【完結】ONE PIECE Film OOO ―UNLIMITED DESIREー 作:春風駘蕩
「め……、面目ねぇ……」
「まったくだ」
溺れた3人と少女は、結局ゾロとフランキー、ウソップの手によって引き上げられた。
大量に水を飲んだルフィは、水風船のように腹がパンパンに膨れている。ウソップが腹を押すたびに、口から噴水のように海水が噴き出る。
「どこの世界に助けに行って助けられるバカがいんだよ」
「だ…、黙れマリモ…」
ゾロと言い争う元気だけは失わない。
そんな二人を置いて、ナミは少女を診るチョッパーのそばにしゃがみ込んだ。
「チョッパー、どう?」
「…うん、大丈夫。気絶しててあまり水を飲まなかったみたいだ」
チョッパーの診断に、ナミは安堵の表情を浮かべる。
ふと、ナミは少女の服装に目が行く。
「…ねェ、この子の格好。なんかおかしくない?」
「ん?」
ナミの疑問を帯びた声に、チョッパーがのぞきこむ。
少女がまとっているのは、複雑な模様の折り込まれたポンチョのような一枚の布。それを、半そでの着物のような服の上に羽織っていて、腰の後ろには片刃の青い刀剣がベルトに提げられていた。
何よりも目を引いたのは、腰の前を飾るバックルだ。三つのスリットが横に並び、青色の模様が入っている、不思議なデザインだ。
だが、ナミが気になったのは、そこではない。
「何で食べられてたのに、服が無事なの?」
見れば、少女の体には怪鳥の胃液らしき液体がべっとりとついているのに、少女の服は新品のようだ。
「食われたばっかのとこだったんじゃねェの?」
「こんな何もないところで?」
そういって、ナミは島の影どころか生き物の気配すら感じられない海を見渡す。
「この子、どこから来たの?」
ナミの問いに、答えられるのは誰もいない。
「……唯一知っているのは、あの化け鳥だけか」
ぼそりと、ゾロが怪鳥の沈んだ方向を見ながらつぶやく。
「つっても、聞いても答えるわけでもあるまいし…。それに、もう死んじまったし―――――」
ウソップが呟いたその時。
ザバッと船のすぐ近くで水柱が立ち、大きな何かが咢を全開にして迫ってきた。
仕留めたはずの、怪鳥だ。
「ギャ――――――――――!!! 生きてた――――――!!!」
「仕留めれてねーじゃねーか!!」
「いぃぃやぁぁぁぁ!!!」
両手を上げて絶叫するチョッパーとウソップとブルック。
「で…デカ!! こんなでかかったのかよ!!」
「ほんとに鳥かしら」
「言ってる場合か!!」
その巨大さにおののくフランキーと、冷静に分析するロビン。そしてそれに突っ込むナミ。
そして。
「肉―――――――――――!!!」
と、目を輝かせるルフィと。
「3日は持つか…」
と、さっそく献立を考え始めるサンジと。
「お前もまた不運だな」
と、3本の刀を構えるゾロ。
3人は怪鳥の目の前に立ち、ほかの6人は余波を恐れてわきによる。
「〝ゴムゴムのォ〟!!」
「〝三刀流・
「〝
ルフィは右手を長く伸ばし、ゾロは両手を交差させ、刃を前方に向け、サンジは右足を大きく振りかぶる。
怪鳥が本能で危機を察した時には、もう遅い。
「〝
再びルフィのコークスクリューブローが怪鳥の腹のど真ん中に決まり、ゾロの剣が蟹のハサミのように怪鳥の首をとらえ、サンジの蹴りが首元に直撃し、今度こそ怪鳥は仕留められた。
と思われた瞬間、怪鳥の体の輪郭がぼやけだした。
「!?」
目を見開いた3人の目前で、怪鳥は銀色の小さなかけらとなって消滅した。
小さな円形のかけらに変化したせっかくの食材が、ルフィたちの上に降り注ぐ。
「ぶ!!」
いきなりの怪奇現象に、硬直したままの3人はぼーっと突っ立ったまま銀の塊の中に埋もれてしまった。
「な…、なんじゃこりゃぁ!!」
ウソップが目を見開きながら、銀のかけらを拾い上げる。
「ひょっとして…………、お金!!?」
目をベリー貨幣の形にしたナミが飛びつこうとする。
が、それより先にウソップが否定した。
「いや、メダルだ」
「……は?」
ウソップの拾い上げた1枚のメダルには、翼を広げた鳥の絵が彫ってある。
ほかのメダルを見てみると、同じようにそれぞれ片方の面に動物の絵が彫ってあった。
「……あの鳥、メダルでできてたのか……?」
ナミは思わず、ガクッと膝をつく。
「食材でもないうえに、何の価値もないただのメダルって……」
「えー……。肉は―――?」
ルフィもがっくりと肩を落とし、不満げな声を上げる。
「いや、それよりおかしいだろ。なんでメダルが鳥になんかなんだよ」
「もー、何の変哲もないただの金属のかけらですねー…」
もっともな疑問の声に、答えられるものは誰もいない。
と、その時。
「ん……」
ふと聞こえた声に、全員がはっと振り返る。
声の出どころは、ずっと眠り続けていた少女の方だった。
少女の瞼がぴくぴくと痙攣し、閉じられていた瞳が、ゆっくりと、開かれ始めた。