転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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会社もやっと夏休みに入ったのにまん延防止措置と大雨で休みを満喫できないので初投稿です。

今回のホラー話、9月前半までには終わらせたい、ホラーだから。
なので夏休みにドバーッと一気に書き上げようと思ったらFGOでオベロンと妖精騎士トリスタンが来たからね、育成しまくってたらもう夏休みも終わりが近づいてきたゾ(白目)



第七十八話 かみゆがみ、ひとのろう②

 

 

 

 

 

■■国風土記より抜粋

■■ニ深潟等ト云フ村在リ。コハ忌ミ村ノ類ニテ、キガルサマトイフナル神、其ノ村ニ廣マレリ。コハ邪敎也ト申ス。キガルサマハ死神ノ類ニテ、村民悉ク畏レ奉ル。山奥ニアル社、キガルサマノ社ニテ、禁足地トゾ申ス。踏ミ入ル者コトゴトク■■トゾ聞ケリ。

 

 

 

 

 

 

歯越家は大きな純日本風な屋敷であった。

生垣に囲まれたその屋敷は、山の麓を一部切り開いたようであった。

内部は漆喰の壁と茅葺屋根の屋敷、庭には松の木や小さな池が見えた。

 

「お、大っきいデス……」

 

切歌ちゃんは、屋敷の大きさに慄いている。

 

「無駄に大きいだけさ。昔は庄屋だったらしくてね、その名残だ」

 

と、達也さんが教えてくれた。

玄関から中に入る。

広い玄関だ。木造である。

そんな玄関口に屏風が飾られていた。

 

「これは……山と、森……?」

 

屏風の上半分は青空と峻嶺な山々が描かれており、中段から下段にかけては森と、その中に赤い炎。朱色の建物。

 

「これは立山曼荼羅、というもののレプリカらしい」

 

と、達也さん。

立山曼荼羅、どこかで聞いたような気がする。

小説かなんかだったかな……?

大昔の話だから、もう忘れてしまったよ。

 

「まんだら?」

 

と、切歌ちゃん。

小学生だもの、曼荼羅なんてわからないよねぇ。

 

「曼荼羅ってのは、仏教の教えをわかりやすく絵にしたもの、ですかね?」

 

と、ウェル博士。

さすが元F.I.S.の研究員と言うべきか、曼荼羅についてある程度は知っていたようだった。

 

「へー、じゃあコレも仏教の教えなんデスか?」

「立山曼荼羅は、立山という山の信仰を現したものだ」

 

立山。

富山ある立山連峰のこと。

立山曼荼羅は、そこで修行する立山修験が人々に勧進を促すために持っていたものだとか。

彼らにとって、立山は聖地である。

山中を極楽浄土、地獄谷を地獄と見立てたのが彼らの信仰であり、わかりやすく絵にしたのが立山曼荼羅である。

立山はあの世、現世とは異なる他界だったのだ。

 

「っと、この屏風の事はまた後で。今は母の元に」

 

と、達也さんが先を促す。

俺たちはそれに従うことにした。

 

廊下を進み、奥に向かう。

長い廊下は白い壁で挟まれており、ところどころに障子戸がある。

そして、とある障子の前で止まると、片膝をつく達也さん。

 

「母さん、孤児院の方たちがお着きになりました」

 

その達也さんの声に答えるように部屋の中から声。

 

「入って頂戴」

 

達也さんが障子を開ける。

 

「さぁ、入ってくれ」

 

その達也さんの声に従って、部屋の中に入る。

その部屋は宴会場かなにかか、広い畳敷きの座敷である。

その奥に、一人の女性が座布団に座る。

歯越 深夜、その人である。

黒い服の上から、カーディガンを羽織っている。

その横、下座の位置にもう一人の女性。

深夜とよく似た黒い髪の美しい人だが、深夜よりもずっと若い。

二十代、だろうか。

その人もカーディガンを羽織っている。

 

そうだ、この部屋は。

少し、寒すぎる……。

 

「ようこそお越しくださいました」

 

深夜が頭を下げる。

その側の女性も同じように頭を下げる。

 

「さ、そこにお座りになって」

 

深夜の対面には4つの座布団。

俺たちは大人しく座布団に座る。

俺以外、正座に慣れていないようで居心地が悪そうね。

その様子を見ていた深夜が微笑む。

 

「そんなに固くならず、足を崩してくださいな」

 

その言葉に甘えて、俺たちは足を崩すことにした。

深夜が言葉を続ける。

 

「改めまして。この歯越家当主、歯越深夜です。ウェルさんと切歌ちゃんは半月ぶりね?」

「で、デス……」

 

深夜が優しく微笑む。

切歌ちゃんがコクコクと頷く。

 

「で、これが息子の達也。こっちが深雪」

 

いつの間にか、深夜の右側に座った達也さんが頭を下げる。

そして、その対面、深夜の下座に座る女性は深雪というらしい。

達也、深雪……?

劣等生?

 

「これはご丁寧に。僕と暁さんの紹介はいいでしょう」

 

と、ウェル博士。

 

「この少年は渡 一鳴くん。僕の助手です。このツインテールの子は月読 調。暁さんの親友です」

「ドーモはじめまして。渡 一鳴です」

「月読 調です」

 

俺と調ちゃんは頭を下げた。

 

「渡 一鳴くんに、月読 調さんね。よろしくね」

 

と、深夜さん。

 

「それじゃあ早速だけど、これからの事について話し合いましょう」

 

そんな感じで、歯越家での日程の確認が行われた。

 

○今日から三日間、歯越家で過ごす。

○俺たち孤児院組は食事を歯越深夜と共に摂る。

○歯越深夜と切歌ちゃんは積極的にコミュニケーションを取ること

 

等など。

 

「なにか、質問はあるかしら?」

 

ある程度すり合わせが終わると、深夜はそう聞いた。

うん、せっかくだし、少し突っ込んだことを聞いてみよう。

 

「では、一つ」

「なにかしら、えっと、一鳴くん?」

「はい。達也さんと深雪さんは、深夜さんの実子なんですよね? なんでまた切歌ちゃんを養子に?」

 

実子が居るのに養子を取る、のは変な気がする。

 

“村民全員が、孤児を引き取って育てている”

 

これがここ、深潟村の奇妙な風習。

それについて、少し突っついてみようというワケダ。

 

「そうね、そこを疑問に思うのは当然よね」

 

と、深夜さん。

 

「私が切歌さんを引き取りたいのはね、簡単に言うならこの村の風習なの」

 

おや?

なんだかあっさりと答える深夜さんである。

しかも、この村の風習?

割と秘密に近しいところじゃないの、そこ。

 

「この村の守り神で、()()()()という神様がいらっしゃるんだけれど、そのきがる様が、【この村に生きる者は血の繋がらぬ子を育てよ】と仰るのよ」

「きがる様?」

 

土着の神様、というやつか。

きがる様、きがる様ねぇ……。

気軽(きがる)なのか、気枯(きが)るなのか……。

 

「その信仰を守るために、切歌ちゃんを?」

「ええ。私ももう58ですもの。今まで達也と深雪を育てるので必死だったけれど、そろそろきがる様の言う事を守らないと」

 

と、深夜さん。

調ちゃんが口を開く。

 

「その、年齢制限ないなら、そのまま守らなくても……」

「ダメよ」

 

即座に。

即座に深夜さんが調ちゃんの言葉を否定した。

鬼気迫る様子であった。

 

「きがる様の言う事は守らないといけないのよ。じゃないと───」

「お母様」

 

深雪さんが、深夜さんを止めた。

 

「皆さん驚いてますわ」

「……あぁ、ごめんなさい」

 

深夜さんは冷静さを取り戻した様子だ。

 

「駄目ね、歳を取ると。うふふ」

 

深夜さんが笑う。

目は笑ってなかった。

 

「きがる様は女性の神様なの。だから、不幸な子どもを助けてあげて、って説いているのね」

 

きがる様は女神らしい。

それも、鬼子母神などの母神だろうか。

 

「あぁ、あと切歌さんを引き取りたいのは一目惚れしたからよ」

「デース!?」

 

衝撃発言であった。

そっちのケもあるのか深夜さん。

 

「その切歌さんの髪、綺麗な金色の髪。ひと目見て好きになっちゃった」

「あ、そういう事デスか」

「それに、明るくていい子だってナスターシャさんが仰っていたから、あなたを引き取りたいって思ったのよ」

「照れるデスよ……えへへ」

 

切歌ちゃんが照れる。

まあ、ここまで褒められたらねぇ。

 

 

 

突然だけど、目星ロール【1D10】

(5以上で成功、10でクリティカル)

 

結果【10】

 

 

 

ふと、気付く。

深雪さんの視線。

切歌ちゃんについて褒める深夜さんを見る目が、一瞬、ほんの一瞬。

嫉妬に染まっていた。

深雪さんは、羨ましいのだ。

切歌ちゃんを養子にする深夜さんが。

嫉妬に染まった瞬間の言葉、深夜さんの放った言葉は、【綺麗な金色の髪】だ。

深雪さんは、切歌ちゃんの金髪が羨ましいのだろうか……?

いや、違う。

深雪さんが嫉妬していたのは、深夜さん。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()さんが、羨ましいのだ。

 

“この村に生きる者は血の繋がらぬ子を育てよ”

 

それが、この村の掟、風習。

ならば、深雪さんもいずれ孤児を引き取り育てる身だ。

深雪さんは、金髪の養子が欲しいのだろうか……?

 

「あ、僕からも質問宜しいですか?」

 

と、ウェル博士。

 

「この部屋、寒いですけれどなんででしょう? 見た限りエアコンもありませんし」

 

そうだ。

ウェル博士の言うとおりこの部屋は寒い。

深夜さんも深雪さんも服の上からカーディガンを羽織っているし、達也さんも長袖の服を着ている。

調ちゃんも切歌ちゃんも寒そうだ。

なにか羽織らせてあげたいけれど、俺も半袖なのよね……。

 

「ああ、ごめんなさい寒かったのね」

 

と、深夜さん。

達也さんになにか羽織るものを持ってくるよう命じる。

達也さんが出ていくと、深夜さんが説明した。

 

「このあたりは山奥で標高も高いから、日差しが届かないと寒いのよ。ごめんなさいね、気付かなくって」

 

とのこと。

まあ、確かに車で結構山登って来たからねぇ。

一種の避暑地になってるのかココ。

 

「そんな訳で、欲しいものがあったらなんでも言ってくださいね。生活必需品なら、大抵揃ってますから。ここ田舎ですけれど、Amazonの注文が届くのよ」

 

と言う深夜さんであった。

 

 

 

 

 

 

その後、俺たちは達也さんに案内されて宿泊する部屋に通される。

切歌ちゃんと調ちゃんは、達也さんの持ってきたカーディガンを羽織っている。

子供用のカーディガン、あったのね……。

 

宿泊用の客間は、先程の座敷からまた長い廊下を通った先にあるらしい。

俺たちの為に2つの客間を空けたのだとか。

 

「ウェルさんと一鳴くんは、この【菖蒲の間】を使ってくれ」

 

俺とウェル博士が通されたのは、部屋の上に【菖蒲の間】と書かれた部屋。

中はテレビとテーブルのある6畳の部屋と、ガランとした10畳の部屋だ。

6畳の部屋と10畳の部屋は障子で隔てられるようになっている。

そして、6畳の部屋はガラス戸があり外が見れるが、10畳の部屋の方は押し入れがあるのみだ。

 

「切歌ちゃんと調ちゃんは、この【百合の間】を」

 

切歌ちゃんと調ちゃんの為に用意された部屋は菖蒲の間の隣の百合の間だ。

間取りは菖蒲の間と同じらしい。

切歌ちゃんと調ちゃんは、荷物を百合の間に置いた後、菖蒲の間に入ってくる。

達也さんが客間について説明する。

 

「どちらの部屋も布団はこっちの大部屋の押し入れの中にある。座布団も中に」

「何から何まで、ありがとうございます」

 

俺が頭を下げると、達也さんの方が申し訳無さそうにした。

 

「……いや、いいんだ。客人をもてなすのは当然の事だからな」

「……達也さん?」

「……変な家だと思っただろう?」

 

と、達也さんが苦々しげに言う。

 

「あー、きがる様?」

「あぁ」

 

達也さんが頷く。

 

「土着の神を信仰している、なんて気味が悪いだろう?」

「あー、まあ。変わってはいますね」

 

俺は曖昧に答えるしか出来なかった。

 

「そのきがる様って、どんな神様なんデスか?」

 

切歌ちゃんが聞く。

達也さんが、言葉を噛み砕きながら答える。

 

「随分と古い神だとされている。古事記の神よりも古いのだとか」

「由緒ある神様なんですね」

 

という調ちゃんの言葉に、眉を顰める達也さん。

 

「古ければ良い、という訳でもないんだがな……」

「え……」

「いや、なんでもないさ」

 

達也さんは言葉を続けた。

嘘くさい微笑みを浮かべて。

 

「きがる様は、母も言うように女神なんだ。この深潟村を守護する神でね、村人は皆きがる様を信仰している」

「神社は? 車でこの村を通った時それらしい物はありませんでしたよ?」

 

と、ウェル博士が聞く。

博士の言うとおり、俺もこの村に入ってから鳥居も神社も見ていない。

ただ、新築の家と小さな畑ぐらいしかない村だと思っていたが……。

 

「あぁ、神社はこの家の裏の山の中にあるんだ」

「家の、裏……?」

「ああ、俺たち歯越家はきがる様の神主のようなものの家系でな、きがる様を祀る唯一の家なんだ」

「達也さん神主さんなんですねぇ」

 

俺は感心した。

神主さんとお知り合いになる経験なんて初めてだからね。

 

「俺まだ神主ではないさ。きがる様を祀るのは、歯越の当主、つまり俺の母が祀るのさ」

「へー」

 

切歌ちゃんや調ちゃんは感心しっぱなしである。

やっぱり興味あるのね、こういう話。

それにしても。

10年前に死亡した、深夜の妹である千雪とその娘みかと、きがる様の言うことは守らないといけないと言った時の深夜さんの反応。

そして件のきがる様。

なにか関係がある気がするのよね。

千雪とみかの死因が老衰という、ちょっと考えられない異常な死因なのだし。

 

「達也さん、きがる様って祟ります?」

 

なので少し突っ込んでみよう。

幸い、達也さんはなんだかきがる様への信仰が薄そうだし。

達也さんは目を見開くと、小声で嗜める。

 

「一鳴くん、その質問は母や深雪の前ではしないようにしてくれ」

「あー、すいません。二人は信心深いんですね」

「まぁ、な……」

 

更に達也さんは続けた。

 

「……君の言う通り、きがる様は祟る……というよりも、死神なんだ」

「……死神?」

「あぁ。普段は山の中に居るが、夜になると村に降りてきて、家の外に出ている人の魂を持ち去るんだ」

 

人の魂を、持ち去る。

死神。

それが、この家の裏に居るの?

 

「玄関に立山曼荼羅の屏風があったろう。アレと同じなんだ。山中他界、山の中は今を生きる人々の世界とは別の世界、きがる様の世界であり死後の世界なんだ」

 

山中他界。

富士山や立山といった山々は霊峰であり、魂の帰る場所でもあるという考え方。

だからこそ立山の山中は地獄であり、頂上は極楽だと、立山曼荼羅では描かれているのである。

 

それにしても。

達也さんはあまりきがる様をありがたがってる感じはしないのに、まるできがる様が実際に居るように話す。

 

「達也さんは、きがる様を信じているんですか?」

 

俺はそう聞いた。

すると、達也さんは驚くべき事を言ったのだ。

 

「あぁ、何度も見たことあるからな」

「……え?」

 

見たこと、あるの?

 

「達也さん、神様見たことあるんデスか!?」

 

切歌ちゃんも驚いている。

調ちゃんも、目を見開き驚く。

 

「ああ。きがる様の神社はこの家の裏の山にあると言っただろう。夜になると、そこからきがる様が降りてくるんだ。……この家は、きがる様の通り道なんだよ」

「……デース!?」

「だが、害はない。家の中にいる限りは……」

 

達也さん曰く、

家の中に居て、扉も窓も全て閉め切っていたら、特に問題は無いのだという。

 

「後で母から改めて聞かされるかもしれないが、部屋の戸締まりはしっかりしておいてくれ。それさえ守れば、安全なんだ」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

夜の九時を過ぎて。

歯越家の面々との食事を終えた調と切歌は、百合の間で寛いでいた。

6畳間の方で、テレビのニュースを流している。

 

「お風呂、大っきかったデスね!」

「そうだね、切ちゃん。温泉みたいだったね」

 

二人は風呂上がりであった。

ほかほかと、湯気を立てながら長袖のパジャマを着ている。

パジャマも歯越深夜の用意したものであった。

着心地の良い、高級なパジャマである。

 

「ご飯も美味しかったし、本当に旅行みたいデース!」

 

と、切歌が笑う。

だが、調にはわかる。

それは無理をしている笑いなのだと。

 

「ねぇ、切ちゃん。やっぱり明日帰ろうよ」

 

と、調。

 

「……えー、三日間だけデスよ。大丈夫デス!」

「でも……」

 

食事の席で。

歯越深夜は、客人たちにこう言ったのだ。

 

「達也から話は聞いているでしょうが、夜はきがる様の時間です。外に出ることの無いよう。それと、窓の鍵はしっかり締めてくださいね。

この村の人間は()()()()()()()()()()()()()()()()()。窓の外から何が聞こえてきても、決して窓を開けることのないように」

 

小学生の調と切歌にもその異常性はわかる。

きがる様は、決して人間の味方という訳ではないのだ。

 

「深夜さんも言ってたデス。戸締まりしっかりしてたら大丈夫って!」

「でも……、切ちゃんだって怖いんでしょ?」

「……怖くなんてないデスよ!」

 

切歌は虚勢を張っていた。

調にはそれがわかった。

 

「切ちゃん……」

「調、アタシがここの家の子にならないと、孤児院はお金が貰えないんデス……」

 

切歌は知っていた。

深夜が孤児院の支援者たちに圧力を掛けて、孤児院の資金援助を停滞させていた事を。

ナスターシャや、他の職員が夜遅くに話し合っているのを、こっそり聞いていたのだ。

だから、切歌は歯越深夜の養子になるつもりだった。

たとえ歯越家に、深潟村に土着の死神が(いま)すとしても……。

 

「でも、だからって……へくちっ」

 

切歌を説得しようとして、クシャミをしてしまう調。

 

「お風呂上がりで寒くなってきたデスね。今日はもうあったかくして寝るデスよ」

「切ちゃん、違うよ。急に寒くなってきたの……」

「へ?」

 

調の言葉で切歌は気付く。

自身が鳥肌が立っている事に。

部屋の中が、夏の夜なのに冬のような寒さになっている事に。

 

「おかしいよ、切ちゃん!」

「デース! 隣の部屋に行くデスよ!」

 

困った時の一鳴、あとついでにドクターウェル。

そんな思いで二人は立ち上がろうとした時。

カーテンで閉ざされた窓を。

 

コツコツ、と。

 

誰かが叩いた音を聞いた。

 

 

 

 





やっとホラーらしくなってきた(歓喜)
平地人を戦慄せしめたる!(柳田国男感)
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