転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
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2039年2月。
年が明けてから、俺は本格的に二課所属のシンフォギア装者として活動することになった。
と、言っても未だに小学生の身、二課に詰めるのは土日祝日である。
そして詰めてる間はこれでもかと戦闘訓練を受けることになっております。
一鳴くんのトレーニングメニュー【1D10】
1 ドクターウェルによる無理のないメニュー
2 弦十郎による猛特訓
3 キャロルによるスパルタメニュー
4 ドクターウェルによる無理のないメニュー
5 弦十郎による猛特訓
6 キャロルによるスパルタメニュー
7 ドクターウェルによる無理のないメニュー
8 弦十郎による猛特訓
9 キャロルによるスパルタメニュー
10 訃堂による血を吐く程の愛のシゴキ
結果、【3】
「どうした!シンフォギアを纏っておいてその程度か!?」
「グワーッ!」
「そんな攻撃でオレを倒せると思ったか!」
「グワーッ!」
「単純な攻撃に当たってやるほど、オレは優しくないぞ!」
「グワーッ!」
はい。
キャロルちゃんにしごかれております。
二課にいる間の俺の戦闘訓練を引き受けてくれたようで、割りと真剣に俺の訓練をしてくれます。
ただね、キャロルちゃんって研究者肌というか、面倒見が良いというか、ドSというか。
徹底的にボコボコにされております。
シンフォギアという大きな力を手に入れて伸びた鼻っ柱をへし折ってやる。
戦闘訓練の初日にそう言われました。
現在、鼻っ柱どころか精神もベキベキにへし折れてます。
前世の経験が無ければ引き篭っていたでしょう。
転生オリ主で良かった!
「よし、今日はここまで!」
「……ゴシド…………アリガト………………ゴザイマシタ……」
「ふん……片付けはオレがしておいてやる。早く着替えてこい」
「ハイ………」
ふらふらであった。
体力自慢の俺が、ふらふらであった。
俺は未だ10歳の身である。
それでここまで戦えるならスゴいよ。
キャロルちゃんのビーム避けれたもん。炎とか風とかも凌いだし。
四大属性同時攻撃は回避不能防御困難で負けたけど。
でも俺はよくやってる。
俺はスゴい!
頑張れ一鳴頑張れ!
俺は今までよくやってきた!
俺はできる奴だ!
そして今日も!これからも!
心がベキベキに折れていても!
俺が挫けることは絶対に無い!
「あ、そうだ。渡一鳴、お前明日は戦闘訓練は無しだ」
「……え、クビですか……」
「なんでそうなるッ!?」
「いつまで経っても弱いままだから、放り出されるのかなって……」
「そんな訳ないだろうがッ!明日は風鳴弦十郎が連れて行きたい所があるらしいから、それで休みだと言ってるんだ」
「あ、そうだったんですか」
ホッと一安心である。
「わかったなら、とっとと帰れ!」
「はい、お疲れ様です」
「……あとな」
「はい?」
「……お前は良くやってるよ」
「……ありがとうございますッ!」
キャロルちゃんパイセンに誉められた。
しかも頬を少し赤らめるツンデレ仕様……ッ!
かわいい(かわいい)
「ニヤニヤするなッ!早く行けッ!」
「はーい!」
そんなこんなで。
明日は弦十郎さんとお出掛けである。
◆
この世界において。
風鳴弦十郎は二課の副司令である。
司令は風鳴訃堂、護国の鬼と呼ばれたおじいちゃん。
……正直、弦十郎さんが司令でないのは違和感がある。
二課に入ってしばらく経っても慣れないままだ。
「それで弦十郎さん、今日はどこに行くんですか?そろそろ教えて頂きたいんですが」
「ん、言ってなかったか?」
車の中である。
二課所有の黒いワゴンだ。
弦十郎さんが運転し、俺は助手席。
後部座席には、何故か菓子類が積まれている。
「ええ、目的も何も聞いてないっす」
「そうか、すまん。今日はな、一鳴くんと同年代の子どもたちに会いに行くんだ」
「俺と?」
どこに行くのか、それを聞こうとした時、車がある建物横の駐車場に入る。
着いたぞここだ、そう言われた。
白い建物、どこかホテルのような雰囲気の五階建ての建物であった。
「ここは……」
「孤児院。ノイズや異端技術を用いた犯罪に巻き込まれて、親を亡くした子どもたちが暮らす場所だ」
お菓子を降ろすの手伝ってくれ、と後部座席のドアを開けながら弦十郎さんが言う。
俺が段ボール一箱、弦十郎さんが片手で五箱ずつを抱えて建物に向かう。
入り口には初老の女性が杖をついて待っていた。
「お待ちしていましたMr.弦十郎」
「ナスターシャ院長、いつもお出迎えありがとうございます」
ナスターシャ教授であった。
アニメと違い、杖はついているけど両足で立っており、眼帯もしていない。
そうか、ネフィリム起動前にドクターウェルが日本に連れてきたからケガしていないのね。
ということは、ここがレセプターチルドレンたちが暮らす孤児院……。
「そうだ、紹介します。彼が新しい装者の一鳴くんです」
「そう……彼が」
そう言って俺を見るナスターシャ教授……院長。
「どうも、初めまして。渡一鳴です。……装者の事を知っているのですか?」
「ええ……昔アメリカで研究者をしていた時に」
そう言って、少し遠い目をするナスターシャ院長。
「ナスターシャ院長?」
「……失礼、少し昔を思い出しました。Mr.弦十郎、一鳴くんも中へ」
そうして。
俺と弦十郎さんは孤児院の中へと入る事となった。
◆
ドクターウェルはアメリカの聖遺物研究強硬派の蛮行に対抗するため、風鳴訃堂との取引で二課に移籍してきた。
その際、レセプターチルドレンの中で日本から拉致された者たちも連れてこられた。
そのレセプターチルドレンたちが暮らす孤児院がここであり、その院長がかつてF.I.S.でレセプターチルドレンの観察者であったナスターシャ教授である。
ちなみに、孤児院を建てたのもナスターシャ教授を院長に据えたのもドクターウェルである。我が世界のドクターウェルは訃堂じいじと同じくキレイキレイなのだ!
そしてその孤児院がキチンと運営されているかを確認するのが風鳴弦十郎であり、月に一度こうして元レセプターチルドレンたちに振る舞うお菓子を持ってくるのだ。
なので弦十郎さんは元レセプターチルドレンたちからとても人気がある。
「あっ弦十郎さんデース!」
「こんにちは弦十郎さん」
「こんちゃーす弦十郎さん!」
「オッス弦十郎さんお疲れナス!」
「押忍!!!」
弦十郎さんと食堂に足を踏み入れた途端、子どもたちが駆け寄ってくる。
揉みくちゃになる俺と弦十郎さん。
しかし弦十郎さんは巨木のように動じず笑うのみ。
「アバババ……」
「ハッハッハッ!相変わらず皆元気だなッ!」
揉みくちゃになり目を回す俺を見かねてナスターシャ院長が助け船を出す。
「貴方たちおとなしくしなさい!今日の客人はMr.弦十郎だけではないのですよ!」
その声を聞いてやっと俺に気付いたらしい皆が離れていく。
「助かりました、ナスターシャ院長」
「スマン……大丈夫か一鳴くん?」
「ええ、大丈夫です」
「申し訳ありません、とんだ失礼を」
「お気になさらず。こう見えて鍛えてますので」
そんなやり取りを見ていた子どもたちの一人が手を上げる。
「あの、マム?その人は?」
「新しく来た子デスか?」
「一鳴くんは俺の部下だ!」
「どうも、初めまして。渡一鳴です」
挨拶は大事、古事記にも書かれている。
「弦十郎さんの部下?」
「部下?」
「つまり舎弟デスね!」
「舎弟なの?」
「舎弟かぁ」
おかしい。俺が舎弟になっているのもそうだけど、弦十郎さんが完全にヤの付く自由業扱いだ。
「いや、舎弟ではないぞ?」
「じゃあ鉄砲玉デース!」
あの金髪の子、さっきから発想がブッ飛んでるな?というか切ちゃんだな?暁切歌だな?
「うん、もう舎弟でいいや!」
「それで良いのか一鳴くん……」
「重ね重ね申し訳ない……。昨日任侠ものの映画を見せていたので……」
子どもになんてものを見せるんや……。
「気にしないでください。装者も舎弟も似たようなもんですし」
「え……」
俺の【装者】発言に反応する子どもたち。
……そっか、切歌ちゃんいるならシンフォギア知ってるよなぁ。
「あなたも装者だったの?」
「ええ。え、貴女も?」
声を掛けてきたのは、ブラウンの髪をロングにし桃色の蝶めいた髪飾りをする中学生くらいの少女。
うん、良く見りゃ前世でよく知るあの子だわ。
「うん。私はセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。私も装者だったんだ」
「ああ、アガートラームの」
「そう!」
ネフィリム封印の際、死ぬはずだった少女。
セレナ・カデンツァヴナ・イヴだ。
ドクターウェルがキレイキレイなので、死ぬ前に日本に来て死亡フラグがへし折れたお方。
「アタシは暁切歌デス!よろしくデース!」
「月読調。よろしく」
「あたしは雪音クリスだ」
「オッス俺は……」
「私は……」
「我が名は……」
「拙は……」
セレナさんの自己紹介を聞いて、他の子どもたちが一斉に自己紹介しだす。
頑張れ俺!前世の営業経験をフル稼働させて一発で名前を覚えろ……ッ!
というかなんでクリスちゃんもここにいるのん?
『風鳴弦十郎がバルベルデから救出し、ここで保護してもらっているようだな』
と、サイコロ神。
そう言えば訃堂司令がアメリカに頼まれてバルベルデのヴリル協会と強硬派を襲撃した時に助けられたとかなんとか……。
まあ、馴染んでいるようですし、良かった良かった。
「うん!早速仲良くなったようで何よりだなッ!」
と、弦十郎さん。
「一鳴くん、俺はナスターシャ院長と少し話があるから彼らと一緒に待っていてくれないか?」
「え?」
無茶振りされた。
「大丈夫だ、すぐに終わるッ!」
「え?」
「じゃあ、私たちとお茶しながらお話ししましょう!」
セレナさんに引っ張られる。
「え?え?」
「丁度お菓子もあるデース!」
「切ちゃんダメだよ。ちゃんと弦十郎さんにお礼言わないと」
「そうデス!」
ありがとう弦十郎さん!とお礼を言う子どもたち。
「どういたしましてッ!では、一鳴くん仲良くするんだぞ!」
「えぇ……」
そう言って去っていく弦十郎さんとナスターシャ院長。
そして背後には目をキラキラさせる子どもたち。
「さあお茶の準備をしましょうね!」
「はいデース!」
「お菓子分けるね」
「拙も手伝います」
「俺はお茶を沸かすぞ!」
「我も手伝ってやろう」
そういう事になった。
◆
そんなこんなで三十分が経つ。
俺は子どもたちからの質問責めにあっていた。
「じゃあ一鳴くんは装者としてはまだ素人なんだ」
「そっすね。まだ一ヶ月程度ですね」
「まだまだデスね」
「切ちゃん失礼だよ」
「いやまだまだなのは事実だしねぇ。昨日も師匠にボコボコにされたゾ……」
「弦十郎さん?」
「いや、別の人。錬金術師なのその人」
「錬金術師ぃ?とんだオカルトが飛び出してきたな」
「錬金術師なんているの?」
「それなりの数がこっそりいるみたいよ?」
「まあ神様が生きていたからな……」
「この世は不思議だらけ……」
そんなこんなで。
元レセプターチルドレンの子どもたちと仲良くなれた訳だ。
チキチキ好感度ダイス【1D10】
1 うーん……
2 友だち
3 友だち
4 友だち
5 うーん……
6 友だち
7 友だち
8 友だち
9 ひとめぼれ
10 ヤンヤンデレデレ
セレナ【7】
切歌 【3】
調 【9】
クリス【3】
うん。
なんか調ちゃんから熱い視線を感じる。
俺に質問沢山してくるし。
お茶のお代わりとか、甲斐甲斐しく世話してくれる。
これ、もしかしてもしかする?
『で、あるな』
そっかぁ。
どこが決め手だったのかな……。
そんな事を考えていたら、弦十郎さんがナスターシャ院長と共に帰って来た。
「スマン、待たせてしまったな」
「少し話が長引いてしまいました」
お茶会をしていた俺たちを見る二人。
「お、仲良くなったようだな!」
「ええ、皆に良くしてもらいましたよ」
「そうか!ここに連れてきて良かった」
それからしばらく。
元気か、とか。学校はどうだ、とか。なにか困っていることはないか、とか。
子どもたちと弦十郎さんが会話をして。
「もうこんな時間か……。一鳴くん、そろそろお暇するとしよう」
「えー、もう帰っちゃうデスか!?」
子どもたちから非難の声が挙がる。
「すまない、この後仕事があってな……」
「俺もそろそろ帰らんと……」
「むー」
俺の袖をくい、と引っ張る調ちゃん。
「……また、来てくれる?」
「ん?……うん必ず。弦十郎さん、またご一緒しても良いですか?」
「勿論だッ!」
そういう訳で。
俺は元レセプターチルドレンの子どもたちと知り合う事になった。
◆
「そう言えば」
帰りの車内。
俺はふと気付いた事を聞くことにした。
「なぜ俺をあの孤児院に?」
「ああ。……行きしにあの孤児院を【ノイズや異端技術を用いた犯罪に巻き込まれて、親を亡くした子どもたちが暮らす場所】と言っただろう?」
「はい」
「一鳴くん。俺たちの仕事はそういったノイズや異端技術による犯罪から人々を守る事だ」
だから、そう弦十郎さんは続ける。
微笑みながら横目で俺を見て。
真剣な顔で。
「俺たちの未熟さや失敗で、あの孤児院の子どもたちのような、家族を亡くしてしまう人たちが増えてしまうかもしれない」
「……」
「それを知ってほしい、そう思ったんだ」
「……はい」
「キャロルくんから聞いているぞ。厳しい訓練を弱音を吐かずにこなしていると。そんな一鳴くんだから、少し早いかもしれないが知ってほしかったんだ」
シンフォギア。
ノイズに対抗する為の鎧。
人類の脅威に抗う為の力。
俺は少し、シンフォギアを纏う意味を軽く考えていたのかもしれない。
俺の敗北が、失敗が。誰かの不幸に繋がる。
その意識が薄かった。
そうだったなぁ。
シンフォギア世界って物騒だしなぁ。
しかもこの世界カストディアンの一氏族が生き残ってるし。物騒さは群を抜いている。
だからこそ。
俺は更に鍛えなければならない。
もっと強く、強く、強く。
人には限界がある。伸ばす手の長さには限りがある。助けられる人には限りがある。
それでも。
あと少しで助けられた、そう後悔しないために。
今日出会った子どもたちを思い浮かべる。
フィーネが、アメリカが、ヴリル協会が運命を狂わせた子どもたち。
友だちになった子どもたち。
彼らのような子どもたちを、悲しい人たちを出さないようにしたい。
弦十郎さんの話を聞いて、そう思った。
シュルシャガナのアームドギアはヨーヨーや円鋸。
スダルシャンはノコギリめいた刃の円形スリケン。
つまり調ちゃんが一鳴に惚れる運命は、示唆されていたんだ!(キバヤシ感)
◆おまけ◆
2039年2月での年齢。
一鳴、12歳
セレナ、14歳
切歌、11歳
調、10~11歳
クリス、13歳
マリア・カデンツァヴナ・イヴ16歳はリディアン音楽院に寮から通っているので孤児院には不在。