伊豆大島から飛び立って数時間後、ここ小笠原諸島父島に一機の戦闘機が着水した。彼の乗る戦闘機が降り立った父島はブルーマーメイドの船が何隻も停泊し、その島には島民のほか多数のブルーマーメイドの職員たちもその島に駐在していた。
海岸岸に止まった二式水戦を複数のブルーマーメイドの職員たちが出迎えた。
守は二式水戦から降りると彼女らに敬礼する。そして先頭に立っていた職員も返礼し
「ブルーマーメイド父島分遣隊所属の竹井醇子二等監察官です」
「森守です。少しの間お世話になります竹井監察官」
飛行帽を脱ぎ彼女にそう返事をする守
「話は横須賀女子の宗谷校長及び、宗谷一等監察官からうかがっております。ようこそ父島へ」
「ありがとうございます」
と、二人は互いに握手すると竹井は
「長い飛行時間お疲れさまでした。さ、中へどうぞ」
「ありがとうございます・・・・・あの・・・その前に」
「え?」
守は後ろに置いてある二式水戦を見て、それと同時に竹井も二式水戦を見ると・・・・・
「すごーい。本当にこれが噂に聞いたヘリウムを使わないで飛ぶ乗り物なのね~」
「うん。飛行船より速かったね~」
「あたしも乗って操縦してみたいな~」
と若いブルーマーメイドの職員たちが守の乗っていた二式水戦をまるで子供は珍しいおもちゃを見せられたような無邪気で興味津々の表情で見ていて、中にはべたべた触る人もいた。その様子に困惑した表情の守を見た竹井は
「わかったわ。なるべく触らせないようにするから」
「助かります。下手に触って壊されるのは困りますので・・・・・・」
守は竹井に礼を言い竹井はその後、職員たちに二式水戦をあまりべたべた触らないように注意すると守を施設に案内するのだった
「どうぞ守君。コーヒーです」
「ありがとうございます」
施設の二階で竹井は守にコーヒーを持ってきて。守はコーヒーを飲むと竹井は
「それにしても・・・・・」
「ん?なんですか竹井さん?」
「あの…飛行機でしたっけ。話を聞いたときは信じられませんでした。窒素やヘリウムを使わないで飛ぶ乗り物なんて。今までは空想上の産物だとばかり思っていましたが・・・・」
と、外の窓に映る二式水戦を見てそう言うと守は
「気持ちはわかります。私も車や戦艦が空を飛ぶと聞いたら夢物語のように感じますからね」
「それよりも守君。少し疲れていない?朝早く飛んだって聞いたけど?」
「ええ、出発してから二時間ちょい・・・・硬い椅子にずっと座りっぱなしの操縦はちょっと気疲れしましたが、ほんのちょっとだけですので問題はありませんよ。むしろ空の散歩を楽しむことができましたよ」
守のいた世界では、敵の襲撃を警戒しながら飛んでいたため、その時のプレッシャーに比べれば、航空機も敵機もないこの空での飛行はなんもストレスもなく。むしろゆっくりと海やきれいな空を見ながらの遊覧飛行が楽しめてラッキーだと思っていたのだ。
「そうですか・・・・・・守君。話は聞いていますけど今後の予定は?」
「予定では、明日の明朝近く、海洋実習の教育艦である猿島がここから数キロ先の西之島新島沖にて集合、その時その教官である古庄教官からの連絡で、父島海岸を出発、その後、集合地点の西之島新島沖上空にて海洋実習に参加する学生艦の上にて曲芸飛行を実行し、その後、猿島のそばにて着水し、猿島に搭乗し、7日間ともに実習に参加し、燃料補給をしたのちに横須賀に帰還・・・・・・一応が横須賀女子、ブルーマーメイド双方で決められた予定です」
「そうですか。お姉さんに会えるといいですね?確か航洋艦晴風に乗っているんですね?」
「ええ真雪さんの話によればですが・・・・(まさか陽炎型駆逐艦に乗っているとはな・・・・あの船には海上に墜落したときはいろいろ助けて貰たっけ)」
と、そう言うと守はそばに在った折紙を見つけ何かを折り始める。それを見た竹井とその場にいた先ほどの若い職員たちは首をかしげる
「何をしているの森君?」
「見ての通り折紙ですよ。気分を転換させるのにちょうどいいんです」
「へ~で、何を折っているの?折り鶴?」
「ははは…そこまで器用じゃありませんよ。俺が作るのは・・・・・」
隊員の言葉に守はあるものを作った。それは・・・・・
「よし、できた」
「守君・・・・ナニコレ?」
「初心者マーク?」
「違いますよ。これは紙飛行機です」
「「「紙飛行機?」」」
守が作ったのは紙飛行機だった。しかし紙飛行機を見たことがない職員たちは首をかしげるが
「ほら、こうやって・・・・・それ!!」
「「おおっ~!!」」
守は紙飛行機を投げると紙飛行機は落下せず悠々と空を飛ぶ
「すごい飛んだ!」
「紙なのにすごい!!」
と、驚くと紙飛行機は外の窓から吹いた風に飛ばされ窓の外へと飛ぶ
「ああっ!?紙飛行機が!!」
そう言いブルマーの職員たちが紙飛行機を追い窓の外へ見ると紙飛行機は地面に落ちていた。するとそこへ掃除係の人がやってきて箒で紙飛行機を履き塵取りの中に入れてその場を去っていた
「ああ、待っておばさん!それはゴミじゃないよ!!」
「そうよ!それは紙飛行機といって・・・・・」
慌ててそう言うが守は彼女らのそばに来て笑い
「大丈夫です。作り方教えますから」
と、そう言いその後、守は彼女らに紙飛行機の作り方を教え、少しの間、交流会となった。
その後守は明日に備えて二式水戦の軽い整備をしたのちに、早くに寝ることにした。
その時守はある夢を見た。
そこは自分が停泊している父島だ。だがその父島にある設備にはテレビアンテナがなく古い建物がありそばにはかなり古風な貨物船が止まっていた
「これは・・・・一体?」
守が疑問に思っていると突如どこからかエンジン音が聞こえた。守がそこを見ると父島上空に三基の飛行機が飛んでいたそのうちの二機は二式水戦。しかしもう一機はその時代にそぐ合わない双発のヘリコプター。真っ白い胴体で日の丸が付いており胴体には海上自衛隊の文字がついていた。そのヘリはまるでコブラにオスプレイの翼をつけたようなヘリであった。確かあれは・・・・
「海鳥・・・・・・海自の海鳥だ。なんで海自のヘリが二式水戦に追われているんだ?」
そう思っていると
『佐竹一尉!背後の射線を狙っています!!』
「え?」
突如ヘリから男性の声が聞こえた。その声に守は聞き覚えがあった。その時、二機のうちの一機がヘリに向かって発砲した。
『くそっ!撃って来やがった!!右急旋回!!』
『
もう一人の男性の言葉に返事をすると海鳥は右急旋回をして洋上に誘い込もうとする、すると
『佐竹一尉!もう一機の姿が見えません!!ロストしました!』
『上だ!太陽を背にしている!!』
その言葉に守は上を見ると確かに太陽を背にもう一機の二式水戦が急降下してヘリを銃撃した
『ぐわっ!』
と、悲鳴に近い声が聞こえると後方・・・・操縦席にいたパイロットは
『燃料も計器も問題ない。大丈夫。掠り傷程度だ。森三尉!今度はこっちの番だ!向こうが反転する前に機首を上げるぞ!』
「(森!?もしかして・・・・・)」
そう言うとそのパイロットは前方を見る。そして守も前方の操縦席を見た。その操縦席の風防ガラスはハチの巣になっておりガラスに大量の血が付着しそこに乗っていたパイロットは血まみれになっていた。それを見たパイロットと守は顔を青ざめそしてパイロットは
「森ぃぃぃー!!!」
「父さん!!」
ベッドから飛び起きた守はそう叫んだ
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・夢?」
荒い息でそう言う守。その体は冷や汗を流していた
「いやな夢だ・・・・・・でもなんであんな夢を・・・・」
行方不明になった父の乗る船に搭載されていたヘリと自分が乗っていた二式水戦・・・・なぜあんな夢を見たのか守自身にもわからなかった。
「・・・・・・・」
守は不思議に思いながら時計を見ると朝の5時であった
「・・・・・起きるか」
そう言い飛行服に着替えて通信室へと向かうのだが・・・・・
数分後・・・・
「おかしいですね?連絡が来ない?」
守が通信室に来てから何十分以上も経っていたが一向に、猿島からの連絡が来ない。飛び立つ際には猿島の合図がなければ飛び立てないからだ
「おいおい。もうすぐ8時だぞ?集合時間過ぎている・・・・・」
「変ですね?深夜0時には向こうから通信があったんですが・・・・・」
「こちらからは連絡はできないんですか?」
守は通信係の人に訊くが
「先ほどからやっているんですが、応答がありません」
「いったいどうなっている・・・・・」
通信するのを忘れた?もしかして忙しい?いやいや。あの古庄教官に限ってそんなことは絶対にない。だったらなんで?守は不思議にそう思うと・・・・・
「っ!?猿島からモールスによる通信が入りました!」
「なんですって?で、内容は!?」
もしも二式水戦が飛んでもいいという内容なら『横須賀は晴れ』という電文が届くはずだが・・・・・・
「はい!はい内容は、『我れ猿島。学生艦晴風より攻撃を受け大破!晴風による反乱行為が発生!!』とのことです!!」
「っ!?」
その電文内容に守は衝撃を受けるのであった