転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
了子「マリアちゃんは、一鳴くんに快楽堕ちしちゃってるのよ!」
一鳴「なんだってー!?」
了子「年下で可愛くって頼りになって優しくてセックスも上手い彼氏よ? そら堕ちるわよぉ?」
一鳴「そっかぁ」
了子「ちなみにセレナちゃんも堕ちてるわよ」
一鳴「くーん……」
なんて会話を思いついたけれど使い所がないのでここで供養しときます。
そんな訳でホラー回。もうクライマックスですわよ!
○歯越千雪のノートから抜粋
きがる様は女神である。生と死の循環を司っており、夜に出会った村人の命を取る事もあれば、儀式によって新たな生を与える事もある。
その起源はメソポタミア神話の【エレシュキガル】に繋がると思われる。
そもそも、我々深潟村の祖先は中東から日本に渡ってきたメソポタミアの民であると古文書では言われている。
フィーネと呼ばれる氏族長によって導かれた10の氏族の一つ、その中の更に異端が日本渡来後に密かに作った村が深潟村である。
私たちの祖先が異端である理由は、女神エレシュキガルを信仰していたからである。
しかも、ただ信仰していた訳ではなく、神の在り方を捻じ曲げる研究をしていたのだ。
エレシュキガルとはメソポタミアで信じられた死後の世界の女神である。
神話世界では短気で捻じ曲った性格だというエレシュキガルも、現実世界では篤く信仰されていた。エレシュキガルの神殿で人々は疫病にかからないように祈りを捧げていたという。
私たちの祖先もまた、女神エレシュキガルを篤く信仰する氏族であったが、一つの奇妙な考え方を持っていた。
神様の在り方を変えれば我々に都合の良い神にならないか、と。
我々の先祖は、この深潟村でその実験を行った。
魔術、呪術。そして、言霊の力。
あらゆる異端に手を出した結果、エレシュキガルから派生した私たちに都合のいい神こそが、きがる様なのだ。
きがる様は儀式によって、私達に永遠の生を与える。
それは、私たちの魂を別の誰かに移す呪法。
子どもを犠牲にする忌まわしき儀式、生まれ変わりの儀だ。
止めなければならない。
しかし、捻じ曲げられた神性故か、きがる様は定期的に儀式を行わないと災いを起こして人の魂を取るのだ。
人の魂を取り、自身の聖域に持ち帰る。
歯越家の裏に作った、人工の冥府に。
その中心にあるきがる神社に。
きがる神社周辺と深潟村はきがる様のテリトリーだ。
夜になると、村の中をさまよいながら、家々の窓や戸を叩いて回る。
そして、窓や戸を開けた家の住人を残さず連れて行くのだ。
だが、きがる様は無理矢理家の中に押し入る事はしない。
出来ないのだ。
私達の祖先が、そういうセーフティをきがる様の構成要素に組み込んだようだ。
そして、もう一つ。きがる様には弱点がある。
太陽の光。
朝の日差しこそがきがる様の弱点である。
◆
夜。
0時まであと少しという時間。
達也さんが亡くなり村の唯一の道が土砂崩れで閉ざされたと言う事で昨日とは打って変わって質素な食事を終えてから、俺は菖蒲の間でウェル博士と共に千雪さんの遺した大学ノートを読み込んでいた。
側には調ちゃんと切歌ちゃんもいる。
今日も、ここで寝てもらうつもりだからだ。
きがる様が本当に人の魂を取るとなった今、二人だけにしておくつもりもない。
それに、きがる様に疑問を持ってた達也さんと違い、深夜さんと深雪さんはきがる様への信仰が篤い。
寝ている間になにかしてくるかもしれない。
なるべく一つの部屋に固まってた方が良いのだ。
そんな訳でノートを読み込んだ訳で。
「……そういう事でしたか。村人が皆養子を取ってたのは、新しい生を得るため……」
ウェル博士が唸る。
「どういう事デスか!?」
それを聞いた切歌ちゃん。
ウェル博士が口を開く。
「このノートによれば、きがる様は人の魂を別人に移す事が出来るようです。つまり、深夜さんは貴女に魂を移すつもりだったと言う事ですよ」
村人全員が養子を引き取る村。
その正体は養子を利用して若い肉体を得るための悍ましい若返りの儀式。
一体、今までどれほどの犠牲が出たのか……。
「それじゃあアタシはどうなるデスか!?」
切歌ちゃんが自分の顔に指を突きつけて聞く。
それに答えたのはウェル博士だ。
「……死ぬんだと思いますよ」
「そんなのダメッ!!」
調ちゃんが叫ぶ。
俺も、同じ気持ちである。
「うん、そんなのダメだ」
「ええ。二課に報告しましょう」
ウェル博士がそう言って、二課から持ってきた通信機を取り出す。
元々は、なにやら怪しい深潟村について調査して、切歌ちゃんの養子縁組を無効化しようというのが目的なのだ。
人身御供の風習が今も残る深潟村について二課に報告すれば、二課は動くだろう。
なにせ、紀元前からずっと殺人事件を繰り返してきた村だから。
「それは困りますね」
扉が開かれる。
そこには、深雪さんが立っていた。
右手には、血濡れの包丁……!
「深雪さん……!」
異常だ。
俺は立ち上がると、調ちゃんと切歌ちゃんの前に立つ。
ウェル博士が四つん這いで俺の後ろに隠れる。
「この村の秘密を、どこかに知らせるのは止めてください」
「深雪さん、その、右手の包丁は……!」
「……ああ、これですか? 先程お母様を殺してきまして」
包丁をぼんやりと見てから、なんでもないようにそう言う深雪さん。
「な、なぜ!?」
「お母様が、達也お兄様を殺したからですよ」
そう深雪さんは言った。
深夜さんが達也さんを殺したのは、俺もなんとなく理解していた。
しかし、それを深雪さんはいつ気付いたのか。
少なくとも、昼間は深夜さんに対して憎しみを見せてはいなかったが……。
「先程、お兄様の部屋を片付けていた時に見つけんたんです。お兄様の日記。そこに書いてありました。死ぬ直前に書いた【切歌ちゃんの養子縁組を止めるようお母様を説得する】って文を!」
アハハ……、と嗤う深夜さん。
「アハハハ……、お兄様は魂を奪われて死んでいた! きがる様に魂を奪われた時の死に方! そして、歯越の当主は、きがる様を使役できるッ! お母様が達也お兄様を殺したってことなのよォ!!」
髪の毛を振り乱して叫ぶ深雪さん。
その目は血走り、ダラダラと涎を垂らしている。
尋常ではない……!
「うふふ、でもぉ、お母様はぁ、死にましたぁ。私がぁ、殺しましたぁ! つまり、私が歯越の当主と言う事です! ねぇ、きがる様ァ!」
そう叫ぶ深雪さん。
その声に答えるかのように、菖蒲の間の、部屋の窓がコツコツ、と叩かれる。
「いらっしゃいましたね、きがる様……」
部屋の中にスタスタ入ってくる深雪さん。
俺は後ろの三人を庇いながら、その動きを見張る。
深雪さんの向かう先は、窓。
「まさか、開けるつもりじゃ……!」
ウェル博士の危惧。
それに答える深雪さん。
「開けても、命を取りませんよ。私がそれを許しませんから」
そう言って、窓を開ける深雪さん。
闇。
明かりのない深潟村の濃い闇の中で、一人の女性が裸の姿をはっきりと現している。
くすんで色が抜け、洗われていないゴワゴワとした長い髪。
あちこち傷だらけの身体、傷には白く太った蛆が湧いている。
髪の毛に隠された顔からは、俺たちをジッと見る視線を感じる。
いや、視線なんてない。
髪の隙間から見えた顔には眼が無く、真っ黒い眼窩があるだけだった。
「あ……」
「いや……ぁ」
「ひ、ひぃ……」
調ちゃん切歌ちゃん、ウェル博士が恐慌状態に陥る。
身体が震えて、動けなくなっているようだ。
いや、俺も、そうだ。
寒い。
ガチガチと、歯を鳴らす。
寒い。
恐ろしい。戦闘訓練を積み、実戦経験も積んだ俺が。こんなにも、恐ろしい……。
寒い。
背骨に氷柱を突っ込まれたかのような寒さ。
寒い。
これは、根源的な、恐怖……。
寒い。
きがる様は、死だ。今までとは比べ物にならない程の、濃密な死。
寒い。
寒い……。
シンフォギアの聖詠を、唄えない……!
「ふふ、きがる様が恐ろしいですか? 私も恐ろしいです」
そう言いながら、深雪さんが歩み寄る。
そして、震える調ちゃんと切歌ちゃんを立たせる。
「二人は連れていきますね」
「ど、こに……」
なんとか、身体が動かない中声を出す。
「きがる様の神社です」
端的に、深雪さんは答えた。
「切歌ちゃんを私の新しい身体にします。実は、お母様が羨ましかったんです。切歌ちゃんみたいに美しい金色の髪の女の子が、新しい身体だなんて」
クスクスと、恋する少女のように笑う深雪さん。
「調ちゃんは、きがる様への生贄です。お兄様の魂は、きがる様に取られてしまいましたから、返してもらわないと」
「やめ、ろォ……!」
無理矢理、身体を動かそうとする。
しかし、いつの間に部屋の中に入ったのか、俺の目の前にきがる様の顔。
眼窩の闇が俺を見る。
死が、俺を見る。
死。
死。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。
死が、俺を見ている。
もう死しか見えない。
動けない。
「ありがとうございます、きがる様」
そう言って、深雪さんは去っていく。
きがる様は俺から離れると、深雪さんの後を追った。
「……ぁ、かずなり、さん! しっかり!」
身体が自由になったウェル博士が俺の肩を揺する。
「あ、うぐ、……おえッ」
あまりの恐怖にえずいてしまう。
「オエッ、げほ、げほっ」
「大丈夫ですか!?」
ウェル博士が背中を擦る。
「はい、もう大丈夫、です」
なんとか、きがる様の恐怖から立ち直る。
恐ろしい、あれはまさしく死だ。
死神、死の象徴なのだ。
人が、あらゆる生物が逆らえない運命の終点。
一度死に、そして今生で何度も死にかけてきた俺でさえも、いや、むしろだからこそ、その死の恐怖は俺の魂に直接作用して、俺は何も出来なくなった。
何も、出来なかった。
調ちゃんと切歌ちゃんを攫われてしまった。
「助けに行かなきゃ……!」
「待ってください!!」
シンフォギアを纏おうとする俺をウェル博士が止めた。
「今のまま向かっても、また動けなくなるだけですよッ!」
「……ッ! でもッ!」
たとえ動けなくなっても、調ちゃんと切歌ちゃんを助けないと。
そう思う俺に、ウェル博士が更に言う。
「深雪さんの胸元ッ、見慣れないバッジを着けてました」
見慣れないバッジ。
そう言われて、気付く。
確かに、今の深雪さんは昼間には着けてなかったバッジを胸元に着けていた。
握りこぶし大で、金色の金属で出来た五芒星のバッジ。
「アレがないと、きがる様と相対できないのではないですか?」
「……確かに、そうかも」
歯越の当主はきがる様を使役できる。
だが、使役できるだけできがる様の濃密な死の気配をシャットダウン出来ないのかもしれない。
その死の気配を何とか出来るのが、あの五芒星のバッジなのかも。
「深雪さんの部屋を探しましょう」
ウェル博士はそう言った。
「深雪さんの着けてた五芒星のバッジが、深夜さんから奪ったものだとしても、予備はあるはずです」
「そうですね!」
落ち着きを取り戻した俺は、ウェル博士と深夜さんの部屋に向かう。
「これは……」
部屋の前までたどり着く。
血がベッタリと廊下や壁に付着している。
血は、廊下の奥から続いていた。
扉は少し開いていて、中から光が漏れていた。
「深夜さんッ!」
まだ深夜さんが生きているのではないか、刺されてから部屋まで戻ったのではないか。
そう思って扉を開け、深夜さんの部屋に入る。
血で染まったカーペット。
部屋の奥の壁が光で照らされている。
パソコンの電源がついていて、その前で深夜さんが机に伏せている。
「深夜さん、しっかり!」
そう声を掛けても反応がない。
ウェル博士が深夜さんの脈を取る。
静かに、首を横に振った。
「深夜さん……」
深夜さんが、死ぬ間際。
なぜパソコンをつけたのか。
俺とウェル博士はパソコンの画面を見る。
……。
なにかの、システム画面だ。
【all security unlocks】と書いてある。
「これは……!」
ウェル博士は知っているらしい。
「昼に話したでしょう、この村の家のオートロックには欠陥があると!」
「一つの解錠システムがあれば、簡単にロック解除出来るという……あ」
パソコンの【all security unlocks】という文字。
もしかして……。
「はいッ! 深夜さんは最期の最期で村のオートロックを全解除したんですよッ!」
「なんでですかッ!?」
「わかりませんよ、なにか、理由があるのかないのか……」
深夜さんが、この村にどんな思いを持っていたのか。
それをうかがい知る事はもうない。
そんな時間もない。
今はそれよりも……!
「五芒星、探しましょう!」
「机の一番下だよ」
すぐ側で声。
みかちゃんだ!
「鍵のかかった引き出し。わたし一度見たことある!」
ナイスな情報であった。
だが、突然現れたみかちゃんにウェル博士は驚いた。
「一鳴さんッ!? その子は……!?」
「歯越みかちゃんです! 10年前のッ!」
俺の言葉で八紘さんから貰った資料を思い出したのか、更に驚くウェル博士。
「おばけェ!?」
「お化けでもなんでも、協力者!」
俺は聖詠を唄う。
シンフォギアを纏って、一番下の引き出しを無理矢理開けた。
シンフォギアのパワーで机がバキ、と割れて引き出しが開く。
中には沢山のプリント、資料。
その奥に、黒い箱。
取り出して、中を開ける。
深雪さんがつけていたような五芒星のバッジだ!
「ありました!」
「よし、これできがる様と戦えますよォ!」
俺はバッジを胸元につける。
不思議と、身体がポカポカして勇気が湧いてくる。
「あとは、神社に向かうだけですね!」
「私場所知ってるよ」
と、みかちゃん。
案内してくれるようだ。
「だから、お母さんやみんなを助けて」
「勿論!」
俺はウェル博士を小脇に抱えると、みかちゃんに先導されて神社に向かう。
早くしないと、調ちゃんも切歌ちゃんも殺されてしまう。
その前に、助けなければ。
深雪さんの凶行を止めなければならない。
◆
ある母の最期
◆
壁にもたれながら、少しずつ歩く。
娘から刺された傷を押さえながらゆっくり、確実に。
一歩一歩、痛みに耐えながら、部屋に戻る。
息子を殺した母が娘に殺される。
因果ね、と深夜は苦笑する。痛みが走り呻く。
笑うことすら、もう出来ない。
ようやく部屋にたどり着き、扉を開ける。
痛みに耐えきれず、その場で倒れる。
それでも、まだ死ぬ訳にはいかない。
這って机までたどり着く。
なんとか、椅子に座る。
目が霞む。
意識が遠くなりつつある。
パソコンを立ち上げ、あるプログラムを開く。
深夜が村人の家を新築した時に仕組んだ、オートロックの解除システムだ。
それを弄くる。
画面に【all security unlocks】と現れるのを見て、ようやく終われると気が抜ける。
この地獄のような村で生まれ、地獄のようなきがる様と暮らし。
そんな暮らしが嫌になって都会に出てがむしゃらに働いた。
結果、社会的に成功して巨額の富を得た。
だが、代わりに深夜の身体はボロボロになっていた。
若い時に遊んだ記憶もなく、ただつまらない男と結婚して二人の子を産んだだけ。
それが、嫌になった。
あぁ、自分の子は私の財産で苦労することなく生きるんだなと考えてしまったのだ。
そう考えてしまった。
そして、思い出したのだ、自分の生まれた地獄のような村の風習を。
無垢な子どもを殺して成り代わる外法を今も伝える故郷を。
深夜も深潟村の血を引いていたのだろう、その外法がどうにも自分の救いのような気がしてならなくなった。
だが、子どもを産んだ女として子どもを犠牲にする村の儀式に我慢も出来なかった。
深夜は自分で儀式は最後にしようと考えていた。
あまりにも自己中心的だと思わず笑ってしまった。
だが、深夜はきっとそういう人間なのだろう……。
深夜が故郷に帰ってきて最初に行ったのは、村人の家の新築であった。
金は十分にあった。
久々に帰ってきた深夜が村に馴染むための投資だと、村人たちはそう思った。
だが、その家は。
自分が生まれ変わった後に村人全員を殺すための処刑器具だったのである。
深夜が生まれ変わりを成した後に、村人全員をきがる様に差し出すための檻。
それが、彼女の建てたもの。
オートロックをシステム一つで解除出来る欠陥品。
村人たちは、何も知らずに深夜に感謝した。
深夜は深潟村の住人が嫌いだった。
反吐が出る。
どこからか養子を貰い、その養子の肉体を奪う外道どもが嫌いだった。
深夜が子どもの頃、妹の千雪と共に友人になった子どもが居た。
その子どもは、半年後、母になった。
深夜は千雪と共に泣いた。
自分たちの友人は死んでしまった。
母に殺された。
母だけでない、村人全員が同じことを繰り返してきたのだ。
ずっと、ずっと……。
それから、千雪はこっそりときがる様について調べるようになった。
きっと、儀式を止める術を知りたかったのだろう。
だが、儀式を止める前に千雪は死んでしまった。
儀式のその最中に。彼女の養子とともに。
深夜の視界が黒く染まる。
死がもうすぐそこまで来ている。
その中で、足音が聞こえる。
こちらに向かう足音。
男二人の声が聞こえてくる。
渡一鳴と、ウェルキンゲトリクス。
深雪が切歌と調を攫ったので、対抗策を探りに来たのだろう。
あるにはある。きがる様の死の瘴気を遮る五芒星の守りが。
仕舞ってある引き出しの鍵をポケットから取り出そうとして、別の場所に置いてある事に思い至る。
まあ、いいか。どうせ力尽くで引き出しを開けるだろう。
プツリ、と意識が途切れる直前。
深夜は切歌を想う。
自身が殺した息子でなく、自身を殺した娘でなく。
血の繋がった妹でもなく。
切歌を想った。
自身が成り代わろうとした少女。
かつて、母が成り代わった自身の友人によく似た少女。
美しい、金髪の乙女に。
「取り返してみなさい、儀式はまだ、止められるわ、よ……」
そして。
深夜の意識は闇に落ちた。
二人の人間が部屋に入ったその直前の事であった。
五芒星について、お話します(土方感)
五芒星は世界中で使われているマークです。日本では安倍晴明の晴明桔梗が有名ですね。
逆にした五芒星は悪魔のマークだし、古代シュメールでは「角・小さな空間・穴」を表す、というのは昔この作品で書いたと思います。
バビロニアでは、五芒星の角をそれぞれ木星水星火星土星金星を対応させ、陰陽師たちは陰陽五行を対応させました。
この五芒星は一筆書きで書くことが出来ます。つまり筆を離すことが無いということ、それは五芒星のマークに綻びが無いことを表します。五芒星が得てして結界に使われるのはそういう意味があるからなんです。
綻びが無い、つまり抜け出す穴が無い。
故に五芒星は何かを閉じ込めたり、何かから身を護るのに使われるんですね。
だから歯越家の人間は五芒星のお守りを作りました。
きがる様の死の瘴気から身を守るための結界として。
……という話を深夜さんの部屋を探索したら見つけられるようにしてたのに一鳴くんがダイスロール失敗するからよぉ!!
そんな訳で次回ホラー編ラスト!
きがる様と最終決戦よ!