転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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今日で投稿2周年なので初投稿です。
一日は27時間なのでセーフなのだ(ガバガバ理論)

これからも執筆投稿ガンバルゾー! ガンバルゾー! ガンバルゾー!(邪悪なチャント)



第102話 嵐の前

 

 

年始の二課。

風鳴訃堂、風鳴八紘、風鳴弦十郎、フィーネ、ウェル、キャロル、そして外部の人間であるナスターシャの7人は会議室に集まっていた。

日本政府や飛騨忍群の掴んだ情報を共有するためだ。

 

「……もう一度、仰っていただけますか?」

 

ナスターシャがそう言う。

毅然と言い放つが、その声は僅かに震えていた。

ナスターシャの問いに答えたのは、八紘だ。

 

「F.I.S.は、壊滅したとの事です」

「そう、ですか……」

 

ナスターシャは目許を押さえて、それだけ答えた。

 

ウェルの裏切りと訃堂の脅しにより、レセプターチルドレンは全員日本に帰還・移送された。

子どもたちは皆、日本各地の養護施設に送られた。

ナスターシャもまた、F.I.Sの研究者を辞めてウェルが建てた養護施設の院長になった。

だが、F.I.S.は研究を辞めなかった。

聖遺物の研究を辞めなかった。

国から死刑囚や不法入国者を斡旋してもらい、違法な人体実験に手を染めていた。

だからこそ国はF.I.S.の手綱を取るために、F.I.S.に定期的に連絡を取るよう命じていた。

 

1月2日から3日の深夜。

その定期連絡が無かった。

国はすぐに、投薬パーフェクトソルジャー部隊をF.I.S.の研究所に派兵した。

そして、パーフェクトソルジャーたちは惨劇を目の当たりにした。

白い研究所の内部が血と肉で赤く染まり、研究者も死刑囚も不法入国者も殺し尽くされた、F.I.S.を。

生存者、ゼロ。

肉体が壊され尽くされており、誰が誰なのかわからない始末であったという。

そして、何より。

いくつかの聖遺物が無くなっていた。

 

その情報を、八紘はアメリカ政府高官から聞き及んでいた。

 

「米国政府は犯人に、目星はついているのでしょうか?」

 

ナスターシャの言葉に首を振って答える八紘。

 

「いえ。ただ、研究所内に無理矢理押し入った跡が無いことから、内部の人間による犯行と見ているようです」

「内部犯……、ドクター心当たりはありますか?」

 

ナスターシャがウェルに聞くが、ウェルは首を振った。

 

「……わかりません。あそこは誰もが野心を持ってましたからね。聖遺物使って悪さしそうなのはいくらでも居ますよ」

「そうですね……」

 

かつての職場、共に働いた者たちの訃報を聞いてナスターシャとウェルは少なからずショックを受けていた。

邪悪な研究者はいたが、清掃員や警備員には良い人も居た。

そんな彼らも死亡した。

それが、ナスターシャとウェルに衝撃を与えたのだった。

 

「大丈夫ですか。無理はなさらず、お休みになりますか?」

「いえ、大丈夫です」

 

ナスターシャは毅然と答えた。

ウェルも頷く。

 

「続きを話してください。問題は、F.I.S.……米国だけではないのでしょう?」

「ええ、そうです」

 

弦十郎が頷いた。

 

「インドの聖遺物研究所もまた、同じタイミングで襲撃されました」

 

この襲撃事件もまた、2日から3日にかけた深夜の事である、

かつてラーヴァナを収容・研究していたインドの聖遺物研究所が襲撃された。

犯人は中国の聖遺物研究所所属の特殊部隊。

第七聖遺物実験部隊という異端技術を用いる部隊。

かつて冬木市で一鳴を攫おうとした、カルマ・リーの所属していた組織である。

その時は冬木市に潜伏していた緒川忍群を強襲、そのスキに一鳴を誘拐した。

その後なんのかんのあって、一鳴は救出されてカルマ・リーは死亡した。

その、第七聖遺物実験部隊がインドの聖遺物研究所を襲撃したのである。

死者も出た襲撃で、第七聖遺物実験部隊はいくつかの聖遺物を強奪した。

その中の一つに、ラーヴァナの副腕があった事が日本に伝えられた……。

 

「ラーヴァナの、副腕……」

 

キャロルは顎に手を当て考える。

 

「ラーヴァナは体内に不死の霊薬アムリタを宿していたな。副腕には?」

「……確か、まだ残っていたわね。一鳴くんがラーヴァナの身体を焼き尽くす前に切り離された腕だから」

 

了子の言葉に全員頭を抱えた。

 

「不老不死狙いか……」

「道士である第七聖遺物実験部隊には喉から手が出るほど欲しいか……」

「富と権力を得た人間は、誰もが欲しいのでは?」

 

と、話し合う。

 

「それで、インド政府と中国政府はどうしているのです?」

「中国政府に極めて強い厳重抗議をしたらしいのだが、中国政府は知らぬ存ぜずらしく」

 

ナスターシャの疑問に弦十郎はこう答えた。

 

「それと、中国と第七聖遺物実験部隊との間でなにかあったらしく情報が錯綜しております」

「今も、緒川忍群が情報を収集しております」

 

八紘が弦十郎の後に答える。

 

「ロシアから来た軍事アドバイザーの指示だとか、千年狐狸精がどうとか……」

「千年狐狸精、九尾の狐……?」

 

了子が意外な名を聞いたと目を丸くした。

 

「知り合いか?」

「かつての私だ」

 

了子の目と髪が黄金に変わる。

フィーネが表に出たのだ。

 

「かつてのフィーネ、ですか」

「あなたなんでもアリなんですか?」

「白面金毛九尾の狐、なるほど見た目はそれっぽいな」

 

上からナスターシャ、ウェル、キャロルである。

 

「長生きなんですね!」

 

エルフナインの無邪気な言葉!

フィーネはスルーした。

 

「中国の妲己と褒姒、インドの華陽夫人、そして日本の玉藻前。全部私だ」

「じゃあ、第七聖遺物実験部隊になにかしたのか?」

 

キャロルの言葉に苛立たしげにフィーネが答えた。

 

「なにもしていない。私の行動は全て二課に筒抜けだし、そもそも年末年始は風鳴弦十郎と共に……」

 

フィーネはハッとして了子に戻った。

 

「とにかく私は無実よ!」

 

会議室の面々は弦十郎と了子を生暖かい目で見た。

 

「ごほんッ! とにかく第七聖遺物実験部隊についてはこれからも情報を収集していこうッ!」

「……うむ、そうだな」

 

八紘が生暖かい目でそう言った。

 

「最後にバルベルデで起こった異変だが、ほとんど何もわからない」

 

これもまた、2日から3日にかけた深夜の事。

バルベルデのジャングルから天に向かって黒い霧が吹き出した。

その霧は10kmも高く登った後、薄く広がり地に降りていった。

黒い霧は瞬く間にバルベルデ共和国とその国境を超えた別の国の一部を覆い尽くした。

それは、空から見れば、黒い霧が吹き出した地点を中心に半球状に覆われた闇である。

その黒い霧は、光を通さなかった。

朝が来て、太陽の光が南米大陸を照らしても、その黒い霧は霧散せず、それはまさに闇のようであった。

 

「そして、その闇は恐ろしく硬い壁としても機能しているらしく、国連軍はその闇を突破はおろか突入することすら出来ないそうだ」

 

弦十郎はそう締めくくった。

 

「南米で発生した闇。夜……? テスカトリポカかツィツィミトル由来の聖遺物が原因かしら……」

「どちらも南米で信仰された神、夜の神ですね」

 

了子の言葉にナスターシャは答える。

 

「日食、太陽を否定するからこそ太陽の光で払えない闇を作り出すことも出来るでしょうけれど……」

「情報があまりにも足りていませんね」

 

二人はそう締めくくった。

訃堂が口を開いた。

 

「南米バルベルデで発生した異変についても、米国やインド、中国で起こった異変についても。各国と連携して情報収集をしていくしかあるまい」

 

全員が頷いた。

その後、了子が口を開く。

 

「弦十郎くん、ネフシュタンの起動実験どうする?」

 

2041年1月6日にツヴァイウィングのニューイヤーライブで【ネフシュタンの鎧】という聖遺物の起動実験を行うのだ。

ライブ会場の別室で、ツヴァイウィングの歌声とライブの熱狂を浴びせて起動させようという実験である。

だが、世界が混乱しつつある最中でそのような実験をしてもよいか、という疑問である。

 

「難しいな……。ネフシュタンの鎧はこれまで一鳴くんの協力でフォニックゲインを高めてきたからこそ、ここで起動させたかったが……」

「いや、実験は行う」

 

悩む弦十郎にそう言ったのは訃堂だ。

 

「このような時代だからこそ、ネフシュタンの鎧の起動は急務である。かの鎧は無限再生の理を持つ、それ故に再生医療への転用が可能かもしれん。それに」

 

訃堂は続けてこう言った。

 

「実験会場に儂と弦十郎、それに了子くんとキャロルくん、ナスターシャ教授。

ライブ会場には一鳴くんと慎次、そして二課本部には八紘とエルフナインくんが居る。何があろうと問題は起こるまいよ」

 

 

 

 

 

 

明けましておめでとうございます。渡一鳴です。

2041年1月5日。

そろそろ冬休みも終わりが見えつつある今日この頃。

俺も二課の正月休みが開けそうで辛い。

3日しかなかったけどね、正月休み。

 

2日と3日はお仕事でした(かすれ声)

元日は有給取った(祝日出勤回避感)

 

1月6日に催されるツヴァイウィングのニューイヤーライブ、それと並行して行われるネフシュタンの鎧の起動実験。

その警護のためにライブ会場の見取り図を頭に叩き込み、一緒にライブ会場を守る緒川=サンと互いの役割を決めたりした。

ちなみに、俺が異常が発生した際にその異常を取り除く役、緒川=サンが観客の避難誘導を中心とした役である。

あとは、二課や起動実験の会場からの通信が遮断された際の動き方とか。

 

緒川=サンは実際スゴイニンジャである。

連絡が遮断されたら、ここまで自己判断で動くとか、その時俺はどう連携したらいいかとかを、凄くわかりやすくかつ効果的に教えてくれる。

そりゃ翼さんも惚れますわぁ。

ちなみに翼さんの事を聞いてみても、シレッとかわされたり空蝉ジツ使われたりした。

おのれニンジャ……!

コイバナからは逃げられんぞ……!

 

それはそれとして。

そんなライブ兼起動実験が明日行われる訳で。

俺はその為に英気を養えと言われてお休み貰ったのだった。

昨日は調ちゃん達と初詣に行きました。

調ちゃん、切歌ちゃん、マリアさん、セレナちゃん、クリスちゃん、そして俺。

みんなで調神社に行ったのよねぇ。

そこで色々話をしたのだけれど、ナスターシャ院長が起動実験に手を貸す縁から、孤児院の皆がライブに招待されているらしい。

ツヴァイウィングは今、熱狂的な人気を誇っているから皆楽しみにしているのだとか。

調ちゃんと切歌ちゃん、クリスちゃんもソワソワしていた。

マリアさんは今年の4月からツヴァイウィングのマネージャーになるから、セレナちゃんと関係者席でライブを観劇するとのこと。

 

それに、聞いた話だと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……響ちゃんと未来ちゃんがライブに行くのは、原作通りの流れである。

もっとも、未来ちゃんは親戚のおばさんが事故かなんかで不参加になったはずだが。

 

問題はライブの顛末も原作通りなのかという訳で。

原作では、フィーネが悪さしてライブ会場にノイズを召喚して大惨事を引き起こし、ネフシュタンの鎧を強奪。

その惨劇の最中、ガングニール装者だった奏さんは死亡、ガングニールの欠片は響ちゃんの心臓近くに癒着、響ちゃんはガングニールの融合症例となりライブに誘った未来ちゃんは罪悪感からと愛故に神獣鏡のシンフォギアを纏う、というのがもはや記憶も定かではない俺のシンフォギアの知識である。

 

少なくとも、ノイズを呼び出しネフシュタンの鎧を奪うはずのフィーネは二課に縛られているから惨劇は引き起こさないだろう。

ツヴァイウィングはシンフォギア装者としての顔を持っていないから、ノイズと戦うこともない。

響ちゃんが融合症例となることも無い。

だが、それでも。

転生前の、精霊さんとのやり取りが頭に浮かぶのだ。

 

 

 

 

 

 

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精霊さんは響ちゃんと未来ちゃんが仲間になると言っていた。

だが、二人のフォニックゲインはシンフォギアを起動させるには至らないらしい。

了子さんに聞いたので間違いない。

 

だが、明日のライブは。

どこかの誰かが事を起こすのにはうってつけの日でもある。

そして、響ちゃんが融合症例となる日である。

今の時代、火種はどこにでもあるのだ。

備えなければならない。

やるべき事はすでにやった。

なら、後は守り抜くだけだ。

 

自分の守りたい人。

愛する人を。

愛すべき人々を。

 

二課の防人、唯一無二のシンフォギア装者として。

 

 

 

「ナルぐぅぅんッ!! 宿題終わらないよぉ!! 宿題やらないとライブ行っちゃダメってお母さんに言われたから助けてぇ!!」

 

涙と鼻水で顔がグジュグジュの響ちゃんのエントリーである。

うーんこの愛すべきおばか。

 

仕方ない。

今日は響ちゃんの宿題手伝って上げるとしようかな。

もうすぐ未来ちゃんも来るだろうしネ!





今回だけで色んなこと起きすぎやろ作者ァ!
ちゃんとプロット練ったんかワレェ……え、ダイスのせいでプロット壊れた……あ、そっかぁ(白目)

まあ、簡単にまとめると、

○アメリカ:F.I.S.壊滅。死傷者不明。
○インド:聖遺物研究所襲撃されてラーヴァナの腕パクられた。
○中国:インドの研究所襲撃してラーヴァナの腕パクった。計画したのは九尾の狐か?
○バルベルデ:謎の黒いドームに閉じ込められた。
○日本:ツヴァイウィングのライブとネフシュタンの鎧の起動実験
○一鳴:2日はお仕事でヘトヘトになって帰ってきたらマリアさんとセレナちゃんに姫始め懇願されたので気絶するまで頑張った。
○フィーネ:年末年始は弦十郎としっぽりした。

だいたいこんな感じ。
わかんないところあったら質問してください。
今後のネタバレにならない範囲で答えます。

そんな訳で次回はツヴァイウィングのライブ編。
次回もお楽しみに……。
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