転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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地獄のような業務状況が9月まで続くことが確定したので初投稿です(白目)
それでもなんとか夏休みは貰えたので、今回投稿出来ました。

敵サイドと、悪い宗教の手に落ちた響パパの話です。


第112話 歪んだ真如波羅蜜

 

 

 

人類の脳波を伝うネットワークに存在する隠し部屋。 

 

壁も床も天井も白くて広い部屋。

壁に飾られた名画。

その中央には黒いソファとガラステーブル。

テーブルに乗ったケーキスタンドに用意されたケーキやサンドイッチ。

バラルの呪詛から逃れた神霊たちの隠れ家。

 

そこで、イライラとした様子でソファに座り、紅茶を飲むのはシーザーである。

ツヴァイウィングを襲撃したツァバトの契約者である彼の本体は今、完全聖遺物メルカバー内の一室に居る。

シーザーの後ろで静かにツァバトが佇む。

 

「ご無沙汰しておりますわ、ツァバト様。シーザー様」

 

そこに、至天院銘歌が神霊シャダイを伴って現れた。

そのバストは豊満であった。

 

「至天院か……」

 

シーザーが口を開く。

 

「エロヒムから聞いたか?」

「ええ。2年ほど、潜伏するとか」

「それだ」

 

銘歌がシーザーの対面に座り、紅茶をカップに注ぐ。

シャダイが銘歌の好きなケーキをいくつか皿に載せて銘歌に渡す。

 

「中国とバルベルデで蠢動する者共を探るのでしたね」

「ああ」

 

中国の第七聖遺物実験部隊がインドの聖遺物研究所を襲撃して、ラーヴァナの副腕をはじめとした幾つかの聖遺物を強奪、その後中国も裏切って政府軍とも戦闘が起こった。

また、バルベルデ共和国を中心にドーム状の結界が張られて内部の状況が読めなくなっている。

エロヒムはそれらについて情報を集めようというのだった。

 

「中国の件には怪僧ラスプーチンや千年狐狸精が関わっているという話ですし、バルベルデの方は何らかの聖遺物が起動したとか。エロヒム様が危惧するのもわかりますわ」

 

銘歌がそう言うと、シーザーは紅茶を飲んで答えた。

 

「それは、わかっているがな」

「ふふ、早く動きたくて仕方ないご様子ですわ」

 

シャダイが選んだケーキに舌鼓を打つ銘歌。

シーザーは乱暴にサンドイッチを齧る。

 

「ああ、そうだ! 僕は早くウェルキンゲトリクスに復讐したいっ! ツァバトの力と天使どもが居ればすぐに行動出来るッ!」

「でもメルカバーが不調ではありませんか」

 

銘歌の言うとおり、メルカバーはキャロルの攻撃が直撃した影響で不調だ。

神獣鏡を利用したウィザードリィシステムが時々機能しなくなる為、銘歌が教祖を務める天神合一会の本部のある富士樹海の地下に隠してある。

つまり、シーザーは現在、天神合一会に滞在しているのだった。

 

「全くもってその通りだッ! よりにもよってあの一撃がウィザードリィシステムの根幹を撃ち抜くなどッッ!」

「不運な御方」

「一番の不運はお前の所に滞在することになった事だよ」

「あら、F.I.S.ほどではありませんが異端技術を扱う設備はちゃんとしていますし、食事は三食用意しているではありませんか」

「肉のない精進料理じゃないかッ! 肉を出せ肉をッ!」

「ウチは仏教系ですので、生臭物は駄目ですわ」

「生臭いセックスカルトのクセにッ!」

 

シーザーの乱暴な言葉を、おほほと受け流す銘歌であった。

 

「それでずっと()ってきましたから」

 

そんな銘歌が紅茶を飲むと口を開く。

 

「そんな訳で2年ほど時間があるので、シーザー様にお願いがありまして」

「なんだ? お前らのイヤらしい儀式には付き合わんぞ」

「そっちはどうでもいいですわ。ツァバト様が作った天使様たち、アレと人間の融合実験をしようかと」

「ああ、あれか……」

 

シーザーが考え込む。

ツァバトが作ったエンジェノイズは人間が原材料だ。

主に行方不明者や死刑囚、F.I.S.に居たときの実験対象を密かに入手して作ってきた。

そして人間を原材料にしているからか、エンジェノイズは人間との親和性が高く、理論上は人間と融合して他者の戦闘力を強化することが出来た。

……のだが、原材料である人間を2倍使うのでエンジェノイズの一番の武器である量産性が損なわれる上に、融合する人間にも適性が必要なのであった。

なのでシーザーはそっち方面の実験はしてこなかったのだ。

 

「僕は構わんが、ツァバトは?」

「我も構わぬ」

「お二人共ありがとうございます」

 

銘歌が深々と頭を下げた。

 

「信者を強化するのか?」

「ええ。私達の教導で蒙が啓かれた者たちを精鋭として鍛えようかと」

「なるほどな。わかった、メルカバーの中に実験室を用意しよう」

「ありがとうございます」

「だが、僕もそっち方面の実験はやったことがない。成功までは長いぞ?」

「構いませんわ。だって……」

 

銘歌が嗤って答えた。

 

「この時代、信者はいくらでも増やせますもの」

 

 

 

 

 

 

天神合一会の銘歌の私室にて。

銘歌が布団の上で目を覚ます。

神霊たちの隠れ家での話し合いを終えた彼女が、現実へと帰還したのだ。

 

「おはようございます銘歌さま」

 

側に待機していた尼僧が頭を下げる。

そのバストは豊満であった。

 

「現在朝の5時でございます」

「ありがとう。朝の勤行に向かいます。その後は朝食、食後は信者勧誘に向かいます」

「わかりました」

 

銘歌が尼僧に向けて一日のスケジュールを確認していく。

 

「ああ、そうですわ。貴女の方で、【死を怖れない】信者をピックアップして頂戴」

 

【死を怖れない】、暗号である。

天神合一会には死を怖れない信者は確かに多い。

しかし、彼らは天神合一会に必要不可欠な人材である。

銘歌が口にしたのは、【死んでも問題のない】信者のこと。死んだところで特に困らない、ただの人員の事である。

 

「わかりました」

「では、後ほど」

 

尼僧が出ていく。

その後、銘歌は寝間着である長襦袢を脱ぎ、僧衣に着替えていく。

長い髪を後ろで纏めると、部屋を出て仏間へと向かう。

天神合一会の本拠は青木ヶ原樹海地下の洞窟を掘削して作られている。

故に仏間も洞窟を削り出した場所である。

広さは100立方メートルほど。

その最奥に、天神合一会の本尊は存在した。

 

天井に頭が届く結跏趺坐した巨大な磨崖仏。

岸壁を削り出したとは思えぬ滑らかさは女性的である。

そして、その頭は我々が知る仏像とは異なり、長い髪を流す女性の顔だ。

 

これこそ、天神合一会の本尊。

シャダイ如来坐像である。

 

「銘歌」

 

銘歌の後ろにシャダイが儚げに浮かんでいた。

 

「シャダイさま、おはようございます」

「おはよう銘歌。また信者が増えたようだな」

 

銘歌がシャダイ如来坐像の前に来て、座る。

シャダイが隣に佇む。

 

「ええ、人は何人いても足りませんから」

「あのライブを利用して、差別を煽って被差別者を追い込み、そこを(すく)う。楽園の蛇の如きよな」

「あら、聖書の神よりも慈悲深いでしょう?」

 

クスクスと、銘歌が笑う。

 

「信者を使って差別を煽らせる策、成功するかは半々でしたのよ」

「だが、成功した」

「ええ。いまや人の悪心は増すばかり」

「やはり人、否、ルル・アメルは愚かなり」

「だからこそ、太母シェム・ハの降臨を成さねばならぬのでしょう」

 

クスクスと、銘歌が嗤う。

 

「信者たちにやらせている太母シェム・ハの為の髑髏本尊作成儀式も、このままのペースでも3年は掛かります。エロヒムさまが2年待てと言ったのは僥倖でございますし」

「あー、アレか」

 

銘歌の言葉に、呆れ顔というかイヤそうな顔をするシャダイ。

 

髑髏本尊。

真言立川流における、本尊である。

特別な頭蓋骨に和合水(男女の性交中に出る精液と膣液を混ぜ合わせたもの)を塗りつけ、その上から金箔や銀箔を張ったり曼荼羅を描く等のさらなる加工を行ったものだ。

この頭蓋骨は加工が完了すると本尊として扱われるようになるのだが、本尊として完成するまでにも脇でひたすらセックスする。

 

髑髏本尊には多大な利益があるとされるが、本質はその作成のプロセスにあるともいい、作成作業(真言を唱えながらひたすらセックス)を通じて男女の行者が悟りを得る事こそ本懐なのだという。

 

閑話休題。

シャダイが口を開く。

 

「アレに我らが根源たるシェム・ハを宿らせるのか……?」

「ええ。嫌ですの?」

「実際宿っていた身からすれば、嫌だ」

 

シャダイは断言した。

何を隠そう分霊シャダイ、最初は天神合一会の創始者により作られた髑髏本尊に宿っていたのだ。

なおその髑髏本尊はシャダイ如来坐像の胎内に収められている。

 

「気分的に嫌だ。だから我は銘歌に鞍替えした」

「まあまあ。今回の髑髏本尊は特別ですから」

「今の髑髏本尊は違うと?」

「ええ、なにせ古代日本の聖母(しょうぼ)の髑髏を用いてますから」

「ほう、聖母?」

「ええ聖母です」

 

銘歌が笑いながら、日本の聖母の名を口にした。

 

「オキナガタラシヒメ。神功皇后として知られる武勇溢れる聖母ですわ」

 

 

 

 

 

 

立花洸は天神合一会の儀式場にいた。

広々とした、岸壁の間。

洞窟のようなその空間には喘ぎ声が反響し、粘着(ねばつ)くような空気が洸を包む。

あたりには無数の男女がまぐわい合っている。

洸も、中年女性とまぐわっている。

1時間前は娘の響と似たような年齢の少女と。

更に前には美しい二十歳頃の女性と。

 

洸は銘歌によって天神合一会に連れてこられてから、ずっとここで様々な女性とまぐわい続けている。

最初は抵抗があった。疑問があった。妻と娘の顔が浮かんだ。

だが、しばらくすると儀式場の空気に当てられたのか、思考が麻痺してくる。

一日も居ると、もうなにも考えることなく女性とまぐわい続けている。

だから、何日もいる洸はなにも疑問に思わなくなっていた。

 

洸はなにも疑問に思わない。

無数の信者たちに混じってまぐわうことにも。

儀式場の中心で、白い僧衣を纏った僧侶や尼僧が髑髏に金箔や銀箔を貼っていることも。

信者の数が加速度的に増えていることも。

その信者から数人が、定期的に連れて行かれていることにも。

そして、とうとう洸が僧侶に手を引かれて儀式場から連れ出されても。

 

なにも、疑問に思わない。

もう、なにも、考えられない───。

 

 

 






これにて第一部、完です。
このへんにぃ、原作時間軸行く前に100話越える二次創作があるらしいっすよ(震え声)

次回からは、アンケートで出た通り、原作までの2年間のエピソードを4話から5話ほど書こうと思います。
アンケートに協力してくれた方々、ありがとうございました。
とりあえず、一鳴くんが女の子とイチャイチャしたりダイスに翻弄される話が書きたい。
というかダイスを振りたい(ギャンブラー感)

それではまた次回。
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