「さて…と」
夜斗は目の前にいる三人の美少女を眺めていた
アイリス、琉那、サキュバスこと咲良の三人だ
少なからず平均以上に優れた見た目を持つ三人と夜斗が何故一緒にいるかというと、「図書館」でゴースト・ブレーンと呼ばれるようになったあの一件以来琉那と咲良がよく呼び出すようになったからだ
「とてつもなく面倒…帰りたい」
夜斗はまだ数多の書類仕事を残している
強いていうのであれば、今こうしている間にも増えているのだ
それと同時に、まるで嫉妬深い恋人のように怒る奏音の相手をするのも面倒なのだ
夜斗が夜遊びに行けば怒り、撫でれば笑い、隣にいれば四十ニコニコしている奏音だが、女子といるというだけでムスッと…しているようには見えないのだが、かなり機嫌が悪くなる
「アイリス、帰りたい。仕事がある」
「私もあるけど琉那が夜斗に会いたいっていうから連れてきたんだよ。惚れさせた自分を恨んでねー」
「これ以上厄介者を増やすな…」
夜斗はそう呟きながら、この後の予定を思い返す
このまま夕方6時頃までこの三人に付き合い、その後夜7時から霊斗の家で会合…ということになっている
向こうが要請してきた会合故に、行かなくても問題はないのだが…
「少し…よくない噂もあることだしな」
「何かあったの、夜斗?」
アイリスが話しかけてくる
この口調は何があったかわかっている時の静かなものだ
「…いや。楽しむか」
夜斗は《管理者》を起動し、大通りの近くにある廃ビルの屋上へと転移した
「なんでここなの?」
「仕方ねぇだろ。大通りのど真ん中にポンと出てきたら大騒ぎだ。特にアイリスみたいな金髪じゃあな」
「魔術人形の方がいいかなー」
「それじゃ意味ねぇだろ。楽しめ」
夜斗はそう言って指を鳴らした
《管理者》がアイリスの見た目を、買い物用の魔術人形と同じ見た目に変える
「これなら目立たないだろ」
「…常に
「ん?ああ、透明化させる」
夜斗が指を鳴らすと、《管理者》の時計が消えた
アイリスには気配が感じられるが、見えない
その違和感がアイリスの右目に映る
「…消えた?」
「アイリスには見えてるかもな。流石に俺とて
夜斗はそう言って歩き出した。帰るわけではない、あらかじめ三人から聞いていた目的地に向かうためだ
「少しくらい…楽しんでもいいかもな」
夜斗はついてくる三人を横目に、少し楽しそうに言った