夜斗はA組の生徒たちを前に、留学について説明していた
「つーことで、魔族との交流として留学生…といっても国内だから留学かどうかは怪しいんだが、二人ほど受け入れることにした」
「はい夜斗様!」
「様をつけるななんだ」
女生徒の一人が起立して夜斗に質問を投げかける
「留学生の性別は女の子ですよね?」
「…あっ…」
「お兄様…まさか…?」
「そうじゃん男も来るじゃん。桃香はここでいいけど蒼牙どうしよう…」
夜斗は霊斗の弟が弟であることを忘れ、このクラスに二人入れるつもりでいたのだ
クラスが性別で分かれてる以上、分けるしかないのかと頭を悩ませていた時
「魔族とはいえ男だからなぁ。けど、最悪A組全員で抑えればよくない?」
窓際の席から声が響く
よく通る声で、夜斗自身見覚えがあった
「み、澪さん…!?ちゃんと敬語を使わないと…!」
「天血澪…。ここにいたのか」
「久しぶりだね、夜斗」
えぇ!?という声が教室中に轟くと同時に、澪は耳を塞いだ
「最後にあったのが弾圧の三日前か。今から五年くらい前になるな」
「そうだね。音沙汰ないから死んだかと思ってたよ」
澪は耳に当ててた手を外して立ち上がった
「俺たち恩恵保持者の神機は、基本的に使用者の血が織り込まれてるのは知っての通りだが」
「まだ教えてません」
「じゃあ今教えた。使用者と俺の血を織り込むと、そいつが俺の血の従者ってものになる。澪は最初の血の従者だ」
また悲鳴のような声が轟いた
「今のところお兄様には血の従者が二人しかいません。私と澪ですね」
紗奈は座りながら言った
「澪の意見を通すにしても多数決だな。このクラスに男子入れてもいいよーって人挙手」
夜斗の声に上がらない手はなかった
翌日・羽田空港
「んー…!疲れたねぇ」
「お前が急にババ抜きとか始めるから止まんなくなったんだろうに…」
「そうね。いつものことだわ」
「お兄様らしいですね」
男女四人組がキャリーケースを引っぱりながらエントランスを歩いていた
先頭を行っているのはぱっと見女子に見えないこともない男子、
髪は長く金色で、目は仄かに赤い
着ているのはメンズのパーカーにジーンズのズボンだが、男装しようとしてる女子に見える
左後ろを歩いているのは彼の友人である
そして二人の後ろに、それぞれの妹が歩いている
「
「あと数分で、エントランスの金時計の下にくるはずです」
「
「わかってるわよ。そこまで子供じゃないわ」
そんな四人に近づいていく影があった