【完結】ONE PIECE Film OOO ―UNLIMITED DESIREー 作:春風駘蕩
ひんやりとしたそれをなめると、程よい甘さが口いっぱいに広がる。
食の欲望を満たしてくれるアイスキャンディに、ルフィはぶるっと身を震わせる。
「んめぇ~!!」
「でしょ?」
水色の氷菓子をなめながら歓声を上げるルフィに、ヒナは嬉しそうに笑いかける。そして、自分もまたアイスキャンディをほおばる。
その横で、エールは黙々とアイスをなめ続けていた。
それに気づいたヒナが、訝しげに首をかしげた。
「どうしたの? エールおねえちゃん。……もしかして、おいしくなかった?」
その悲しげな問いに、エールは慌てて首を振った。
「う、ううん。そんなことない。おいしい」
妙にぎこちないエールの様子に、ルフィは眉を寄せた。
「美味かったら美味いっていえばいいのに………〰〰〰〰〰!!!」
そういった瞬間、二人は急にアイスをかきこんだことによるキ―――ンとした頭痛に襲われた。
顔全体を皺くちゃにした二人に、エールは思わず吹き出す。そのまま耐え切れずに、くすくすと笑うと、つられてルフィとヒナも大きな声で笑い始めた。
その時、カラン、という音を立てて、足元にどこかから赤い缶状のものが転がってきた。
「ん? なんだ、これ?」
ルフィがそれを拾い上げようとすると。
[タカ!]
その缶が一瞬のうちに十字に展開し、真紅の鳥の形へと変形した。
小さなタカがピィとなくと、ルフィとヒナの目が興奮で輝く。
「すっげぇ!! なんだこれ!?」
「鳥になったぁ!!」
タカはくいくいと首を振ると、ルフィたちに背を向けてどこかへと飛んでいく。
まるで、ついて来い、と言っているようだ。
「あ! 行っちゃう!!」
「待てよー!! 鳥―!!」
二人は子供のように――というか一人は子供なのだが――はしゃぎながらタカを追って駆け出した。
「……え!? あ、ちょっと、まってぇぇぇぇ!!」
置いてけぼりを食らったエールも、慌てて二人の後を追いかけて行った。
*
道の片隅にデン、とおかれた大きな物体。上部にはショーウィンドーのような部分があり、その中には色鮮やかな缶が並べられている。
それをフランキーとウソップはじっと凝視していた。
「なーんなんだ? こりゃ……」
「でけー箱だな……」
ぼんやりと観察しながら、二人はその箱に縦長の小さな穴が開いていることに気付いた。
「…………」
ウソップは思い付きで、ポケットから一枚のメダルを取り出し、その穴に入れてみる。
チャリン! と小気味よい音を立ててメダルが穴の中に消えていくと、ウソップは上の適当なボタンを押してみた。
[バッタ・カン!]
ガコン、と落ちてきた缶を手に取り、「なんだこりゃ?」とつぶやきながらいじっていると、偶然上のプルトップ部分に指が引っ掛かり、ぷしゅっと音を立てて開いた。
すると、缶はまたも一瞬で変形し、比較的大きな足を持った緑色のバッタロボットへと変わった。
「「すっげぇぇぇ!!」」
二人して感動していると、そのそばを、歓声を上げながらルフィたちが走っていった。
「待て―! 鳥―!!」「まて―!!」「待ってぇぇえ!!」
前を行く赤い小さな鳥を追って、鬼ごっこを楽しむルフィたち。
「何やってんだあいつら……」
ウソップとフランキーは、それを呆れた目で送っていった。
*
日が少し翳りを見せ始めた頃。
お目当ての医学書を手に入れた伊達丸とチョッパーは、民家の裏の細い道を並んで歩いていた。
「へ~。お前が、あの医術大国ドラムの出身とはねぇ……」
「お前もなんかかっこいいじゃねェか!!『戦う医者』とか呼ばれてて」
医者として通じる不思議な何かがあるらしい二人は、互いの様々なことを紹介しあう仲になっていた。
「そういや、なんでこんなへんぴなトコにお前は来たんだ?」
「……ま、目的があるからな」
伊達丸はそう言うと人差し指を突き出す。
「?」
チョッパーがいぶかしげな顔をすると、伊達丸はすぐさま答える。
「一億ベリー稼ぐ」
「…………え!? え〰〰〰〰〰!!?」
目を剥くチョッパーに、伊達丸はにしし、と笑って見せた。
「驚いたか。あたしはきっと、こんだけ稼いでみせる。……文字通り命がけでな」
「…………」
伊達丸は得意げにはなを鳴らすと、呆然としたままのチョッパーを置いて歩き出した。
固まったチョッパーは、ぎこちない動きで伊達丸についていく。
「何でそんなに稼ぎたいんだ?」
「あ? あ~……それはだな」
伊達丸は一瞬口ごもり、ふっとチョッパーから目をそらす。そんな二人の近くを。
「まてぇ〰〰!!」「待て~♪」「ま…、待っ………」「待てよ~ぅ!!」「ア〰〰〰〰ウ!!」
と、大騒ぎしながらルフィたちがかけていった。
「…………ん?」
「なんだ?」
*
日もそろそろ傾き始めた頃。
町の一端に建てられた、オープンテラス。
そこに並べられた席に、ナミとロビンは座っていた。傍らには、戦利品と思われる衣類の数々が並べられている。
テーブルに置かれたグラスの中で、溶けかけた氷がカラン、と涼しげな音を響かせる。
木製のリラックスチェアにもたれかかるナミは、テーブルに積み重ねられた紙の束に目を通しながら、冷たいソーダを喉に流し込む。
真新しい一枚の地図を手に、ナミは興味深そうに微笑んだ。
「なるほどね……。あの伝説は、全くの偽りってわけでもない、と」
「ええ。遺されていた遺跡や文献をあさってみたけれど、どれも同じことを書いていたわ」
ロビンも資料に目をやり、何かおかしそうにクスッと笑った。
「その様子じゃ、まだあきらめきれないみたいね」
「と~ぜん!」
そうやる気満々にガッツポーズをとるナミは、レストランにいた時と打って変わっている。
「こんなとこまで来たんだもの。お宝の一つや二つ手に入れなきゃ気がすまないわ」
ナミの気迫に、ロビンは別の理由で同意する。
「私も、まだこの島に興味があるわ。……いろんな意味で、気になることがあるの」
「気になることって何なんだい、ロビンちゃん?」
おかわりのドリンクを運んできたサンジが尋ねると、ロビンは資料の一枚を抜き取ってサンジに見せた。
「例えば800年前、欲望の怪人と呼ばれた者たちを封印した、王の行方。島の東がその最後の地だという話だったけど、結局見つからなかったわ」
「東って……、あの海に沈んでる?」
「ええ」
そういって、ロビンはまた新たな資料を見せる。そこに描かれていたのは、円形に描かれた何枚もの動物の絵と、三つの円が並んだ長方形の図だ。
「私たちがここに来たもともとの目的、古の力・コアメダル。そして王の行方。伝説の通りなら、この二つは同じ場所にあるはず。あんな話を聞いちゃったんじゃ、一度はそれを拝んでみたいわ」
「勢い余って封印解いちゃったりしないでよね……?」
「……クス」
ナミの冗談に、ロビンは意味深に笑った。
「待て〰〰!!」「待て待てぇ!!」「……ッ、……!!」「待てよ〰ぅ!!」「ア〰〰〰ウ!!」
ロビンの思わせぶりなセリフに固まるナミとサンジの目の前を、何も知らないルフィたちが走っていく。
「冗談よ。存在が確信できればそれで満足よ」
「ですよね!!」
「まぁ、でも。ちょっとだけなら見ても構わないんじゃないかしら?」
「…………」
バタバタバタ……
「ま、まぁ、あたしはとりあえずお宝よね。王様が残した秘宝ぐらいあるっしょ!!」
「その手がかりも、もしかしたら王の行方と同じところにあったりしてね」
「……ま、まっさかぁ~」
バタバタバタバタバタバタ……
「………………」
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ……!!
「うるさいわ!!!」
ゴンッ!! ガンッ!! ドガンッ!!
鈍い音がこだまし、ルフィたちはキレたナミに一撃で沈められた。
「ご、ごめんなさい……」
「私、うるさくしてないのに……」
仲良くボコボコにされたルフィたちは、そのまま地面に転がされる。息が切れてふらふらになっていたエールは、それが止めとなって倒れこんだ。
「今、まじめな話をしてんのよ!!」
「お宝盗む?」
「うっさい!!」
ウソップの冷やかしに、ナミは怒鳴り返す。
ルフィは殴られながらもげらげらと笑い、その姿にフランキーやサンジ、ロビンも一緒になって笑う。
いつの間にか、自分も一緒になって笑っていることに気付いたエールは、戸惑いながらも構わず笑った。
少しだけ、自分の中で何かが満ち足りた気がして、エールは胸が熱くなるのを感じた。
―――チャリン!
その時、エールの耳は何か金属が落ちる音を拾った。
「――――――!?」
思わず振り返ったエールは、その音がどこかで聞いた覚えのあるものであることに困惑する。
不安げな目で辺りを見渡し始めたエールに、ナミが訝しげな目を向けた。
「? どうしたのよエール」
「…………何、今の」
エールが呟いた瞬間。
――――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
町の方角から、大地に轟く獣の方向が響き渡った。
「!!?」
仮面ライダーに最近よく出るお助けメカ。
この小説だと出番少なそうだな……。