転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
まさか教科書で名前を知った偉人がそんな事をしていたなんて、と思いましたが、偉人もまた人だったと言うことでしょうか。
……マリアさんとセレナちゃんの陰部にバナナ突っ込む一鳴くん。
R18で書こうかな。
◆
そんなこんなでホラー編、ここからが恐怖の本番よ!
○櫻井了子のレポートから抜粋
哲学兵装とは、生体演算端末である私たちルル・アメルによって長年積層された想念により在り方を捻じ曲げられたモノである。
生体演算端末は、ある対象についての情報がそれが嘘であれ真であれ、言葉として出力すると、その対象をその言葉のように現実を改変させる。そうして改変されたものが哲学兵装である。
これは、我々がアヌンナキの創り出した演算装置であるが故に、演算した結果を現実に出力している為だと思われる。月の遺跡によって統一言語を封じられているとはいえ、人口に膾炙した情報が長年積層されるされると現実改変を引き起こす事は、驚愕に値する。
具体例をあげるなら、「剣を壊す」という概念が積層されたソードブレイカー、「呪いの人形」という噂が積層されたアナベル人形など。
哲学の積層には最低でも百年単位の時間が必要であり、ある情報を人口に膾炙させて人工的に哲学兵装を作ることは難しいと思われる。
◆
コツコツ、と窓が叩かれる。
カーテンで隠された窓の向こうに、誰かが居る。
“この村の人間は窓の外から声をかける事はありません”
食事の席で、歯越深夜の言葉を思い出す調と切歌。
夜はきがる様という死神の時間、領域だ。
今はもう、夜の九時。
村人は誰も、外に出ないだろう。
それは、この歯越家の人間も……。
コツコツ、コツコツ。
窓を叩かれる。
調と切歌は、手をきつく握りあった。
「に、逃げる、デスよ」
ガチガチと、歯を鳴らしながらなんとか切歌が調に言う。
調はコクコクと頷く。
隣の、菖蒲の間にいる一鳴とウェルの元に行こうとして、聞いてしまった。
窓の外からの声を。
「調、切歌……私よ。開けて」
それは、二人のよく知る人の声であった。
「ま、マリア!?」
マリア・カデンツァヴナ・イヴの声であった。
窓の外からマリアが呼びかける。
「切歌、そこに居るのね? ここを開けてちょうだい」
コツコツと、窓を叩きながらマリアが言う。
「ねぇ開けて? ねぇ、ねぇ、切歌。ここを開けて」
開けて開けてと、マリアは言い続ける。
コツコツと、窓を叩き続ける。
「おかしいよ、切ちゃん……」
「デス……」
マリアは開けてと言い続ける。
窓を叩き続ける。
マリアの声に抑揚はない。
まるで、機械がマリアの声を真似したかのよう。
知り合いの声を再現している、窓の外にいるなにか。
「開けて、切歌。開けてよ、ねぇ。聞こえるんでしょ、調。ねぇ。ねぇ、ねぇ、ねぇ」
「……あ、開けないデス!」
切歌がたまらず、大声を出す。
「マリアじゃないなら、絶対開けないデス!」
「切ちゃん! 刺激したらダメだよ!」
調がそう言って止める。
だが、窓の外の声も止む。
外は静寂。
部屋の中にはただ、テレビの音だけが聞こえていた。
だが、切歌と調は窓から、窓を覆うカーテンから目を離せなかった。
「行った、デスか?」
「うん、たぶん……」
そう、二人で言い合う。
だが、その時。
「キャアアアアアッ!!?」
悲鳴が響く。
窓の外、マリアの悲鳴だ。
「助けてッ!! 調ッ! 切歌! ここを開けてッ! 化け物がいるのッ! 助けて! 開けてェッ!」
「ま、マリアッ!?」
バンバンッと、窓を激しく叩く音。
切歌は咄嗟に立ち上がると、窓を開けに行こうとする。
鬼気迫るマリアの声に、思わず助けに行こうとしたのだ。
だが、それを止める声。
「あけちゃだめだよ」
それは、調の声でも切歌の声でもない。
知らない女の子の声。
それが、突然部屋の中から聞こえてきたのだ。
「それ、きがる様の演技だもの」
声の方を、調と切歌は見る。
二人の背後。
壁際にひっそりと、三角座りをする女の子だ。
歯越家の人間ではない、この家に子どもは居ない。
最初から部屋の中にいた訳ではない。
突然現れた子どもだ。
「あ、あ……」
調と切歌のうめき声が重なる。
窓の外のきがる様と、部屋の中の少女。
異常現象が重なり、意識が遠くなる。
「あっ、きがる様、今度こそ行ったみたい」
少女がそう言う。
窓の外からは、悲鳴も何も聞こえなくなっていた。
「調ちゃん、切歌ちゃん? 何かあったの?」
部屋の扉をノックする音。
一鳴である。
「入るよ?」
そう言って、部屋の扉を開く一鳴。
その後ろでは、ウェルも心配そうに調と切歌を見ていた。
「───ぁ」
見知った顔、見知った人を見て、調と切歌の緊張の糸は切れた。
「うええええええん……!」
「こわかったあああ……!」
二人は泣きながら一鳴に抱きつく。
一鳴は狼狽えながらも二人を受け止めて、その背中を擦る。
三角座りの少女は、部屋の中から消えていた。
◆
窓を叩く声と、抑揚のないマリアさんの声。
マリアさんの悲鳴と、突然現れた三角座りの女の子。
ふたりとも、怖かったろうなぁ。
「もう大丈夫よ、俺もウェル博士もここにいるから」
「うん……」
「デス……」
数分泣き続けて少し落ち着く二人。
今は菖蒲の間で座らせている。
ウェル博士が備え付けのポットで沸かせたお湯で作ったお茶を差し出す。
「さ、これを飲んでください」
「ありがとう、ドクター」
「ありがとデス」
ちびちびとお茶を飲む二人。
「落ち着いた?」
「うん」
「もう大丈夫デス」
「良かった」
俺は二人の頭を撫でる。
顔を赤くする二人。
「それにしても……きがる様はともかく、女の子の幽霊が出るなんて達也さんも深夜さんも言ってなかったぞ」
俺のボヤキにウェル博士が緑茶を飲みながら答えた。
「ですよねぇ。それに、きがる様が親しい人の声を真似するとも言ってなかったですし」
「ワザと言わなかったのか……、それとも」
そして、女の子の幽霊も出たことなかったのか。
もしそうなら……。
なぜきがる様は急に変わったのか……。
なぜ女の子の幽霊が出てきたのか……。
「とにかく、二人は今日はここで寝なさいな」
と、俺は調ちゃんと切歌ちゃんにそう言う。
「文句は明日言えばいいさ」
「うん……」
「デス……」
二人は素直に頷くと、10畳間に用意した布団(元々は俺とウェル博士用だった)の中に入る。
……が。
「一鳴さん……、一緒に寝て」
調ちゃんが震えながらそう言うのである。
「アタシも、まだ怖いデス……」
切歌ちゃんも震えている。
「……うん、わかった。二人が寝入るまでは側にいるから」
流石にね?
年頃の男としては人様の家で女の子と同衾するのもどうかと思うしね?
まあ二人が寝るまでは側にいる事にしようね。
流石に、怖い思いをした二人を放って置く訳にもいかないしねぇ。
そんな訳で、二人が寝るまでは調ちゃんの隣で見守るとしましょう。
切歌ちゃんも調ちゃんの布団に潜り込むし、調ちゃんもそんな切歌ちゃんを抱き締める。
俺はそんな二人を、布団の上からトントンと優しく叩く。
赤ちゃんとか、こうすると早く寝るのよね。
……ほら、もう寝息が聞こえてくる。
「……おやすみ、二人とも」
◆
「母さん、もう止めよう」
「達也、何を言っているの?」
「切歌ちゃんを儀式に使うのも……いや、きがる様に関わるのも。間違ってる……!」
「……達也、アナタがこの村の事を疎んでいるのは知ってるわ。でも、この村で生まれたアナタならわかるでしょう。誰も、きがる様からは逃げられないの」
「だが……!」
「私たちが、この村で生きる者たちの祖先がそうしたのよ。きがる様を、
「……なら、せめて切歌ちゃんを、孤児を儀式に使うのを」
「止めないわ」
「母さん!」
「48年生きて、一端の成功者と呼ばれるまでになったわ。人生を駆け抜けた」
「……」
「この村での立場も確立して、政財界に影響を与えられるようにもなった」
「……」
「達也。ここまで頑張ったのは、儀式があるから。努力して財を貯めたのは、儀式の後で幸せになる為よ」
「そこまで、
「ええ」
「なら……!」
「殺す? 無駄よ」
「……なッ」
「私はきがる様の巫女よ? 私を殺そうとしたら、きがる様は助けてくださるわ」
「……、ぎ、ィ」
「……莫迦な子ね。千雪に影響されて……。それとも、千雪の仇を取りたかったのかしらね」
「…………」
「……お帰りください、きがる様。もう用はありませんわ」
「………………」
「……達也。アナタの言う通り間違ってるわ。私たちも、この村も、きがる様も。でも」
「もう、変えられないの。私たちの祖先が都合よく歪めて利用してきた、きがる様は……」
◆
朝。
外で鳴く小鳥の声で目を覚ます。
昨日の夜、調ちゃんと切歌ちゃんが寝るのを確認すると、6畳の部屋の方でウェル博士と寝たのであった。
現在6時。
調ちゃんと切歌ちゃんもまだ寝ているようだ。
ウェル博士もグースカと寝ながら手足を布団からはみ出ている。
そろそろみんなを起こすべきかしら。
そんな事を考えていると、扉をノックされる。
……いや、朝早いな。
田舎だから?
「おはようございます」
扉を開けると、深雪さんが立っていた。
目が赤い。
泣いていたのかしら?
「おはようございます。どうしました?」
「切歌ちゃんと調ちゃんも、この部屋に?」
「……ええ。昨日、きがる様やら女の子の幽霊が出たとかで」
「女の子の……?」
と、深雪さんが考え込むが「いえ、それよりも」と言う。
「みなさん、今すぐ昨日の大広間に集まって下さい」
「……なにが、ありました?」
「お兄様が……」
深雪さんは、驚くべき事を口にした。
「お兄様が、亡くなりました」
お兄様こと、歯越達也さんが亡くなったのは、午前零時以降の事らしかった。
午前零時まで深夜さんと話をした後、自分の部屋に戻るも、寝間着に着替える間もなく死んでいたとの事だ。
「達也は、きがる様に招かれました」
大広間に集まった俺たちに深夜さんはそう言い放った。
息子が亡くなったのに、何事も無かったかのように振る舞う深夜さん。
「悲しい事ですが、仕方ありません。部屋の窓が開いていました。恐らくは、きがる様の招きに応じたのでしょう」
「……お兄様」
深雪さんが、顔を押さえて泣き出す。
「あんなに! あんなに夜窓を開けてはいけないと言われていたのに……!!」
深雪さんがワンワンと泣く。
いたたまれなくなる。
が、同時に思う。
達也さんは俺たちに夜窓を開けるなと注意してくれた。
そして、深雪さんもそれは知っている。
なのに、なんで達也さんは夜に窓を開けたのだろうか。
「……達也がきがる様の招きに応じた理由はわかりません」
そう、深夜は言う。
【きがる様の招きに応じる】、それは夜にきがる様に会う、という意味なのだろう。
招きに応じた者は、死ぬ。
なら達也さんは、何故窓を開けたのだろうか。
唐突な心理学ダイスロール【1D10】
(6以上で……。そして10で……)
結果【10】(クリティカル)
深夜の姿を見て、ふと気付いた。
達也さんの妹の深雪さんは、今もワンワンと泣いているのに、深夜さんは落ち着いている。
実の息子の死に、心を動かしていない。
なぜ、どうやって殺したのかはわからない。
わからないが……。
「昨日……」
切歌ちゃんが口を開く。
俯いていた顔を上げる。
「窓から声をかけられたデス」
「……きがる様ね」
深夜さんの言葉に頷く切歌ちゃん。
「たぶん、そうデス。マリア、アタシたちのお姉さんの声をしてたデス」
「……きがる様は、窓を開けさせるためにその人と親しい人の声を真似ると、昔聞いたことがあります。最近は、そんな事をしなかったのですが」
「……その後、きがる様は達也さんを殺したんでしょうか?」
最後に俺が聞く。
その言葉に、深夜さんは「恐らくは」と頷いた。
「…………とにかく、このような事が起こった今、このまま切歌ちゃんや皆さんに滞在していただく訳にもいきませんね」
そう言う深夜さん。
達也さんには申し訳ないけれど、きがる様なんて人外がウロウロしている村に調ちゃんや切歌ちゃんを滞在させる訳にもいかない。
ここで帰れるなら、帰った方がいい。
そう、思っていたのだが……。
「深夜さま! 深夜さまァ!!」
外から、村人の一人が歯越家の中に入ってくる。
若い、鍛えられた身体の男と女であった。
夫婦だろうか。
「
「み、道が……!」
やっぱり夫婦だった語呂崎さんの男の方が叫ぶ。
「道が、土砂崩れで塞がってますッ!!」
それは、この村と外界を繋ぐ唯一の道が塞がれた報せであった……。
一鳴くんはどうしてどうでも良いところでクリティカル出すんですか?(現場猫感)
情報の厳選が難しいゾ……。