ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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今回は守の回想シーンです


the Memory

俺は夢を見ていた。それはまだ自分が幼い時のことだ。港で海上自衛隊服を着た父が母親に抱っこされた俺に

 

『守。父さん行ってくるから母さんと一緒にいい子で待っているんだぞ?』

 

と、優しく頭をなでる。ああ・・・・そうだ。これは父さんの乗るイージス艦みらいが、大演習に向かうんだったな。そして父さんはみらいに乗り母さんや俺に対し帽子を振り、父さんの乗るみらいは出航した。そしてしばらくした後、みらいが太平洋沖で失踪したという知らせが母さんのもとに来た。母さんは小さい俺に父さんは必ず帰ると笑顔で言ってはいたが、俺のいないところで泣いているのを俺は知っている。

父さんが行方不明になってから数年後、第三次世界大戦が勃発し、日本もアジアに侵出したナチスらテロリスト軍から祖国を守るため、参戦した。そして俺自身も家族の反対を押し切って軍に志願し、航空兵になった。

しばらくは横須賀にいたがすぐに激戦地である南太平洋のニューブリテン島ラバウルに派遣され、戦闘機部隊の一つ301戦闘隊に配置された。だが初めての基地に部隊の場所がわからずうろちょろしていたら・・・・

 

「あんたか?うちに新しく配属になった新人(ルーキー)っていうのは?」

 

声を掛けられ振り向くとそこには、肩までかかった少しボサボサした短い髪で、目はまるで狂犬のように鋭い自分と同じくらいの歳の女性が立っていた

 

「あ、はい!横須賀海軍航空隊から来ました森守准尉です!」

 

「ほ~横須賀か・・・・・ラバウルまで随分長い旅だったろ?」

 

「あ、いいえ・・・・・あの・・・・」

 

「ああ、自己紹介が遅れたわね。私はラバウル航空隊301戦闘隊の先任搭乗員であり小隊長の杉田清美軍曹よ」

 

「あっ!し、失礼しました小隊長殿!」

 

俺は慌てて敬礼すると杉田軍曹はやれやれと首を横に振りため息をつくと

 

「そんな硬くならなくていいわよ。階級はあんたの方が上だし・・・・まあいいわ。とにかくついてきなさい」

 

「あ、はい」

 

そう言い俺は杉田軍曹についていくと杉田曹長は

 

「・・・・・・で、あんた実戦の経験は?」

 

「えっと・・・・・模擬空戦を何度か」

 

「そんなの実戦経験とは言わないわよ。まあ本土に勤務している時点で実戦経験がないのはわかっていたけど・・・・・・」

 

「す、すみません・・・・」

 

「まあ、いいわ。これから戦い方覚えればいいし、覚えられなければ死ぬだけだからね。あんたここでやるからにはお遊び感覚じゃ駄目だからね。ここに居たいなら・・・・生きていたいなら技術を磨いて強くなりなさい。戦いの基礎くらいは教えてあげるから」

 

「あ、ありがとうございます軍曹」

 

軍曹は無表情っというより少し微笑みながらそう言う。怖い顔して実はいい人じゃないかとそのとき俺は思った。

そして宿舎に着くと軍曹が301部隊の隊員たちを紹介してくれたんだが‥…正直言ってめちゃくちゃ怖かった。なぜなら男も女のパイロットたちも皆ヤンキーというかヤクザみたいな感じの人たちばかりであったからだ。だが、みんな以外にもフレンドリーで優しく杉田軍曹も訓練や戦闘では厳しかったが、普段はフレンドリーな人でいつの間にか俺は301部隊に馴染んでいた。

杉田軍曹・・・・杉さんともだんだんと仲良くなり、そしてともに戦ううちに自信も生き残れるぐらいの実力が付いていた。

そして俺はある時、杉さんがものほんのヤクザと知った時は正直驚いた

 

「え!?杉さん!ヤクザだったんですか!?」

 

「ええ。浅草のヤクザの組長の娘よ。私自身もヤクザだと思っているけどね」

 

「へ~・・・・・・ところで杉さん。杉さんの小指、よくできていますね?」

 

「おい、なんで小指の無いこと前提なのよ?」

 

「え?ヤクザでも小指ある人いるんですか?」

 

「今どき指詰めなんて誰もしないわよ。私たちのトレンドはホチキスで瞼をバチー・・・・・」

 

「え・・・ええ・・・」

 

軽くドン引きすると杉さんはフフッと笑い

 

「ふっ、冗談よ。私自身ヤクザだと思っているけど。指詰めも入れ墨もまだやったことはないわ」

 

と、まあこんなたわいのない話をしていた。ほかの部隊の人たちは杉さんのことを『狂犬』、『歩く人切包丁』なんて言って怖がっている人はいたが俺自身はとってもいい人だと思っている。

そしてラバウルに配属になって数か月、俺も10機以上の撃墜を記録したころ、301部隊に新たな人が入ってきた。その人は俺に負けず劣らずの女性よりの顔立ちの少年で名を疾風村正少尉といった。

何でもナチスの最初の戦闘であるポートモレスビー港奇襲攻撃から今日まで戦ってきたベテラン搭乗員で、ラバウルに来るまでは空母飛龍に乗っていたということだ。彼が配属になり、疾風少尉の階級が上のため、301部隊は疾風少尉が隊長、杉さんは副隊長となり、俺は隊長機の列機の一つの三番機についた。そして301部隊も名が501部隊と改名し、引き続きラバウルで戦うことになったのだ。

杉さんは最初は疾風少尉に対し敵対心を抱いていたが、少尉と何度か模擬戦をするうちになぜか、彼のことを認めたのか気軽に話し合う仲になっていた。俺自身も少尉とは歳が近いこともあってか階級関係なしに話し、そして女性とよく間違えられるという同じ悩みを共感したときがあった。

 

「そうか・・・・お前も女性と間違えられるのか・・・・」

 

「はい。別にこの顔は嫌いではありませんが・・・・・」

 

「わかる・・・・俺もこの顔は嫌いじゃないがやっぱり性別間違えられるのはちょっとな・・・・・・昔。それで男性に襲われたことあったし」

 

「えっ!?少尉。大丈夫だったんですか!?」

 

「ああ、そいつの顔面ぼこぼこににして叩きのめしたからな」

 

「あははは・・・・・」

 

と、戦闘の無い時はよくこうして話していたもんだ。そしてラバウルに配属になって何十日たったがいろんなことがあった。

ある時の爆撃機迎撃の際、杉さん。疾風少尉、そして新しく入った中澤凪軍曹が出撃した。そのとき俺はインフルエンザに入り無理に出撃しようとしたが杉さんに止められ、杉さんたちを見送った。そして杉さんたちが傷だらけになって戻ってきたが、空戦の達人である疾風少尉が戻ってこなかった

 

「杉さん!小隊長は!?」

 

「わからない。乱戦の途中で見失った・・・・・・まあ、あの人のことだ簡単にやられる人じゃないよ」

 

疲れ顔で俺の肩を叩きそう言う杉さん。そして日が落ち始めたころ一機のゼロ戦が戻ってきた。疾風少尉の機体であった。だがその零戦は風防が割れていてそこから目をやられたのか酷い出血で大怪我を負った疾風少尉だった。少尉はフラフラの状態の中で司令に敬礼し

 

「た・・・・ただ今帰りました。ヒトヒトサンマル・・・・南洋の上空にて…敵爆撃隊と・・・・」

 

「も、もうわかった!早く医務室に行け!早く医務室に行きなさい!」

 

そう言われ小隊長は杉さんに抱えられて医務室に行くが怪我がひどく、怪我が直るまで一時期、本土に戻ることになった。

少尉が本土に戻った後も俺と杉さんは、毎日のように襲来するテロリスト軍の戦闘機や爆撃機との激しい戦闘などいろいろあった。

そして半年くらい後に疾風少尉が戦列から復帰し戻ってくると上から欧州奪還のため精鋭部隊を設立することになり、ラバウル航空隊から人員を選ぶという話が出て、その部隊の名には疾風少尉、杉さん。そして俺の名もあった。だが杉さんのことを快く思わない奴がいた。

そいつの名は篠原というやつで階級は大尉なのだが、実戦経験はなく士官学校から上がってきたやつで部下の手柄を自分の手柄にするなど、部隊からの嫌われ者であった。ある時、あいつは大声で杉さんを馬鹿にしているのを聞いた。

「海軍のつらい汚し」だとか「女のくせに」とか酷い暴言であった。俺はそれに我慢できずに殴りかかろうと思ったが、それだと意味がないと思い。俺は大尉に模擬空戦をするようにお願いした。

そして向こうは快く引き受けた。恐らく見せしめに痛めつけようとしたんだろう。そして大尉は零戦52型に対し、俺は予備装備の零戦21型に搭乗し模擬戦をした。

模擬戦の内容は飛行場の3000mで試合を行い、搭載されたガンカメラに姿を映せれば勝ちと決められていた。

そして高度三千での空中戦で俺と大尉の機体は巴戦をし5,6回回った瞬間、激しいGが襲う。そして大尉は巴戦の旋回によるGに堪えられなかったのかまたはブラックアウトしたのかは知らないが、動きが若干鈍ったのが見えすかさず背後に回り込んだ。

この時点で勝敗は決していたのだが、この時の俺は杉さんを馬鹿にした大尉にいまだに腹を立てており、腹いせに模擬弾の20ミリ弾を大尉の通信アンテナに向けて放ち圧し折った。

その時の大尉は見ものだった。あまりの恐怖で顔が青くなり基地に着いた後もガクブルっていた。そして模擬戦の結果に仲間たちに胴上げされ・・・・・だが、この模擬戦の後、俺に左遷命令が出た。何でもあの模擬戦で大尉に恨まれたらしく、そのせいか343に行く話は無しに成り代わりにソロモン諸島の最前線へと送られることになった。

杉さんと疾風少尉はその話を聞いて特に杉さんは俺を左遷へと陥れた大尉に殴り込みに行こうとしたほど怒っていたらしい、そしてその大尉は過去にいろいろやらかした問題が明るみとなり、本土に送られ軍法会議にかけられその後は不明となっている。

その後、俺はソロモン諸島への支度をし、杉さんと別れた。

 

「すまない森、こんなことに・・・・私のために」

 

「いいんですよ。私もあの大尉は嫌いでしたし後悔はしていません。むしろすっきりしています」

 

「そうか・・・・だが、一緒に戦えなくなるというのは本当に残念だ」

 

「大丈夫ですよ杉さん。俺はソロモンで頑張っていつかは杉さんのいる欧州へ追いついてみますよ」

 

「そうか・・・・・じゃあ、その時まで・・・」

 

そう言い杉さんは小太刀くらいの日本刀を取り出し俺に渡す

 

「杉さん。これは?」

 

「餞別よ。あんたも刀くらい持ちなさい。拳銃だけじゃ心もとないわ」

 

「でも、見る限りいい業物ですよ。俺にはもったいない代物です」

 

「どう。じゃあ預けるという形にするわ。どうしても返したければ早く欧州に来なさい。それまで楽しみにしているわ」

 

そう言い杉さんは振り向き宿舎へ帰っていった。そして俺は少し涙ぐみ

 

「ありがとう・・・・ございます・・・・清美さん」

 

その後、杉さんたちは欧州へ、そして俺はソロモン諸島の最南端にある島に配属になった。

その基地は水上機用の基地であり、零式水偵や瑞雲の水偵や強風や二式水戦などの水戦が配置されていた。

そして俺が選んだ機体は二式水戦であった。皆は強風をしていたが俺はなぜか二式水戦にした。はっきりとした理由はないが何か運命的な感じがしからだ。「そして俺はこの二式水戦であの世界に戻るまでずっとともに戦い続けるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね。守君。急に呼び出して」

 

目が覚めしばらくすると真冬さんに呼び出される。何か仕事で問題があったのか心配だったが、雰囲気からしてどうやら違うみたいだ

 

「い、いいえ・・・・それよりも真冬さん。何の用ですか?」

 

「守君。あなたの乗っていた飛行機のことは真霜から聞いたわ。それであなたに頼みたいことがあるのよ」

 

「頼み事?」

 

「実は今回の海洋実習があることは知っているわよね」

 

「はい。それと俺に二式水戦・・・・・一体何の関係が?」

 

俺が首をかしげると真冬さんは

 

「実は守君にはその二式水戦と一緒に笠原諸島に行ってもらいたいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

運命の歯車が今動き始める

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