イズモ「クリュシュのところへ行く。
白鯨の件を伝えなきゃならない」
レム「……何か、見えたんですか?」
イズモは指先を弾き、空中に疑似映像を展開した。
霧に包まれた山岳地帯と、巨大な影。
イズモ「ロズワール邸付近で魔女教を補足。
それとは別に、白鯨の最近の出現データも揃った」
イズモ「出現時刻は二十一時ちょうど。
体重二五〇〇キログラム、全長一〇メートル。
一定ダメージを与えると分裂するが、最上位個体を討てば消失する」
レム「……つまり?」
イズモ「白鯨を討伐すると、ほぼ確実に魔女教が動く。
時間も距離も近すぎる」
イズモ「でも戦力は足りる。
白鯨は事前準備しながら、俺のリハビリ代わりに仕留める」
イズモ「爆弾を作って合図にする。
分裂後は、この世界の魔法使いたちと俺にできない攻撃を任せる。
魔女教は俺が下を潰して、最後に頭を落とす」
レム「……いいですね」
レム「ただし重量制限があります。
一日十トン、十個までです」
イズモ「一個で半径三キロは消せる。
分裂対策は、クリュシュとアナスタシアの部隊に援護を頼む」
レム「問題ないと思います」
イズモ「エミリアには採掘権の借用を確認して、経緯も説明しておく。
忘れないように頼む」
レム「流石です、イズモ君」
クリュシュ邸。
イズモ「同盟を組みたい」
イズモ「こちらは採掘権の一時借用。
そして白鯨の位置、高度、出現時刻の提供だ」
クリュシュ「その根拠は?」
イズモ「これまでの白鯨の出現データ。
すべて、この衛星が捉えている」
???「その話、うちも聞かせてもらってええ?」
クリュシュ「アナスタシア・ホーシン。
それにラッセル・フェロー」
イズモ「来てたか」
アナスタシア「呼び出された思うたら、もう話進んどるやないか」
アナスタシア「白鯨討伐、ほんまやったら大歓迎や。
うちの傭兵団も出すで」
クリュシュ「だが最上イズモ。
衛星は月にしか存在せんはずだ」
イズモ「今日はまだ一個も作ってない。
なら問題ないだろ」
イズモはその場で光を組み上げた。
小型衛星が形を成し、天へと射出される。
イズモ「これを宇宙に飛ばしている。
データ解析はAIが担当だ。
誤差は時間で十分、高度は一メートル以内」
イズモ「特性も解析済みだ。
白鯨は分裂するが、最上位を討てば全消滅する」
イズモ「……白鯨をキルしよう」
クリュシュ「決まりだ。
討伐を開始する」
イズモ「一日十トン、十個まで。
爆弾と兵器を作る」
ビル爺「この老体に、白鯨討伐の機会を与えてくださるとは。
感謝いたします」
イズモ「作戦は単純だ。
俺が爆弾を落とす。
分裂後はビル爺と魔法使い団で削る。
距離は三キロ確保」
その夜までに、イズモはN2と小型VTOLを完成させた。
ミサイル、ガトリングガン、装甲服も揃う。
集会後、出撃。
ミミ「ミミなのだー!」
VTOLが起動する。
ミミ「かっけーのだ!」
イズモ「行くぞ」
地上部隊は地竜で進軍する。
イズモ「目標方位二八〇。
高度一〇〇〇メートル。
距離三キロ。
……来る」
二十一時ちょうど。
霧の中から白鯨が姿を現した。
イズモ、N2投下。
着弾。
白鯨が分裂する。
クリュシュ「総員、戦闘開始!」
イズモ拡声機「分裂確認。
ターゲット上空一五〇〇メートル」
イズモ「ビル爺、乗って!」
ビル爺「了解しました」
イズモ「白鯨の背に降ろす。
危なくなったら即回収する」
ビル爺「心得ました」
ビル爺は白鯨を切り裂き、霧が濃くなる。
イズモ「ガスだ。
主力級だな」
霧を吹き飛ばし、抗汚染ガスを散布する。
精神汚染を遮断。
ミサイル発射。
誘導成功。
ビル爺、再出撃。
白鯨に飲み込まれる。
だが次の瞬間、腹を掻き裂いて飛び出した。
イズモ「……これ以上弾を消費すると、次の作戦に響く」
イズモ「だが、今は創造できない」
イズモ拡声機「大樹を切れ――――!」
イズモ「俺は、タイム......」
激痛が走るが白鯨を誘導し、巨木へと叩きつける。
動きを封じたその瞬間。
ビル爺が渾身の一撃を叩き込み、白鯨を討ち取った。