学校の校門前で、部活帰りのイズモは空を仰いだ。
夕焼けに染まる空を見上げながら、気の抜けた声を漏らす。
イズモ「さーて、部活も終わって、あとは帰るだけか」
その瞬間、足元の感覚が消えた。
視界が歪み、空気の重さが一変する。
次に立っていたのは、石畳と木造の建物が連なる中世風の街並みだった。
イズモ「……来たな」
イズモ「いつものか。でも、ここは日本じゃない」
剣を腰に下げた人々、馬車、露店。
完全に異世界だと直感する。
イズモ「まずは情報収集だな」
視界の端で、小柄な少年が屈強な男に引きずられそうになるのが見えた。
反射的に力が走る。
イズモ「ATフィールド、展開」
見えない壁が男を弾き飛ばし、少年はその場に崩れ落ちた。
周囲の視線が一斉に集まり、イズモは舌打ちする。
イズモ「……目立ちすぎたか」
その場を離れ、市場へ向かう。
果物屋の店主が声をかけてきた。
店主「兄ちゃん、変わった格好だな」
店主「旅の途中か?」
イズモ「ええ、道に迷ってしまって」
イズモ「ここはどこですか?」
店主「王国ルグニカだ」
イズモ「ありがとう」
路地裏に入り、イズモは小型ドローンを起動させた。
上空から街を俯瞰し、構造を把握する。
イズモ「完全にヨーロッパ中世だな」
そのとき、背後から三人の不良が現れた。
不良「てめえ、何ぶつぶつ言ってやがる」
不良「痛い目見たくなきゃ、出すもん出しな」
次の瞬間、小柄な金髪の少女が突っ込んでくる。
少女「どけどけー、じゃまー!」
少女「よくわからんが、強く生きろよ!」
イズモ「……しゃーない」
ATフィールドで二人を吹き飛ばす。
残った一人がナイフを振り回すが、刃はすべて弾かれる。
不良「ちょこまか動きやがって!」
そこへ銀髪の少女が現れた。
紫水晶のような瞳で、静かに睨みつける。
少女「そこまでよ」
少女「今なら返すだけで済ませてあげる」
不良「俺たちじゃねえ!」
不良「盗んだのは、さっきのガキだ!」
少女「……本当みたいね」
少女「でも、この状況は見過ごせないわ」
氷の魔法が放たれ、不良たちは地面に転がった。
イズモ「サンキュー」
麻酔銃で完全に無力化する。
銀髪の少女が警戒を解かない。
少女「動かないで」
白い猫の使い魔が現れる。
猫の使い魔「ありがとう」
猫の使い魔「邪悪な感じはしないね」
イズモ「……かわいい」
猫の使い魔「もう大丈夫だよ」
少女「私の貴章を盗んだ人、心当たりある?」
イズモ「さっきの少女だと思う」
イズモ「ドローンで追跡する」
少女「それは?」
イズモ「科学っていう魔法だよ」
追跡はすぐに成功し、不良たちは衛兵に引き渡された。
猫の使い魔「そういえば名前、聞いてなかったね」
イズモ「最上イズモだ」
ウェアラブル端末からカエデを実体化させる。
カエデ「カエデです。イズモ様をサポートします」
イズモ「俺の能力は、創造生物以外なら作れる」
猫の使い魔「僕はパックだよ」
少女「私はサテラ」
イズモ「いい名前だ」
サテラ「……え?」
迷子の幼女を見つけ、親を探すことになった。
イズモは手品のように物を出し入れし、子どもを安心させる。
貧民街へ向かい、怪しい家を特定する。
イズモ「ここだな」
サテラに透明化装置を渡す。
イズモ「合図するまで待ってて」
扉を開けると、巨漢が現れた。
イズモ「十五歳くらいの女の子、来なかったか?」
交渉は一時成立するが、腸狩りと呼ばれる女が現れ、状況は一変する。
イズモ「フェルト、衛兵を呼べ!」
戦闘が始まり、銃撃と刃が交錯する。
そこへ赤髪の騎士が割って入った。
ラインハルト「そこまでだ」
ラインハルト「僕はラインハルトだ」
腸狩り「血の匂いがするわ」
イズモは高周波ブレードを渡す。
イズモ「使ってくれ」
光に包まれ、腸狩りは吹き飛ばされた。
ラインハルト「素晴らしい剣だ」
イズモ「あげるよ」
戦いが終わり、銀髪の少女が深く息をつく。
サテラ「私、嘘をついてた」
サテラ「本当の名前はエミリア」
イズモ「そっか。よろしくな」
その瞬間、背後から鋭い痛みが走る。
腸狩り「いずれ、ここにいる全員を殺してあげる」
視界が暗転し、イズモの意識は闇に沈んだ。