「見つけた晴風だ!!!」
砲撃音を頼りにその場に向かった俺は雲の合間から、小さな駆逐艦を発見した。船の形からして陽炎型駆逐艦。間違いなく俺が探していた船晴風だった
「雲の間だからよくは見えないけど、機関部にダメージがあるのか?すごい煙を吹いているな・・・・・」
尋常じゃないほどの煙を吐く晴風を見て俺はとにかく無線機を取り、連絡をすることにした
「こちら森、こちら森!晴風を発見!場所は〷海域の○○地点!父島応答せよ!!」
と、無線で呼びかけるが酷いノイズ音しか聞こえない
「くそっ!電波障害か。せっかく見つけてもこれじゃ・・・・・あ、そうだ」
そう言い俺は機内からあるものを取り出した。それはモールス機だった。万が一無線がだめになった時はこのモールス機を使って連絡を取っていた
そして俺はモールスで父島に向けて電文を打った
『コチラ森、〷海域ノ○○地点ニテ目標デアル晴風ヲ発見ス』
と、電文を打っているとまたも砲撃音が鳴った
「今のは…12・7センチ砲じゃないな・・・・・・20センチ砲か?」
俺はモールスを撃つのを中断し、よく目を凝らして海域を見ると・・・・・
「他にも船がいる・・・・・あれは・・・・ドイツのアドミラルシュペーか!?」
俺は晴風のすぐそばにいる海域にいる一回り大きな船を見て驚く。
アドミラルシュペー。それはポケット戦艦とも呼ばれる巡洋戦艦の一種で、第二次世界大戦では謎の爆沈をし、そして第三次世界大戦ではナチス側の戦艦とされアジア方面で暴れていたが、日本国海軍航空隊もとい連合軍初のアジア拠点のナチス海軍基地に奇襲攻撃を加えた。俗にいう真珠湾攻撃の現代版、『ポートモレスビー攻撃』にて艦爆の急降下攻撃により、大破着底し、今現在も引き上げられていない
「なんで、ナチスの船が・・・・・・ん?ちょっと待てよ。確か真冬さん。この航海演習でドイツの学校の船と共同で演習するとか言っていたっけ。もしかしてその船か?」
そう呟き、もう一度確認するとナチスの軍艦にはある甲板に書かれたハーケンクロイツのマークはなかった。どうやらあのシュペーはこの世界の船のようだが・・・・・
シュペーは晴風に向かって砲弾を打っている。28㎝の砲弾だ。駆逐艦がまともに喰らえば、ひとたまりもない。あたりどころが悪ければ真っ二つに割れて沈没する。下手をすれば死人が出る可能性があった
「くそっ!どうすれば・・・」
無線で攻撃をやめるように言えればいいが向こうの周波数が分からないうえ、電波障害で通信も不能だった。そのため無線で攻撃をやめるように言えない状態であった。
すると、晴風から一艇のスキッパーが下ろされるのが見えた。
「スキッパー?どこに向かう気だ?」
俺はスキッパーの様子を見るとその先に壊れたボートにしがみつく人影が見えた。どうやら救出に向かったらしい。するとシュペーの砲がそのスキッパーの方へと向けられていた
「まずい!!」
俺はとっさに操縦桿を握り、シュペーの方へと急降下をした。雲を突き抜け高度は1000ぐらいになったであろうか。俺はシュペーの主砲や副砲に向かって機銃掃射をした。12・7ミリと20ミリ弾が雨あられと砲台に命中するが、まるで雹がぶつかったみたいにカンカンカンと音を立てただけで、かすり傷にもならなかった
「やっぱり機銃じゃ豆鉄砲か・・・・・魚雷か、爆弾でも・・・・ん?爆弾?…そうだ6番爆弾があった!」
俺は両翼に取り付けてあった60キロ爆弾のことを思い出した。あれなら撃沈は無理でも、少しはダメージを負わせることができる。だがどこに当てるべきか。あの船は、学生の乗る船。下手なところに落とせば死人が出る可能性があった
「そう言えばドイッチュラント級戦艦は燃料中間タンクを加熱するための蒸気パイプが甲板上に露出していたはずだ……そこを狙うか。・・・よしっ!!」
俺は爆撃ポイントを決め、操縦桿を大きく倒し急旋回する。その時ちらっと晴風の艦橋が見えたが誰がいるのかまでは見えなかった。だがあの船には姉さんがいる。姉を守るため、そしてスキッパーで救助に向かった人を助けるため俺はシュペーの気をそらさなけれならない。
そしてシュペーは目標を晴風ではなく俺の方へ向け、砲撃した。俺はすかさずその砲撃を躱す
「すげぇな・・・・・だが・・・・」
太平洋戦線では数多くの軍艦の対空砲を経験した俺にとってこの程度なら難なく交わすことができた。
しかもシュペーには対空機銃がないのか、高射砲や主砲などの砲撃だけだった。無論威力はすごいが、撃つのには時間がかかる。飛行機による攻撃に対し高射砲や主砲の弾幕の他大型砲の装填時間を補うために機関銃が使用されるのだが、飛行機とは無縁のこの世界では対空機銃の必要性はかなり薄く、搭載していない船もあるみたいだ。
「距離500メートル・・・・・・・十分よし!」
そう言い、俺は操縦桿をあげ、俺の乗る二式水戦は急上昇をした。その速さにシュペーの砲台はついていけず、攻撃がいったん止み、そして俺は宙返りをし、目標であるシュペーの蒸気パイプに狙いを定め急降下をした
「距離1500・・・照準よし!」
そう言い俺はいつでも爆弾を押せるようにスイッチに指をかけた
「突入角度80度・・・経験のないこの角度で俺は・・・まだ、正気だ!60キロの火の玉を食らえっ!!」
そう言い俺はスイッチを押し、二式水戦の両翼に吊るされた二個の60キロ爆弾が投下された。そして放たれた60キロ爆弾は金切り音を発し、そして吸い込まれるように目標である蒸気パイプに命中、爆発をする
「よし!!」
命中したことを確認し、俺は旋回をすると、シュペーに搭載された一台の15センチ副砲が二式水戦に向けてはなたれは。放たれた砲弾は俺のすぐ手前で爆発した
「うわっ!!」
爆発による衝撃により、体が大きく揺れた。あまりの衝撃により俺は気絶しそうになったがその瞬間・・・・・
『守!!』
「はっ!?」
俺は頭の中でましろ姉さんが叫ぶ声が聞こえた。俺はこの海域を離脱する。ここで着水すればシュペーの標的になるし、何より晴風の邪魔になるからだ。幸いにもこの近くに小島があることを地図で確認したためそこで着水するため俺はこの海域を離脱したのだった。
赤い夕陽が二式水戦を赤く染め俺は意識すれすれの中、操縦していた。体も所々痛い・・・・恐らくさっきの砲撃で体を痛めたのだろうか・・・・
すると・・・
バルルル・・・・・
急にエンジンが息をつき始め煙を吐き始め俺は計器を見る。すると油圧が下がり始めているのに気が付いた。どうやらさっきの砲撃が原因だろう。だがそれだけではない燃料もなくなってきていた
俺はフロートを見るとフロートから小さな穴が開いておりそこから燃料が漏れていた
「まずいな・・・・こりゃ、落ちるな・・・・・」
そう言った瞬間。エンジンが止まり、プロペラも回転をやめる。そして俺の乗る二式水戦はグライダーみたいに滑空しながら海面へ海面へとゆっくり落ちていく。俺は操縦桿を引き、波があらい中俺は何とか着水に成功する。
「あはは・・・・何とか着水で来たな・・・・それより無線は・・・・無理か。さっきの砲撃のショックで壊れてる。モールスもケーブルが切れてる・・・・島も見えない。これは詰んだな」
軽くため息をつき俺は操縦席に深く座り、ゴーグルをかけただじっと座っていた。泳いでも力尽きて鮫の餌になるだけだ。ここは無駄に体力を使わず、ただ救いが来るのを待つだけだ。
「ぐっ・・・・」
体中が酷く痛む。今にも気絶しそうなくらいだ。どれだけ時間が立ってたのかはわからない空は完全に日が暮れ暗くなっていた。そしてただ一人意識がもうろうとしている中、俺は水平線にあるものを見た。それは光であったそして彼女はその光が船の光によるものであることが分かった。そして俺が最後にいたものは、
「駆逐艦・・・・か?」
そう言い俺は力尽きたのか気を失うのであったのだった。そして気を失う寸前、俺の耳には大好きだった姉であるましろ姉さんが俺の名を呼び叫ぶ声が聞こえるのであった・・・・・・・