転生者はシンフォギア世界でオリジナルシンフォギア装者として生きるようです 作:アノロン在住の銀騎士
ダクソ3でジークバルトイベントのフラグ叩き折れて意気消沈したので初投稿です。
深みの聖堂でな、うっかりロザリア方面行ってしもたんじゃぁ〜(ショック感)
パッチ、出てきてくれ〜!
水深500メートルまで潜ってきた。
200メートル地点からずっと真っ暗闇の中をシンフォギアの光輪の明かりを頼りに潜ってきたのだ。
の、だがぁ。
「弦十郎さん、またでーす……」
「これで何体目だ、ダイオウイカ……」
ダイオウイカである。
でっかいイカなのである。
それが、海の底から上がってきたのである。
ちなみに水深200メートルから数えて、これで6体目である。
「あ、今度のはちっさい。5メートルぐらいかな」
そう言いながら俺はダイオウイカの胴体に銛を刺す。
ジュッ、と身が焼ける音と共にダイオウイカが逃げていく。
「終わりましたぁ」
「お疲れ様ね……」
了子さんが労う。
「……ダイオウイカって珍しいんですよね」
「生きている姿を見るのはな」
と、弦十郎さんが教えてくれる。
「……もう見飽きました」
「そこらへんで、繁殖してるのかしら。でも、前回はダイオウイカなんて見なかったわよ?」
了子さんによると、前回の調査では深海魚は何匹か見たものの、ダイオウイカはついぞ見かけなかったらしい。
「……一鳴くんを追い返しに来たのか?」
「なんで?」
「聖遺物を守るため、か?」
「なのかしらねぇ?」
と、弦十郎さんと了子さんが通信機の向こうで討論している。
しかし、俺にはあのダイオウイカたちがなぜ群がってきたのかわかる気がした。
「あのダイオウイカたち、なんだか怯えてる気がしたんですよね」
「怯えてる?」
「ええ、弦十郎さん。ダイオウイカたちはなんだか慌ててたというか、俺に向かってきたというよりも進行方向に俺がいて驚いて攻撃してきたって感じがしました」
そう、あのダイオウイカたちは怯えていた。
怯えて、何かから逃げてきていたのだ。
「……ダイオウイカたちは皆と海の底から上がってきていたわ」
了子さんがダイオウイカについて解析していたようだった。
「海底に、何があるというのだ……」
と、弦十郎さん。
「兎にも角にも、潜っていくしかないかと」
「そうだな、一鳴くん! 充分気をつけてくれ」
「了解ッ」
そんな訳で、気を付けつつも更に潜っていく事になった。
水深1000メートル。
この地点まで達すると、水温は4℃にまで下がってしまう。
まあ、シンフォギアのお陰でなんともないけれどね!
それと、水圧が100気圧に達する。つまり、体重の100倍の重さが身体にのしかかっている事になる。
まあ、シンフォギアのお陰でなんともないけれどね!
「ダイオウイカの群れも、一段落かしら」
了子さんがそう通信する。
その通信の通り、ダイオウイカとのエンカウントもしなくなった。
ちなみに、ここまで潜るのに11回はダイオウイカを追い返してるのよね(震え声)
「水深1000メートルまで潜ると、もう日光が届かないので、植物は存在しないらしいな」
そう、弦十郎さんが教えてくれる。
「棲息している生物はラプカやあんこう類、あとはマッコウクジラか」
「クジラ?」
「ああ。肉食のクジラでダイオウイカを食べる事もある、巨大なクジラだ」
マッコウクジラ。
巨大な頭部が特徴のクジラであり、深海まで潜ってダイオウイカや他の生物を取る。
他のクジラが水深200メートル程しか潜れないのに対して、マッコウクジラは最低でも水深2000メートル、確認される限り3000メートルは潜れるのだとか。
マッコウクジラ、ダイオウイカ食べるのね……。
つよい(確信)
「このマッコウクジラの結石が、竜涎香という香料になり……む?」
「どうしました?」
弦十郎さんがなにかに訝しむ。
「通信に、なにか変な音が……、いや、これは!」
「一鳴くんはなにか聞こえる?」
そう言われて、耳を澄ます。
よーく聞いてみると、カチッカチッというクリック音や、バチンバチンという金属音が聞こえてくる。
「……なんですか、これ」
音は、なんだか少しずつ近づいている気がする。
「一鳴くん、気をつけろ」
と、弦十郎さん。
★「これは、マッコウクジラの
そう言われ、俺は即座に迎撃態勢を取る。
そのすぐ後で、目前の暗闇から。
灰色の壁、否。
マッコウクジラが突撃してきたのである……!
一鳴VSマッコウクジラ【1D10】
(負けると無人探査船にダメージ)
一鳴【2】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
マッコウクジラ【9】+8(大きさ補正)
◆
◎戦闘で負けたので、スキル『戦闘続行』が発動します。
一度だけ、戦闘ダイスを振り直します。
(第五十七話で獲得してたの、今まで忘れてました。小説執筆担当と設定管理担当は利き腕をケジメしました。これからも応援よろしくお願いします)
◆
一鳴VSマッコウクジラ【1D10】
(負けると無人探査船にダメージ)
一鳴【10】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
マッコウクジラ【6】+8(大きさ補正)
マッコウクジラの突進を、俺は受け止める。
だが、もともとの大きさと速度の乗った突進を止める事は出来ず、弾き飛ばされてしまう。
「なんのこれしき!」
俺は尾ビレめいた両足で水中を蹴るようにして、体勢を立て直す。
その直後、マッコウクジラに向かって突撃。
巨大な頭部に銛を突き刺す。
「あっち行けッ!」
銛を引き抜き、その銛で頭を更に斬りつける。
ジュッ、と頭部が焼けて血が溢れる。
マッコウクジラが踵を返して暗闇に消える。
「危機一髪ね」
と、了子さんが言う、が。
「いえ。まだです……ッ!」
クジラを追い返してもなお、反響定位は鳴り止まなかった。
いや、むしろその数をどんどんと増やしていっているのだ。
バチンバチン。
カチッカチッ、カチッ。
バチンバチンカチッバチンカチッカチッカチッバチンバチンカチッバチンバチンカチッバチンバチンカチッバチンバチンカチッバチンバチンバチンカチッバチンバチンバチンバチンバチンカチッバチンバチン。
俺の周囲から無数に聞こえてくる反響定位。
これ、マッコウクジラ一匹二匹じゃ足りないぞ……!
「これは……ヤバいかも」
流石の了子さんの声も震える。
マッコウクジラの群れが敵意を持って俺を探しているのだ。
「一鳴くん、水深4000メートルまで潜行するんだッ! マッコウクジラは一時間もの間に、水深3000メートルまで潜れる! だから、更に潜って逃げるんだッ! マッコウクジラには息継ぎが必要だから、そんなに深くは潜れない筈だッ!!」
「了解ッ!!」
つまりは、一時間しか深海に潜れないマッコウクジラが危険を犯してまで俺を水深4000メートルまで追ってこれるか、という話である。
この群れがどれだけこの地点に居たのかはわからないが、ここから水上に上がるまでも時間がかかる。
いわんや水深4000メートルや、というワケダ。
「そうと決まれば!」
俺は背中の戦輪の光量を増やす。
周囲50メートルまでが明るく照らされる。
すると、居るわ居るわ。
マッコウクジラが数十頭。
暗闇に潜むクジラも居るから、更に増えるだろう。
「無人探査船は一鳴くんの後に着いていくように設定を変えたわ! 急いで!」
と、了子さん。
俺は、クジラの隙間を縫うように潜行を開始した。
一鳴とマッコウクジラの追跡戦(1/3)【1D10】
一鳴【10】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
マッコウクジラの群れ【7】+8(大きさ補正)
俺の纏う深海対応型シンフォギアの最高速度は時速60キロメートルである。
それに対して、マッコウクジラの最高速度が時速40キロメートル弱。
速度においてはなんと、俺の方が早いのだ。
だが、その速度の差をマッコウクジラたちは大きさでカバーしている。
俺の進行方向を、ヌッと巨体で阻むのである。
「イヤーッ!」
俺は道を阻んできたマッコウクジラの胴体に銛を突き刺す。
マッコウクジラが痛みで怯んだ隙に、その背中を抜けて前に進む。
「一鳴くん、現在水深2000メートルよ! 頑張って!」
了子さんに応援される。
あと2000メートル潜らないといけない。
こりゃ大変だぁ……!
一鳴とマッコウクジラの追跡戦(2/3)【1D10】
一鳴【3】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
マッコウクジラの群れ【5】+8(大きさ補正)
水深2000メートルを越えて、マッコウクジラの群れの数は大分減ったと思う。
だが、後ろを見るとまだまだガッツのあるマッコウクジラが数匹追いかけてきていた。
「イヤーッ!」
俺は銛を投擲。
先頭のマッコウクジラの頭に当てる。
銛は刺さらなかったが、その熱に驚いたクジラが悶る。
その隙に更に潜る。
潜る。
潜る。
「現在水深3000メートルを超えたッ! あと少しだ!!」
弦十郎さんがそう通信してくれた。
一鳴とマッコウクジラの追跡戦(3/3)【1D10】
一鳴【10】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
マッコウクジラの群れ【7】+8(大きさ補正)
水深3000メートルを越えて、もう追い掛けてくるマッコウクジラはあと一匹だけであった。
身体中に傷が刻まれている、歴戦の個体である。
……おそらくは死なば諸共、俺を殺そうとしている。
そのマッコウクジラが無人探査船に突っ込んで、破壊しようとする。
「イヤーッ!」
俺はそのクジラの頭を銛で刺す。
だが、クジラは止まらない。
俺は銛の先端を更に発熱。
クジラが苦痛で悶る!
しかし、闘志を失わない。
「……、そっか」
このマッコウクジラはきっと、もう止まらないだろう。
俺が死ぬか、このマッコウクジラが死なない限りは。
ならば、苦しませずに一気に殺すのみ……!
銛の先端が更に発熱!
熱エネルギーは一瞬にして剣槍の穂先を形作り、マッコウクジラの頭を蒸発させた。
頭を無くしたマッコウクジラが海底に沈んでいく。
静かで暗い、海の底へと……
「……」
俺はそれを、静かに見ていた。
あのクジラは、きっと戦士だった。
最後まで、戦士だったのだ。
「一鳴くん、無事かッ!?」
弦十郎さんからの通信。
「ええ、無事です」
「そうか、マッコウクジラの
「ですね」
現在水深4000メートル。
静かで暗い海の底。
アウフヴァッヘン波形が確認された地点まで、残り1000メートル。
ここから先は、琉球海溝に入っていく事になる。
「気をつけてね、一鳴くん。少なくとも、敵意を持った何かが居ることは確かよ」
了子さんの言う通り、この先にある聖遺物には守護者が居るのだ。
先んじて送られてきた無人探査船を破壊したなにかが……。
「考えても仕方ないか。一鳴、更に潜ります」
そんな訳で、俺は海溝へと潜っていく。
「それにしても、遠くまで来たものですねぇ」
思わず、そう呟く。
なにせ水深4000メートルを越えて、更に潜っていくのだ。
未だ研究の進んでいない深海。
そこに、踏み入ったのである。
「そうねぇ。でも、そこはまだ琉球海溝の中では浅い方なのよん」
と、了子さん。
その言葉を、弦十郎さんが繋いだ。
「琉球海溝はフィリピン海溝の一部でな、そのフィリピン海溝には水深10000メートルを越える深さのエムデン海淵やケープ・ジョンソン海淵がある」
「海淵?」
知らない言葉が出てきた。
海淵ってなんぞ?
「海淵とはな、水深6000メートルを越える海溝の中の更に深い地点の事だ」
「つまり、一鳴くんは深海のまだ入り口にいるって事ね」
水深5000メートルがまだ深海の入り口とは、なんとまあ、地球は広いなぁ。
とまあ、そんな話をしていると水深5000メートルに到達する。
琉球海溝の底。
海底の地面が視認出来た。
砂漠のような、海藻一つ生えていない荒涼とした深海の砂漠が広がる。
アウフヴァッヘン波形が確認された地点とは、目と鼻の先である。
「やっと到達ね。……なにか、見えるかしら?」
了子さんがそう聞く。
「うーん、砂と岩ばかりで……」
俺は辺りを見渡す。
こう、聖遺物みたいな不思議な見た目の物はなにもない。
……いや、気になるものはあった。
「……骨がありますね」
それは、大きな骨であった。
全体の形から見て、恐らくはクジラの骨だ。
それがマッコウクジラなのか、別種のクジラなのかはわからないが。
だが、その骨はあちこちが砕けており、肉が全て削がれている。
そんな骨が、海溝中にある。
「……クジラの墓、か?」
「と、言うよりもお食事の後に見えるんですけれど」
弦十郎さんの言う通り、クジラの墓場に見える。
なのだが、俺には食われた後にしか見えないのだ。
だって、骨に歯型が着いている。
鋭い牙の穴が空いた骨が。
「……居ますね」
これは、居るね。
このクジラを食った何かが。
そして、それは恐らくは無人探査船を襲った黒い影の事であろう。
「…………」
集中して、攻撃に備える。
だから、それに気付いたのだ。
背中の戦輪が照らし出すのは半径50メートル。
その外側に蠢くナニカ。
チラチラと、その肉体が視認できる。
直径30メートルはありそうな肉体。
全長は、わからない。
だが、大きい。
「……!」
バチン。
バチン!
バチンバチン!!
水中に金属音が響く。
マッコウクジラの反響定位によく似ている、だが、先程よりも大きな音。
そして。
★直上から、巨大な
一鳴回避ロール【1D10】
1 避けた!
2 避けた!
3 避けた!
4 食われた!?
5 避けた!
6 避けた!
7 カウンター!
8 避けた!
9 食われた!?
10 熱烈歓迎
結果【1 避けた!】
直上から急加速で降ってきた
謎の頭部は海底に激突、砂煙が上がる。
だが、頭部はすぐに動き出して鎌首をもたげる。
それは、正しく蛇の動き。
だが、その頭はマッコウクジラのソレだ。
長大なマッコウクジラ、それが俺を襲ってきたモノの正体。
「アウフヴァッヘン波形確認! 聖遺物はすぐ近くよ!!」
了子さんが叫ぶ。
目の前の怪物、その頭に棘が刺さっている。
それは、よく見ると棘でなく剣だ。
腐食しながらも、堂々として存在する剣。
間違いなく、聖遺物だろう。
「剣の聖遺物……? ギャラルホルンじゃなかったのか」
アウフヴァッヘン波形を発していたのはギャラルホルンではなかった。
謎の剣の聖遺物であった。
「恐らく、その怪物が前回の無人探査船を破壊した犯人ね。聖遺物の力で進化したのかしら……」
と、了子さん。
怪物の頭に刺さった聖遺物の力で、怪物は今のような姿になったのか。
龍のような、神秘的で恐ろしい姿に。
その怪物が口を開く。
鋭い牙が見える。
そして、そのまま噛み付いてくる。
高速の攻撃、間一髪で避ける。
「向こうはやる気マンマンですねぇ!!」
「止む終えん! 攻撃を許可する!」
弦十郎さんから許可が出る。
この怪物、クジラの王を倒して剣の聖遺物を手に入れるのだ!
一鳴VSクジラの王【1D10】
(負けると無人探査船一発破壊、引き分けは無人探査船にダメージ)
一鳴【7】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)
クジラの王【3】+15(大きさ補正)
さて、クジラの王と戦うのであるが。
鯨の王はその龍めいた細長い身体で俺の周りを囲っている。
包囲されているのだ。
そして、俺に向かって頭を突撃させている。
その攻撃は早く、避けるので精一杯。
受け止めようものなら、勢いを殺せずクジラの王の突撃を食らうことになるだろう。
なので俺は隙を狙って居たのだが。
俺と一緒に包囲されていた無人探査船を狙われてしまう。
「しまっ───」
無人探査船を守ろうとするも、素早い攻撃に無人探査船が一部破損されてしまう。
「ロボットアームを一本持ってかれたわ!」
了子さんから通信で悲鳴。
無人探査船はお高いのだ(震え声)
「一鳴くん、これ以上クジラの王の好き勝手やらせないで! 高いのよコレ!!」
「ハイヨロコンデー!」
俺は了子さんの剣幕に背筋が寒くなった。
一鳴VSクジラの王【1D10】
(負け及び引き分けは無人探査船一発破壊)
一鳴【7】+5+3(マリア補正)+3(セレナ補正)+3(了子の脅し)
クジラの王【3】+15(大きさ補正)
了子さんに脅されて気合が入ったのか、恐怖で集中力が増したのか。
クジラの王の動きが見えるようになってきた。
クジラの王の攻撃を、無人探査船に向かわないようにコントロールする。
クジラの王が噛み付きにかかる。
回避!
クジラの王が突撃する!
回避!
クジラの王が首を振り回して俺を叩き落とそうとする。
回避!
「今!」
首を振った影響からか、隙を大きく見せるクジラの王。
俺は銛の刃先を緊急発熱!
あまりの熱に銛が形を保てず、熔融する。
俺はそのまま更に発熱!
アームドギアが形を持たないエネルギーと変質する。
俺はそのエネルギーを自分の周りに集める。
アームドギアはエネルギーに変質してもアームドギアとしての特性を持っている。
つまり、形は自在である。
アームドギアのエネルギーは俺の周りに纏わり付いて大きな魚の形を取る。
実体のない、全長10メートルほどの大魚。
その形はマグロめいた流線型のフォルム。
超高温、金色のエネルギー体。
辺りの海水が沸騰する。
クジラの王が怯む。
だが、もう遅い───!
化身・金色大魚
巨大魚の化身となったアームドギアと共にクジラの王の首に突撃。
そのまま噛み付く。
実体は無くとも、超高温のエネルギー体。
クジラの王の首が焼き切れていく。
「!?!?!?!?!?」
クジラの王が悶る。
暴れる。
龍のごとき長大な巨体が、琉球海溝を揺らす。
だが、離れない。
俺は、このエネルギーはクジラの王から離れない。
そして。
クジラの王の首を焼き切る。
「───………」
クジラの王の首が海底に落ちていく。
大量の血が海底に広がる。
巨体が深海に沈む。
大魚を形作るエネルギー体が、銛の形に戻る。
「ふぅ、戦闘終了です!」
俺の報告に、通信の向こうで弦十郎さんや了子さん、他にも沢山の人がホッと息をする音がした。
「お疲れ様、一鳴くん」
「聖遺物も確保したわ」
見ると、無人探査船が残ったアームドギアでクジラの王の頭に刺さった聖遺物を引き抜いた所であった。
「人類未踏の領域で、良くやった」
弦十郎さんに褒められた所で。
任務完了である。
◆
クジラの王の頭に刺さった聖遺物の正体は、アスカロンという聖剣であった。
任務完了後、了子さんが聖遺物の特徴と、Uボートに積まれて日本にやって来る予定だった聖遺物の名簿を確認して、証明したのである。
アスカロンとは、ゲオルギウスという聖人が用いたという聖剣であり、片刃の剣であるとか。
「汝は竜、罪ありき!」という言葉で有名かしら。いや、そのセリフ知ってるのFate民だけだけど。
まあ、要するにアスカロンは聖人の剣である。
そして、毒吐く邪竜を殺したドラゴンスレイヤーでもある。
アスカロンにはほんの僅かに、血がこびり着いていた。
それはマッコウクジラの血でもなく、人の血でもない。
未知の血だ。
強いて言うなら、爬虫類の血に似ているが詳細は不明。
おそらくは、邪竜の血だろう。
その、ほんの僅かな邪竜の血が、偶然刺さったマッコウクジラに作用して、あのような姿になったのか。
龍のような長大な身体。
腕のような前ヒレ。
鋭い牙。
邪竜のごとき、クジラの王。
Uボートが沈められたのが、今から90年ほど前。
それだけの時間、あのクジラの王は海底に君臨していたのだろうか。
だからこそダイオウイカは怯え、マッコウクジラの群れも俺を殺そうとしてきたのか。
人類未踏の領域に君臨する、クジラの王。
シンフォギアが無ければ、いや、深海型ギアに目覚めてなければ死んでいたな……。
そんな風に深海型ギアに感謝した。
そして、こんなニッチなギアはもう出番は無いだろうとも。
だけど───
「一鳴、こっち向いてッ!」
「あーダメ、ダメです! エッチ過ぎます!」
「一鳴さん、素敵ですよ。だから目線お願いします」
写真撮影会で早速纏う羽目になるとは思わなかった。
マリアさんがスマホで写真をパシャパシャ撮る。
セレナちゃんはムービーを撮り続けている。
調ちゃんはそのバズーカみたいなカメラどこで手に入れたの? え、マムの私物? そっかぁ。
「了子さんには感謝ね!」
マリアさんがローアングルで俺を撮りながらそう言う。この三人に深海型ギアの情報を漏らしたのは了子さんらしかった。
「はい! 人魚姫みたいなギアなんて……あーいいです♡」
うっとりしながら、ムービーを取り続けるセレナちゃん。
「後で切ちゃんにも見せてあげよっと」
と、プロ顔負けの技術で撮影し続ける調ちゃん。
「ねー、もういい?」
かれこれ三十分撮影されていた。
俺は疲れていた。
「まだ駄目よ! 響に送る分もまだ撮れてないし!」
「もうちょっと、もうちょっと撮らせてください! あーこのアングル最高!」
「一鳴さん、笑って?」
パシャリパシャリ。
写真を撮ったり動画を撮ったりする3人であった。
……まあ、3人とも楽しそうだしいっか!
いっか!!!(ヤケクソ)
ちょっと裏話。
アスカロンがクジラの王に刺さった時、アスカロンはまだ励起していませんでした。
じゃあなんでアスカロンが起動しているかというと、マッコウクジラたちの反響定位が原因です。
反響定位は「クジラの歌」とも呼ばれており、若干のフォニックゲインを含みます(オリジナル要素)
だからアスカロンが起動したんですね。
そして、クジラの王はアスカロンに付着していた邪竜の血によって肉体を変異させました。
そのままなら、いずれ邪竜の血の強すぎる力によって死に至る所でしたが、アスカロンが起動した事により生きながらえました。
アスカロンには、持ち主を守るという特性があり、その力が邪竜の血からクジラの王を守ったのです。
ですが、その力は経年劣化と深海による腐食で弱まっており、一鳴くんの攻撃から守るほどの力は残っていませんでした。
だから一鳴くんでもクジラの王を討伐出来たんですね。
よし、裏話終わり。
皆もう寝ていいよ(怪文書感)