転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです   作:アノロン在住の銀騎士

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日曜日は予定が入ってるので、早めに投稿です。
一鳴くん深海に行くの巻。
サブノーティカやってから、深海の話をずっとやりたかったのでここで捩じ込む。
バグも多いけど、深海を冒険できる楽しいゲームなのじゃぁ〜!



第八十四話 海の底のシンフォギア(前編)

8月初旬。

沖縄から東に数十キロの洋上。

二課の保有する大型船に俺は乗っていた。

弦十郎さんと了子さんも一緒だ。

弦十郎さんは海パンに赤いアロハシャツ、了子さんは黒いビキニの上から白衣を着ている。

遊びに来た訳ではない。

聖遺物を探しに来たのだ。

 

事の発端は三日前。

平行世界の奏さんが来てからその存在が明らかになったギャラルホルン、その捜索をしていたチームから一つの報告が上がったのだ。

琉球海溝の底からアウフヴァッヘン波形が確認された、と。

 

二課にはギャラルホルンのアウフヴァッヘン波形データが無く、その琉球海溝から発せられる波形がギャラルホルンの物であるという保障はない。

だが、少なくとも琉球海溝の底に励起した聖遺物がある事は確かなのである。

そんな訳で、その聖遺物の発掘をしようとしていたらしいのだが。

発掘用の無人探査船を送り込んだ所、破壊されたらしい。

理由は不明。

だが、探査船から送られた映像データに大きな黒い影が映っていた事から敵意を持った何かがいる事は明らかである。

 

と、言う訳で。

二課の保有する最高戦力であるシンフォギア装者である俺が、発掘用の無人探査船を守護する事になったのであり、弦十郎さんと了子さんはそのサポートという事であった。

なぜ二人は水着着てるのかって?

沖縄の洋上は暑いからってよ。

 

 

「でも了子さん、俺は海中で活動したことないし、スダルシャナのシンフォギアにそんな機能は無いですよ」

 

作戦開始の前、俺は了子さんに聞いた。

 

「あら一鳴くん、策ならあるわよん」

「策? なんです?」

「シンフォギアはね、装者の強さに応じてシンフォギアにかけられたリミッターが解除されていく仕組みなのだけど、装者の心象心理や外部からの影響によって特定分野に特化した機能を獲得する事も出来るのよ」

 

……つまり、アレか。

XDの水着型ギアとか、クリスマスギアとかあんな感じの変化か。 

 

「だから一鳴くんの心を深海特化にすれば一鳴くんも深海に適応出来るってワケ!」

 

深海型ギアになれ、ということね。

……そんなすぐにはなれないよぉ!!

 

「その為の俺だ」

 

ヌッ、と現れたのは弦十郎さん。

その手にはいくつかのビデオテープやDVD。

 

「弦十郎さん?」

「今から一鳴くんには深海に関する映画やドキュメントなどを見てもらう」

「えっ?」

「作戦を開始する三日後までみっちりとやるぞ!」

「えっ?」

 

そういう事になった。

 

「一鳴くんッ! 深海は大水圧と低水温、そして光の届かない暗黒の世界だッ! 調査はほとんど進んでおらず、生物たちは独自の生態系を築いているッ! まさに異世界だッ!」

 

「見ろ、一鳴くんッ! ダイオウイカだッ!! 大きいなッ! 日本で見つかったものは足を含めて6.5メートル。ヨーロッパで見つかったものは最大18メートルとも言われているらしいッ。大きなタコの怪物クラーケンの正体とも言われている、地上最大の無脊椎動物だなッ! 大きくて食べごたえがありそうだが、体内に塩化アンモニアを大量に含んでいるので美味しくないらしいぞ」

 

「一鳴くんッ、深海では大水圧に阻まれて戦輪がうまく機能しない可能性があるッ! 新たな形のアームドギアを形成しなければならないッ! そうだな、やはりここは銛か? 細身の武器ならば水圧の影響を受けにくいだろう。銛なら投擲も出来るしなッ! ……え、戦輪を銛に変える方法? ……よし、特訓だッ!!」

 

そんなこんなで。

三日間深海漬けになった結果。

 

「───── Sudarshan tron」

 

俺は深海型ギアを手に入れていたッ!

琉球海溝直上に向かう船の中でお披露目である。

背中には眩く輝くチャクラム。

これは戦うためではなく、光の届かない深海で光源として用いるための物。

上半身を隠すのはインナーのみで、腕には流線型の手甲。

下半身は腰から下を装甲が覆っている。

小型チャクラムを格納していたスカートアーマーは無くなり、両足の装甲が一体化している。

まるで人魚のようなシルエットだ。

この下半身の装甲からシンフォギアのエネルギーを放出して、深海の大水圧から身を護ったり自在に泳げるようにしているのだ。

そして、手にはアームドギアである銛。

戦輪から変形した銛である。

戦輪がどうして銛になったのかって?

どっちも投擲武器だからネ!(てきとう)

でも戦輪から変形してるから、先端部分が高温を発するようになっている。

ザクの持ってるヒートホークみたいな感じである。

強い(確信)

 

「おお……ッ!」

「あら、いいじゃない!」

 

弦十郎さんと了子さんもご満悦である。

これなら深海でも戦えるぞぅ!

それに、人魚っぽいシルエットも結構気に入ってたり。

 

「性能も問題ナシ! いけるわよ弦十郎くん!」

 

パソコンでシンフォギアの性能を見ていた了子さんも太鼓判を押す。

それを聞いた弦十郎さんがうなずく。

 

「よしッ! ならば一鳴くんは当初の予定通り無人探査船と共に潜航、海底に沈む聖遺物の所まで無人探査船を守ってくれ!」

「了解ッ!」

 

俺は頷き、無人探査船のところまで向かう。

ぴょんぴょん跳ねて移動……。

仕方ないのよ、俺の足、今人魚みたいに一体化してるから歩けないのよね……。

陸では無力ね、深海型ギア……。

 

無人探査船は、船に取り付けられたクレーンによって吊り下げられていた。

たまごひこーきみたいなずんぐりむっくりした流線型のフォルムだ。

全長5メートル、全幅4メートル、高さ3メートル。

そんな無人探査船にはロボットアームがついており、これで聖遺物を回収するのである。

この無人探査船を、聖遺物の所まで護衛するのが今回の任務だ。

 

「無人探査船を降ろすわよ」

 

了子さんが伝える。

クレーンが回転して、無人探査船が海の上に降ろされる。

無人探査船が着水すると、クレーンの接続部が外れる。

 

「一鳴くん、準備はいいか?」

 

弦十郎さんが確認する。

俺はうなずいて答えた。

 

「大丈夫ですッ!」

「よしッ! 謎の黒い影も脅威だが、それ以上に深海は未知の領域だ。十分気をつけてくれッ!」

「了解! 行ってきます!!」

 

俺は船から飛び降りる。

水しぶきを上げて着水。

同時に下半身装甲からエネルギー放出。

俺を囲むように球形に形成。

これで海中でも呼吸が出来る訳だ。

どんな理屈かはわからない。

でも呼吸できるし歌も響かせられる。

どんな理屈かはわからない!

 

「よし、行くか」

 

無人探査船はすでに海中に潜航している。

俺も後を追った。

足を動かして潜る。

海の中は青い世界であった。

だが、底の方は暗黒が広がっている。

ここはすでに琉球海溝直上。

この下は、水深5000メートルオーバーなのだ。

故に、底なしの闇が広がっている。

無人探査船はどんどん潜っていく。

俺も横並びに潜っていく。

水深50メートルを越えて、100メートルに達する。

どんどん暗くなっていく。

周りは海水ばかりである。

生きているものが、世界で自分だけになってしまったかのような錯覚に陥ってしまいそうになる。

 

「水深100メートル突破、どうかしら一鳴くん海の中は?」

 

了子さんからの通信である。

 

「周りになにもないので、正直怖いですね」

「そうね、そこはもう人の住む領域じゃないもの。通信は繋いだままにしておくわ、心細くなったら話しかけてね」

 

と、了子さん。

やさしみ。

了子さんの優しさに触れたので、少し元気が出た。

その間にも潜行していく。

 

「水深150メートル、そろそろ光が届かなくなってきたかしら」

 

了子さんの通信で言われたとおり、だんだん薄暗くなっていく。

隣に居るはずの無人探査船もライトを光らせているが、ボディも見えなくなりつつある。

 

「背中の光輪、そろそろ点灯させた方がいいだろうな」

 

と、弦十郎さんの通信。

俺は言うとおりに背中の光輪を光らせた。

 

「眩しッ!?」

 

全力で光らせたせいで目眩ましになってしまう。

もうちょい抑えて抑えて……。

 

「大丈夫か?」

 

弦十郎さんの声。

 

「ええ、大丈夫です」

「そうか。これより先は光の届かない領域だ。だからこそ、一鳴くんの光輪をエサだと思い込んだ生物が狙ってくるかもしれない。気をつけてくれ」

「了解です」

 

チョウチンアンコウみたいな感じか。

あの魚は頭から飛び出た釣り竿めいたヒレを光らせてエサである小魚をおびき寄せていた、はず。

つまり、俺の光輪によってくる魚がい、る……。

 

「あー、弦十郎さん?」

「どうした、一鳴くん」

「……ダイオウイカとの戦闘って、していいんですか?」

「……いるのか?」

「はい、来ましたねぇ」

 

来ちゃった(震え声)

嘘でしょダイオウイカってもっと深い所に棲息してるんじゃないのッ!?

しかも結構デカいッ!

脚含めて10メートルくらいあるんじゃないアレ!?

 

「あー、確認した」

 

と、弦十郎さん。

無人探査船にはカメラもついており、船上で弦十郎さんや了子さんが確認しているのだ。

 

「丁度いいじゃない。深海型ギアの性能を試させて貰いましょ」

 

と、了子さん。

 

「止むおえないか。無人探査船を壊されるわけにもいかんしな。だが、深追いはするな、追い返すだけにしておくように」

「了解!」

 

そんな訳で。

vsダイオウイカである。

 

 

 

一鳴vsダイオウイカ【1D10】

(負けると無人探査船にダメージ)

 

一鳴【7】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)

 

ダイオウイカ【9】+5(大きさ補正)

 

 

 

ダイオウイカがその触腕を無人探査船に向かって伸ばす。

 

「イヤーッ!!」

 

俺はアームドギア銛を振るってダイオウイカの触腕を弾く。

その勢いを利用して、高速でダイオウイカの胴体まで移動。銛を刺す。

ジュッ、とダイオウイカの傷が焼ける。

カウンターを食らったダイオウイカが暴れる。

もう一度銛を刺す。

ダイオウイカは方向転換、海の底に消えていった。

 

「戦闘終了ッ!」

「お疲れ様。無傷とは流石ね」

 

了子さんが褒めてくれる。

 

「思った以上に水中でも自在に動けましたね」

「特訓の成果が出ているなッ」

 

弦十郎さんと一緒に深海ドキュメンタリー見た結果であった。

むしろドキュメンタリー見ただけでこうなるあたり、シンフォギアかなり柔軟性あるな……。

 

「ダイオウイカが去ったところで、さらに潜っていきましょう!」

 

と、了子さんに言われる。

そうして潜ること、水深200メートル。

これより先が、深海、と定義されている領域だ。

可視光線がほぼ遮断される暗黒の世界。

もっとも、弱い光は届いているらしい。

水深200メートルから1000メートルが弱い光が届くから弱光層、それより下が無光層だとか。

つまりはまあ、ここはもう光が無い真っ暗闇である。

 

「…………」

 

横で泳ぐ無人探査船を見る。

今、俺は背中の光輪で、周囲10メートルを照らしており無人探査船はその範囲内に入っている。

だからこそ、俺の目に見えるのが無人探査船のみであり、不安になってくる。

ここは暗黒の世界だ。

20気圧以上の水圧がかかる死の世界。

シンフォギアが無ければ、辿り着くことも出来ない異界である。

 

「一鳴くん、大丈夫?」

 

心配そうに、了子さんが聞いてくる。

 

「ええ。……聖遺物の反応があったのは、もっと下ですよね」

「ええ。アウフヴァッヘン波形が確認されたのは、そこからもっと下。おおよそ水深5000メートル地点よ」

 

水深200メートル地点でさえこれなのに、更に下に潜る。

いや、むしろ。

この地点ですら、深海の入口でしかないのだ。

 

「大丈夫よ」

 

俺の内心の恐れを感じ取ったのか、了子さんが声を掛ける。

 

「一鳴くんは訃堂司令や弦十郎くん、キャロルちゃんに鍛えられたウチの最高戦力じゃない! ただの真っ暗闇なんて平気でしょ?」

「そうだな。一鳴くんは多くの強敵を乗り越えてきた。安心しろ、君なら大丈夫だッ!」

 

二人が励ましてくれた。

 

「……ええ、そうですねッ! さっさと潜って聖遺物をドーンと持って帰ってきますよ!」

 

二人の励ましは、確かに俺の心に響いた。

我ながら単純な男だと苦笑する。

でも、俺の心には火がついた。

もう、深海を無闇に恐れることは無いだろう。

俺は、一人では無いのだから。

 

「さあ、更に潜って行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

ソレは感じていた。

自身の直上から降りてくる、強い力の持ち主を。

 

「……。」

 

()()が知性を得てから90年近く。

長く生きてきてはじめて。

恐怖した。

 

「…………。」

 

頭に()()()()聖遺物によって知性を得て、強く大きくなったソレが恐怖したのだ。

 

───あぁ、アレは己を殺すものだ。

 

思えば、つい数日前。

ソレの縄張りに近づく見慣れぬ()が居た為に、握り潰した。

その魚は血が流れず肉もない、金属の魚。

奇妙奇天烈な魚。

いや、アレは……。

おそらく、地上に住む人間が作ったものだろう。

ソレはそう結論付ける。

ならば、直上から降りてくるモノもまた人間か。

ソレは、ゆっくりと身を持ち上げた。

琉球海溝の奥底にて、横たえた肉体を。

あまりに大きすぎて、()()()()()()()肉体を。

 

ソレは、かつてはマッコウクジラと呼ばれていた生物。

聖遺物を運ぶUボートが撃沈され、太平洋に沈んだ聖遺物が頭に刺さった結果、知性と力を得た魔獣。

それの姿はもはや、クジラではなく龍のようである。

長く伸びた胴体。

ヒレは伸びて人の腕のよう。

歯は牙のように鋭い。

そして、その頭には一本の聖遺物が刺さっていた。

海水によって腐食しながらも堂々と存在している剣。

 

その剣の名を、アスカロンと言った。

 




こう、クジラの頭に聖遺物が刺さった結果知性を得たというアイデアは、大昔に見た漫画版メダロットから着想を得ました。
メダロット、昔はやり込んだのよね。
ユイチイタン、軽いトラウマなのだわ……。
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