転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
特異災害対策機動部二課の技術力は世界トップである。
櫻井理論の提唱者であり聖遺物と異端技術の専門家にして、先史文明の巫女である櫻井了子/フィーネ。
その下にはオリュンポスのアレスを捕まえる事も可能にしたパーフェクトソルジャー強化薬の開発者、生体と聖遺物を繋げる技術の専門家である生化学者ドクターウェル。
そして、錬金術の専門家にしてトップクラスの実力者、聖遺物で出来たお城をオリュンポスに壊されて二課に拾われたキャロルちゃん。
彼女たちが一つの組織に集い、訃堂のざっくりとした方針と八紘の手厚いサポートで日夜、研究と開発に勤しんでいるのだ。
2038年11月某日。
三人は会議室に集められた。
そこには訃堂、八紘、弦十郎の三人も。
シンフォギア装者についての会議である。
二課はOTONAと技術者、その他様々なプロフェッショナルに恵まれていたが、装者だけがいなかった。
シンフォギア。FG式回天特機装束の名称。
ざっくり言うと、聖遺物の欠片を励起させてエネルギーに変換し、身に纏う鎧へと変えるシステム。
ノイズの炭素変換を無効化するバリアを展開したり、位相差障壁を無視するスゴイ技術だ。
しかし誰にも使える訳ではない。
聖遺物を励起させるにはその聖遺物と共振・共鳴し、胸に聖詠を宿す適合者でなければならないのだ。
胸の歌を云々、という奴である。
その適合者が現在二課に居ないのだ。
……一応、フィーネが目覚めた原因である天羽々斬起動実験の際に、風鳴翼の歌で起動はしている。
しかし、励起状態が一瞬であった事と適合率があまりにも低かった事で翼は適合者足り得なかった。
また、日本に帰って来たレセプターチルドレンの中にもアガートラームに適合したセレナ・カデンツァヴナ・イヴが居たが、アメリカがアガートラームを渡そうとしないので装者となれなかった。
なので適合者を探す必要があった。
バルベルデOTONA無双によりヴリル協会と強硬派はほぼ壊滅したが、一部の人員が幾つかの聖遺物を持って逃げ出した事は、二課もアメリカも把握していた。
逃げ出した先は恐らくパヴァリア光明結社であろうとは、キャロルちゃんの言である。
パヴァリア光明結社には人造ノイズの量産に成功している。
それはアルカ・ノイズと呼ばれ、炭素変換の代わりに分解能力を持っている、と。
開発したのはキャロルちゃんであるがそこは黙っておいた。禄を食む身ではあるがそこまで言う義理はない、ということである。
閑話休題。
これからもヴリル協会と強硬派は暗躍するだろう。二課も彼等と戦うことになるかもしれない。その時、アルカ・ノイズという兵器に対抗出来る人間が居ないのはよろしくない、という訳である。
ノイズとアルカ・ノイズにはOTONAも逃げるしかないのだ。
そんな訳で全国から適合者を探した。
捜索対象は小中高校生。
国の音楽テストという事で全国の小中高校生に歌を歌わせ、聖遺物からアウフヴァッヘン波形が発生するかどうか確かめる、という者である。
膨大な数の音楽データが集まり、二課総出で作業を行った。皆目の下にクマを作っていた。半年以上掛かった。
その結果についてだが───
「今日の議題は、先日見つかった装者候補、【渡 一鳴】くんの事だ」
訃堂が口火を切る。
全国調査で見つかった装者候補、我らが転生オリ主である一鳴の事だ。
「エージェントたちの調査の結果が出た。それを踏まえて彼を装者にするべきかの決を取る。八紘」
「はい。では、私から渡一鳴くんについて説明させて貰います」
○2027年10月10日生まれの12歳。
○両親との三人暮らし。
○両親の経歴は真っ当なもの。
○本人は学校の成績も良く、友人も多い。近所からの評判も良い。
○ただ学校でイジメっ子に対してコブラツイストで懲らしめたり、問題を起こさない訳ではない。
○ジョギングが日課で、週末には基礎トレーニングも行っている。
○なぜ体力を鍛えているのかは不明。
○適合した聖遺物はスダルシャン。
「以上となります」
「ふむ、では何か意見のある者は?」
「では、俺から」
弦十郎が手を挙げる。
「八紘兄貴、一鳴くんが体力トレーニングをしている理由は不明なのか?」
「ああ、そうだ。それがどうした弦?」
「……うまく言えないが、彼の目だ」
「目?」
ジョギング中の一鳴の写真を指差して弦十郎が言う。
その言葉を訃堂が繋いだ。
「こやつの目、何か目的を持っている。身体を鍛える、それ以上の目的を。そんな目だ」
「随分と抽象的だな」
キャロルちゃんが揶揄する。
弦十郎が答えた。
「ああ。だが、俺も同じ思いだ。一鳴くんは何か目的を持って身体を鍛えている。……八紘兄貴、一鳴くんは将来の夢とか周りに何か言っていないのか?」
「それらしいことは何も。……学校の作文では『将来の夢は国家公務員になって安定した生活を送りつつ趣味に時間を費やしたい』という……現実的な夢を語っているな」
「オレたち国家公務員が目の下にクマを作って働いているというのにな……」
「その事は言わないでくれませんかねぇ……」
目の下にクマを作ったキャロルちゃんの言葉に目の下にクマを作ったドクターウェルがうんざりして答えた。
「皆にはすまないと思っている……」
「埋め合わせは期待しているわよ、弦十郎くん」
「ああ、勿論だ」
「で、弦。一鳴くんが何か目的を持って身体を鍛えているとして、何かあるのか?」
「いや。ただ、気になってな」
「なら、彼が二課に来たときに聞けばよろしいのでは?」
ドクターウェルの言葉をキャロルちゃんが否定する。
「呼ぶのか?まだ小学生だぞ?」
「確かに子どもです。でも今から訓練をすれば装者としては問題ないでしょう。我々もバックアップしますし。それに、シンフォギア装者は彼の夢でもある国家公務員ですしね」
「そういうことじゃない。ガキに守秘義務だのなんだのが理解出来るのか、という話だ!シンフォギアという力を見せびらかしたりしないか、という話だ!」
その事だが、と八紘が言った。
「私はその辺りの事は問題ないと思っている」
「何故だ、八紘?」
訃堂が聞く。
「一鳴くんは学校でも近隣住民からも評判も良いのですが、その理由は『落ち着いていて理性的で、まるで大人と話しているようだ』との事なのです」
「精神的には成熟している、と?」
「ああ」
「フン……どうだかな?」
「キャロルくんは、反対かね?」
弦十郎がキャロルちゃんに聞く。
「当たり前だ!子どもに作戦とか、被害状況が理解出来るか?余計な手間が増えるだけならまだいい。ソイツがまともに戦えなくて死んだらどうする!?」
「……キャロルちゃんは子どもを戦わせたくないのね?」
了子の言葉に顔を背けるキャロルちゃん。
「…………そんな事はない。ただ、すぐに死なれるのは困るという話だ」
「……キャロルくん。俺たちも子どもを戦わせるのはどうかと思う。だが、俺たちにはアルカ・ノイズに対する力が必要なのだ。俺たち大人がしっかりと導いて、彼が戦い、生き残れるように鍛える。それではダメか?」
「……」
キャロルは見た。
訃堂が、八紘が、そして弦十郎が拳を握っているのを。子どもを戦わせるしかない不甲斐なさを噛み締めているのを。
「……わかった。そこまで言うのなら好きにすれば良い」
「ありがとうキャロルくん」
「というより、弦十郎くんは賛成なのね?」
「ああ。彼の目を見て、な」
「気に入ったのね……」
「気になった、だがな。でも悪くないと思うぞ」
スッ、とドクターウェルが手を挙げた。
「と言うか僕としてはですね、何故彼がシンフォギアに適合したのかが気になります」
「どういう事だ?」
「シンフォギアって女の子しか纏えないんですよ。生物学的な理由で」
「じゃあなんで全国調査で男の子も調査したんだ?」
「誰か伝えていると思ったんですよォ!!」
報告連絡相談を怠った結果の寝不足である。
これにはキレイなドクターウェルも激おこ。
閑話休題。
キャロルがドクターウェルの話に補足する。
「オレの開発していたファウストローブも、生物学的に完全である女しか使えないからな」
「シンフォギアもファウストローブも聖遺物の力を用いたエネルギー固着型プロテクター、彼に何かあるのか?」
「それも、彼が二課に来たときに検査すれば良いのでは?」
八紘の提案に乗るドクターウェル。
「ですね。もう批判的な意見はないでしょうし」
「どうだろう、皆。一鳴くんに装者になって貰う方向で話を進めて良いだろうか?」
批判的な意見は出なかった。
「批判的な意見はないな。では、一鳴くんにはシンフォギア装者になって貰う方向で話を進める。八紘、本人とご両親への説明を頼む。拒否されたら、それでもいい。子どもを戦わせたくない、戦いたくない。そういう気持ちは理解している」
「わかりました」
「技術部は一鳴くんが装者になると確定したら、シンフォギアの調整を頼む」
「わかったわ」
「かしこまりィ!」
「了解だ」
「では、解散」
そういう事になった。
◆
ドーモ、お久しぶりです。
転生オリ主の一鳴です。
現在我が家にいます。
両親も揃っています。
居間にいます。
対面には、シルバーグレイのナイスダンディ、風鳴八紘さんが座っております。
シンフォギア装者のスカウトに来たようです。
……ついに来たか。
俺がこの世界に来た理由。
スダルシャンのシンフォギア装者に、完全オリジナルのシンフォギア装者になる時が。
ワクワクするね。
ドキドキするね。
……怖いね。
俺は果たしてアニメで見た彼女たちのように戦えるだろうか。彼女たちのように誰かを助ける為に立ち上がる事が出来るだろうか。
なるようにしかならないと理解していても、それでも考えてしまう。
俺はシンフォギア装者としてやっていけるだろうか……。
……そんな事を考える前に俺はシンフォギア装者になれるのだろうか?
八紘さんがシンフォギアについて説明してるけど、両親はやっぱり不安げだし。
まあ、戦いありきの職業だししょうがないね。自分で言うのもなんだけど、普通に愛されている自覚ありますし。
自分の子どもが戦いに行くのは嫌だものね。
でも八紘さんも海千山千の各国官僚との話し合いを制してきた男。家の両親相手に弁舌を振るう。
そうして───
一鳴パパとママの出した結論【1D6】
1 うーん……
2 家の子が社会のお役に立つのなら……
3 家の子が社会のお役に立つのなら……
4 家の子が社会のお役に立つのなら……
5 家の子が社会のお役に立つのなら……
6 どーぞどーぞ持ってって
結果、【1】
家の両親は心配性みたい……。
八紘さんとの話し合いでも賛成は出来ないようだ。
しゃーない、俺が一肌脱いだる!
「ダディ、カーチャン!俺、やるよ!」
「一鳴!?」
そら驚くよなぁ。
今まで大人の話し合うだったのに、いきなり子どもの俺が割り込むんだから。
「一鳴、子どもは黙ってなさい!」
「そうはいかんぜよカーチャン!これ要するに俺が人様のお役に立てるかどうかって話でしょ?なら俺も話に入れとくれよ」
なぜ俺はべらんめぇ口調というか、変な口調なのか。たぶんシンフォギア装者になれるかどうかとか、大人の話し合いに入るのに少し緊張してたとか。
そんな感じね。
「そこの……八紘さんでしたっけ?八紘さんも言ってたでしょ?これからは俺のようなシンフォギア?を使える人が必要になるって。ノイズを倒せる人が要るって。誰かを傷付けるならまだしも、誰かを助ける仕事なら俺やりたいよ」
「一鳴……」
「それに、日本に俺一人しかシンフォギアを使えないなら、他の国から狙われたりするんじゃない?しますよね?……でしょ。なら親方日の丸の特異災害対策機動部二課でしたっけ?そこに所属した方がいいよ。てかそうしたい、俺が」
「……一鳴」
「頼むよ父さん、母さん。俺だって戦うの怖いけどさ、人助けになるのならシンフォギア装者になりたいんだ」
俺は二人をじっと見る。
父さんも母さんも俺を見ていた。
そうして一秒か一瞬か。
母さんがため息をついた。
「……わかったわ」
「和花……」
「一鳴、あなたがそこまで言うのなら、母さんもうとやかく言いません。洋一さんは?」
「……ああ。そうだな、僕も同じだ。……子どもの成長は早いな」
「そうね……」
「ありがとう、ダディ、カーチャン!」
俺は八紘さんの方を向いた。
「そんな訳で俺、渡一鳴は特異災害対策機動部二課のお世話になろうと思います」
「……そうか。わかった。本当に良いんだね?」
「はい!」
何かを噛み締めるようにしながら、頷く八紘さん。我が家のやり取りを見て翼さんとの思い出でも振り返っているのか。
「では、本日は幾つかの書類に本人とご両親のサインを頂きたいと思います。それと……近々検査の為に二課の本部へと一鳴くんに来ていただく必要があるのですが、ご両親も一緒に来ていただく事も可能です。いかがいたしますか?」
「勿論、一緒に行きます」
「ええ。息子もまだ小学生なので一度ご挨拶に」
……親同伴で来て、噂されると恥ずかしい。
とか思いつつ、俺は書類にサインを書いて、書いて、書きまくった。
守秘義務の書類だけで四枚あるってどういうことなの……。
◆
そんなこんなで。
八紘さんの訪問から二週間ばかり経った週末。
俺は今、二課の本部に居ます。
前々に電話で日程調整を済ませ、当日になったら黒い車でお出迎え。からの目隠しをされて二時間走りっぱなし。情報漏らすわけにはいかないとはいえ、目隠しされるのはキツイっす。
着いたら着いたで、いきなりのクラッカーと『おいでませ 一鳴くん』の横断幕。あと和服の老人(精強)と赤シャツの大男(精強)。怖えーわ。
それから両親と共にご馳走食べさせられ、色んな人とたくさん話をし、いつの間にか病院めいた所でMRI採血CT問診等々……。
目が回る。
それで今は二課内の『技術部』に居ます。
フィーネ兼了子さんやドクターウェル、キャロルちゃんの職場ですね。
でも現在、ここには俺と両親、そして了子さんしか居ません。
検査の結果を説明するそうです。
了子さんはすこし怖い顔をしています。
……ガンとか見つかったのかしら。
「ねぇ、一鳴くん?今まで過ごしてきて、身体に変なところとか本当に何もなかった?」
「ないです……ガンでもありました?」
「え、ガン!?ないわよ、ナイナイ」
朗らかに笑う了子さん。
でも後ろの両親は不安そう。
俺も不安だぁ。
「あのね、一鳴くん。一鳴くんはシンフォギア装者として二課にスカウトされました。でもシンフォギア装者って女の子しかなれない筈なの」
「え"っ!?そうなんですか!?」
知らなかった、そんなの……。
でも死後の世界で精霊さん一言もそんなこと言ってなかったよ!?
サイコロ神!?
『事実だ。シンフォギアやファウストローブなどのエネルギー固着型プロテクターは女性しか纏えない』
なら、何故俺は男のまま転生したの?
シンフォギア装者になれって言われたのに。
『時々男のまま装者になりたいという者もいるからだ。精霊はニーズに答える為に、その矛盾を(強引に)解決する手段を見出だした』
何故だろう、凄く不安だぁ(白目)
「二課の皆も不思議に思ってたの。だから今日は沢山検査させてもらいました。大丈夫、疲れてない?」
「大丈夫っす。皆さん良くしてくれましたから」
友里さんがあったかいものくれたし、藤尭さんが気を使ってくれてゲームやマンガの話を振ってくれたし。
ちなみに名前は名札を見て判断しました。
二人ともアニメに負けずスマートでしたわぁ。
「そう、良かったわ。それでね、検査の結果なんだけど……」
そう言ってMRI写真を見せる。
……どこの部分か全然わからん。
「これ、お腹の部分なんだけど。……ここ、わかるかしら?」
「え、あー。白いのですか?」
渡一家三人ともMRI写真に注目する。
確かに凄く白く小さな影がある。
「これがガンですか?」
「だからガンじゃないわよっと。……一鳴くんもご両親も落ち着いて聞いてくださいね。これ、子宮です」
…………………………はい?
「子宮、赤ちゃんの出来る臓器。それが一鳴くんのお腹の中に有ります」
………………………………。
「ええええええぇぇぇぇ!?」
「そんな反応するわよねぇ。でも嘘じゃないわ。これ、子宮です」
つまり、俺は、ふたなり女子だった……ッ!?
『ふたなり女子ではない。いや、半陰陽ではあるのだが……』
これが精霊さんの解決手段か!
『そうだ。女しか纏えないのなら、男のまま女にすればいい。男でありながら、女であればいい。男と女、両方の性を持たせる。これが精霊の見出だした答えだ。そしてそれは実際成果を出している』
……実際シンフォギアに適合してるものねぇ。
『陰陽思想で考えれば、貴公は男と女、陽と陰の相克する二つの属性を併せ持った太極。すなわち完全なる身体であると言える。つまり貴公の身体は完全なるもの、エネルギー固着型プロテクターを纏うに値すると言える訳だ』
なんだか話が大きくなってきて訳がわからんぞ!空の境界かよぉ!?
「……その、一鳴はこれ、大丈夫なんですか!?」
母が勢い込んで聞く。
そら自分の息子に子宮あったらこうなるわ。
「ええ。検査の結果も、子宮がある以外は異常なしの健康体。一鳴くんも、身体に異常はないって言ってますし、問題ないかと」
「そ、そうですかぁ……」
脱力して、崩れ落ちかける母を受け止める父。
そのまま、了子さんに質問をぶつける。
「その、子宮という事は、一鳴は妊娠出来る、のですか?」
「いいえ、出来ません。一鳴くんのお腹の中には子宮はあっても卵巣も卵官も、女性器もありませんから。本当に子宮だけで独立しているんです」
「ははぁ……」
父も脱力して母と抱き合う形になる。
「つまり、俺のお腹の中に小さい子宮があるから、シンフォギアを使えるって事ですね?」
「そうだと思うわ。でも、確証はないのよ。初めての症例だし」
「ですよねぇ……」
二人してため息をつき、笑い合う。
お互い大変だね、そんな感じで。
「まあ、俺が健康ならそれで良いっす」
「随分あっさりねぇ」
「まあ、自分の事なんで一周回って。あ、そうだ!せっかく二課まで来たんでシンフォギア、使ってみたいです!」
俺はそう宣言する。
了子さんは了承した。
「実は本当に使えるのか、一回装着させてみせてほしいって言われてるのよ!」
「行きましょ行きましょ!ほら、ダディ、カーチャンしっかりして!俺は健康体だから!」
そう言って。
俺と足腰ふらふらの父と母は了子さんに連れられて訓練室にまでやって来ました。
機械的な空間。
うん、ゲームで見た空間や!
「じゃあ、これ持ってあの部屋に入ってくれる?私とお父さんとお母さんは、ここで貴方の事を見ているから」
「はーい(コナン君感)」
了子さんから紅い結晶……シンフォギアを渡されると、俺は無邪気にそう言って、訓練室の中に入る。
うーん、無機質。
そしてシンフォギアを渡されてから胸の音楽が止まらん。
「準備は良いかしら?OKなら、胸に響く歌を歌って頂戴♪」
そう言われた俺は胸の音楽に耳をすます。
音楽が頭の中に広がり、歌が浮かぶ。
さぁ、いよいよ。
時は来た。
「───── Sudarshan tron」
身体が光に包まれる。
光に包まれた身体にくすんだ赤のインナー。半袖にスパッツだ。
その上から黒と赤銅色のアーマーが装着される。
手足の装甲は必要最小限に。しかし腰部アーマーは足が隠れるくらいに大きく、まるで花かヒトデのよう。
頭部装甲は耳と額を覆う装甲、額の装甲から鬼の角のように2本のアンテナが生える。
そして最後に背中に大きな輪っかが接続される。
光が収まる。
なんか一分くらい変身に時間を使っていた気がするけれど、多分一瞬くらいなんでしょうね。
全身を見る。シンフォギアの色はくすんだ赤というか、赤銅色っぽい。でも黒い部分が多いね。
腰アーマーは大きく、下半身を丸っと隠す仕様。モビルスーツっぽくて俺は好きです。
「……数値に異常なし。どうかしら、初めてシンフォギアを纏った感想は?」
「……あー、いいっすわぁ~」
「おっさん臭い感想ありがとー!ご両親もカッコいいって言ってるわよ!」
ガラス越しのブースからスピーカーを通じて了子さんの声が聞こえてくる。背後には手を振る両親。
俺は手を振り返した。
そっか、俺はシンフォギア装者になったんだな。
『そうだ。貴公はやっとスタート地点に立ったのだ』
ここでスタート。
ここがスタート。
サイコロ神、俺はちゃんとしたシンフォギア装者になれるだろうか?
『未来は不確定である。されど、貴公のこれまでの努力は無駄ではない。胸を張るがいい。貴公の未来には、苦難は多くとも確かに明るい物もあるのだから』
そっか、なら頑張るよ。
せっかくシンフォギア装者になったのだから。
沢山の人を助けるよ!
やるぞぉ俺は。
俺はやる男ですよ!
◆
そんなこんなで。
シンフォギア装者になった俺は。
気合いを入れた俺は。
この世界で生きていく覚悟を新たにしたのだった。
作中の陰陽思想云々はWikipedia先生から教えてもらった知識が元なので間違ってたら申し訳ない。