大戦争から5年。夜斗は緋月家に訪れていた
「よう霊斗。天音ちゃん元気だったか?」
「まぁねー。霊くんがお盛んだから夜は元気じゃないかも」
「……」
「おいまて当人を置き去りにするな連れてけ」
天音の腕の中には小さな子どもがいた
夜斗の隣に立つ奏音も、背負紐を前につけて抱きかかえる子どもがいる
「長い戦争が終わってよかったわ。楓が戦闘要員にならなくて済んだもの」
「戦争…なのか?」
「そうよ。夜斗のせいで起きた戦争」
「俺のせいではなくね?」
「実質お前のせい」
「紫電の黒槍は捨ててねぇぞ?」
「ごめんなさい」
管理者の力を封印し、神機が行方不明になった夜斗は、国防をすることも難しいということで隠居生活を送っている
奏音は未だに半ば独裁を行いつつ、生きることを楽しんでいた
「…霊斗」
「なんだよ」
「ちと表出ろ」
「何もしてないのに!?」
「いいから」
夜斗は霊斗の耳を引っ張って外に連れ出した
車に乗り込み、少し離れた公園に移動する
「なんだよ…」
「お前天音ちゃんを困らせるなよ?愚痴が全部俺か奏音のところに来てるから。俺はともかく妊婦に負担はかけられん」
「また子供できたのかよ!どんだけやることやってんだ!?」
「お前らよりは少ないと思うが…。そこまで体力もたんし」
「魔族だからってずっとやってるわけじゃありませんが!?」
霊斗は叫びながらゆっくり息を吐き出した
「…もうあれから5年か。早いもんだな」
「そうだな。戦争終わって即天音ちゃんとのことを告白したお前に感化されて奏音が抱きついてきたときは驚いた」
夜斗は思い出に浸るように目を閉じた
あの日、霊斗は天音が婚約者であることを夜斗に言うと同時に、その場で指輪を差し出した
まだわたしとらんかったんかい、と夜斗が言った直後に奏音は夜斗に抱きつき告白・付き合い始めたという顛末がある
「…そういえばアイリスさんとか佐久間さんはどうしたんだ?」
「え?ああ、二人とも重婚を認めさせようと躍起になってる」
「ああ…なんか察した。お前も罪だな」
「え?なんで?」
「わからんならいい」
夜斗は何故罪人認定されたのかわからないまま、再度車に乗り込んだ
そして霊斗の自宅に到着し、迎えた奏音の頭を撫でる夜斗
「…夜斗、その子の名前は?」
「カエデだよ。木へんに風で楓。俺にしてはいい名前だろ」
「そ、そうだな…。その子とうちの子が誕生日一緒なのはなんかしたのか?」
「さてな?元管理者がいうのもあれだが、それこそ神のみぞ知るセカイってやつだろうさ」
夜斗はそう言って笑った
最終回です。ありがとうございました