ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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海の荒鷲、飛翔す

真冬と再会してから5日後、守はいつものように警備員の仕事をしていた。昼の勤務だけではなく夜間の勤務をしていたが、いたって問題もなく平和であった。

 

「は~まもなく受験か・・・・・職員の人達忙しそうに準備しているな・・・・・」

 

仕事の中の合間の休憩で警備室でお茶を飲み外を見てそう呟く守。もう数日で受験が始まる。そのため学校の先生たちはその準備に勤しんでいるのだ。すると・・・・

 

ヌゥ

 

「ん?」

 

何処からか入って来たのか太った虎猫が変な鳴き声を出して入っていた

 

「あれ?またお前か・・・・また煮干し貰いに来たのか?」

 

この猫はよく守のいる警備室に来る猫で守が煮干しをあげたのを皮切りによく来るのだ。守は来客のため戸棚から煮干しの入った袋を取り出し煮干しを手に乗せ猫に上げると猫は静かに煮干しを食べる。守はその様子を見てニコッと笑う。実は守は大の猫好きであるのだ。すると

 

「お邪魔するわよ」

 

と、そこへ古庄先生が入ってくる

 

「あ、古庄先生。休憩ですか?今お茶を入れますので」

 

「ごめんなさいね」

 

守は煮干しを床に置き、手を洗うと急須に茶葉を入れお湯を入れると、2つ湯のみを机に乗りお茶を入れる

 

「どうぞ。粗茶ですが・・・・・」

 

「ありがとう守君」

 

そう言い古庄先生はお茶を飲むとフフッと笑う

 

「どうかされたんですか?」

 

「いえ、今思っても不思議なんです。話は校長から聞いていましたが守君が異世界の人なんてね」

 

「あはは・・・・まあわかります。私も逆の立場だったらきっと同じ気持ちですよ」

 

古庄先生は真雪や真霜、そして古内や平賀同じく守の素性を知る数少ない人物である

 

「守君・・・・・」

 

「なんですか?」

 

「あなた・・・・・元の世界に家族はいるんですか?」

 

古庄の言葉に守は少し動きを止める。そして静かにお茶を一口飲むと

 

「母がいました。だが去年に病でなくなりました」

 

「お父さんは?」

 

「わかりません」

 

「わからない?どういうこと?」

 

「俺の父は海上自衛隊・・・・・・えっと。ホワイトドルフィンやブルーマーメイドみたいな防衛組織みたいなものと認識してくれればいいです。で、父はとあるイージス艦・・・たしか『みらい』という艦名の船のヘリのパイロットでした。ですが俺が2歳の時、そのみらいとともに行方不明になってその後も帰ってきてません・・・・・」

 

「そう・・・・ごめんなさい辛いことを思い出させて」

 

「いいえ、先生が謝ることはありませんよ」

 

「そうですか・・・・・・」

 

そう言い二人はお茶を飲むと古庄先生は

 

「それよりもこの猫・・・・・」

 

「猫?ああこいつですか。いつも学園をうろついていますね」

 

「ええ、ところでこの猫名前とかはあるのかしら?」

 

「名前ですか・・・・・そうですね・・・」

 

と守は煮干しを食べている猫を見て

 

「・・・・・・五十六っていうのはどうでしょうか?」

 

「イソロク?」

 

「ええ。なんか見た目というか愛嬌といいますか、かの連合艦隊司令長官の山本五十六元帥にどことなく似ているので」

 

「山本五十六?」

 

古庄先生は首をかしげる。確かに太平洋戦争が勃発していないこの世界では太平洋戦争で活躍した山本五十六元帥を知らないのも無理はない。まあともあれこの猫の名は五十六という名前に決定した。そして古庄先生は仕事に戻り、五十六はいつの間にかいなくなっていた。

 

「さて・・・・・午後の仕事は別の人に交代することになっているし、ブルマーの格納庫に行くか」

 

そう言い食器や湯飲みの片づけをした後、守は私服に着替えて、横須賀海岸の格納庫へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、森君。待ってたわよ」

 

格納庫へ着くとそこには夕張さん、真霜に福内、平賀。そして真冬がいた

 

「お待たせしました・・・・・ところで、なんで真冬姉がいるの?」

 

「なんだ?姉ちゃんがいちゃ悪いか?」

 

「いや悪くないけど」

 

「じゃあ、いいじゃないか。それにヘリウムを使わないで飛ぶっていう飛行機が動くところこの目で見たいしな」

 

「あはは・・・・・」

 

真冬の言葉に守は苦笑する。そして守は

 

「夕張さん。二式水戦の方は?」

 

「ええ。完全に整備が終わったわ。後は試験飛行するだけよ。でもさすがに横須賀(ここ)で飛ばすわけにはいかないね。人目につくし……あ、そう言えば真霜。確かここから少し離れた無人島があったわよね?そこなら大丈夫じゃない?」

 

「え?そうね・・・・・あの島は横須賀から離れているし。それにあの島は高速飛行船の試験飛行もする場所だし、試験飛行するにはもってこいね。よし、なら、みくらで運ぶわ」

 

「え?大丈夫なの姉さん?」

 

「ええ、問題ないわ。ね、福内?」

 

「え・・・ええ…大丈夫です」

 

と、引きつった顔をしてそう答える福内さん。まあ、真霜の言葉にNOといえる人はなかなかいない。守は心の中で福内さんに同情した。そして守たちと二式水戦はみくらに乗り、無人島へと向かった。二式水戦はみくらの後部飛行船格納庫に搭載された。

格納庫で守は二式水戦のエンジンや機関銃、そして計器に異常がないか見ていた。すると

 

「よっ!守!」

 

「姉さん・・・・」

 

真冬がやってきて、二式水戦を見る

 

「本当にこれが飛ぶのか守?」

 

「ああ、飛ぶよ。たぶんこの世界にある飛行船より早いと思うよ」

 

「そうか?」

 

「たぶん。まあ嘘か本当かは無人島についてからのお楽しみってね」

 

と、そう言い簡単な整備をし、そして御蔵は無人飛行船のテスト飛行に使う島に着き、二式水戦はクレーンで水上に置かれ、守は操縦席に乗りエンジンをかける。真霜たちはエンジンがかかり轟々と鳴り響くエンジン音に驚き、そして守の乗る二式水戦をまじまじと見る。本当にコレが空を飛ぶのか?と

 

「回転数異常なし、フラップ、垂直尾翼の動きも異常なし。燃料問題なし」

 

守は計器やフラップの動作に異常がないか確認し、そして

 

「行きます!!」

 

とそう言うと操縦かんを前に動かした。すると二式水戦はゆっくりと前に進み、そしてどんどん加速する。そして二式水戦は大空へと飛びあがった。二式水戦が飛んでいくのをみくらの乗員達は唖然とした顔で見ており

 

「すげぇ~本当に飛んだよ」

 

「しかもすごく速いですね・・・・」

 

真冬と平賀の言葉にみんなは頷く。そして久しぶりの二式水戦を操縦する守は

 

「やっぱり、いいな・・・・・・海の上の空は」

 

日本本土やソロモン諸島の海を飛んでいた守、特に守は南太平洋の海が好きだった。そして守は空の下、海の上を停泊するみくらの乗員たちが度肝を抜かれた表情をみると

 

「驚いているな・・・・・それじゃあ、もっと驚かせてみるか」

 

そう言い守は操縦桿を握り、宙返りや急旋回や急降下などのアクロバット飛行をするいわゆる曲芸飛行というやつだ。それを見た真霜たちはさらに驚きの声を上げ中には拍手をする人もいた。そして

 

「すごいわね・・・・異世界の技術って。速度も計測器で測ったけど500キロを超えている。一番速い偵察飛行船でも200が限界なのに。これはすごいものを見たわ」

 

「それに小回りも効いているな。もし配備されたら、ブルーマーメイドの活動範囲も大幅に広がりますよ」

 

「そうね‥‥」

 

真霜は二式水戦のこの性能を見て、将来的に二式水戦の生産とブルーマーメイド艦艇への配備を検討し始めた。ただ生産を始めるにしてもまた詳しく調べる必要があり、それには守の承認も必要だ。前に守に二式水戦の引き渡しについて聞いたが

 

『二式水戦は俺の持ち物だけじゃなく日本国防海軍の物だ。俺一人の勝手な承認はできない』

 

といっているため、守は二式水戦を引き渡すつもりはないことを真霜は知っていた。もし無理にしようものなら守はきっと二式水戦を自爆させるだろう。だが、真霜は無理やりにするようなことは一切考えていなかった。ただ引き渡しは無理でも飛行機の生産なら問題ないだろうと思っていた。そして守は

 

「飛行機・・・・・この世界でも間違った方向に行かないといいんだが・・・・・」

 

守は二式水戦の引き渡しは反対だが、飛行機の生産については別に反対ではなかったが、やはりこの世界にとって飛行機はオーバーテクノロジーに入る。過ぎた技術や兵器はやがてそれをめぐって戦争へと発展する。守はそれを心配していたのだ

 

「(飛行機の登場で俺たちのような世界にならないことを祈るしかないな・・・・・)」

 

心の中で守はこの世界の行く末を心配し、着水するため高度を下げるのであった。

その後、真霜は二式水戦の飛行試験の結果を発表したが海上安全整備局の幹部は性能については驚愕はしたが、飛行機の必要性と生産については、半信半疑で今までの飛行船でも事足りるということで航空機の生産については先送りになった

真霜は今回の会議の結果について苦虫を噛み潰したよう顔で聞いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、南太平洋のとある無人島で一隻の巨大な船が座礁していた。その船は船というにはあまりにも大きくまるで軍艦のようでまっ平らな甲板でその中央に大きな大穴が開いて船体ところどころ破損していた。そしてその甲板の中、旧海軍の一種軍装を着て煙草を口に加えた女性が空を飛ぶカモメを見ていた

 

「やれやれ・・・・・一体どうなっているんだかね?」

 

と、小さくつぶやくのであった

 

 

 

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