転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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最近、モルカーが愛おしくて仕方がない。
モフモフで、心優しくて、純粋。
可愛いなぁ。



第五十二話 オートスコアラー・スクランブル⑥

 

「阿礼星乃女史の居場所が判明した」

 

弦十郎さんが開口一番、そう言った。

6時間ほど前、ミカちゃんたちが青騎士を倒してチップを回収。

四騎士のチップが揃った事で、阿礼星乃の囚われた場所が判明したのであった。

 

「どこなんです?」

 

と、聞く。

 

「レイレナード日本支社だ」

 

レイレナード?

なんか、聞いたことあるような……。

記憶の彼方、前世で聞いたことあるぞ……?

あーまーど、こあ?記憶が霞んで、よくわからない。

 

「レイレナード?」

「ああ。カナダに本社を置く重工業系の企業でな。特にエネルギー系に強い企業だ。日本でも車のバッテリーや工業機械のジェネレータを作っている。あとは、義手や義足。ロボットアームなどを製造している企業だ」

「なるほど」

 

なにやら凄い企業らしい。

 

「そして、パーフェクトソルジャーの義体を作る企業の一つだ」

 

と、八紘さん。

 

「パーフェクトソルジャーの?」

「ああ。アメリカのパーフェクトソルジャーは主に投薬によって筋密度と骨格の増強、感覚を強化されている。

だが試験的に人工筋肉の移植や神経の光ファイバー化など機械的な強化、すなわち義体化によるパーフェクトソルジャーも少数作られていたらしい。

その義体を作っていた企業の一つがレイレナード社だったらしい」

「八紘兄貴。それじゃあ」

「ああ。例の聖遺物を持ち帰った部隊、レイレナード社が義体を作っていた部隊だったらしい。しかも、技術士官としてレイレナード社の技術者も出向していたようだ」

 

八紘さんが資料を見ながら言う。

そこに、キャロルちゃん。

 

「つまり、そいつらがオレのシャトーに盗みに入って自動人形の技術や聖遺物を持ち帰ったのか」

「そして、その技術で自動人形を大量生産した、と」

 

自動人形の技術は便利である。

彼ら彼女らは人間の代わりに働き、また兵士の代替としても期待できる。

だけど、レイレナード社はなぜそれをわざわざコチラに知らせるようにしてきた?

正月三が日にわざわざ1000体もの自動人形を見せ、新生の四騎士という強力な自動人形の存在を知らせ、そしてわざわざ四騎士たちを単騎で戦わせた?

四騎士全員で掛かれば、いや、そもそも青騎士単騎をあの時戦わせれば俺もキャロルちゃんも敗北していた筈。

それに、阿礼星乃を攫い、その居場所のヒントを新生の四騎士の頭部のチップに隠したのは何故?

一つの企業が、わざわざそんな真似をした理由は?

それは恐らく……。

 

「誘われておるな」

 

と、訃堂司令。

 

「……ですよね」

「うむ、一鳴くん。恐らく、我らがレイレナード社に辿り着くこと自体は想定内なのだろう」

「何か目的なのでしょう」

「わからぬ。だが、確実にレイレナード社は罠を仕掛けておる」

 

レイレナード社が罠を仕掛けているのなら。

その罠を無視するか、罠ごと全てぶっ壊すのが一番である。

が。

 

「レイレナード社に阿礼星乃と菊江さんが捕まってるのよね……」

「うむ……」

 

訃堂司令が唸る。

この世界で、聖杯戦争を引き起こした魔術師にして全身を完全な機械に変換された阿礼星乃と、その従者である菊江さん。

二人がいるから、その罠を無視することも壊す事も出来ないっていうね……。

 

「とにかく、行くしかありませんねぇ」

「仕方ないか……」

 

俺の言葉に、ため息混じりに同意するキャロルちゃん。

 

「そう言えば、ミカちゃんはどうなったの?」

 

6時間ほど前、青騎士相手に焼身して勝ったミカちゃん。

全身焦げて帰ってきたけれど、直ったのかしら。

 

「エルフナインがここに詰めてたからな。一緒に直した。今はエルフナインと共に最終チェック中だ」

「そう、良かった」

「内装も外装もそう取っ替えだったがな」

 

深いため息のキャロルちゃんであった。

 

「だが、ミカちゃんが居るのなら」

「ああ。レイレナード社への突入もオートスコアラー全員で臨める」

 

訃堂司令と弦十郎さんがそう言い合う。

 

「そういえば」

「ん、どうした一鳴くん」

「そのレイレナード日本支社ってどこにあるんです?」

 

俺はその日本支社の住所を知らなかった。

教えてくれたのは八紘さんだった。

 

「ああ。東京湾に浮かぶ人工島だ。……ちょっとびっくりする見た目だぞ」

 

 

 

◆

 

 

 

レイレナード日本支社の外観は、大きく口を開いた二枚貝である。もしくは、雀を捕まえる為のカゴか。

その上のフタだかカゴは、つっかえ棒のように十数本の支柱で支えられている。

力学的に、支柱を8本折れば社屋は完全に崩壊するとか。……普通のビルじゃ駄目だったのかしら。

ちなみに、カナダのグレート・スレーブ湖に浮かぶ本社も同じデザインだとか。

欠陥住宅じゃないか!

 

そんなレイレナード日本支社は東京湾に浮かぶ人工島に作られている。

外から見える脆弱な部分はオフィスが入っているらしい。そして地下部分が研究施設だとか。

阿礼星乃と菊江さんが囚われているのは、その地下施設の可能性が高いとのこと。

なので我々は日本支社の地下に突入しないといけない訳なのだが……。

 

「……出迎えどころか、警備もないとはな」

 

ヘリから降りたキャロルちゃんがダウルダヴラのファウストローブを纏い、警戒する。

 

「あからさまに罠だね」

 

時刻は夜。

日本支社は夜闇に包まれている。

二枚貝の内側には、社員の送迎の為のヘリコプターが停められている。その中に巨大な影。

輸送用大型ヘリコプター、STORKだ。

このヘリコプターで、阿礼星乃をトラックごと攫ったのだろう。

 

「入口、ありましたわ」

 

先行していたファラが地下への入口を見つけたらしい。

 

「ロックは?」

「派手に施錠されていない」

 

レイアが扉を開ける。

非常灯の灯りと、下に続く階段。

罠も何もない。

 

「私達が先行しますわ」

「マスターと一鳴はその後で。ガリィ、ミカ。殿は頼むぞ」

「はぁい」

「わかったゾ!」

 

レイアが言ったとおり、戦闘にファラとレイア。殿にガリィとミカちゃん。

そしてその間に俺とキャロルちゃん。

そんな順番で地下に進む。

 

「…………」

「…………」

 

無言で進む。

何があってもいいように。

だが。

何も起こらない。

起こらないまま、階段が終わり、長い廊下。

 

「……みんな逃げ出した後かな」

「いや、それは無いはずだ」

 

キャロルちゃん曰く。

青騎士からチップを抜き出して解析、阿礼星乃が囚われたのがレイレナードだと判明した後すぐから、レイレナード日本支社の監視を黒服さんたちがしていたらしい。

そして、黒服さんたちが見ていた限り、阿礼星乃を護送した様子が無かったらしい。

 

「だからまだ、阿礼星乃はここに居る筈なんだがな」

「なるほど」

「マスター、また扉ですわ」

 

ファラの見る先。

長い廊下の突き当りにその扉はあった。

 

「開けますわよ」

 

その突き当りに歩を進めて。

ファラが扉を開ける。

その横でレイアが硬貨をすぐ撃てるように構える。

 

金属が擦れる音がして、扉が開かれる。

 

「これは……」

 

扉の先には暗く冷たい空間。

どこまでも機械的で、気温も湿度も空気の流れさえ管理された空間。

それが扉の先の空間。

数キロ四方の、柱や壁など隔てる物のない広い空間に、それは立っていた。

 

流線的な、スポーツカーのような胴体。

細見で鋭い手脚。

肩は排熱機関のような、複数の板が縦に並べられた部位。

そして、その顔はカラスのように尖り、眼は右眼と左眼が繋がったラインアイ。そのラインアイは複眼で、多数の眼が紅く光る。

機械だ。

黒い機械人形。

 

その機械人形の眼は。

こちらを見ていた。

 

「新たな、自動人形……か?」

 

キャロルちゃんが警戒する。

その前に、オートスコアラーの四人がキャロルちゃんを守るように展開。

俺も、大戦輪を構える。

 

「ザザッ……遅かったじゃないか」

 

機械人形がノイズ混じりに語りかける。

 

「何者だッ!」

 

キャロルちゃんが問い掛ける。

 

「ザザ……、私は、いや名前はもう無い。

……アリーヤ。これがこの躯体の名前だ」

 

アリーヤ。

ああ。俺はそれを知っている。

国家解体戦争。リンクス戦争。レイレナード。ORCA旅団。アーマード・コア、ネクスト。

 

それは、前世のロボットゲームに出てきた名前だ。

人間大の、大きさではなかったはず。

それよりなにより。

 

「かつては名前があったような言い方だな」

「ああ。私はかつて人間だったのさ」

 

あれは人が乗るもので、機械に人間の意識を押し込めるようなモノでは無かったはず……!

だが。

俺は、似た存在を知っている。

 

「阿礼星乃は、あんたを作る為に攫ったか!」

「そうだ」

 

俺の指摘に、アリーヤは頷く。

阿礼星乃。

元々、肉体の数割は義体化していた女性。だが、彼女と手を組んだ神霊エイワズが彼女を完全なる機械の身体に変えた。

人でありながら、機械の身体に。

機械の身体の中に、人の精神を。

 

「ザザッ……、安心しろ。彼女は無事だ。

だが、レイレナードの研究者は彼女を徹底的に研究した。そして、人の精神や魂、そう呼べるものを機械に移すことに成功したのだ」

「……なんという」

 

キャロルちゃんが呻く。

彼らのやった事は、あまりにも道に外れている。

 

「その技術の一部には、キャロル・マールス・ディーンハイム。貴女の記憶転写技術が役に立ったと聞いている」

「やはり……ッ! チフォージュ・シャトーからオレの技術を盗み取ったな!!」

 

キャロルちゃんの怒りを受けてなお、アリーヤは動じず。

ただ、淡々と語りだす。

 

「……私はかつて、アメリカのパーフェクトソルジャーの一人だった」

「……ギリシャに行ったのか?」

「ああ。地獄だった。ギリシャの地を踏むまでに部隊の4割が死に、作戦遂行中に9割が死んだ」

「…………」

「地獄だ。神に逆らった罰がああなら、納得がいく」

 

ただ、淡々と語る。

 

「だが、運命は我らを見捨てなかった。いや、或いは悪魔か。神の撃つ矢に追われた我々は、ある遺跡に逃れたのだ。神の雷に撃ち落された、空浮く孤城。貴女の城だ」

「その時、見つけたのだな。自動人形の技術と、オレの記憶転写技術。そして、聖遺物を……ッ!」

「ああそうだ、キャロル・マールス・ディーンハイム。我々は君の技術を密かに持ち帰った。君の聖遺物をほとんどアメリカに差し出したから、文句は言われなかったよ」

 

アリーヤはただ淡々と語るのみだ。

 

「なんとか帰ってきた我々は、1つの思いがあった。神の打倒だ」

「神の、打倒……」

「ああ。ギリシャの神々は恐ろしい。アポロンとアルテミスの矢は我らを穿ち、ゼウスの雷はすべてを壊した。

───なら、我々人類は神に敗北していくだけなのか?」

 

この時初めて、アリーヤは感情を出した。

 

「否!我らには智慧がある。技術がある!その力でもってすれば、神をも打倒出来るはずだ!」

「だから、貴様を生み出したか?」

 

キャロルちゃんが聞く。

 

「ああ。そうだ。完全なる機械。無駄のない兵器。ここまで変わり果てて、ようやく我々は神を打倒出来る」

「哀れね……」

 

ファラがそう呟く。

 

「そうかもしれん。だが、もう後には引けないのだ。私も、彼らも」

 

神の恐ろしさを知ったから、そうアリーヤは呟いた。

 

「…………最終試験を開始する」

 

アリーヤがそう言うと、ブザーが鳴る。

と、同時にアリーヤの背後の床から、壁が現れる。

壁にはいくつかの武器が掛けられている。

 

「戦闘モード起動」

 

アリーヤが壁から武器を取る。

右手に角ばったライフル。

左手には尖ったライフル。

壁から伸びたロボットアームが、アリーヤの背中にキャノン砲を接続する。

 

アリーヤが武装すると、壁が下がっていく。

 

「試験内容は、シンフォギア及びキャロル・マールス・ディーンハイム及び終末の四騎士との戦闘」

 

アリーヤの複眼が光る。

 

「私を倒してみせろ。そうでなければ、阿礼星乃を助ける事は叶わないぞ」

「全員来るぞッ!」

 

キャロルちゃんが叫ぶ。

アリーヤが背中のブースターを吹かして突撃してきたのは、ほぼ同時であった。

 

 

 

一鳴&キャロル&オートスコアラーVSアリーヤ【1D10】

(6人の合計値VSアリーヤ)

 

一鳴【7】

キャロル【8】

レイア【3】

ファラ【3】

ガリィ【5】

ミカ【4】

 

アリーヤ【6】+30(性能補正)

 

 

 

アリーヤが加速しながら両手のライフルを構える。

銃口が光り、弾丸がレイアとファラを撃ち抜いた。

 

「ガッ……!?」

「な……ッ!?」

 

弾丸はレイアとファラの胴体を貫き、アリーヤがその脇を通り抜けた。

レイアとファラが倒れる。

 

「レイア!ファラ!!」

「マスター!」

「お逃げを!」

 

レイアとファラが地に伏せると同時に叫ぶ。

アリーヤが大きく弧を描くように、戻ってくる。

疾い。

アリーヤの姿が残像のようにしか見えない。

光を残して駆ける、黒い残像だ。

 

「ヤッバ、なにあの速さ!?」

 

ガリィが慄く。

 

「ガリィ怯むな!来るぞ!」

「わかってますよマスタァ!」

 

アリーヤがガリィに向かって加速。

ガリィは氷の矢を形成、アリーヤに向かって撃つ。

それをアリーヤは肩につけられたブースターを吹かして横っ飛びに回避。

クイックブースト……!

 

「そこだゾ!」

 

ミカちゃんが高圧縮カーボンロッド射出!

ブースト後の隙を狙ったのか。

だが。

アリーヤは先程とは反対側の肩ブースターを吹かして回避。

そして。

アリーヤが引き金を引く。

銃弾の一つはガリィの肩に、一つはミカちゃんの左腕を撃ち抜いた。

 

「ガリィ!ミカ!」

 

キャロルちゃんが叫ぶ。

二人が倒れる。

 

アリーヤが倒れつつある二人の頭部に銃口を向ける。

弾丸が放たれる。

だが、その弾丸が二人の頭部を破壊する事は無かった。

 

「間に、合った……ッ!」

 

俺は、密かに腰部アーマーから小型戦輪を射出。

アリーヤの弾丸を弾いたのだ。

 

「……ほう」

 

ノイズ音混じりの声。

アリーヤの物だ。

 

「オリジナルの自動人形と聞いていたのに弱いと思っていたが、シンフォギアの方は中々やるな」

「そりゃどうも!」

 

そう言いながら、小型戦輪を操りアリーヤに向かわせる。

その数10。

アリーヤを囲むように配置し、射出。

 

「甘い」

 

アリーヤはそう言うと、両手を伸ばしてその場で回転。

同時に銃弾発射。

クルクル回りながら小型戦輪たちを撃ち落としていく。

 

「そこだッ!」

 

一瞬の隙を突き、キャロルちゃんがダウルダヴラの糸をアリーヤに巻き付かせる。

関節に絡まり、アリーヤの動きが止まる。

 

「いまだ一鳴ッ!」

「了解!」

 

キャロルちゃんの意図を汲んで、大戦輪を構えてアリーヤに突撃。

大戦輪を振りおろそうとするが……。

 

「哀れだよ。炎に向かう蛾のようだ」

 

アリーヤがブースト点火。

と、同時に糸で繋がっていたキャロルちゃんが引きずられる。

アリーヤがキャロルちゃんを振り回す。

遠心力で加速したキャロルちゃんが俺にぶつかってくる。

俺は咄嗟に戦輪を捨てて、キャロルちゃんを受け止めるが……。

 

「うわああああ!」

「ぐえっ」

 

衝撃は殺しきれず。

糸が切れたキャロルちゃんもろとも壁に激突してしまう。

 

「うぅ……、すまん」

「キャロルちゃん、無事?」

 

キャロルちゃんを受け止めて、壁に対してクッションになったけれど、キャロルちゃんに何かあったら大変である。

 

「ああ。……アイツ、ヤバイぞ」

「うん」

 

アリーヤ。

ヒトの目に止まらぬ速度、力。

精密動作。

人を捨て、機械の身体、兵器となった戦士。

強い。

ただシンプルに強い。

 

「キャロルちゃん」

「なんだ」

「もう一度。5秒だけ、アイツの動きを縛れる?」

「……やる気か」

「うん」

 

キャロルちゃんは察したようだ。

アイツに勝つためには、俺が絶唱するしかないのだと。

キャロルちゃんは唇を噛む。

 

「……ごめんね、気使わせて」

「……ッ!うるさい!…………やるからには、成功させろ」

「ウィ」

 

俺とキャロルちゃんは立ち上がる。

 

「作戦会議は終わったか」

「ああ」

「反撃じゃ!」

 

アリーヤが銃口を向ける。

 

「ガリィ!」

 

キャロルちゃんが叫ぶ。

倒れていたガリィが起き上がる!

 

「はぁいマスタァ!」

 

ガリィが右手をアリーヤに向ける。

銃口が凍る。

 

「……む」

 

アリーヤの攻撃は封じられた。

一瞬だけ。

 

「ならば」

 

背中のキャノン砲をこちらに向ける。

即座に発射。

一瞬の光。

レーザーか!

 

「散開!」

 

俺とキャロルちゃんは別々に逃げる。

アリーヤが狙うのは、俺か。

レーザー砲がこちらを狙う。

当たれば大ダメージは必至か。

だが。

 

「ミカ!」

 

キャロルちゃんが叫ぶ。

 

「わかったゾ!」

 

倒れていたミカちゃんが高圧縮カーボンロッド発射。

アリーヤは回避行動。

レーザー砲発射中止!

 

「ファラ!レイア!」

「わかりましたわ!」

「了解!」

 

胴体を撃ち抜かれた筈のファラとレイアが上体だけ起こす。

ファラは風で、レイアは硬貨でアリーヤを狙う。

 

「…………」

 

アリーヤは最低限のブースト移動で回避。

だが。

一瞬、隙が出来る。

 

「ここだッ!」

 

キャロルちゃんの錬金術。

アリーヤの脚に集中攻撃。

 

「む……ッ!」

 

アリーヤが怯む。

 

「一鳴ィッ!」

 

キャロルちゃんが叫ぶ。

ここが、勝負どころだ!

 

「

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl

」

 

絶唱。

シンフォギアのリミッターを解除し、聖遺物のエネルギーを限界を超えて出力する。

溢れたエネルギーが、炎と変わり俺を包む。

 

「なんだ……ッ?」

 

アリーヤが初めて慄いた。

ブーストを吹かして距離を取ろうとする。

 

「逃さんッ!」

「一斉攻撃で!」

「派手に動きを止めるッ!」

「いい加減倒れなさいよッ!」

「終わりだゾ!」

 

キャロルちゃんとオートスコアラーたちが攻撃してアリーヤを釘付けにする。

 

「そこだァァァァァア!!!」

 

俺はアームドギアを盾のように構える。

アームドギアが高速回転し、炎が溢れる。

そして。

絶唱のエネルギーが最大限に至り。

アームドギアから炎の奔流が放たれる。

それは、太陽のプロミネンス。

5000度から10000度に及ぶ、超高温の焔。

その紅炎がアリーヤに迫る。

 

「な……ッ!」

 

藻掻こうとしたアリーヤだが、紅炎に呑まれて動きが止まる。

金属の装甲が熔ける。

関節が熔けて固まる。

電子回路が燃える。

義体が、焼ける。

 

「ア─────!!!?」

 

アリーヤが叫ぶ。

しかし、熔けた身体では動けない。

燃えた身体では逃げられない。

そのまま、アリーヤはただの熔鉄と変わる。

 

「──────…………」

 

アリーヤは機能停止した。

プロミネンスが消えていく。

アームドギアの回転が止まる。

溢れるエネルギーが消滅していく。

 

 

 

絶唱のフィードバック【1D6】

 

1 軽度

2 軽度

3 重度

4 重度

5 重度

6 瀕死

 

結果【2】

 

 

 

「……ぐふっ」

 

俺は吐血した。

絶唱のフィードバックが身体にダメージを与えたのだ。

身体がふらつくが、倒れる程のダメージではない。

……我ながら、頑丈やね。

 

「一鳴ッ!」

 

キャロルちゃんが駆け寄る。

そのまま俺の身体を支える。

 

「キャロルちゃん」

「平気か?」

「うん、大丈夫。ダメージはあるけど、思ったより平気」

 

俺はキャロルちゃんの身体にもたれかかる。

 

「重くない?」

「そんな事、お前が気にするな」

 

キャロルちゃんはそう言ってくれる。

嬉しいね。

 

「今本部に連絡する。阿礼星乃はこっちで保護しておくからお前は休め」

 

そう言って俺を座らせるキャロルちゃん。

そんな時。

 

「その必要はないわ」

 

と声。

声の方を見ると、金属製の台車に乗せられた頭部と胴体だけの機械人形。

阿礼星乃だ。

その台車を押すのは従者の菊江さん。

 

「阿礼星乃か?」

「ええ」

「先程、部屋のロックが外れたので逃げ出してきたのです」

 

との事だった。

 

「それにしても、ボロボロね」

 

星乃がアイカメラを光らせて俺たちを見る。

 

「アンタたちを助ける為にね」

「ありがとうございます、皆様」

「別に頼んでないわ」

「星乃様!またそのような言い方を……」

 

まあ星乃はそう言うのも仕方ないけどさ。

 

「それに、まだ終わってないわよ」

 

と、星乃。

 

「どういう事だ?」

 

と、キャロルちゃん。

 

「アリーヤは確かにレイレナード日本支社の最高傑作。でも、まだ完成していない」

「なに?」

「アリーヤは叩き台って事よ」

 

星乃は語る。

 

「アリーヤは異端技術と、レイレナードの研究者の知恵をかき集めて作られているわ。でも彼らはそれだけで神に勝てるとは考えなかった。必要なのは経験だと考えた」

「経験?」

「そう、戦闘経験」

「───まさか」

 

嫌な、予感がした。

 

「アリーヤの使命、それは貴方たちとの戦闘経験を得ること。貴方たちを観察し、対策を組み、戦闘アルゴリズムを作ること」

「……ッ!?」

「そしてレイレナード日本支社の目的はそれをレイレナード本社に送信すること。レイレナードはね、更なる強さを得たアリーヤを量産するつもりよ」

 

最悪だ。

戦いはまだ終わっていない。

むしろここから本番だ。

 

「阻止は!?」

「可能よ。ここのネットワーク施設を破壊すれば阻止できるはず。戦闘経験のデータは膨大。まだ、間に合うわ」

 

星乃がそう言うと、キャロルちゃんは駆け出す。

 

「ミカ、ガリィ!来い!」

「わかったゾ!」

「はぁ〜い。超過労働分の報酬、2課からふんだくってやるんだからぁ!」

 

ミカちゃんは左腕、ガリィは肩を撃ち抜かれただけなのでまだ動ける。

だが、ファラとレイアは胴体を撃ち抜かれているので待機と言うことか。

そして、絶唱でまともに戦えない俺も……。

 

「キャロルちゃん、頑張って!」

「仕方ないが、オレがなんとかする。お前たちはここで待っていろ」

 

そう言って、元来た道を駆けていくキャロルちゃん。

その後ろに続くミカちゃんとガリィ。

 

「マスター、ご武運を」

 

レイアの言葉が、部屋にこだました。

 

 

 

◆

 

 

 

地上を目指すキャロルは本部に事の次第を連絡していた。

2課はすぐに行動を開始した。

 

「藤尭!ここからデータ送信、阻止できるか!?」

「……、……ッ!駄目です!ファイアウォールが強固過ぎるッ!」

「キャロルちゃん、ネットワーク施設の場所は送信したわ!」

「スマン、友里!」

「すぐに実働部隊に連絡!レイレナード日本支社に強行査察を!」

 

藤尭はレイレナード日本支社にハッキングを仕掛け、友里はネットワーク施設の場所をキャロルに教えた。

八紘は現場にいる黒服実働部隊に連絡し、レイレナード日本支社を制圧しようとした。

だが……。

 

「……どうした?」

 

八紘に実働部隊から連絡が入る。

 

「無数の自動人形だと!?」

 

レイレナード日本支社敷地内から、無数の量産型自動人形が現れて、上陸しようとしていた実働部隊を襲撃していた!

 

「キャロルくん!」

 

弦十郎の叫び。

 

「聞こえていたッ!」

 

キャロルが返す。

 

「手はあるッ!実働部隊を下がらせろ!」

「……なにッ!?」

「危ないから下がらせろと言ったんだ!」

「……わかった」

 

八紘はキャロルの言う通り、実働部隊を一時下がらせた。

 

「キャロルくん!」

「よし」

 

キャロルは地上目指して走る。

走りながら、命(・)じ(・)た(・)。

 

「よし、出番だッ!」

 

キャロルは命じた。

5番目の自動人形に。

 

海が荒れる。

波が起こる。

夜の暗い海から、巨人が現れる。

癖のある髪。顔と手足を包帯で隠した巨躯の自動人形。

レイアの妹だ!

 

「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

レイアの妹は雄叫びを上げる。

そして、レイレナード日本支社上の自動人形を薙ぎ払う。

文字通り、薙払った。

 

「よしッ!」

「おおー、すごいゾ!」

「大迫力ねぇ〜」

 

丁度、地上に辿り着いたキャロルたちがその光景を見た。

 

「よし、ネットワーク施設を破壊するぞ!」

「わかったゾ!」

「さっさと終わらせましょマスタァ!」

 

その3人を囲むように、量産型自動人形が現れる。

その自動人形たちを更に倒そうと、レイアの妹上陸。

レイレナード日本支社は戦場と化した。

 

 

 

2課VSレイレナード日本支社【1D10】

 

キャロル【2】

ガリィ【8】−2(アリーヤ戦でのダメージ)

ミカ【3】−2(アリーヤ戦でのダメージ)

レイアの妹【7】×10(大きさ補正)

 

量産型自動人形軍団【5】×10(数補正)

 

折れた支柱の数【7】(8本以上で……)

 

 

 

「■■■■■■■■■■■ッ!!」

 

レイアの妹が並み居る量産型自動人形軍団を薙ぎ払う。弾き飛ばす。粉砕する。

 

「もうあの子一人でいいんじゃないですかぁ?」

 

ガリィが遠い目をしてその光景を見る。

 

「そんな訳あるかッ!」

 

キャロルが叱りながら量産型自動人形軍団を燃やす。

 

「バラバラだゾ!沢山バラバラだゾ!!」

 

ミカもカーボンロッドで殴って進む。

 

「……あ、支柱折れた」

 

レイアの妹の腕が当たり、レイレナード日本支社の支柱が一本折れる。

 

「……あった!ネットワーク施設!」

 

キャロルがネットワーク施設に辿り着く。

しかし。

 

「流石に容易くやらせんかッ!」

 

量産型自動人形軍団が邪魔をする。

 

「邪魔だゾ!」

 

ミカが薙ぎ払う。

しかし、自動人形たちの数は多い。

 

「もろともやれッ!」

 

キャロルがレイアの妹に命じる。

レイアの妹が腕を振り上げ……。

 

「■■■■■!!!」

 

一気に振り下ろした。

量産型自動人形軍団ごと、ネットワーク施設破壊!

 

「よしッ!」

「やったゾ!」

「……あ、支柱7本折れてる。確か、8本折れたら建物倒壊とか、言ってたわねぇ」

「■■■■■■■■■!」

 

勝利の雄叫びをあげるレイアの妹。

そこに2課から連絡。

 

「キャロルくん!こちらも社内の制圧を完了した!」

 

戦闘に紛れて実働部隊が上陸、密かに社内に残ってた者たちを拘束した。

 

「これで、今度こそ終わりですかぁ?」

 

ガリィがボヤく。

 

「ああ。ご苦労だった」

 

弦十郎がそう言う。

アリーヤの戦闘経験データの送信は中止され、レイレナード日本支社社員は拘束された。

事件は無事、解決である。

 

 

 

◆

 

 

 

と言う訳で今回のオチ。

 

レイレナードの野望は頓挫した。

社の命運を賭けて作られたアリーヤは破壊され、その戦闘経験データは蓄積されることは無かった。

今回の一件を計画した日本支社の社員は軒並み逮捕され、阿礼星乃と従者の菊江は無事救出された。

 

その後、阿礼星乃と菊江は事情聴取の後、再び深淵の竜宮に送られた。

訃堂司令や弦十郎さんも再三説得したのだが、

 

「もう、俗世に興味はないわ」

 

と、けんもほろろに断られたのだという。

菊江さんも、

 

「星乃様を一人にはしておけませんから」

 

と、同行した。

二人は今、海底の奥底で穏やかに暮らしている。

 

 

 

いい事もある。

今回の一件で、レイレナード社がチフォージュ・シャトーから持ち出した技術を2課がサルベージ出来たのだ。

その中には記憶転写技術とホムンクルス製造技術があったのだ。

これで、ノーブルレッドの3人を人間に戻す事が出来るようになったのだとか。

その技術を形にする為には時間が必要らしいが、それでも喜ばしいことだ。

 

喜ばしいことはもう一つ。

終末の四騎士、ファラ、レイア、ガリィ。そしてレイアの妹が2課の職員として働くことになった。

もっとも、普段はキャロルちゃんの護衛として研究室に詰めるらしいが。

それでも、オートスコアラー四騎が揃ってミカちゃんやエルフナインちゃん、そしてキャロルちゃんは嬉しそうだ。

 

 

 

そして、俺は───。

 

「はい、あーん♡」

「あの、一人で食べられるよ?」

「あーん♡♡♡」

「あの……」

「あーん(威圧)」

「あーん(屈する)」

 

俺は2課の病室でセレナちゃんに看病されていた。

絶唱のフィードバック。

それは確かに俺の身体を蝕んでいた。

レイレナード日本支社から救急搬送され、この病室に叩き込まれたのだ。

重症患者として。

意識もはっきりしてるし、身体も動くんだけれどねぇ……。

 

「絶対安静ですよ!」

 

と、押し切られて。

セレナちゃんに看病されてる次第である。

 

「本当に、心配したんですからね」

「ごめんね……」

「絶唱は、身体にすごく負担が掛かるんです」

 

そっか。

セレナちゃんはF.I.S.の装者だったから、絶唱の事も知ってるよね。

 

「弦十郎さんから、一鳴さんが絶唱を使ったって教えられて、私……わだじ……」

「うん、ごめんね……」

「うえぇぇん」

 

セレナちゃんは泣いてしまった。

セレナちゃんを泣かせてしまった。

 

「ごめんねセレナちゃん。心配させちゃって」

「ほんどでずよ!」

「うん、ごめん」

 

俺は起き上がり、セレナちゃんを抱き締める。

今年で孤児院を出て、リディアン音楽院の寮で暮らす事になるセレナちゃん。

すっかり女性らしくなったけれど、細い肩のセレナちゃんを抱き締める。

 

「セレナちゃん、俺強くなるから」

「う゛ん゛」

「絶唱使わなくて良くなるくらい、セレナちゃんを心配させないくらい強くなるから」

「わだじも」

「うん」

「わだじも、がずなりざんを支えられるくらい、強く、なります!」

 

ぎゅ、と俺を抱き締め返すセレナちゃん。

セレナちゃんの頭を撫でる。

 

「うん。……セレナちゃん、今日一日、看病してくれる?」

「はい!……あ」

「なに?」

「マリア姉さんと調さんも看病したいって言ってました」

 

あー、つまり?

 

「明日から、3人で看病しますね!」

「アッハイ」

 

それから。

3人は俺の世話を焼くようになった。

セレナちゃん、俺身体くらいなら自分で拭けるから。

調ちゃん、お水口移しで飲ませなくて大丈夫だから。

マリアさん、お願いだからその尿瓶から手を離して!

 

結局。

退院許可が降りる三日間。

3人に甲斐甲斐しく世話を焼かれ続けた俺であった。

 

 





今回出てきたレイレナード社。
元ネタはアーマード・コア4及びフォーアンサーに出てくる企業です。
でっかいロボットが戦うゲーム。
そのロボットの一つにアリーヤという機体があります。
レイレナード社が作った鋭角が鋭いカッコいい機体。
私の好きな機体です。

だから出した。
後悔はしてない。

そんな訳でオートスコアラー・スクランブル終了。
次回はバレンタイン回。
XDで出てきたあの錬金術師三人組が出てきますよ!
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