転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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石砫宣撫司女土官秦良玉,雅度侃議,傔從俱美少年。朱公子壽宜訪之,酒間微諷,良玉笑引南宋山陰公主云「陛下後宮百數,妾惟駙馬一人」以答。」(『棗林雜俎』)



第三十四話 一鳴の長い夜(前編)

気が付くと辺りの風景が切り替わっていた。

ホテルの駐車場から石畳の上に。

目の前には……ボロボロの教会。

ここは───冬木教会か!

 

「うふふ……」

 

背後から女のクスクス笑い。

俺は迷わなかった。

 

『───── Sudarshan tron』

 

聖詠を歌う。

俺は今、なんらかの攻撃を受けている。

故にシンフォギアを纏い迎撃する。

しようと、したのだが。

 

「ハァッ!」

 

いきなり。

目の前に現れた女に腹を殴られる。

 

「か……ぁっ!!?」

 

衝撃で聖詠を最後まで唱えられず、シンフォギアを纏えなかった。

 

「……!」

 

そして、敵は殴ったのではなかった。

槍の石突で、突いたのだ。

殺さず、聖詠を止めるために。

そして、槍を持ったその女性は……!

 

「秦、良玉ッ!」

「あら、良(リャン)まで知られていたのね」

 

後ろから話してくる女性。

秦良玉のマスター、カルマ・リーだ。

カルマは俺から、シンフォギアのマイクユニットを取り上げた。

 

「ぐ……っ!」

「これでもう、抵抗できないわね。良(リャン)、運んで」

「はい、マスター」

 

そう言うと、秦良玉は俺をお姫様だっこして運び出した。

なぜか秦良玉の息が荒く、俺をじっと見つめて頬を赤くしていた。

 

「さ、行きましょ。私たちの、愛の巣に」

 

そう言って、先を行くカルマ・リー。

彼女の右手にある令呪は。

一画しか残っていないように見えた。

 

 

◆

 

 

冬木教会。

麻婆豆腐大好きな神父の根城として知っていたが、この世界の冬木教会は既に廃墟になっているらしかった。

 

冬木廃教会。

そう呼ぶのが正しいらしい。

 

なぜ、潰れたか。

立香さんはこう言っていた。

 

「詳しい理由は俺にも、地元の人間にもわからないんだ。なにせ廃墟になってから30年以上経っているみたいだし。

いろんな噂はあるけれどね。神父が狂って妻と娘を殺したんだ、とか、いや狂人に押し入られて神父一家が殺されたんだ、とかね。

 

ただ、廃墟だから肝試しに行く不埒ものも多いみたいでね。そうした不埒ものが集まっているから危険なんだってさ。

友だちの中学生が言ってたんだ。

名前?宇津見エリセっていうんだけど」

 

立香さんはその内刺される(確信)

それはさておき。

 

俺はその廃教会に連れ込まれた。

壁も床もボロボロで、かつて荘厳だったろう面影はない。

そんな協会内を歩くカルマ・リーと秦良玉。

俺を抱っこする秦良玉は、胸を押し付けたり俺の太ももを撫で回してきたりする。

なんでさ(恐怖)

 

え、秦良玉こんな淫らな性格だっけ!?

もっと慎みとか穏やかさをもった女性じゃなかったっけ!?

 

「そんなに怯えないで、一鳴くん。後で姐姐(ジィエジィエ)といっぱい遊びましょうね」

 

艶やかな笑みで、秦良玉はそう言った。

 

「おい、カルマ・リー。彼女本当に秦良玉か?」

「あら、疑うの?」

「秦良玉が俺の太もも撫でまわすはずないだろ(震え声)」

 

俺の言葉にクスクスと笑うカルマ・リー。

 

「なら、貴方は彼女の事をどれだけ知っているの?」

「秦良玉。中国は明の時代の英雄で、白杆の槍を持つ、正史唯一の女武将。性格は温厚で忠義深く、疑り深い時の皇帝から詩を4つ贈られる程の人物だった、でしょ?」

「んー、60点。よく勉強しているけれど、まだまだね」

「なら、何が足りない?」

「ふふ、良。貴方の好みのタイプは?」

 

カルマ・リーに問いかけられた秦良玉は頬を染めながら答えた。

 

「はい!一鳴くんみたいなかわいらしい男の子です!!」

「と言うことよ。彼女は無類の美少年好きなのよ」

「えぇ……」

「『棗林雜俎』に曰く、周りの従者は皆美少年だったそうよ」

「お恥ずかしい……」

「だからって、こんなストレートにセクハラする人間じゃ……」

 

そこで、俺は気付いた。

カルマ・リーの右手。

一画だけ残った令呪。

使われた、ニ画の令呪。サーヴァントへの絶対命令権。

俺の知る秦良玉とは違う、秦良玉。

 

「お前、令呪でなにかしたな?」

「正解。100点よ」

 

振り向いて、にちゃりと笑うカルマ・リー。

 

「話の続きは、ここでやりましょう」

 

教会内部を通り過ぎ、一つの部屋に入る。

きっと、神父か家族の誰かが使っていた部屋。

この部屋だけは、扉も修繕され、中に電気が通っていた。

 

カルマ・リーが中に入り、俺を抱えた秦良玉も入る。

中も掃除されていて綺麗だった。

ソファとテーブル。小さな冷蔵庫、テレビ、ラジオ。無骨な無線機。

清潔なベッド。

 

秦良玉は俺をベッドに寝かせると、カルマ・リーにベッドの柵で両手を拘束された。

その間も秦良玉の息は荒かった。

 

「ここまでやるかね」

 

俺は軽口を叩いてみせた。

虚勢であった。

 

「ふふ、あなたが暴れて怪我したら大変だもの。上の人間からは【損傷】なく連れてこいって言われてるもの」

「中国の、聖遺物研究所か」

「ええ。私はそこの研究員兼実験部隊隊長ですもの」

「俺は捕らえられた実験動物という訳だ」

「とびきり稀少な、ね」

「で、そこの秦良玉に何をした?」

 

カルマ・リーはソファに腰掛けた。

シンフォギアのマイクユニットを、弄んでいる。

 

「私が使った令呪は2画。一つは『欲望を抑えるな』。もう一つは『死ぬまで少年を愛せ』と命じたわ」

「なんで、そんな命令を」

「愛、よ」

「は?」

 

突然、ウェル博士みたいな事を言い出した。

 

「人間は、愛ゆえに躊躇いなく行動する事ができる。殺人、窃盗、自己犠牲。忌避する行いを、躊躇いなく」

「……それで?」

「私は、我々の任務はあなたを捕らえて研究所に引き渡す事。その為に、この聖杯戦争に参加した」

 

聖杯戦争への参加は、二課の目を欺くためのもの。

聖杯には最初から目を向けていなかった、ということか。

目的は最初から、俺だった。

 

「神秘のベールに覆われた聖遺物。その聖遺物を使ったシンフォギア。研究所、ひいては軍部はそれを求めている。作り方、装者の適性。それらを調べて自分たちの手でシンフォギアを作り上げるために」

「狙いは俺と、シンフォギアかよ。で。それが秦良玉に令呪使ったことと、なんの関係が?」

「私たちの戦力は、二課の通常戦力とは拮抗出来る。でも、風鳴弦十郎やシンフォギアには敵わない。あなた達に勝てる戦力が必要だった」

「……秦、良玉」

「そうよ、サーヴァントランサー。彼女の力が必要だったのよ」

 

でもね、カルマ・リーはそう続けた。

 

「良(リャン)は私達の計画を拒否した。当然よね、彼女は高潔な武人。子どもを攫うなんて汚れ仕事は彼女の嫌うところ」

「それで、令呪で言うこと聞かせたと?」

「ただ、命令を遵守させるだけでは駄目。自らの意思で命令を遂行させないと、本来の力は発揮しないわ」

「それで、愛か」

「ええ、そうよ。あなたがなかなかの美男子で助かったわ」

 

そう言うと、立ち上がりベッドまで近付いて俺の頭を撫でるカルマ・リー。

 

「良(リャン)はよく働いてくれたわ。目くらましで別の参加者と戦い、わざと負けてくれたり」

「……」

「でもね。その代わりに、彼女はあなたを求めている」

「……おい、まさか!」

「ふふ、良かったわね坊や。こんな美人のお姉さんがハジメテの相手になってくれて……」

 

クスクスと笑いながら、ソファまで戻るカルマ・リー。

代わりに、それまで入り口に控えていた秦良玉が近づいてくる。

全裸だった。

白い肌。

しなやかで女性的な筋肉に覆われた身体。

ハリのある乳房。

淡い色の乳輪。

引き締まった腰。

黒ぐろとした陰毛に包まれた局部。

それらを惜しげもなく晒していた。

 

「うおおおぉぉぉおおお!!????」

「はぁ、はぁ。マスター、もう良いですか?」

「ええ、もう良いわよ」

「待て待て!まだ聞きたいことがある!!そうだ!俺をここまで攫ったのはどういう方法だ!!」

 

俺は必死だった。

時間を稼がなければ、俺の何かがアブナイのだ。

 

「ふふ、照れちゃって」

「いいから!」

「私は聖遺物研究所の研究員よ。異端技術の一つや二つ習得しているわ。あなたをここまで攫ったのは【縮地】という技術よ」

「縮地!?仙術のか!?あー、触らないで!ズボンを脱がすなァ!」

「ふふふ、そうよ。私達【第七聖遺物実験部隊】は皆仙術を習う道士なの」

「部隊全員道士なのか!?」

 

だからソウカイシンジケートもとい飛騨忍群と戦う事が出来たのか。

 

「だが二課の面々もパヴァリアも無能じゃない!必ずここを突き止めるぞ!だからこんなことさせてる場合じゃない(震え声)」

 

俺は服を脱がそうとしてくる秦良玉に抵抗しながら叫んだ。

 

「問題ないわ。彼らにはコレ込みで時間稼ぎの作戦に当たって貰ってるし、ここは結界張ってバレないようにしてるもの。もし、侵入してきても、また縮地で逃げればいいわ」

 

そう言いながら、冷蔵庫からアイスを取り出すカルマ・リー。

マイクユニットはテーブルの上に置かれていた。

 

「ふぅ。未熟者だから、縮地一回でバテるのが弱点ね。……良(リャン)、後で変わって頂戴。房中術で気を搾り取るわ」

 

房中術。

いわば性行為である。

仙人の修行法の一つで、男女和合は陰陽思想に通じるという考え方だったか。

 

「ふふ、私もね。あなたみたいな子は大好きなの」

「主従揃ってショタコンかよぉ!!!」

「いいじゃない。ここで楽しんでおきなさい。どうせこの後、あなたは研究所で地獄のような日々を送ることになるのよ」

「……ッ!」

 

研究所。

シンフォギアの技術を学び盗まんとする者たち。

おそらく、俺もあらゆる実験に酷使されて、使えなくなったら全身を切り裂かれ腑分けされ、ホルマリン漬けにされるのだろう。

このまま、連れて行かれたならば。

 

「ハァハァ。さぁ姐姐(ジィエジィエ)と猥褻前後しましょう」

 

パンツを脱がせようとする秦良玉に抵抗しながら(スボンは脱がされた)、俺は考える。

 

研究所に連れて行かれない為には、時間を稼がなくてはならない。

二課か、パヴァリアの誰かが助けが来るまでに。

 

最悪、そう最悪の手段ではあるが、方法はある。

 

カ(・)ル(・)マ(・)・(・)リ(・)ー(・)と(・)秦(・)良(・)玉(・)を(・)コ(・)マ(・)せ(・)ば(・)良(・)い(・)の(・)だ(・)。

 

房中術を会得しているカルマ・リーはなかなか手強そうであるが、令呪でムラムラしきっている秦良玉ならば可能性は高い。

チンチンで屈服させて、もっともっと頂戴と、依存させてやれば良いのだ!

 

俺にはそれが出来る。

前世でハーレムを築いて、沢山の女性を妻としてきた俺ならば。

ハーレムを長続きさせるには、夜の技術も必要なのだ!

 

でも。

俺の頭に浮かぶ三人の女の子。

月読調。

マリア・カデンツァヴナ・イヴ。

セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 

奇しくも、この世界で恋人になった女の子たち。

俺の愛する恋人たち。

 

今世では、未だ俺は童貞である。

出来る事なら、俺の貞操はこの恋人たちに捧げたい。

特に童貞は、俺を初めて好きになった、俺がこの世界で初めて好きになった調ちゃんに……。

 

だが。

だが、このまま研究所に送られ二度と会えなくなるくらいなら。

我が貞操、ここで散らすも仕方なし───

 

「やっと、大人しくなりました、ね───む!」

 

 

 

■■・■・■による襲撃の対応ダイス【1D10】

(5以上なら成功)

 

渡 一鳴【拘束されていて、対応出来ない】

カルマ・リー【9】

秦良玉【9】

 

 

 

扉が吹き飛ぶ。

そして、何かの群れが部屋になだれ込む。

 

「ハイヤーっ!」

 

カルマ・リーが叫ぶ。

部屋に侵入した群れを掌底で吹き飛ばしている。

……強い。

弦十郎さんに少し劣るかもしれないが、それでも十分な力量の戦士だ。

 

「甘いっ!」

 

いつの間にか、戦装束に身を包んだ秦良玉が白杆の槍で襲撃対応。

 

だが、一体。

二人の暴力から逃れた何かが俺のベッドに向かう。

それは、ヒトデめいた怪物。

ジル・ド・レの操る海魔だ。

話は聞いていたものの、醜悪な怪物である。

 

その怪物が、俺のベッドを持ち上げ、壁に叩きつけた。

 

「グワーッ!」

 

壁とベッドに挟まれて、俺はダメージを受けた。

 

「一鳴きゅん!!」

「良(リャン)!集中して!まだまだ来るわよ!」

 

グチャァ!

という音を響かせながらカルマ・リーが叫ぶ。

ベッドを持ち上げた海魔を潰したのだろう。

ベッドの残骸の中、俺は悶える。

そして、気付く。

ベッドが破壊されたことで、俺の拘束が解けていた。

 

こっそり、残骸の中から二人を覗き見る。

二人は、海魔との戦いに集中している。

海魔は多数。

現状は互角の勝負。

この後、どう転ぶかはわからないが、二人は俺の方に気を向けていない。

 

チャンスだ。

 

二人の目をかいくぐり、シンフォギアのマイクユニットを取り戻す、チャンス。

テーブルは倒れてマイクユニットは床に転がっている。

 

ここを逃せば、俺は二度と清い身で調ちゃんやマリアさん、セレナちゃんの元には帰れない。

男を見せる、時が来たのだ。




性癖だけじゃなくてダイスの出目も同じとは、ランサー主従は仲が良いな(震え声)
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