転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
ちまちま書くので、気長に待っててくだち!
規則によりつけられた奏さんの手錠は、二課に入ったと同時に解除された。
俺たちを助けてくれた奏さんへの配慮である。
そして、奏さんは二課の発令室に案内された。
そこには弦十郎さん、了子さん、ウェル博士、キャロルちゃん、そして俺も揃っている。
訃堂司令と八紘さんはもう少しで到着するようだ。
「俺はここの副司令、風鳴弦十郎だ」
「天羽奏、シンフォギア装者をやってる。インチキだけどな。……ところで、副司令?」
「ああ、何か変か?」
「いや、あたしの世界じゃダンナは司令官だからさ」
「あたしの世界?」
「あたしは、あー、信じられないかもしれないが、平行世界から来たんだ」
場がざわついた。
最初に口を開いたのはウェル博士だ。
「へ、平行世界ィ!?」
「ああ。……まぁ、信じられないとは思うけどさ。でも本当なんだ」
「どうやって、世界間を移動したのかしら?」
了子さんが聞く。
「ギャラルホルン、っていう完全聖遺物の力だ」
「ギャラルホルン……、北欧神話でヘイムダルの持つ角笛か」
キャロルちゃんが呟く。
「ああ。そのギャラルホルンがアラームみたいに高エネルギー反応を発していて、この世界との繋がりを持っていたんだ」
「それで、君は単身様子を見に来た、と」
弦十郎さんの言葉に頷いた奏さん。
「ヘイムダルは世界の終わりであるラグナロクの訪れを、ギャラルホルンを吹いて知らせる。なら、ギャラルホルンのアラームは世界に危機を伝えている可能性が高い、ってあたしの世界の了子さんがそう言ってたんだ」
「そっちにも、私はいるのね」
「ああ。双子みたいにそっくりだ」
「同一人物、ですものね」
と、了子さん。
「で、了子くん。平行世界を行き来する聖遺物なんてあり得るのか?」
弦十郎さんが問う。
「少なくとも、私は聞いたことないわ」
了子さんの言葉にキャロルちゃんも頷く。
「オレも知らん。聞いたことすらない」
キャロルちゃんの城、チフォージュ・シャトーは聖遺物で構成された浮遊城である。
ギャラルホルンはそれのパーツに使えそうなのに知らないとは、ギャラルホルンの存在は歴史において秘匿されてるのかしら。
「あるぞ、ギャラルホルン」
と、声。
声の主は訃堂司令。傍らには八紘さんだ。
「げ」
イヤな人が来た、そんな反応をしたのは奏さんだ。
「え、ワシなんかした?」
訃堂司令は寂しそうな顔をした。
「え、いやー、まあ、あたしの世界のアンタは怖い人だからさ……」
「えー、ワシは無害なジジイじゃぞ」
「エッ無害?」
訃堂司令の言い草に思わず異を唱えてしまった。
人を異端技術モリモリな遺跡に放り込んで生死を掛けた戦いさせたりするし。
信頼出来る人物ではあるんだけれどね。ここの訃堂じいじ。
「一鳴くん、なにか言いたい事でもあるのかの?」
「無いです(声だけ迫真)」
訃堂司令が笑顔で俺を見る。
ところで関係ないけれど、笑顔って本来は攻撃的なものらしいね(震え声)
「あー、親父。ギャラルホルンを知っているのか?」
弦十郎さんが助け舟を出してくれた。
助かったね……。
「うむ。あれは第二次世界大戦の頃、ドイツのアーネンエルベ機関からいくつかの聖遺物を貰えることになっての」
アーネンエルベ機関。
ドイツの聖遺物研究所、だったかな。
ガングニールやイチイバル、ネフシュタンの鎧もそこから貰ったのだったか。
でもこの世界、イチイバルは輸送中に海に沈んだらしいけどね。
……もしかして。
「ガングニール、イチイバル、ネフシュタンの鎧。そしてギャラルホルン。それぞれ別のUボートに載せられて秘密裏に日本に運ばれたのじゃが、無事にたどり着いたのはガングニールとネフシュタンの鎧だけじゃった」
「残りは海の藻屑、ですか」
ウェル博士の言葉に訃堂司令は静かに頷いた。
沈めたのは、アメリカの潜水艦らしかった。
道半ばで沈んだUボートは、イチイバルとギャラルホルンは深い海の底で眠り続けているのだ。
「イチイバルは恐らくもう見つからぬ。だが、ギャラルホルンは探せば見つかるかもしれぬ」
「なぜだ?」
キャロルちゃんが聞く。
イチイバルは小さな欠片であり、もう海底の砂と見分けがつかないだろう。
だが、ギャラルホルンはなぜ見つけられるのだろう。大きいからかしら?
「ギャラルホルンはその時から起動していたらしい」
「ああ、起動しているならエネルギー反応があるわね」
了子さんの返答に訃堂司令は頷いた。
それは、奏さんがこの世界に来た理由である。
奏さんはギャラルホルンがアラームめいた高エネルギー反応を発していたから、それを確かめる為にこの世界に来た。
なら、この世界のギャラルホルンも、高エネルギー反応を発していてもおかしくはない。
「すぐに発掘チームを発足させます」
八紘さんはそう言う。
訃堂司令は、任せた、と答えた。
「それと」
訃堂司令は奏さんを見た。
「君の世界の事を教えてくれんかの、奏ちゃん」
「あ、ああ。勿論だ」
奏さんは肯定したけれど、鳥肌が立っていた。
風鳴訃堂に「奏ちゃん」と呼ばれて悍ましくなったのかしら……。
「……そっちのワシがどんな人物かも、教えてもらおうかの」
訃堂司令はそう言った。
◆
あたしの世界……。
あー、なんて説明したらいいのかな。
……え、最初から説明したらいい、か。
うん、そうだな。そうするか。
あたしが所属しているのが、特異災害対策機動部二課。
うん、ここと同じだ。
弦十郎のダンナが司令官で、了子さんが研究主任。
そこのメガネの男と女の子に、一緒に戦ったキミは知らないな。
……ウェル博士にキャロルに、一鳴か。
うん、覚えた。
爺様は前司令官だったらしい。
さっきも話に出たイチイバル、だっけ。
それが盗まれたから引責辞任した、って聞いたな。
八紘? 翼のお父さん?
えーと、翼は確か、内閣情報官だって言ってたな。
……え、ここじゃ副司令?
…………色々違うんだな、平行世界。
うん、話を続けるか。
シンフォギア装者は、あたしと翼。
そう、翼もシンフォギア装者。
アメノハバキリの完全適合者だ。
……? ああ、アメノハバキリと完全適合してる。
え、こっちじゃ適合率低いのか?
じゃあシンフォギア装者じゃないのか?
……そっか、装者じゃないのか。
あたしはガングニール、そのインチキ適合者さ。
インチキの理由?
あたしは本当は適合者じゃないんだ。
LiNKERで無理矢理適合した時限式のインチキなのさ。
なんでそこまで?
……あたしの家族はノイズに殺されてる。
ああ、父さんと母さん、妹。
皆神山にある遺跡の調査中にノイズが現れて、あたしだけが生き残った。
だから、あたしはノイズを皆殺しにするんだ。
あたしから家族を奪ったから。
あー、ごめん。話が重くなったな。
うん。
確かにあたしは復讐鬼って呼ばれてもおかしくないかもな。
でも、楽しいこともあるし。
ツヴァイウィング。
あたしと翼もアイドルやってるんだ。
翼と歌うのは楽しいし、あたしの歌をみんなに届けるのは気持ちがいいんだ。
こっちのツヴァイウィングは?
こっちのあたしと翼はどうなんだ?
……そっか、そこはおんなじなんだな。
あとは……。
ああ、ギャラルホルン。
うん、訳のわからない聖遺物だって了子さんは言ってた。
なぜ平行世界に繋がるのかも。
なぜ平行世界の危機を伝えるのかも。
だから、あたしが様子を見に来たんだ。
……え、ああ、確かにあたし一人じゃ危ないけどさ。
翼? ああ、最初は翼も一緒に来る予定だったんだ。
けど、なぁ。
……あー、爺様が横から口出したんだよ。
「完全適合者である翼をいたずらに喪うわけにはいかない」って言い出して。
……そうだよ、あたしは捨て駒にされたんだ。
ヒッ……、ああ、大丈夫。
大丈夫だよ、ありがとう一鳴。
うん、爺様もいいよ。でもいきなり殺気だすのは止めてくれよ。
いいよ、こっちの爺様が謝ることじゃないし。
そうだ。
こっちの世界のことも教えてくれよ!
……オリュンポス十二神復活?
……イギリス以外欧州全滅?
……神霊?
あー、なるほど。
やっぱりここは平行世界だな!
◆
「さて一鳴くん」
奏さんの話を聞いた訃堂司令。
奏さんを捨て駒にした向こうの訃堂じいじに殺気を出して奏さんを怯えさせたのはダメだと思うよ訃堂司令。
「ちょっとアッチの世界に行って向こうのワシを殺してこい」
「無茶苦茶言わないでください」
「大丈夫大丈夫。首落とせば、さすがのワシも死ぬから」
「その前に俺が膾にされますよ」
ギャラルホルンで平行世界に行けるのは装者だけ。
だからって俺に無茶振りしないでほしい。
「落ち着け親父」
「そうです、落ち着いてください」
弦十郎さんと八紘さんの息子コンビでなんとか宥めさせる。
「なぁ、一鳴」
奏さんに声をかけられる。
「なんです奏さん?」
「……こっちの装者は、一鳴だけなんだよな?」
「ええ」
「あたしは?」
「ただのアイドルですね」
「
そうよね。
気になるよねぇ。
こっちの奏さんはただのアイドル。
装者にはなっていない。
ガングニールがあるのに。
なら、その差異は気になるよねぇ。
奏さんのターニングポイント。
そこの結末はすでに切り替わっているのだから。
「
「……そっか」
皆神山での惨劇。
その原因はフィーネが神獣鏡を求めたこと。
皆神山に埋まる神獣鏡を手に入れるために、発掘チームを皆殺しにしたのだ。
だが、この世界では。
皆神山の発掘調査の時点ですでにフィーネは二課に降っていたのだから。
惨劇は起こっていないのだ。
故に。
ここの奏さんはシンフォギア装者にならなかった。
「会いたいですか?」
「ズバッと聞くね。……うん、でもいいや」
「そうですか」
「うん。ここは平行世界だし。あたしもいるしな」
ここの家族は、あたしの家族じゃないから。
少し寂しそうに、奏さんはそう言った。
「……ふぅ、すまん落ち着いたわい」
訃堂司令は冷静になったらしい。
弦十郎さんと八紘さんはげっそりしていた。
「さて。奏ちゃん」
「ああ」
「ここに来る前に、ギャラルホルンは高エネルギー反応を発したことは?」
「一度だけ。……確か、去年の8月くらいかな」
去年の8月。
それは、たしか……。
「カルマノイズ、あの黒いノイズが最初に現れたのも」
「8月でしたね」
今となってはもはや懐かしい、俺の初戦闘の事であった。
初戦闘でカルマノイズと遭遇、撃破してるのよね俺。
サツバツとしてない?
「そして、今回もカルマノイズが現れた」
「ギャラルホルンの脅威とは、カルマノイズのこと、ですね」
了子さんとウェル博士が話し合う。
ギャラルホルンについての情報はそれなりに出揃ったかしらね。
「ならば、最優先目標はあのカルマノイズ2体よな」
と、訃堂司令。
「平行世界を繋げるギャラルホルン、それが伝える脅威であるカルマノイズの撃破こそ優先目標よ」
「はいッ」
全員頷いた。
「それと奏ちゃんも協力してくれるかの?」
「当たり前だ! その為にあたしは来たんだからな」
「礼を言う。ここにいる間の住居は用意しておくからの」
「ありがとな爺様!」
ウェル博士が口を挟んだ。
「ああ、奏さん。アナタLiNKER用いてるんですよね? ボクの作った体に優しいLiNKERを使ってみませんか?」
「体に優しいLiNKER?」
「ええ! ソコの櫻井主任の作ったモノより負荷も小さく、体内洗浄も軽く済むLiNKERを作れるのですよ僕はァ!」
「チッッッッッッッ!」
ウェル博士の言い草に思いっきり舌打ちした了子さん。
ウェル博士、生化学の権威だから人体に関わる事は了子さんより詳しいのよね。
太古の巫女フィーネを宿す了子さんよりも。
やっぱ凄いよなウェル博士。
「あはは、ありがとな」
「ええ、お土産として持ち帰ってもいいですよ。そして僕の名前を出してください。この、ドクタァ、ウェェェルの名前を!」
「あー、うん。わかった」
奏さんは引いていた。
仕方ないね。
そんな訳で。
平行世界の奏さんと共にカルマノイズを討伐する事になった。
◆
『一つ、教えておこう。
こちらに来た天羽奏、彼女の来た世界について』
解散した後。
自室で寛いでいるとサイコロ神に話しかけられた。
「どういうこと?」
『彼女が来たのは、XDUの世界だ』
「片翼世界ってこと?」
片翼世界。
片翼の奏者、というXDU内のイベントがあって、そこの舞台になった世界のことだ。
片翼世界、一番の違いは2041年のライブで死んだのが奏さんじゃなくて翼さんだと言うこと。
そして、そんな奏さんが原典世界からやってきた翼さんや響ちゃんと出会って……、というのが片翼の奏者のあらすじ。
あとはアダムがキレイだったりするけれど、それは置いといて。
『いや、片翼世界ではない』
だがサイコロ神は否定した。
「エッ、じゃあどこ?」
『XDUの世界。今貴公が今出した原典世界によく似たからだ』
「……XDUの世界と原典世界って違うの?」
『しかり。
あの天羽奏は原典世界によく似たXDU世界から来た。
原典世界とXDU世界はギャラルホルンの有無だ。それ以外は変わらぬ。
フィーネが月を壊し、ウェル博士がフロンティアを浮上させ、キャロルが世界を分解しようとし、アダムが神の力を手に入れようとし、そしてシェム・ハが蘇った世界。
だが、ギャラルホルンの有る世界。それがXDUの世界だ』
「ほえー」
『あと、小日向未来が正規の装者になってるのも違いか』
「ああ、そっか。そこも違うのね」
『ああ。
話を戻そう。
天羽奏は、そのXDU世界から来た。
つまり……』
サイコロ神は残酷な事実を伝えた。
『彼女は2041年のライブで死亡する』
この世界と原典世界(XDUの世界)、一番の違いは翼さんの出生。
原典世界じゃ翼さんは八紘さんじゃなく、じいじの娘だけど、この世界、訃堂じいじがキレイだから息子の嫁寝取ったりしてないのよね。
だから、この世界の翼さんは八紘さんの実子です。
だからアメノハバキリの適合率が低いんですね。
次回はサイコロ振ったり戦闘したり出来たらいいなぁ。
ほな、また……。