転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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(前回のあらすじ)
一鳴は藤尭朔也、友里あおいと三人で二課の休憩室にてコミュニケーションを取っていた。そこに八紘が現れて三人を娘の翼が出るライブに誘う。三人は八紘と共にライブに行くことになった。



第七話 俺とオペレーター陣と八紘さんとツヴァイウィング(後編)

 

二週間後。日曜日。

13:45。

天気は快晴。

俺と藤尭さんと友里さんの三人は七越デパートに来ていた。

待ち合わせ場所はデパート内の喫茶店。

俺は私服、藤尭さんと友里さんはスーツである。仕事途中を演出したのだ。

三人とも、コーヒーのみを頼んでいた。

 

「すまない、待たせた」

 

そこに八紘さんが現れる。

 

「お疲れ様です、八紘副司令」

「車の渋滞に巻き込まれるなんて災難でしたね」

「まったくだ……」

 

八紘さんが時計を見る。

ライブが始まるまで15分を切った。

八紘さんはソワソワしている。

 

「私もコーヒーを飲もうと思っていたのだがな……。仕方ない、屋上に向かおう。早めに行って良いポジション押さえときたいからな」

「どれだけ楽しみだったんですか……」

 

俺のあきれ声に八紘さんが返す。

 

「昨日眠れなかった」

「アッハイ」

 

よく見たら目の下にうっすら隈があった。

 

「さあ行こう。残り13分だ」

「わかりました……」

「誘った手前だ。ここは私が出そう。遅刻した詫びにも、な」

「ありがとうございます」

 

そんな訳で。

俺たちはソワソワした八紘さんと共に屋上に向かうことになった。

 

 

 

ライブの客入りは?【1D10】

 

1 ガラッガラ……

2 家族連れ一組だけ

3 家族連れ一組だけ

4 ガラッガラ……

5 家族連れ一組だけ

6 家族連れ一組だけ

7 家族連れ一組だけ

8 家族連れ一組だけ

9 満員御礼

10 人が多過ぎて屋上に入れない

 

結果、【8】

 

 

 

13:55。

屋上ライブ特設ステージには一組だけ家族連れが座っていた。俺たちは一番後ろの席に座った。少し離れた所に家族連れ。

ライブ五分前にしては、客入りはとても悪い。

 

「まぁデビューしたてだからね」

 

と藤尭さん。

ライブに誘われた後、ツヴァイウィングについて調べたらしい。

 

「今日はいくつかの名曲カバーを歌った後に初披露の楽曲を歌うみたいだよ」

「逆光のフリューゲル、というようだ」

 

八紘さんが呟くように言う。

"逆光のフリューゲル"。

シンフォギア無印一話劇中で歌われた楽曲であり、水樹奈々演じる風鳴翼と高山みなみ演じる天羽奏のデュエット。

無印の後のシリーズでは"虹色のフリューゲル"として装者たちの合唱で歌われている。

 

そんな逆光のフリューゲル。

すごく、良い曲なのよね。

俺がシンフォギア好きになった大きな要因の一つである。

それが、生で、聞ける。

リアル風鳴翼とリアル天羽奏のデュオで。

 

転生して良かった!

心の底からそう思った。

 

「一鳴くんも楽しみになってきた?」

「ええ、生のライブって初めてなんですよ!」

 

そんな俺の心を読み取ったのか、友里さんが声を掛けてきた。

 

「まあアイドルのライブって興味ないとそうそう行かないもんなぁ」

「私も初めてだから、楽しみね」

「……サイリウムとか、出して良いのだろうか」

 

サイリウムは止めといた方がいいです八紘さん。

そんなやり取りをしていたら。

 

「皆さまお待たせいたしました。ツヴァイウィングライブ in 七越デパート、これより開演です!」

 

というアナウンスと共に舞台脇から少女二人が駆け、ステージ中央に立つ。

青く見える黒髪の少女と赤く見える茶髪の少女。どちらも可愛らしく、そして転生者である俺にはすぐに誰だかわかる少女たちだ。

 

「風鳴翼です!よろしくお願いします!」

「天羽奏!盛り上げていくんで、よろしくなッ!」

 

と同時に音楽が鳴り出す。

佐賀が誇るご当地アイドルユニット、フランシュシュの『アツクナレ』だ!

 

「歌うっま!」

「さすが翼ちゃんね!」

「……(静かに頷く)」

 

翼さんと奏さんの歌に思わず唸る三人。

先に来ていた家族連れも顔を合わせて驚愕している。

スゴイ歌に屋上にいた他の客たちもステージに寄ってくる。

あ、翼さんこっちに向かって小さく手を振った。

 

「ほら八紘副司令、翼ちゃん手を振ってますよ!」

「手を振り返してあげないと」

「うむ……」

 

手を振る八紘さんとニッコリ笑顔の翼さん。

そんなこんなで一曲目終了。

拍手が鳴り響く。

 

「みんなありがとーッ!!次の曲行くぞーッ!」

「ウオーッ!」

 

思わず声援を送ってしまった。

そんな感じでメジャーな楽曲が幾つか歌われていく。

歌い終わる毎に人が増えていく。

今やステージ前の椅子は満員となり、立ち見の見物客がいるほどだ。

そして何曲目かの歌を歌い終わる。

そして───

 

「次で最後の曲」

「私たちのオリジナル曲」

「「逆光のフリューゲル!!」」

 

二人が言うと同時に、前世で何度も聞いた前奏が響く。

客席の盛り上がりは最高潮であった。

俺のテンションも最高潮であった。

 

「『聞こえますか……?』激情奏でるムジーク 天に♪」

「「と、き、は、な、て♪」」

「ウオオーッ!」

 

歓声が響く。俺も雄叫びをあげる。

リアル風鳴翼とリアル天羽奏のフリューゲル、もうヤバイ。場数を積んでいない新人アイドルなのに歌が心に響く。

ヤバイ。語彙が無さすぎてヤバイしか言えない。

 

「『聞こえますか……?』イノチ始まる脈動 愛を♪」

「「つ、き、あ、げ、て♪」」

「ウオオーッ!」

「翼ーッ!」

 

歓声が響く。俺も雄叫びをあげる。八紘さんも娘の名を叫ぶ。

もう仕事の途中で偶然寄った、という建前が吹き飛んでいるな。

でも仕方ない。二人の歌はそんな建前を吹き飛ばす程、心を揺さぶるのだから!

 

そんなこんなで、俺と八紘さんはどっぷりとライブにハマって歓声をあげるのであった。

 

 

 

 

ライブ終了後。

俺たち四人は特設ステージの裏の、小さな小屋めいた部屋にいた。

ツヴァイウィングに、風鳴翼と天羽奏に会うために。

 

逆光のフリューゲルが終わって。

余韻に包まれつつさあ帰るか、という時に。

後ろから黒スーツの男の人に声を掛けられた。

茶髪にキラヤマトみたいな声、あからさまにニンジャの緒川慎次なのだ!

 

その緒川さんに、翼さんが皆さんにお会いしたい、と伝えられて特設ステージ裏の出演者控え室に案内されたのだった。

 

「お父様、ステージから姿は見えましたが、やはり来てくださったのですね!」

「ああ」

 

八紘さんに駆け寄る翼さん。その背後にはニヤニヤしている奏さん。

 

「翼、奏さん。逆光のフリューゲル、良い歌だった」

「ありがとうございますお父様!」

「ありがとうな、翼の親父さん」

 

ニッコニコの翼さんと快活に笑う奏さん。

 

「友里さんと藤尭さんも、来てくれてありがとうございます!」

「どういたしまして。素敵な歌だったわよ!」

「うん、俺ファンになっちゃったよ」

 

何度も二課に来ているからか、藤尭さんと友里さんとも気安い翼さん。

そんな翼さんが俺を見る。

 

「それで、お父様。彼は……?」

「彼は渡一鳴、最近見つかった装者だ」

「どうも、初めまして。渡一鳴です。逆光のフリューゲル最高でした」

 

挨拶は実際大事。古事記には書かれていないけど、社会的マナーとして周知されている。

更に逆光のフリューゲルの感想も添えてバランスもいい。

 

「これはご丁寧に。八紘の娘の翼です。いつも父がお世話になっております」

「いえいえ、八紘副司令にはこちらの方がお世話になっております」

 

流石は防人の娘というか、良家の娘というか。とても礼儀正しい。

 

「あたしは天羽奏、よろしくな!」

 

対して奏さんは随分と気さくである。そしてそれが不快ではない。

 

「僕は緒川慎次です。一応二課職員なんですよ」

「慎次には翼の護衛も兼ねてツヴァイウィングのマネージャーをしてもらっている」

「緒川さん、政府のエージェントなの」

「凄腕なんだぜ?」

「それほどでもないですよ」

 

そんなこんなで、自己紹介が終わり───

 

 

 

いつもの好感度ガチャ【1D10】

 

1 緒川さんとキテル……

2 友だち

3 友だち

4 友だち

5 緒川さんとキテル……

6 友だち

7 友だち

8 友だち

9 ひとめぼれ

10 ヤンヤンツケボー

 

風鳴 翼、【1】

天羽 奏、【2】

 

 

 

それから、俺は翼さんや奏さん、緒川さんと楽しくお喋りをして。

気付いた。

 

(おがつばキテル……!)

 

翼さんの緒川さんを見る目が、なんだか熱っぽいのだ。

椅子に座る脚がウキウキしているのだ。

そんな二人を見る奏さんの目が凄く優しくて、かつ面白いものを見る目なのだ。

 

なるほどおがつば。

前世ではよく見たカップリングであるが、まさか現実でお目にかかろうとは……。

従者と姫、アイドルとマネージャー。そして大人の男と美しい少女。

モチーフとしても魅力的だし、なにより。

長年一緒にいたからこそ、恋に落ちたとも言えるだろう。

きっと、余人にはわからぬ、二人だけの絆や思い出があったりするのだなぁ。

 

 

 

ところで八紘パパは気付いてる?【1D6】

 

1 気付いてる

2 (気付いて)ないです

3 (気付いて)ないです

4 気付いてる

5 (気付いて)ないです

6 風鳴家公認である

 

結果、【5】

 

 

 

あ、気付いていないなコレ。

というよりも、周りが気付かせていない。

翼さんが恋するムーヴみせたら緒川さんや友里さんが巧みに八紘さんの視線を翼さんから外させているし。藤尭さんと奏さんはそんな二人をサポートしてるし。

これ、二課メンバーには知られているけど、八紘パパは知らないパターンのやつやん!

 

まあ、仕方ないと言えば仕方ない。

翼さん、まだ14歳ぐらいだし。立場も違いすぎる。

まだ、表沙汰にする訳にはいかないよねぇ。

 

翼さんが大人になって、自分の意思をはっきり八紘さんや訃堂司令に伝えられるようにならないとネ。

 

 

 

 

「皆、今日はありがとう」

 

帰り道の車の中。

俺たちは八紘さんにそう言われた。

リムジンなので俺たち四人は後部座席で向かい合って座っている。

翼さんと奏さん、緒川さんは次の仕事に向かった。

 

「いえ、こちらこそ素敵なライブに誘ってくれてありがとうございました」

「凄かったですよね、二人の歌声」

「俺は早速ファンクラブに会員登録しました」

「早いわね一鳴くん……」

 

スマホを見せる俺と呆れる友里さん。

そんなやり取りを見て微笑む八紘さん。

 

「ありがとう皆」

「そういえば八紘副司令。天羽さんに見せるライブの動画は……」

「あっ」

 

藤尭さんの指摘にやってしまった、という顔をする八紘さん。

そういえば、動画撮影を任されていたのに撮ってなかったような……。

 

「藤尭くん」

「すいません、俺は撮ってないです……」

「友里くん」

「申し訳ありません、私も撮ってないです……」

「一鳴くん」

「俺もライブに夢中で……」

 

リムジンの中が静寂に包まれる。

そんな中、携帯電話のメロディが響く。

 

「ん……?」

「誰か携帯なってるわよ?」

「俺じゃないですよ」

「俺でもないっす」

「私だ……。慎次からだな。…………これは!」

 

驚愕する八紘さん。

 

「どうしたんですか?」

「……ライブの動画だ。今日のライブの動画を送信してくれたようだ」

「緒川さん……!」

「出来る男だ……!」

「しかも高画質だ」

「緒川さん!!!」

 

俺たちの中で緒川さんの好感度が急上昇した。

翼さんとの婚約を反対されたら全力で味方しよう、そう思った。

 

 





という訳でおがつばルートに入りました。
こういう事があるからサイコロはやめられねぇ!
あと今回逆光のフリューゲルの歌詞を一部使いました。
権利関係のあれやこれやは初めてだから、不備があって削除されたらごめんなさい。
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