリジェネ・()ジェッタがホモくんを睨んでますが、気のせいでしょう。追っ手は……来ないですね。ヨシ! 

 

 では、刹那とも合流して帰ります。

 特に騒ぎも起きず、ビリーくんと鉢合わせしなかったみたいですね。良かった良かった。

 

 

『見つけたぞ、刹那──────世界の歪みを』

 

『世界の、歪み?』

 

『そうさ、僕達はガンダムで世界の歪みを破壊する!』

 

 

 ティエリアも覚悟を決めたようで何よりです。少々イレギュラーがあって遅延しましたが、まあ巻き返しできる程度です。例えば、この後すぐの戦闘とかです。

 

 

『──────ところがぎっちょん! 行けよ、ファングゥ!』

 

 

 っと、来ましたね。

 さて、体の半分が消し炭になったサーシェスことアルケーガンダム戦です。こちらが三体以上で行動している時は、必ず初手でファングによる奇襲をかけてきます。

 

 初見で全て捌くのは難しいですが、来るとわかっていればある程度は薙ぎ払えます。バスターライフルがぐるぐるしている。

 撃ちもらした分は、ティエリアと一緒に体で受け止めましょう。いててて…………。

 

 

『ティエリア! 北斗!』

 

『始めようじゃねぇか! ガンダム同士による、とんでもねぇ戦争ってやつをよぉ!!』

 

 

 海にドボンしますが、損傷軽微ですのですぐに復帰できます。左に連結させたツインバスターライフル、右にビームサーベルを持って接近戦を仕掛けます。刹那と連携して、ティエリアが復帰するまでチャンバラします。

 

 

『生きていたのか! アリー・アル・サーシェス!』

 

『しぶてぇのはお互い様だ、クルジスのガキ! 

 再生治療のツケを払ってもらうぜ──────てめえらの命でなぁ!!』

 

 

 ファングを展開されたら後衛に回ってバスターライフルで薙ぎ払います。取り回しは良くないですが、狙撃モードではミスが多かったので安定をとって砲撃モードにしています。撃ち漏らしは出てきますが、ある程度の損傷はコラテラルダメージとして割り切りましょう。

 

 

『貴様! ロックオンの仇討ちをさせてもらう!』

 

『──────ちっ、もう戻ってきやがったか。ちと分が悪いな』

 

『待て!』

 

 

 一定数のファングを堕として、ティエリアが復帰したらサーシェスは撤退します。これでライルくんとアレルヤが増援に来る前に戦闘を終わらせられます。これでは戦争屋の名が泣くな! 

 

 深追いしそうになるティエリアを引き摺ってトレミーに帰還します。サーシェスやKPSA、そして刹那の過去について、ライルくんへの説明が入ります。まあ、ライルくんは兄と比べてドライなので喧嘩が起こることはありません。あーつまんね。

 では、仮面も外してスメラギさんに返しに行きましょう。何笑ってんだよオイ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、次はアロウズの包囲網を突破して、海から宇宙へ逃げるミッションです。

 ここは本編どおりの艦隊戦で、強いて違うところとするなら、ホモくんも刹那とともに大気圏離脱中に出撃して、待ち伏せしている奴らを討つくらいですか。

 

 はっきり言ってここはイベントみたいなものなので倍速します。甥の木村、加速します。

 

 いやあ、しかしパーティーの一件は本当に何だったんですかね。はっきり言って、ホモくんがリボンズたちに好かれる要素なんて、何一つないでしょうに。ランダムにしては、初期の好感度が異様に高かったような気がしますねぇ。

 

 好感度が高くても、彼らと対等な友好関係が築けるとは限りません。奴らが人間を見下し続ける限り、どこまで親密になっても関係性がペット以上になることはありません。豚ァ! 

 

 なので、このチャートでは──────なんで等速に戻す必要があるんですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『き、効かねぇじゃねぇーかー……!』

 

 

 でたわね。

 

 ラムネ野郎(コーラ)はもう相変わらずです。説明はいらないでしょう。第二部でも接触は極力避けます。

 

 

「全砲門、開きました!」

 

「ミサイル、一斉発射!」

 

『この──────痛っ、またかよ~!!!』

 

 

 ミサイルにぶつかりましたね! 

 HAHAHAHA! ざまあないぜ!! 

 

 ……じゃあ、倍速に戻ります。等速にしたのは、これが見たかっただけです。

 ヤツには何度も邪魔されましたが、俺の心の傷がどんどん癒やされていきますよ!(パンパン)

 

 そう言えば、かつてピーリス姉貴が乗っていたアヘッドと同型機が居ましたね。色々と短縮させましたが、ルイス姉貴もちゃんと居るようです。うん、良かった。

 

 さて、後は刹那と一緒に出撃します。

 刹那は巡洋艦を、ホモくんは取り巻きを焼き払います。大したことありませんね。

 

 何やかんやで、無事、宇宙に出られました。

 では、イアンが待っているラグランジュ3へ帰宅しましょう。

 

 

 今回はここまで。

 次回もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴェーダが作り出した人工生命体──────イノベイター。

 人類を超越した存在である彼らは、アロウズを裏で操り、人類の統一を加速させる。

 イオリアの計画は、愚かな人類よりも自分たちによって遂行されるべきなのだと考えており、ソレスタルビーイングからして見たら、計画を歪ませた黒幕たちと言えるだろう。

 

 

「どうしてあんなことをしたんだい、リボンズ?」

 

 

 だが、脳量子波で通じあえる彼らとて万能ではない。現に、こうしてリジェネ・レジェッタは首魁であるリボンズ・アルマークの意図を読めていなかった。

 

 

「ちょっとした余興さ。君が勝手にいたずらしたんだから、僕も勝手にしたまでだよ」

 

「……せっかく、ティエリア・アーデを仲間に引き込めるチャンスだったのに」

 

「彼らには対抗して欲しいのさ」

 

 

 滅ぶはずだったソレスタルビーイング。

 彼らが活動を続ければ続けるほど、連邦もといアロウズの有用性は増していく。新しいガンダムも、彼らの“ガ”シリーズの性能には遠く及ばない。

 これほどまでに、世論をまとめ上げることに都合良い敵はいないだろう。

 

 それに、とリボンズは付け加える。

 

 

「収穫もあったよ。マイスターの情報が消去される前から、ヴェーダに情報がなかった彼のデータも手に入った」

 

「僕にはわからないね。君があんな少しだけ人間の枠を逸脱した人間に固執するなんて」

 

 

 0ガンダムのマイスターだった男。

 確かに腕は立つし、あの爆破で生き延びたことは素直に驚いたが……所詮は人間レベルの物差しだ。

 かつての乗機と同じガンダムの後輩マイスターだから? 

 それこそありえないだろう、とリジェネは断じる。口にするだけで一蹴されるのはわかり切っていると思った。

 

 

「これを見ても同じことが言えるかな?」

 

 

 リボンズから端末を受け取ったリジェネ。

 それは、古いボードゲームであるチェス勝負によって得られた、あの男のデータであった。

 基本的なパーソナルデータだけにとどまらず、彼自身が知る生い立ちも含めて記されたもの。

 

 

「──────これ、は」

 

「そう。彼は過去の人間(・・・・・)だ。イオリアと同じようにコールドスリープされていたんだ」

 

 

 記憶喪失であるため、はっきり言って情報量は少ない。しかし、それはリジェネが驚愕するに値する情報だった。

 

 

「計画上、本来なら五つしかないはずのオリジナルの太陽炉……にもかかわらず、六つ目を持っていた彼。確信したよ──────彼はイオリアの関係者(・・・・・・・・)だ。これに興味を惹かれないわけにはいかないよ」

 

 

 エクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ、そして0ガンダム。

 五つあるオリジナルの太陽炉に、さらにもう一つ、彼のコールドスリープに使われていた太陽炉。ヴェーダにも彼自身の情報がなかった、明らかなイレギュラー要素だ。

 

 

「それだけじゃないでしょ、リボンズ?」

 

 

 と、口を挟んだのはヒリングであった。

 白いタキシードではなく、急ごしらえのドレスを身に纏い、リボンズが座る椅子にもたれかかる。

 

 瓜ふたつの外見が互いに微笑み返す。

 それは普段より気の抜けたような……まるで実家でくつろいでいるような表情だった。

 

 

「わかるかい?」

 

「ええ、もちろん──────ねぇ、彼を捕まえたら、飼っていいかしら! ちゃんとお世話するから!」

 

「好きにするといい」

 

「やった♪」

 

 

 ヒリングは嬉しそうにして部屋を後にする。

 コツコツと、リズムよく鳴るヒールの音の大きさが、彼の感情をそのまま表していた。

 

 

「感謝するよ、リジェネ。君のおかげで今日のパーティー、一層楽しめたよ」

 

「……そうかい」

 

 

 リジェネも部屋を後にする。

 ヒリングとは対照的な乱雑な革靴の音がパーティー後の屋敷に響き渡る。

 

 が、今のリボンズにはその音すら心地よい。

 新たに開けたワインに舌鼓を打ちながら、片付けされていないチェス盤に視線を向ける。

 本来、彼にあるはずのない懐古すら抱いてしまうそれを名残惜しそうに、元の配置へ戻していく。

 

 取るに足らない人間のひとりだと思っていた。

 数年前──────結果的にはたどり着かなかったものの、トリニティが出現してからほぼ最短で離反者がいた監視者へと目星をつけて捜索を始めた。

 自分と同じく、0ガンダムのマイスターでもあったためか、それなりに興味を抱いたものだ。

 

 実際に対面して、彼と言葉を交した。

 珍妙な仮面を取らず、無礼極まりないぶっきらぼうな話し方をされても、不快感どころかある種の安らぎ(・・・・・・・)すら感じられた。

 

 さらに、イオリア・シュヘンベルグとの関係──────正直、リボンズの心中は複雑の一言に尽きた。その理由も、彼自身も知らない彼のルーツを追えばわかることなのだろうか。

 

 ……それに、もうひとつ新たに疑問が浮かんだ。

 

 

「──────彼のコールドスリープ装置を動かしていたのは太陽炉なら、イオリアの装置はどうやって……」

 

 

 イオリアが殺害される瞬間は、リボンズも実際に目撃した。

 ……遺体も装置も、癇癪を起こしたアレハンドロが宇宙へ放り出してしまったため、もはや今では確かめようがないが。

 しかし、ヴェーダの移送でも、ターミナルユニット全てを洗い出して、必要なものとそうでないものを選別して整理したはずだ。

 

 ……見落としなど、あるはずがない。

 そんな思いとともに、彼はグラスに入ったワインを、一口飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────ラグランジュ3。

 

 資源衛生群の中に隠れるように、ソレスタルビーイングの基地は存在している。

 以前、一人のガンダムマイスターによって色々と騒ぎになったが、もはや前の話。今では日常に戻り、活動中のプトレマイオスチームのために日夜研究や開発に励んでいる。

 

 

「ほぉ、こいつか!」

 

「型式番号GNR-010、機体名──────オーライザーよ!」

 

「よくやってくれた、リンダ! こいつがあればダブルオーは無敵だ!」

 

 

 イアンとリンダ──────ヴァスティ夫妻は、ダブルオーのツインドライヴを安定起動させるためのサポート機の調整をしていた。

 

 地球での戦闘で、刹那が勝手にトランザムを起動した瞬間を目の当たりにして、イアンは思った。

 

 ひとつは、何でこうも味方に無茶ばかりやるやつがいるのか、と言うこと。順当である。

 もうひとつ、ダブルオーにはトランザムが必要どころか、むしろツインドライヴの真価はトランザムとの併用にあるのではないか、と言うことだ。

 

 結果的にオーバーロードしてしまったが、観測していた粒子放出量は常に上昇し続けていた。実際に、トランザムを起動したダブルオーは敵のエース機を圧倒する性能を見せている。

 これからさらに苛烈になるだろう戦闘に、依然としてダブルオーは鍵であることを確信していた。

 

 

「あとは最終調整だけか。よし、ならゼロの追加装備を作るか」

 

「あら? ゼロも必要なの?」

 

「あのアンポンタンが急に言ってきやがった」

 

 

 イアンは苦虫を噛み潰した顔で、受け取ったデータを開く。

 製作はそこまで難しいものでもない上に、イアン自身の美学にも沿った内容であったため引き受けた。実際、ゼロに足りていない防御面の装備も必要だとも考えていたが、人使いの荒さは死んでも治らないと辟易したものだ。

 

 

「……だが、正直ワシもゼロには必要だと思っていた。ダブルオーは機体の方が悲鳴をあげちまったが、ゼロはその()──────機体性能に粒子量が追いついていない」

 

 

 戦闘記録を見直してみる。

 ゼロは問題なく稼働しているが、出力は設計当初の理論値よりも低すぎるのだ。

 

 開発した当時のイアンとしては充分だと思っていた。バスターライフルも、ビームサーベルも、かえって出力が強すぎても、今度は機体に振り回されるだけだ。

 けれど、現に戦闘しているゼロを見ていると、どうしても物足りないと感じてしまっていた。

 

 では、その問題を解決するためには何が必要かと考えれば、動力源の確保とそれを制御させるための機能が必要であることがわかる。

 

 

「ゼロもツインドライヴに出来ればいいのでしょうけど……ないものねだりはできないわね」

 

 

 オリジナルの太陽炉に余りなぞあるわけない。

 しかも、現在ゼロに使われている北斗のコールドスリープに使われていた太陽炉は、どのガンダムの太陽炉とも絶望的に同調しないのだ。

 であれば、わざわざツインドライヴに拘らなくても、各々のガンダムに一機ずつ搭載する方が戦力を確保できる。

 

 

「あとは例のシステムだが──────あれは絶対駄目だ。あんな技術、とても人間が耐えられるものじゃない」

 

 

 イアンはゼロの設計図を広げる。

 搭載させることを選択肢に挙げることすら憚られるシステムがゼロにはあった。業腹にも、構造の関係で機器は取り付けざるをえなかったが、システム自体は構築せずに封印していた。

 

 ……なぜイオリアはこんな欠陥しかないシステムを作ったのか。その意図はイアンでも理解できないし、したくもなかった。

 

 以上のとおり、ゼロの問題を解決させることは現実的ではない。であれば、少しでも追加装備で戦力を補強していくしかないのだ。

 

 

「……とにかく、今できることやるだけか。リンダ、シェリリンにも声をかけてくれ」

 

「ええ──────と言いたいところだけど、ちょっと別件で地球から戻ってきている最中なの」

 

「なんだって地球に……って、モレノの弟子の件か?」

 

 

 突然、元第二世代マイスターでフェレシュテの管理者であったシャル・アクスティカに賞金をかけてきたモレノの弟子。たまたまイアンがその情報を見つけて、彼女たちに伝えてからしばらく経ったが、どうやら直接会いに行くことにしたようだ。

 

 

「モレノ先生も地球に向かったわ」

 

「……ワシたちだけでやるか。ったく、せっかく戻ってきたのに休む暇もない」

 

「なら、アニューも呼んでくるわね」

 

 

 幸いにも、資材はマリーから押収したアヘッドの部品があるため、あとは設計して組み立てるだけだ。

 

 トレミーがこちらに向かっているのもあるだろうが──────急ピッチでかつ欠陥のないように図面を作り上げていく。

 

 ……イアンとしては、嫌な予感がしてならなかったために。

 

 




 リジェネ・レジェッタの名前が混同して頭の中がぐるぐるしている。

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