転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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今回の話の為にギリシャ神話を調べました。
結論として、作者には難しすぎた(白目)
まあ、プロット組むのには問題ないので問題ないです(進次郎感)

そんな訳で、作者の考えた古代ギリシャしんじつ回です。
オリジナル展開がモリモリです。
おおナムサン!
読者諸君の精神状況は大丈夫だろうか!?
失禁等の症状が現れた場合は直ちにブラウザバックして、ネコチャン動画を見てほしい。




第101話 2041年1月2日

 

 

2041年1月2日。

ペルセポネーに連れられて地下世界にやって来たサンジェルマンたち。

旧北マケドニア共和国ビトラの地下からペルセポネーが示した座標に転移してたどり着いたのは、窮地ギリシャ共和国の北西、イオニア海がほど近いネクロマンディオという町……の地下500メートル地点である。

 

ネクロマンディオはハデスに纏わる遺跡がある。

死者のお告げが来る神託所、地下神殿がある。

ここは、その更に地下。

神々の揺り籠、地下特別居住区。

ギリシャの地下に埋没する、かつてのアヌンナキの宇宙船の残骸である。

 

その地下特別居住区の一室、食堂のような椅子の並べられた場所にサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティはペルセポネーに招かれた。

 

「いやー、あの子達も大事に至らなくて良かったわね!」

 

先程とは打って変わって、フランクに話しかけるペルセポネー。

こちらが素で、先程の丁寧で礼儀正しい話し方は余所行き用のペルソナを被っていたらしい。

 

ここにたどり着いた後、ヴァネッサ、ミラアルク、エルザの3人はここの治療室に放りこまれた。

治療室には無数の2メートルほどの卵型のカプセルがあり、3人はそこに押し込められた。

このカプセルは患者のためのベッドであり、また、隔絶された手術室でもあった。

現在は3人とも、麻酔をかけられて眠っている。

 

「血の淀みを治すために稀血がいるなんて、難儀ね。でも、ここなら稀血は無限に精製できるし安心よ!」

「稀血の無限精製とかサラッととんでもないこと言ってるワケダ……」

 

ノーブルレッドの3人は人でない物が肉体に接続されている。

拒絶反応を抑えつつ、人と人でない物を繋げるためには稀血(Rhソイル式(Rh xxoyle_formula))という珍しい型の血液が機能させる「パナケイア流体」が必要不可欠なのだ。

そして、この地下特別居住区治療室では稀血を無限精製出来るのであった。

無論、異端技術でありパヴァリア光明結社ではついぞ実現しなかった技術である。

プレラーティが唸るのも頷けるだろう。

 

「さて、改めて。

私はペルセポネー。神話で知ってるかもしれないけど、豊穣神デメテルの娘でハデスの嫁よ」

「つまり、神さまってコト?」

「みんなの認識上はそうなるわね」

 

カリオストロの言葉にそう答えるペルセポネー。

 

「含みのある言い方ね」

「そうね。うーん、なんて言ったらいいのかしら……」

 

悩むペルセポネー。

その時である、ガガガ、と耳障りなノイズ音が部屋に響く。

そして、その直後、音声!

 

『妻よ、そこからは私が説明しよう』

 

威厳のある、しかし優しい男性の声だ(CV津田健次郎感)

部屋の隅にあるスピーカーから聞こえてくる。

 

「ダーリン!」

「ダーリン、という事は」

 

サンジェルマンにはダーリンと呼ばれた男の察しがついた。

 

『始めまして、異邦の錬金術師よ。我が名はハデス。一応冥界の神として名が通っているな』

「やはり、貴方が……!」

 

ハデス。

ギリシャ神話におけるビッグネームであり、冥界の神である。

主神ゼウスの兄であり、また兄弟たちと違って人格者だと知られている。

ペルセポネーにまつわるこんな話がある。

 

ペルセポネーが野原で花を摘んでいるところを、偶然ハデスが目にした。その瞬間、愛の神エロスに矢を射たれてハデスはペルセポネーに恋をした。

しかしハデスは内気だった為、ゼウスの元に恋の相談に行く。

しかしゼウスは、

 

「男は強引に行ってナンボだぜ? え、結婚の許可? (デメテルに話し通してないけど)ええよ」

 

と言ってしまう。

それを真に受けたハデス、黒い馬に乗ってペルセポネーを冥界に攫ってしまう。

困ったのはデメテルである。

愛娘が夜になっても帰ってこないので、あちこち歩き回ってハデスの誘拐を知り、ゼウスの元に赴く。

 

「アンタが唆したんでしょ!」

「知らねーよ兄貴が勝手にやったんだろ!」

 

兄を売るゼウス。

しかしデメテルは、

 

「アンタと違って真面目なハデスがそんな事自分からする訳ないでしょうがッ!」

 

と一瞬で見抜いたそうな。

その後色々あって、ハデスとペルセポネーはきちんと結婚して、ペルセポネーは冥界の女王になった。

どっとはらい。

 

 

 

閑話休題。

スピーカー越しに話を続けるハデス。

 

『我らは神として人々に知られている、故に神として生きていける』

「……まさか! 自分たちを神だと人口に膾炙させたのね!」

 

サンジェルマンは看破した。

ペルセポネーが含みを残す言い方をした理由を、ハデスの言葉の意味を。

 

()()()()ッ! 人々に神だと信じ込ませて自分たちを神に引き上げたッ!」

『正解だ、賢者よ。故に語ろう、我らの始まりを。そして、何故貴女たちを知り、ここに招いたかを……』

 

ハデスは語りだす。

全ての始まりを。

 

 

 

 

 

 

約5000年前。

先史文明末期。

或るアヌンナキが反旗を翻した。

その名はシェム・ハ。

 

シェム・ハの陣営は地球を己の物にしようとしたが、アヌンナキであるエンキにより撃破された。

だが、シェム・ハは肉体的に死を迎えようとも、全人類の遺伝子に言語化した己を潜り込ませており、何度でも復活する。

故にエンキは月の遺跡、観測ベースマルドゥークからネットワークジャマー「バラル」を発生させて全人類の言語を分断。

エンキは命を捨ててシェム・ハを封印する事に成功した。

 

だが。

死を迎えたシェム・ハの肉体をシェム・ハ陣営残党に奪われ蘇生されては苦労が水の泡となる。

エンキ亡き後のアヌンナキたちが戦場跡に赴き、シェム・ハの肉体も封印しようとしたが。

そこに、死体は無く。

あるのは無数の血の跡と、僅かな骨の欠片のみであった。

 

 

 

シェム・ハは、その肉体は喰われたのだ。

かつてのルル・アメルだった、ゼウスとその兄弟たちによって。

 

ゼウスたちは、今のギリシャを収めていた王の一族であった。

アヌンナキに代わり人々を纏める者達、神と人を繋ぐもの。

それが、かつてのゼウスたちだ。

人々を纏める代わりに贅を尽くす暮らしを許された。

だが、それは所詮ヒトに許される範囲のもの。

ヒトの上に立つアヌンナキたちは、ヒトの暮らしとは隔絶した暮らしをしていた。

 

リンゴやザクロとは比べ物にならない程甘い菓子。

暑い日を涼しく、寒い日を暖かくする部屋。

鉄の武器では決して叶わぬ兵器群。

 

先史文明期において、ヒトは家畜であった。

ゼウスたちは家畜の王であった。

王として人々の上に立つ彼らには、誇り高き彼らには許されざる事であった。

だから、シェム・ハの反乱は彼らにとって転機だったのだ。

ヒトが神の力を得るというチャンスの……。

 

彼らは賭けた。

アヌンナキの死に面する機会に恵まれる事を。

そして、彼らは賭けに勝った。

 

エンキとシェム・ハ。

激闘の末、死したシェム・ハ。

エンキは月に去り、大地に神は無し。

ゼウスたちの目の前には、シェム・ハの死骸。

 

 

同物同治という言葉がある。

身体の中の不調を治すには、不調な部分と同じ物を食べればいいというもの。

例えば、肝臓が悪いなら家畜の肝臓を食べればいい、胃の病気なら胃を、心臓の病気なら心臓を食べればいいという考え方だ。

 

また、カニバリズムは対象の血肉を取り入れる事で、魂や力を受け継ぐことが出来るという考え方が主流だ。

 

 

つまり、彼らは。

すなわち、ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドン、そしてゼウスは。

アヌンナキの力を得る為に、アヌンナキを喰らった!

シェム・ハの死骸を喰らう、神喰いを行ったのだ。

 

効果はすぐに現れた。

只のヒトであった彼らの肉体は若返り、また強大な力を得た。

アヌンナキが地上に置いていった異端技術の結晶、完全聖遺物の完全な制御を可能とした。

 

事の次第を知ったアヌンナキたちは、ゼウスたちを殲滅せんと宇宙戦艦を持ち出した。

宇宙からギリシャごと殲滅するつもりだった。

 

だが、その戦艦は。

雷霆ケラヴノスにより落された。

放ったのはゼウス。

島ほどあろうかというアヌンナキの戦艦はギリシャに落ちた。

大地は戦艦の重さに耐えきれず、戦艦は大地に沈んだ。

 

シェム・ハの反乱で戦闘用員のアヌンナキが激減していた事もあり、アヌンナキたちは地球を捨てた。

そして、ギリシャはゼウスたちの物になった。

彼らは真に支配者となったのだ。

 

ゼウスたちはアヌンナキの戦艦からアヌンナキの知識を得た。

即ち、ヒトの認知を利用した哲学兵装。

アヌンナキの異端技術を使用した聖遺物の作り方。

まずゼウスたちは自分たちを崇めさせる為の神話を作った。そして、それを人口に膾炙させた。

同時にいくつもの聖遺物を作り、その力でもってヒトを支配した。

ゼウスたちに支配された人々は、ゼウスたちを新たな神だと信仰した。

その畏れはゼウスたちにさらなる力を与えた。

 

彼らは神となった。

 

長い月日、ゼウスたちはギリシャを支配する神として君臨した。

ゼウスたちは子どもを作り、神の数は増えていった。

有力な神の子はゼウスと並んで讃えられ、そういった神々はオリュンポス十二神として知られる事となった。

そんな、ある日の事。

 

 

シェム・ハの呪いが牙を剥いた。

 

 

神喰らいという大罪を犯したゼウスとその血を繋ぐ兄弟姉妹。

その子どもたち。

彼らにシェム・ハの血肉は毒と変貌した。

生きながら肉は焼け、血は毒となり骨は腐りゆく。

ゆっくりと、しかし確実に。

ギリシャの神々を冒していった。

 

だから、オリュンポス十二神は永い眠りに就くことを強いられた。

遠い未来に希望を残して、アヌンナキの戦艦の一室、コールドスリープ装置で眠りについた。

 

シェム・ハの呪いに対抗する為の聖遺物『ピトス』とそのピトスの守護者である自動人形『パンドラ』を製造して───。

 

 

 

 

 

 

『だが。旧ギリシャ共和国の考古学者によりコールドスリープ装置から、十二神は叩き起こされた上に、頼みの綱であるピトスはパンドラに持ち去られ行方不明。結果、パンドラを探す為に十二神は世界に対して戦争を起こした、という訳だ』

 

ハデスは、語り終えた。

長い長い話であった。

 

『私は十二神よりも症状が進行していた為に、肉体を捨てて、この戦艦の管理システムの一部となった』

「つまり、電脳化しているのね」

「そうよ、私のダーリンってばプログラムなの」

 

サンジェルマンの言葉に、ペルセポネーはあっさりとそう答えた。

 

「ん、じゃあ貴女は?」

「ああ、私も肉体を捨てて自動人形に置換してるのよ」

「ウソ、その身体で自動人形!?」

 

カリオストロが驚く。

ペルセポネーの肉体はどこから見ても人間のようにしか見えなかった。

 

「そりゃ、ヘパイストス工房の特注品だもの! そんじょそこらの錬金術師製のモノとは格が違うわ!」

「なるほど鍛冶神の手製なのね」

 

ヘパイストス。

ギリシャの有名な鍛冶神である。

ゼウスの雷霆も彼の手製と言われている。

だが、ゼウスの雷霆がアヌンナキの遺した聖遺物であるとすれば、アヌンナキの知識を紐解き自身の物にした神だと言える。

 

「この身体、ウン千年運用しても壊れないのよ! スゴイでしょ!」

 

ペルセポネーは自慢げだ。

作ったのはヘパイストスだが。

 

『話を戻そう。ゼウスたちはピトスを持ち出したパンドラを探している。だが今も見つかっていない』

「心当たりはないの?」

『無い。だが、今も稼働しているのは確かだ』

「何故そう思うのかしら」

『ピトスが開かれていない』

「どういう事?」

 

サンジェルマンの疑問にハデスは答えた。

 

『ピトス、その正式名称を【事象選択装置】、ゼウスたちを蝕む呪いに対抗する事象を演算して、現実を演算結果に書き換える現実改変を引き起こす』

 

現実改変を引き起こす聖遺物。

それこそが、パンドラの箱として知られる【ピトス】の正体だ。

 

『事象の演算が終わる前にピトスが開かれたら、未演算の事象が災いとして振りまかれる。それが起こってないという事は───』

「まだピトスは開かれてない……」

『そうだ。そしてピトスが開かれていないという事はパンドラはまだ稼働している、という事だ』

 

ハデスはそう言い切った。

そして、言葉を続けた。

 

『パンドラの持つピトスをゼウスが獲得したら、ゼウスは不死となり手がつけられなくなる。その前に、君たちにはパンドラの行方を探ってほしい』

「なぜ、私達にそれを?」

 

サンジェルマンが聞く。

 

『私はずっと私達の味方になってくれる人物を探していた』

「私達はね、ずっとずっと前からゼウスのやり方には辟易していたのよ」

 

ペルセポネーが言葉を繋げる。

 

「ママもそうだし、ヘラ様もそう。でも表立って反抗したら殺されちゃうわ。だから、密かに活動し続けていたし、味方になってくれる人も探してた」

『君たちは強く、裏社会に通じていて、そして私達との話し合いに応じてくれるだろうと前々から考えていた』

「ずっと見ていたわ。あなた達を。サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ」

 

ペルセポネーは3人の目を見て、こう言った。

 

「私達に力を貸して。お願い」

 

ペルセポネーの言葉に3人は顔を見合わせる。

 

「どうするの、サンジェルマン?」

「サンジェルマンに任せるワケダ」

 

カリオストロとプレラーティはサンジェルマンに判断を任せる。

もう、答えなど決まっているからだ。

 

「……貴女にはノーブルレッドの三人を助けてもらった恩があるものね」

 

サンジェルマンはペルセポネーの目を向けてそう言った。

 

「いいわ。パンドラの捜索、請け負いましょう」

「……! ありがとう、サンジェルマン!」

『君に感謝を。サンジェルマン』

 

ペルセポネーとハデスが感謝を述べる。

ペルセポネーの目には光るものが見えた。

 

「取り敢えず、あの3人を治すまではゆっくりしてて! この戦艦、快適だから! お肌スベスベエステルームもあるのよ!」

「案内して、すぐに!!」

 

エステルーム発言に食いつくカリオストロ。

サンジェルマンとプレラーティは思わず吹き出してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

この時。

サンジェルマンはおろか、ハデスもペルセポネーも、そしてゼウスですらも気付いていなかった。

濁り水はもうすでに流れ出しており、世界はまた変わろうとしている事を……。

 

 

 




御清覧ありがとうございました。

次回は一鳴くん回……を書けたらいいなぁ。
そろそろ女の子とイチャイチャさせたい欲が、うごご……。
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