「あれ?またあの夢?」
岬明乃はまたある夢を見ていた。それは前と同じ、南太平洋あたりだろうか海域で大きな船がいた。その船は戦艦みたいに大きく。甲板はまっ平らであった
「なんだろう?輸送船かな?」
首をかしげていると、別の空から無数の飛行物体がその船にやってくる。その飛行物体は腹に魚雷や爆弾を抱えていた
「まさかあの船を襲うの!?」
明乃は先ほどの輸送船?らしき船を見ると輸送船?から先ほどとは違う飛行物体が現れ、飛び立つ。その飛行物体は前の夢で見た
『敵機、信濃直上。急降下ぁーー!!』
と誰かが叫ぶのが聞こえた。そして明乃は先ほどの声に上を見ると船の上空から数機の爆弾を抱えた飛行物体がサイレンを鳴らしながら急降下し、爆弾を落とす、巨大な輸送船・・・・・いや。その船、航空母艦信濃は退避行動をとるが、一発の爆弾が上昇中のエレベーターに命中し爆発。そしてその爆炎は艦内にあった艦載機のガソリンに被爆し爆発し、甲板に大穴が開き黒煙が舞い上がる。明乃はその被弾した空母を見て目を見開き顔を強張らせる甲板には無数の人が血だらけになり倒れているのが見えた。
「こんなのって・・・・こんなのって・・・・」
顔を青ざめ見る明乃。そして時間はいつの間にか夜になり、甲板にはいまだ火が消えず燻っていた。そしてその甲板には軍服を着た将校の前に船乗りたちが集まっていた。そして艦長らしき女性の人が
「皆。よく戦ってくれた。私たちの船は被弾し多くの戦友を失ったが、ナチス空軍の航空兵力をこちらへと集中させ、ポートモレスビー攻略部隊の上陸部隊の支援に成功した。本当に感謝に堪えない!!」
「山口長官!退艦してください!」
「ふっ、航空兵を多く死なせたうえ、この信濃までやられたんだ。誰かが船に残らないと示しがつかないだろ?」
「ならば私も残ります!!」
「私もです!」
「私も!」
と、士官らしき人と航空兵らしき人達がそう言い前に出るが艦長は
「私だけで十分よ。さ、早く行きなさい」
「提督・・・・・では何か形見を」
副官らしき人物がそう言うと、艦長は自分の頭にかぶっていた略帽を彼女に渡す
「さ、行きなさい。まだまだ戦はこれからよ・・・・・」
「うぅ・・・・は、はい!」
そう言い涙を堪え船員たちは彼女に敬礼し、退艦する。それを見届けた彼女は先ほどまで真剣な表情だったのが柔和な顔になり
「さて・・・・私も役目もここまでね」
と、そう言い軍帽を被り
「さて、せっかくの満月だ。最期に月を肴に一杯やるとするかな・・・・・」
そう言い彼女は燃え上がる船の艦橋へと入るのであった
「はっ!?」
明乃は飛び起きるとそこはあの世界ではなく自室の部屋だった
「まただ・・・・なんであんな夢を?それに・・・・・」
明乃は今まで夢に出た人たちのことを思い出した。飛行兵、船員。いろんな人を見たがその人たちの最期の瞬間が頭から離れなかった。それは悲しい顔をせずに皆笑顔だったことだ
「なんで、死ぬ直前だったのに笑顔だったのかな・・・・・・」
そう呟き時計を見ると
「あっ!行けないもうすぐ受験だ!急がないと!!」
そう今日は海洋学校受験日なのだ。明乃は制服に着替え、受験票や筆記用具をカバンに入れて受験場へと向かうのであった。
受験・・・・・それは中学、高校生たちが志望の学校へ行くための試練であり戦争である。この試練で自分の未来が決まる。あるものは受かり学生生活を送る。またある者は不合格となり、暗い浪人生活を送る。その二つの道のどっちかに行くかは自身の勉学の努力と臨機応変さに掛かっている。受験戦争時の生徒たちの雰囲気はまさに地獄とも言ってもいい、凄まじい苛立ち感が感じられる。それが受験シーズンというものだ。
「ふ~やはりブルーマーメイド輩出校だけあってたくさん受験生が来ているな・・・・・」
校門前で守は警備員の仕事をしていた。そして校門前ではたくさんの女子中学生…受験生たちがやって来た。受験生の顔はみな緊張で強張っていてさすがに怖かった。
「(うわ~みんな緊張しているな・・・・・俺も高校受験があったらそんな顔になるのかな?)」
と、どこか他人事のように見ていた守。すると・・・・
「お?・・・・おっ!守!守じゃねえかよ!!」
と、そこへ数か月前にあったマロンと黒木、そして美甘に杵崎姉妹がやって来た
「ああ、、久しぶりマロンさん。黒木さん。伊予子さん。杵崎さんたち」
と挨拶すると黒木は
「本当に警備員だったんだね。森さんって・・・・・」
「アハハ・・・どう驚いた?」
「うんびっくり」
と、美甘がそう言う。まあそれはそうだろう自分と同じぐらいの年の子が警備員なんて普通は信じられない
「あはは・・・・・」
守は苦笑していると
「ほら、早くーっ!!」
「待ってよ~っ!!」
「試験に遅刻とかマジ洒落になんないーっ!!」
「時間はまだ大丈夫だってば~!!」
「汗かいちゃった」
「折角朝シャワー浴びたのに‥‥」
「・・・・ん?」
にぎやかな声が聞こえ守たちは振り向くと慌てて受験会場に飛び込んできた四人の受験生が居た。
「も~レオちゃんてば、『大丈夫』っ言っても止まらないんだもん」
青みがかった黒髪にツーサイドアップの髪型の女の子が息を整えながら愚痴るかのように言う。
「もとはと言えばルナが寝坊したのが悪いんじゃん」
白いカチューシャをつけた女の子が急いでいた理由を言う。どうやら、ツーサイドアップの髪型の女の子が寝坊したのが原因の様だ。
「あ~全力疾走したから数式忘れたかも‥‥」
赤いリボンのついたカチューシャをつけた女の子が息を整えながら嘆く。
「あっつ~い。コート脱いじゃおうかしら?」
四人の中でも背の高いサイドテールの女の子は手で仰ぎながらコートを脱ごうとする。
「サクラ、エロいからやめな」
「えっ!?」
白いカチューシャをつけた女の子が背の高いサイドテールの女の子にコートを脱がせるのを止めたエロいと言われ、ショックを受けているような感じの背の高いサイドテールの女の子。
四人はワイワイと談笑しながら会場の中へと入っていった。どうらや、同じ中学の同期の様だ。それを見た守たちは
「に、にぎやかな4人組だな・・・・・・」
「そ、そうだね・・・・・」
「ま、まあ、緊張しすぎた雰囲気だらけだし、そう言う感じもいいんじゃないか?」
とマロン、守、美甘のそれぞれそう言うとそして守は
「さて、マロンさんたちもそろそろ校舎に入らないと筆記試験に遅れるよ」
「あ、そうだった!じゃあ行ってきます!」
「うん。みんな受験頑張ってね応援しているよ」
「ありがとう森さん!」
美甘がそう言い5人は校舎へと入っていった。そして受験生全員が校舎へ確認すると・・・・
「お疲れ森君。門番の交代だよ」
「あ、どうも美鈴さん」
と、そこへやって来たのは中国から来た警備員の紅美鈴さんだった。優秀な人なんだがよく仕事中に居眠りすることで有名な人だ。
「わかりました。では周辺の方を回ってみます。なんか受験票も持たずに不正にここに潜り込む受験生とかがいるみたいですから」
「そうみたいね。去年も二、三人いたらしいし」
「では。行ってまいります。言っておきますけど居眠りなんてしないでくださいよ」
「わ、わかっていますよ!もう校長に怒られるのは勘弁ですからね」
美鈴さんは恥ずかしそうにそう言う。そして俺は校門の警備を美鈴さんに任せて、周辺のパトロールへと向かうのであった。しばらく回っていると、日時計台の上に大きなどら猫が座っていた。ドラ猫は据わった目つきで守をジッと見ている
「おお、五十六元帥。またいたのか?」
と、そう言い近寄ると五十六はじっと守を見ていると守は苦笑して
「ごめん元帥。今日は煮干しは持ってきてないんだ。あ、でも魚肉ソーセージならあるぞ。喰うか?」
と、間食用にポケットに入れている魚肉ソーセージを取り出し、五十六の鼻先に出すと、五十六はな~どと鳴き魚肉ソーセージを食べる。それを見た守は五十六の背中をそっとなでると魚肉ソーセージを置き
「すまない五十六。仕事の途中だから俺はいくよ。あ、そのソーセージはあげるからゆっくり食べてくれ」
と、そう言いその場を後にした。しばらく歩いていると・・・・・
「あれ?」
守は学校の隅に小さな神社みたいな社があることに気づく
「なんだろう?お稲荷さん・・・・・・ではないな。それにこんな社あったけ?」
首をかしげてその社に近づき鳥居みたいなところに着くと帽子を脱ぎ中へ入る
「う~ん・・・・・なんの神様かは書いていないけど。海洋学校にあるってことはきっと航海の無事を祈る神様なんだろうな。それにしても汚れているな」
守は矢代周辺を見ると落ち葉やら雑草やらで正直言ってきたなかった。それを見た守は落ちている枝や落ち葉を集め雑草を抜き、社をきれいにした。
「よし、これで良し!」
と、守は汗を拭うと、社に向かって合掌し
「(どうか受験生たちが無事に合格できますように。ましろ姉さんが無事に受かりますように)」
と祈るとまた社に一礼をしその場を後にし、仕事に戻るのであった。この時、守は気づかなかったがその社に小さくそして古ぼけた文字で『時の守』と書かれていたのであった。