カスミトアケボノ 「図書館」編   作:本条真司

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23話 最初に言っておく6

「最初に言っとくけど、恩恵保持者を信用したわけじゃないからね」

「はいはい…だからこの戦闘騒ぎになってるんだろうが」

霊斗は隣に立つ女性に、ため息混じりに言う

女性の名はレイン・アカツキ・ブラド

そして霊斗の前で神機を地面に突き刺した夜斗の隣には、最近恩恵が発覚した紗奈がいる

「…私が、レインさんを殺せばいいんですね」

「ああ。俺たちはあいつらを一回殺せば勝ちで、向こうは俺たちの神機を起動不能にすれば勝ちだ」

夜斗はそう言って剣を抜いた

紗奈も神機を召喚し、その身に纏う

そう、紗奈の神機は武器形状をしていない。着物…というよりは巫女服のような形状だ

長い黒髪が赤と白の服のせいでかなり目立つ

「《拒絶者》冬風紗奈」

「《管理者》冬風夜斗だ」

「緋月当主、緋月霊斗…」

「緋月親族、レイン・アカツキ・ブラド」

それぞれが名乗り、その身に宿す吸血鬼側が召喚獣を召喚する

霊斗は火属性の鳥。レインが炎・風・氷の狼を一匹ずつ

数の利は向こうが優先。それでも紗奈は、勝ちを確信していた

「では、コインが落下した瞬間に」

紗奈がコインを弾き上げる

落下したその瞬間、霊斗たちの召喚獣が前に出た

 

 

そもそもこうなったのは、会食に合流してきたレインのせいである

レインは会食会場に入るなり、召喚獣を夜斗にぶつけようとした

紗奈がそれを感じ取り、障壁を張る

瞬間、全員が神機を召喚し、恩恵を起動したところで夜斗からストップがかかった

「慌てるな。どうせ、俺に勝てるようなものではない」

夜斗がそういうと、全員が神機の召喚を解除し、恩恵の発動を取りやめた

それにプライドを切り捨てられたレインが、夜斗に戦闘を申し込んだのだ

「本当にいいんだな?俺は手を抜くが」

「そこは抜かないとかいうところでしょ。まぁいいけど」

夜斗は神機を召喚し、地面に突き刺した

 

 

 

回想を終えた夜斗は、黒い炎で自ら含む四人の周囲を覆った

黒淵冥賀の得意技、黒炎地獄の応用だ

「さて、紗奈。お前の力を示せ」

「はい、お兄様」

紗奈が夜斗の前に立ち、両手を前に出す

「《拒絶者》スーサイド」

召喚獣たちが放つ属性攻撃が、そのまま彼らに跳ね返る

かなりの威力だったのだろう。その攻撃により、彼らの召喚獣は霧散していく

「私の恩恵は、お兄様の《管理者》に勝てる唯一のものです。お兄様にすら勝てない貴女が私に勝てますか?」

紗奈はそう言って神機『運命彩葉(さだめいろは)を翻す

胸元から札を取り出し、投擲する

その数は五枚。霊斗たちの周りに札が移動し、綺麗な正五角形を象った

「五行鉄貫」

紗奈が右手の人差し指と中指を伸ばして残りを握って印を結び呟いた

それと同時に霊力が淡い青に発光しながら札を繋ぎ、星を作る

中央にいるのは霊斗とレインだ

「これ…は…!」

「魔力封印術…!」

「そうですよ。また召喚獣出されても面倒ですから」

紗奈はそう言いながらも印を継続している

これは魔族を封じる術ではない。ただ魔力…というよりは対象の力の根源の存在を拒絶するものだ

二人は膝をついているが、魔力に頼らなければ戦闘は可能

それでも、魔族は強ければ強いほど魔力に頼るが故に、筋力をあまり使わない

それが、紗奈の誤算だった

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