イノベイター壊滅RTA ガンダムマイスターチャート【参考記録】   作:練り物

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 完走者が出たので初投稿です。
 記念?に増量キャンペーン実施中です。


(散りゆく光の中で)〜(4 MONTH FOR 2312)

 空から破片が降ってきているのに何ヘラヘラ笑っているんだよ! なRTA、頑張ってじゃねぇよ! おめえも頑張るんだよ!!! 

 

 前回は紅蓮を纏った反り立つモノ♂が突撃してきたので苦悶の表情を浮かべながら相手していた刹那を回収したところまででした。ホモくんもシステムによって反応速度を3,000倍に変えられてしまった後遺症の検査のため、ただ今二人並んでベッドに寝かされています。アンタたちほんと仲良いわね〜(母並感)

 

 一方、宇宙には壊したはずのメメントモリが残っており、一般人が避難中のアフリカタワーに照準を合わせようとしています。いよいよブレイク・ピラー事件が始まります。

 

 発射前に衛星兵器を破壊させたいところさんですが、今のトレミーの破損状況では大気圏外に行くことはできません。さすがにガンダムでも単独で大気圏を離脱させる能力はありません。

 そのため、大気圏内からでもライザーソードで攻撃できるダブルオーライザーを向かわせるしかないわけですね。分が悪すぎる賭けですが、やらないで後悔するよりもやって後悔しましょうゾ。

 

 一応、工夫次第では大気圏内からでもメメントモリを破壊する方法はありますあります。

 例えば、第一部で使うはずだったデュナメスの高高度狙撃砲台を改造して火力を上げ、照準の調整はゼロシステムと併用すればワンチャンあります。ホモくん自身の能力を合わせれば狙う価値ありますねぇ! 

 自由に操れないシステムを一瞬だけ使って、暴走するかしないか瀬戸際での狙撃ミッションとかクッソ燃えるんだよなぁ……。

 

 ま、今回は何の用意もしていないから普通に破片処理しに行きますけどね〜。しょうがないじゃんオリチャーなんだし。

 更新余地を残す走者の鑑として、追走者のためにチャートにちゃーんと書いておきましょう。

 

 では刹那と沙慈くんを乗せたダブルオーライザーと別れてタワーの方向へ出撃……の前に、ステータスを上げましょう。もろちん、今後のことを考えて精神力に全ツッパだよ! もう他のステータスは上げる必要ないからね。

 

 

 

 さぁそれでは! ここで精神を上げたいと思うんですよ! 

 コイツのできる技は、射撃はもちろん、接近戦、それから……隕石を押し返したりも、希望の花を咲かせたりも、調教次第ではできるかもしれませんよ? (誇大広告)

 

 

 まず、30から! さぁお客さんどうぞ! 

 

 

40!

 

 40! 

 

 

50!

 

 50! もう一声! 

 

 

60!

 

 60! もう一声いないか! 

 

 

70!

 

 70……もう少し欲しいなぁ〜(強欲)

 コイツは、こう見えても、身体は、しっかりして……バッチリの天才型ですよ。さぁもう一声どうだ! 

 

 

75!

 

 もう一声!(さらなる高みへ)

 

 

90!

 

 90! もう一声! 歯切れのいい所で!(限界を超えろ)

 

 

100!

 

 ───はい! 100! お客さんに決まりだ! 

 

 あぁうっ……(ポインヨ不足)

 

 

 はい、終わりました。

 まだゼロシステムを使うには心もとないですね。これからも頑張っていこうな。

 

 では、出撃です。刹那、作戦の成功を祈っている(大嘘)

 既プレイ兄貴たちはご存知かと思いますが、ブレイク・ピラー事件の破片処理は経験値の稼ぎどころさんです。一個一個は大したことありませんが、数だけは多いですし、大型破片なんてアヘッド五機分の経験値があります。美味すぎてウマになったわね……(猪)

 こういう時の格闘機は辛いところですが、ゼロなら全く問題がないです。練習で鍛えたロリバスの見せ所──────ッピ! ッピ! ッピ!──────ヒエッ! またゼロシステムですか!? 

 

 うん、違いますね。

 なんか敵影が近づいてますけど、また変態ブシ仮面かな? 

 

 

『ここは通さん!』

 

 

 この蟹のようなシルエットは……エンプラスさん、出る場所間違ってますよ? 

 貴方、空から刹那の邪魔してライザーで真っ二つになる仕事があるじゃないですか。現場間違えないでくださいよーそそっかしいんですからー。

 

 

『あの時の雪辱、晴らさせてもらおう!』

 

 

 あ、これヘイト稼ぎすぎちゃったやつですね。

 宇宙でボコられたのが相当頭にきているみたいで、刹那よりこっちにタゲが向かってしまいました。

 

 さっさとアフリカタワーに行きたいんですが、あまり近くでドンパチやり始めると、破片処理の間でも他のアロウズ部隊とも戦闘になってしまいますので気をつけてください。

 まあ、この際仕方ありません。

 むしろ、破片処理の間に戦闘になるよりはマシだと考えましょう。この距離なら小熊とかルイス姉貴たちのような援軍も来ないでしょうし、ここで本編どおりに進めるためにもここでケリをつけましょう。ちゃんとバスターライフルを二本咥え入れろ〜? 

 

 

『こんなもの!』

 

 

 あっ、何勝手にGNフィールドを展開しているんだ。許さんぞ。

 

 うーん、GNフィールドを突破するには実体剣と相場は決まっていますが、ゼロにはそんな武装ありません。他の攻略法としては相手の出力を上回るほどの高出力のbiim兵器をぶち込むことですが、今のゼロではトランザム込みでもモビルアーマーの出力を超えることはできません。

 つまりこれはクソ遅延行動です。そっか、あったまきた。

 

 まあ、攻撃する際に一瞬だけGNフィールドは解除されます。その隙を狙いましょう。しょうがねぇな……。

 

 

『ブリングの、仇ィ!』

 

 

 GNフィールド展開中での体当たり。ハズレ行動です。避けましょう。

 

 

『貴様を超えて、私は本当の意味でイノベイターになるのだ!』

 

 

 また体当たりですか。避けましょう。

 というかなんなんすかそれ。ホモくんを倒したからって純粋種になれるわけないでしょ。変な因縁つけないでくださいよ。

 

 

『逃げるな、ガンダム!』

 

 

 体当たり! 体当たり! 体当たり! 

 なんでさっきからずっとフィールド展開しているんですかねぇ! 頭にきますよ! 

 よっぽとホモくんを警戒しているのか、フィールド解除しようとしませんね。他にも武装あるのに一切使おうとしません。安定を取りすぎるとか走者として恥ずかしくないのかよ?(ブーメラン)

 

 このままでは埒があかないです。

 こうなったら挑発して行動を誘導しましょう。こういう駆け引きというか、舌戦は苦手なんですけどね。

 

 あー、ゴホンゴホン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うおっ急にすげぇ安全行動……チキンかな? 

 

 とんでもねぇ小心者だな。人類の未来を憂うわ。

 

 偽物のイノベイターのくせに強がりやがって。

 今宵の月のように。

 

 

『なっ……貴様! それは……!』

 

 

 何? 疑っているの? 

 演算装置の畜生風情が疑うことは許されないんだよ? 

 

 すげー虚勢……コレ俺が処分するために開発されたでしょ。

 

 こんな無様な戦い方でイノベイターを名乗るなんて各方面に失礼だよね。

 

 

『──────貴様ァァァァ!!!』

 

 

 わーすごいすごい。クッソ狙い通りに顔真っ赤してるね。

 殺したいなら殺したいなりの戦い方しろ! 

 

 エグナーウィップがパイロットを殺させてこようと死ぬほど絡みついてくるんだけど。シャレになってないよ。

 これはバイオレンスな蜘蛛の巣に絡めとられてしまいましたなぁ。

 デヴァインくんもGNキャノン出していいよ。俺だけじゃ不公平だ。

 

 

『死ね! 死ね! 死ねええええええ!』

 

 

 だめだこりゃ。完全に頭に血がのぼっているな。頼むから死んでくれ。

 そんなに簡単に思惑通りになっているようじゃ、真のイノベイターになれないぞ! 

 

 変形! 変形解除! 変形!

 ブッピガァン♡ブッピガァン♡離脱っ♡

 

 

『なっ──────』

 

 

 オラっ……! 

 トランザムゼロ距離バスターライフル施術いかがですかっと! テメェも逝けよ! 記念だぞ! 

 

 

『──────ああ、ようやく震えが、止ま』

 

 

 

 待ちかねたように撃墜されやがって……好きだよ♡

 最近、ここらに怪しい仮面野郎が出てくるみたいだから気をつけないと……

 

 

 ぬわああああああん魂を奪われたもおおおおおん。

 こちらの語彙力を最大限使ってようやく退けることができました。NKT(長く苦しい戦いだった)……。

 まあ、RTAを名乗るならあらかじめ実体剣を用意する立ち回りこそ求められて然るべきです。これは苦肉の策なので、悪い例として見てください。

 

 経験値はウマウマですが、だいぶ時間がかかってしまいましたね。ホモくんの体力もだいぶ削られてしまっていますが、休む暇はありません。

 こんなことしている場合じゃねぇ! はやく(元の作戦に)戻らなきゃ! 

 

 既に、軌道エレベーターがアロウズによってブッ壊されました。

 外壁の破片が雨あられのように落下していきます。大気圏外の破片は地上に落ちる前に燃え尽きますが、大気圏内の破片はそのまま都市部に落っこちてしまいます。だから、メメントモリを撃たせてはいけなかったんですね。

 

 さて、ようやくタワー下に着きました。

 ここからは阿鼻叫喚のボーナスタイムです。

 

 単騎でロリバスをキメまくって処理しようと考えていましたが、先ほどのトランザムも使わせられましたし、出力がよわよわになっているゼロではアプローチを変えざるを得ませんね。ここは誰かと協力して処理します。

 

 幸い、この非常事態下ではカタロンもクーデター派も正規軍も、それにカティさん率いるアロウズ部隊まで一丸となって対処に当たってくれます。ラッセ兄貴も言ってますけど、こんな時に人の意志が統一化されるなんて皮肉っすね先輩。

 

 若干ゃ取得経験値が減りますが、背に腹は替えられません。じゃあホモくん、二人組み作って〜! 

 

 

『む……君は……なるほど、まさかあの時言ったことが本当になるとはな』

 

 

 おっ、ティエレン全領域対応型! 

 つまり大佐じゃないっすか! ご無沙汰ですね! 

 

 ホモくんはコミュ障だから、知っている人じゃないと安心できないからね。しょうがないね。

 大佐ァなら協力者として申し分ないです。後々マリー姉貴も咥わるので、効率よく処理できます。アレルヤも来てくれよな〜頼むよ〜。

 

 

『大型の破片が来たぞ!』

 

 

 モブ兵くん! 大丈夫! 僕達に任せて! 

 

 まずティエリアがトランザムを使って大型破片を真っ二つに割ってくれます。

 それをバスターライフルで破壊すれば、さらに細かい破片になります。

 

 こういう時のツインバスターライフルは大変心強いですね。トランザム後で出力は落ちているにせよ、素の威力が強いので照射し続ければ難なく破壊できます。

 

 経験値もうまい……んですけど、途中参加のせいで処理スコア的にはハイスコアには届かないですね。

 エンプラス撃墜分と合わせても、トータルの経験値としてはトントンかちょい下になりそうです。単騎稼ぎができないのが痛いですねこれは痛い……。

 

 はい、特にアクシデントもなかったので倍速しました。これでブレイク・ピラー事件は終わりっ! 閉廷っ! 

 

 

 

『こんな……こんなはずでは……』

 

『ハーキュリー……』

 

 

 夕焼けを背景に首謀者のハーキュリーおじさんが茫然自失していますね。周囲の空気もお通夜状態です。悲しいなぁ……(無情)

 

 罪のない民が沢山死んじゃうし。

 空気も読まない自称イノベイターに絡まれちゃうし。

 私いじけちゃうし。

 

 散々な世界ですか、非常時では一つになれるということも証明されました。花を植えても人はまた吹き飛ばす。でも、それでも花を植え続けるのが戦いだって誰かも言っていたじゃ──────

 

 

『この惨状は! 貴様達が引き起こしたものだ!』

 

 

 お前(たち)じゃい! 

 

 そんな小熊にハーキュリーおじが墜とされてしまいました。一応、将校時代に気にかけてもらっていたのに容赦ないっすね。

 

 

『父さん……まさか、反乱分子に……何を、何をやっているんだ! アンタは!』

 

『やっ、やめろ! アンドレイ!』

 

 

 小熊がシンくんみたいになっていますが、むしろ大佐ァは平和的に止めようとした側なんですよね。そんなことを知らないシン・コグマは状況判断で大佐ァが反乱分子に加担していると勘違いしています。なぜこうもすれ違うのか。私には理解に苦しむね(俯瞰視点故の感想)

 

 え、ホモくん? 帰りますよ? 

 親子喧嘩を仲裁する暇はありません。残業せずに颯爽と定時退社をキメます。お疲れさま──────おっぶぇ! 

 

 

『この! ソレスタルビーイング!』

 

 

 今撃ってきたアヘッドはルイス姉貴ですね。

 説明するのが遅くなりましたが、ルイス姉貴はソレスタルビーイング憎しでアロウズにいるので、サーチ&デストロイしてきます。

 腕も全然脅威ではなかったですし、むしろ墜としちゃったりしたらクロスロード姉弟の脳が破壊されてしまいます。だから可能なかぎり墜とさないように注意していました。

 ……ただ、こっちはこんなに気を遣っているのに、向こうは殺意MAXで来るの、どうなんすかね。

 

 ええ、攻撃せずに振り切るのも面倒だったのか、応戦していますね。撃墜させるつもりはありません。ちょっとアヘッドの腕を切り取って無力化させるつもりでした。はじめはね。

 

 

『いっ、いやっ、あ、ああぁあああっ──────!』

 

 

 ただ、こう、何と言うんですか。

 色々と鬱憤が溜まっていたのか、必要以上にいたぶっています。両腕切ったり、胴体蹴り飛ばしたり、相手のメインカメラにドアップでゼロの顔面写したり、タイムに影響ないからと言って一体何やっているんですかね。

 これじゃあ、ルイス姉貴のトラウマが更に加速しますし、クロスロード姉弟の心象も悪くなります。いくらルイス姉貴の悲鳴が心地いいからと言って、リョナ好き虐待おじさんは八つ当たりはしすぎないようにしましょう。

 

 

『なっ、准尉!』

 

『うっ、私のことはいいです! 少尉は、反乱分子を! ぐぁあっ!』

 

 

 そんなガバ行動のせいで、小熊のヘイトがこちらに向きました。同じく大佐ァのティエレンがダルマにされています。

 作戦だからといって、軍人だった母を見捨てた父とは違う、ということですがそうですか。そう……(無関心)

 この構図、かつてのスミルノフ大佐とピーリスみたいだぁ……まあ、完全にホモくんが悪者になってしまっていますけど。

 

 

『ルイス────!!』

 

 

 おや、沙慈くんの声で冷静になったのか、ようやく撤退を選びましたね。後ろにいるダブルオーライザーからの視線が怖い怖い。

 ……ん? マリー姉貴のGNアーチャーがダルマティエレンをお持ち帰りしてますね? 廃材稼ぎかな? 懐かしいなぁ。第一部の記憶が蘇りますね。

 

 さて、何度か波乱がありましたが、これでブレイク・ピラー事件が終わりました。

 今後、トレミーとガンダムを修復した後に宇宙に上がって衛星兵器の破壊ミッションに取り掛かりますが……それまでに約三、四ヶ月くらいかかります。長すぎィ! 

 

 技術系の特殊能力があれば短縮できます(ジャンク屋への未練)

 第一部ラストのように昏睡状態になることも考えましたが、本当にキャラロストの危険のある博打になりますため、現実的に無理です。

 

 では、どうするのか。

 前々からやっているとおり、タイム短縮できないモラトリアム期間は有効活用することを考えます。幸い、やることはありますあります。

 

 封印措置をされていますが、ゼロシステムがありますよね? 制御するために必要な精神力は足りませんが、これを使って訓練を行います。

 

 暴走の心配はありますが、そこは配線を弄ったりしてコクピットからの操作を受け付けないように工夫すれば安心! いくらゼロシステムでも、機体の損傷など物理的な問題には対処できませんからね。これを逆手に取ればいいんです。

 

 こうして何度も使用することにより、精神力を鍛えたり、精神耐性系の特殊能力が手に入ったり、運次第ではできるかもしれませんよ! 

 

 ええ、はい、つまりですね。

 ──────これより数ヶ月間、ホモくんはゼロのコクピットの中で、ゼロシステムを使いながら生活してもらいます。なにやってんだミカァ! 

 

 なーに、最初はゲロ吐きまくったり白目剥きながら気絶したり入退院を繰り返したりしますが、直に慣れるでしょう。それまでホモくんは拷も……ゲフンゲフン、訓練に耐えてもらいます。脳や精神力が破壊されないように注意すればへーきへーき。使いこなせるレベルになれば、早めに切り上げても問題ないですから。ちょっとした筋トレみたいなもんですよ。はい、サイドチェストォ! 

 

 仲間の説得方法? そんなの適当にでっちあげればいいんですよ。何? 仲間を疑っているの? 仲間を疑うことは許されないんだ──────というところで今回はここまで。次回もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 もはや慣れ親しんでしまったソナーの音が響く。

 宙に座する衛星兵器の脅威から逃れるために、トレミーは海底を潜伏していた。

 度重なる戦闘で、ガンダムもトレミーも深く傷ついていた。失敗が許されないからこそ、今は傷を癒やすことが重要なのだ。

 

 

「まさか、かのロシアの荒熊がこの艦に来ることになるなんて、思いもしませんでした」

 

「こちらもだ。いつかマネキン大佐が語っていた戦術予報士が、ソレスタルビーイングにいるとは思わなかった」

 

 

 ブリッジでは、かつて敵同士であった二人が向かい合っていた。

 その名は捨てました、と応えたスメラギは、歴戦の戦士相手にも臆することなく真っ直ぐに向き合う。

 

 

「スミルノフ大佐。一応、貴方の立ち位置は我々の捕虜として扱われます。

 ですが、拘束は最低限にするつもりです。お互い、世の中からは難しい立場になるでしょうから」

 

「……温情、感謝する」

 

 

 ブレイク・ピラー事件は収束し、いよいよ復興を開始しようとしている。だが、あの一連の事件は市民に大きな瑕疵となって記憶に残っている。

 クーデター派だけでなく、彼らと競合していたカタロン、ソレスタルビーイング、そしてクーデターの首謀者のひとりとされてしまった(・・・・・・・)セルゲイ・スミルノフのせいで。

 アロウズが衛星兵器を使って何万もの市民を犠牲にしたことは露見されず、アロウズの都合のいいように情報が操作され、それが市民の見解となってしまっていた。全ては、イノベイターたちの掌の上にあるとも知らずに。

 

 セルゲイの上司であるキム中将は、セルゲイの無実を上層部にかけあっているだろうが……おそらく無駄に終わるだろうとスメラギとセルゲイは考えていた。それほどまでに、アロウズは連邦軍内でも影響力を強めている。

 今となっては、ソレスタルビーイングもセルゲイも追われる身だ。残酷なことに、誰よりも軍人として市民のために戦ってきた戦士の居場所は、もはや今の連邦軍には存在しないのだ。

 

 

「お礼ならマリーさん──────いえ、ピーリスさんに言ってください。彼女の精神の安定のためにも、これが最善だと判断した要因の一つですから」

 

「中尉……いや、ピーリスは今、どうなっている?」

 

 

 セルゲイにとって、もっとも気がかりなことであった。撃墜されそうになったセルゲイを助け、この艦に連れてきたのは、他ならぬマリー・パーファシー……否、ソーマ・ピーリスであった。

 

 

「……こちらの医療スタッフによると、今は落ち着いています。ですが、発作的にマリーさんの人格と、ソーマ・ピーリスの人格が入れ替わるようになって──────」

 

「そう、か」

 

 

 セルゲイそう言いながらも己の拳を握りしめる。

 せっかく目覚めたマリーの人格を、娘同然のピーリスが苦しめているという構図には何とも耐え難いものがあった。

 ソーマ・ピーリスにとっても、マリー・パーファシーにとっても、自分が渇望していたものを手にかけようとしていたアンドレイの行動は、悪い意味で心を揺さぶるものであった。

 

 今、アレルヤは付きっきりで彼女の側にいる。

 ピーリスの人格が出て拒絶されても、常に彼女の側から離れずに名前を呼びかけている。

 

 彼ばかりに対応を任せていることに申し訳ないと思う。しかし、実の息子からも粛清されそうになったことも含め、今のセルゲイにとっては己の心を整理することで精一杯であった。

 

 

「お互い、色々と思うところはあるでしょうが……」

 

「承知している。彼女のことであれば、協力を惜しむつもりはない」

 

「ありがとうございます」

 

 

 軍人として、かつての同胞を奪われた身として、今の状況には極めて複雑な想いがある。

 しかし、一人の人間──────セルゲイ・スミルノフとして、かつて娘として迎えようとしていた少女を放っておくことは断じてできないのだ。

 

 

「それと、ひとつ聞きたい。

 ……彼は、いつもあんな無茶を?」

 

「……ええ、恥ずかしながら」

 

 

 彼、とは北斗のことだろう。

 スメラギからしたら、なぜセルゲイが彼を気にかけるのかはわからないが、傍から見ても彼の無茶は見ていられないのだろうと思うことにした。

 

 今、北斗は一日のほとんどをゼロのコクピットで生活している。問題のゼロシステムを使い、限界が来たら強制的にコクピットから弾き出され、また搭乗する……そんな訓練を繰り返している。

 

 確かに、ゼロシステムは強力だ。

 それは最近、己の身をもって体感したばかりだ。使いこなせば、ダブルオーライザーと同じく自分たちの切り札になり得ると言ってもいい。だが、それでもここまでやる必要があるのか、とは、他の仲間も思っているに違いない。

 

 それでも、北斗がゼロシステムに固執する理由はあった。

 

 ひとつは、イオリアがこのシステムを残したことには、必ず何か意味があると考えていること。

 確かに、トランザムとツインドライヴという託されたシステムは、いずれもソレスタルビーイングにとって不利な状況を打破する起死回生の力となっている。であれば、ゼロシステムにも役割があると考えることもできる。

 

 そして、もうひとつの理由。

 これが、皆の反対を押し切る決定打となった要因だった。彼が目醒めてから、長年渇望していたものを取り戻す機会に恵まれたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────俺の失った記憶が、元に戻り始めている。ゼロが、元に戻そうとしている(・・・・・・・・・・)気がするんだ。だから、頼む。

 

 

 

 

 

 

 

「あんなこと言われたら、断れないもの……」

 

 

 独白するスメラギを見たセルゲイは、かつての敵も血の通った人間なのだと再確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、トレミーの医務室では話題にされていると知らない彼がいた。

 頭を抱えながら起き上がれば、アニュー・リターナーから暗い笑顔で説教を受け、終われば絹江に根掘り葉掘り質問され、ゼロのコクピットに戻り、また医務室に駆け込まれる。ここ数日はその繰り返しだ。

 

 もう彼が無茶を押し通すことは慣れてしまったが、それでも安心できない人間は多くいる。

 

 

「…………」

 

「どうした、フェルト」

 

「ひゃっ!? せ、刹那!?」

 

 

 医務室前でコソコソとしていたフェルトも、その一人であった。突然、背後から刹那に声をかけられ、背筋が伸びてしまった彼女は恐る恐る振り返る。

 見れば、いつも表情の変化に乏しい刹那にしては珍しく同情の感情が出ている。彼も、こんな無茶を続けている仲間に、何か思うところがあるのだろう。

 

 

「気になるのなら、側にいてやるといい」

 

「…………でも」

 

 

 気を遣ったつもりなのか、それとも単純に気になったのか、そんな刹那の意見に、フェルトは言いよどむ。

 彼女とて、北斗の意志を尊重したい気持ちがある。けれど、それと同時に別の不安があった。

 

 

「記憶が戻ったら、私たちとの記憶はどうなるんだろう?」

 

 

 それは、とてもか細く、しかしながら本心と疑いようがないほどの言葉であった。

 

 

「……Dr.モレノは、わからないと言っていたな」

 

 

 義理とはいえ親である彼は、数々の患者を診てきた名医だ。記憶喪失、およびその復帰の前例は数多く知っている。

 故に、その彼でもわからないと答えるほどに、見通しが不透明なのだ。

 

 ……ただ、フェルトにとっては北斗の“今の記憶”こそが重要であった。

 勿論、記憶が戻ればいいとは思う。

 けれど、それよりも自分たちが忘れられたくない、そんな独善的なわがままが勝っていた。もし、彼の記憶から、皆やクリス、リヒティ、そして、ロックオンや自分が居なくなるなんてことを考えるだけで、今にも泣き出しそうになるほどに。

 

 

「こんな私じゃ、側にいる資格なんて」

 

 

 彼自身の求めるものを素直に応援することができない自分なんて──────

 言葉にはしていないが、なぜか今の刹那には(・・・・・・・・・)、そんなフェルトの気持ちが伝わってきた。

 

 

「いくぞ」

 

「えっ……ええっ!?」

 

 

 急に手を掴まれたフェルトは、そのまま刹那に連れられて医務室に立ち入った。

 その様子を見た北斗の表情は変わらない。まるで、事前に入ってくることがわかっていたかのようにすんなりと受け入れる。

 

 

「顔色が悪いな」

 

「お互い様だ。肩の傷はどうだ?」

 

「違和感はあるが、支障はない」

 

 

 淡々とした会話だが、不思議と居心地の悪さは感じない。二人とも冗談は言わない気質だからこそ、この程度の会話でも信頼関係は損なわれることはない。

 

 

「──────おっと、お邪魔虫かな? じゃあ、また後でね」

 

 

 フェルトの様子を察したのか、先ほどまで話していた絹江はそそくさと立ち去っていく。

 二人で何を話していたんだろう、と気にかかるが、それよりも聞きたいことがあるフェルトは彼に向き合った。

 

 

「あ、あのっ……頭は大丈夫?」

 

「俺は正気だ」

 

「えっ、ちがっ、そういうことじゃなくてっ!」

 

「お前の記憶が戻ると、今までの記憶までなくなるのではないかとフェルトが心配していた」

 

「もう、刹那っ!」

 

 

 困った顔をしたフェルトは刹那を恨めしそうに見上げた。

 再三になるが、この二人は冗談を口にする気質ではない。大真面目でコレなのだ。

 似ているというか、かつてのロックオンが見たら「何お前ら漫才しているんだ?」なんて揶揄われそうな光景だ。

 

 

「問題ない」

 

 

 図らずとも、フェルトの本心を聞いた北斗は、何も心配いらないと返す。いつものように己の信じた道を突き進む彼には、当然だと言わんばかりに返答する。

 

 

「過去の俺を知る者は誰もいない。だからこそ、これは俺自身で見つけなくてはならない」

 

 

 それに、と言葉を続ける。

 

 

「これまでの俺は、お前たちが知っている。それで充分だ(・・・・・・)。忘れても、また聞かせてくれればいい」

 

 

 独りでやらなければならないことはやる。

 だが、今の自分はひとりではない。

 たとえ記憶を取り戻し、また今の記憶を失っても、今までの自分がいたことを証明してくれる仲間がいる。だからこそ、彼は迷い無く記憶を取り戻そうとしているのだ。

 

 

「頼めるか?」

 

「……うん、任せて」

 

 

 涙が出てしまいそうになるほど嬉しかった。

 スメラギやイアンだけでなく、他の仲間たちも頼ろうとしてくれるようになったことが何よりもフェルトにとっては喜びを感じる変化であった。

 

 ほんの少しだけ、頬を緩ませたように見えた北斗だが──────瞬きをする間もなく元に戻り、今度は刹那の方に視線を向けた。

 

 

「それより刹那。何かやろうとしているな」

 

「……なぜ知っている?」

 

「ゼロが教えてくれた。手伝いはいるか?」

 

 

 何か、とはスメラギの親戚のことだろう。

 彼女に家族はいないが、遠縁の親戚はひとりだけいる。今回のアフリカタワーでの事件で、スメラギだけ肉声を晒してしまった。

 それをもとにアロウズたちが人質に取らないかと懸念していた刹那とティエリアは、秘密裏に保護しようと考えていたのだ。

 

 

「必要な──────いや、そうだな……」

 

 

 少し、思い悩む刹那。

 ずっと精神を病むような訓練を続けている北斗にとってはわずかばかりの気分転換になるのではないか、とも考えた。だが、マイスターを三人も不在にさせると、いざ攻撃を受けた際の守りが手薄になる。さすがにそれは看過できないという考えと相反する。

 

 

『そうか、では、僕の代わりに物資の調達に行ってもらおう』

 

「ティエリア?」

 

 

 その迷いを断ち切ったのは、小型艇を準備していたはずのティエリアであった。

 いつから聞いていたの、と目を見開くフェルトに対し、意味深な笑みを浮かべるティエリアは、彼女にこんな提案をした。

 

 

『フェルト、君も同行するといい』

 

「えっ、でも」

 

 

 オペレーターが居なくなるのはさすがにどうなのだろうか。ミレイナも整備との二足のわらじで大変だろうに、自分だけこんな羽を伸ばすのは気が引けた。

 

 

『君たち二人が護衛でいれば心配ない。ミレイナには上手く話を通しておく』

 

 

 刹那と北斗に視線を向けるティエリア。

 その意図を察したのか、二人とも任せろと首を縦に振る。

 

 ……そういえば、クリスがいなくなってから、こうして外に買い物などすることは減ったな、と考えながら、せっかくの厚意に甘えることにした。

 

 

「ありがとう、ティエリア」

 

『礼には及ばないさ……できればミレイナが好きそうなケーキを何個か買ってきてあげてくれ。正直、僕にはあまり自信がないのでな』

 

「うん、ティエリアからのプレゼントって言っておく」

 

 

 ただ、次は自分で選んであげてね、と返す。

 一瞬、面食らったティエリアだが、肝に銘じよう、とそんな言葉が返ってくる。

 不思議だ。数年前、活動を始めたばかりでは、皆とこんな関係になるなんて思いもよらなかった。

 刹那も、北斗も、ティエリアも、フェルト自身もあの時から変わったのだと再確認した。

 

 不謹慎かもしれないが、こうして束の間でも楽しめるようになってきたと思う。

 今は無き仲間たちにも、笑顔でそう返せるのではと考えながら、フェルトは自室に戻って支度を始めた。

 

 ……その後、小型艇の通信に割り込んだロックオンから、カタロンの保護先を教えてくれるとともに「デート楽しんできな、お嬢さん」と揶揄われるのは、また別の話だ。




 2期になってからこういう日常描写というか、つかの間の休息のシーンが少なくなったことにほんの少しだけ寂しさを感じる男!
 まあ、ピンクの娘に中東系クールイケメンと(容姿はご想像にお任せする)ホモ野郎を侍らしたかっただけです。ガッ…………ガイアッッッ案件ではない。いいね?
 デートシーン?無いよ♡
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