カスミトアケボノ 「図書館」編   作:本条真司

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41話 冬風夜斗暗殺計画

夜斗は横たえられたベッドから降りた

床から数センチ浮いているが、気に留める様子はない

「……」

夜斗は眠る紗奈を眺め、布団をかけてテラス窓から外へと出た

そこから見えるのは、攻めてきた軍部の戦闘機。アイリスが作ったあのステルス機だ

「……紫電の黒槍、最大出力」

夜斗の掌が前方に向けられ、そこに紫色の雷が収束していく

最大まで圧縮されたそれが、数千にも上る戦闘機を破壊するために薙ぎ払われる

「…十三秒ノ解放(サーティーンリミット)

夜斗を赤と黒の稲妻が覆い隠した

目の端に紫電が迸り、いつの間にか召喚されていた神機が黒く染まり、ヒビのような模様が赤で描かれている

「…」

夜斗はそのまま、めんどくさそうに剣を横なぎに振るった

前方にいた過激派魔族の下半身と上半身を分断し、周囲にあった緋月家所有の建屋もを破壊していく

夜斗の暴走状態、或いはバックアップモード

昏睡状態が数時間を超えると起動する、いざというときのための殲滅モードだ

これもまた仮面の一部。欠片だ

「夜斗!」

「…夜斗、という呼び名は適切じゃないな」

夜斗が放つ斬撃が、詠唱破棄にて障壁を張った奏音…を、すり抜けて霊斗を斬った

「いったぁ!?」

「…手が滑った。神格行使、《天照》」

夜斗の頭上に生じた赤黒い太陽が、霊斗―の背後にいた過激派魔族を焼き焦がした

「これは…!」

「…存在定義開放。発動後数分で消滅する代わりに、誰からも気づかれなくなる魔法。気づかなかったことを恥じる必要はない」

夜斗がそういった直後、糸が切れたかのようにその場に倒れた

奏音が駆け寄るより早く、夜斗の体が動き出す

「よくやった、壊都(かいと)

夜斗が呟き、その声に奏音が歓喜する

愛しき者の復活に、心の底から喜んだ

「殲滅するぞ、みんな。力を貸せ」

夜斗への反対意見は一つもなかった

「うし、俺らにも一枚噛ませろ。なに、貸しにしておいてやる」

声があたりに響き渡り、上空から黒鉄が降ってきた

夜斗はそれがわかっていたかのようにしているが、他の者は想定外の事象に驚き回避行動をとっている

「…暴れすぎるなよ、黒鉄」

「あいよ、主。行くぜバカ共!」

「神格《生成》、システムオールグリーン」

木の陰から姿を現した男が、右腰につけられた鞘から刀を抜きつつ呟く

「霊桜草薙。参る」

草薙と名乗った男が、左手で刀を構える

彼は黒鉄の弟だ

「霊桜流剣技・三ノ型改、『銃弾逸し』」

草薙は霊桜兄弟の父親が使う剣技を受け継ぎ、応用することで合計14の技を持つ

そのうちの一つを使い、元政府が集めた反図書館の人間が撃つ銃弾を弾いていく

「…間に合わねぇな。流華、バックアップ」

「りょーかい。神格《機構》斬撃(スラッシュ)(シェルター)

流華と呼ばれた少女が、手で刀をくるくると回しながら呟く

瞬間的に刀を抜き、左腰に鞘をつけて右手で構える

本来日本刀は左腰につけるのが通常だ。そして目上の者と謁見する際には右側に刀を置き、敵意がないことを示す

草薙の持ち方はイレギュラーなのだ

流華は全く動いていないように見えるが、明らかに草薙の間合いの外を飛び交う弾丸が弾かれ、斬られていく

「流華は機械的に動作を行う、っつー神格を持つ。デウスエクスマキナの力だな。んでもって草薙は創造神…まぁ、ギリシア神話でいうカオスだな」

「言ってみりゃソードスキルみたいなもんか」

「「ソードスキル…?」」

「夜斗も知らんのかい。とあるゲームのスキルだよ。剣の初動を認識してシステムが登録された技を実行させるんだ」

得意げに語る霊斗だが、彼はそのゲームに一切関係はない

趣味で「自分がそのゲームにいたら」という小説を書いてるのだ

「それに似てるな。で、お前のは?」

「俺のは、殺意を具現化して万物を喰い尽くす能力ってとこだな。相手が味方だとめっさ弱いけど、敵だと本当になんでも喰う」

黒鉄はそう言いつつ、能力を起動・夜斗の背後にいた人間を飲み込んだ

 

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