ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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晴風撃沈命令

晴風が守を保護した同時刻。横須賀女子海洋学校、会議室では

 

「校長、海上安全整備局より連絡です」

 

「読んで?」

 

真雪の秘書の老松亮は、恐る恐る報告する。

 

「はい、今回の晴風、速やかに学内で処理できない場合、大規模叛乱行為と認定し、その際、貴校所属艦は拿捕、それが不可能であるならば、撃沈するとの事です」

 

何と、海上安全整備局から横須賀女子海洋学校に齎されたのは、問答無用の晴風への撃沈命令だった。

 

「っ!?」

 

海上安全整備局からの晴風撃沈命令に真雪は、驚く。

 

「このままでは、本当に反乱と見なされて、ブルーマーメイド及びホワイトドルフィンの本隊の治安出動もあり得ます」

 

「まだ、真実が分からないのに、生徒達を危険な目に遭わせる訳にはいかない!!」

 

ブルーマーメイドやホワイトドルフィンらの実働部隊が本格的に出動すれば学生の乗る晴風はただでは済まない下手をすれば死人が出る可能性があった。そのため真雪は海上安全整備局からの晴風撃沈命令に否定の声をあげた

 

「私達は生徒達の安全の為、あらゆる手を尽くしましょう!!」

 

「はい!!」

 

「まずは、国交省の統括官に連絡を・・・」

 

そう言い真雪は立ち上がる。そして同じころブルーマーメイド安全整備局では・・・・・・

 

「姉ちゃん!いったいこれは何なんだよ!!」

 

「お、落ち着いてください真冬さん!」

 

「艦長落ち着いてください!!」

 

真冬が真霜の胸ぐらをつかみすごい剣幕で攻めていたのを真冬の部下と平賀が抑えていた

 

「姉ちゃん!なんだよこの晴風撃沈命令って!晴風にはシロが乗っているんだぞ!それだけじゃない!守はどうなっているんだよ!あいつが行方不明ってどういうことか説明しろ!!まさか二人を見捨てて見殺しにするつもりじゃないだろうな!!」

 

「そんなわけないでしょ!!!」

 

「「「っ!?」」」

 

今までにない大声でそう叫ぶ真霜に真冬たちは一瞬固まる

 

「そんなわけ・・・ないでしょ二人とも可愛い妹と弟なのよ?見捨てるなんて絶対にないわ。それに私だってこんな事、認めたくないよ・・・・」

 

「真霜姉・・・・・ごめん。言い過ぎた」

 

真冬も先の言葉に冷静になり真霜に謝る。真霜もいやこの場にいる全員が晴風が反乱したと思っていないからだ

 

「私はどうしても晴風が反乱したとは思ってないわ。だから私は晴風の無実を証明したいわ」

 

「宗谷監督官。私たちも手伝います」

 

「あたしも手伝うぜ!!」

 

「みんな…ありがとう」

 

真霜は協力をしてくれる平賀や福内、真冬に礼を言う涙を流したかったが、今は、涙を流す時ではない。

 

「じゃまず、平賀と福内は、このまま明石と間宮と共に晴風の捜索を・・・上より先に晴風を抑えて・・・

 

『はい』

 

「あたしは、何をすれば・・・」

 

「真冬は、保安即応艦隊を率いて、晴風以外の行方不明の学生艦を捜索して、晴風が反乱したと同時に位置が不明なの、彼女らの安否が気がかりだわ。」

 

「晴風以外の学生艦の捜索なんて、気が乗らねが、確かに真霜姉の優通り、他の生徒の安否も気掛かりだ!!・・・分かったぜ真霜姉!!」

 

「じゃ、3人とも任せたわよ!!」

 

『はい』

 

「・・・・ところで姉ちゃん。守の行方は本当にわかっていないのか?」

 

「それが父島からは晴風発見の無電を機に連絡が来ていないって・・・・」

 

「晴風を発見!?どこでだ?」

 

「最後の無電によれば○○地点だそうよ・・・・」

 

「わかりました。なら私たちは間宮とともにその海域に向かいます。もしかしたら守君は晴風にいる可能性がありますので」

 

「そう・・・じゃあお願いね」

 

「はい!まかせてください」

 

こうして、真霜達は、晴風救出と守の行方を捜すため行動を開始するのだった

 

「(ましろ、マーちゃん。絶対に助けるからね)」

 

真霜は心の中で必ず二人を助けることを誓うのであった

 

 

 

 

 

4月8日17:00

 

 

 

日本近海、和歌山県沖

 

 

 

真雪や真霜達が行動をしている頃、晴風は、ドイツの留学艦アドミラル・グラフ・シュペーと奮戦後、南西へと退避し和歌山県沖を航行していた。

そして晴風の後部甲板では、数名が引き上げられていた二式水戦を見ていた。そして艦橋では

 

「本当にあれが空を飛んでいたんだね~」

 

「でもこれどう見ても飛行船には見えないよ。どちらかと言えばスキッパーぽいね?」

 

と、二式水戦を見ている明乃と芽依はそう言いうと

 

「もしかしてあれ。未来とか異世界から来たんじゃないですか?遥かな世界から異次元の嵐に巻き込まれ気が付けば…あ!別世界に!!」

 

「また、始まった・・・・・それに副長が弟だって言ってたじゃん」

 

幸子の一人芝居に芽衣は呆れたような目で見ると明乃が

 

「でも・・・・これのおかげで私たち助かったんだよね?・・・ねえ、これに乗っていた人は今・・・・」

 

明乃は二式水戦の操縦者である守のことを聞くと幸子が

 

「今、医務室に運ばれて副長がずっとそばで看護しています。でも驚きですあの運ばれた子が副長の弟さんだなんて」

 

「うん…でもシロちゃん。ずっと探していた弟さんに会えてよかったね・・・・あ、私その人の様子見てくるよ」

 

「はい。その間は任せてください」

 

明乃の言葉に幸子は頷くと、明乃は守るとましろの様子を見に保健室へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

一方、保健室では、百々たちが運ばれた守は先ほど救出したドイツ艦の子、ミーナの隣のベッドに寝かせられていた。そしてその守の手をましろは優しく握り、見守っていた

 

「(守・・・・)」

 

ぎゅっと彼の手を握るましろ。そしてましろは彼の胸にかけられているロケットペンダントを見る。

そのペンダントは9年前、ましろが彼にプレゼントとして贈ったものだ。そのことは今でもはっきりと覚えている

そして今、自分の目の前にいる少年がかつて6年前に行方不明になった守だとましろは確信していた。時がたち成長はしているがその顔にはまだ幼げで昔のような面影が残っていたからだ

 

「守・・・・・」

 

未だに目を覚まさない守にましろは不安そうな表情をしていた。もしかして一生このまま目を覚まさないんじゃないか。そう不安に思っていたからだ。一応、美波さんの診断では、軽い打撲なんかはあるが、脳や外傷はないとのことで、あとは目が覚めるのを待つだけと言われたのだが、

 

「守・・・・・目を覚ましてくれるよな?」

 

ましろはそう言うと、

 

「シロちゃん?いる?」

 

「艦長・・・・・」

 

そこへ明乃が入ってきてましろの隣に座る

 

「どう?この人の様子は?」

 

「美波さんには命に別状はないって言われた。後は目を覚ますのを待つだけらしい」

 

「そう。よかった・・・・・」

 

「はい・・・でも、もしこのまま守が目を覚まさなかったら・・・・・」

 

「大丈夫だよシロちゃん。きっと目を覚ますよ」

 

「艦長・・・・ありがとうございます」

 

明乃の言葉にましろは礼を言うと

 

『艦長、至急艦橋に来てください!!』

 

急に艦橋にいる幸子からの呼び出しに明乃は立ち上がり

 

「シロちゃん。私行ってくる」

 

「じゃ、じゃあ私も・・・・・」

 

「だいじょうぶ。シロちゃんはこの人の看護をお願い」

 

と、そう言い明乃は艦橋へと戻るのであった

 

「ココちゃん如何したの?」

 

「‥‥非常通信回線が」

 

「何所から!?」

 

「‥武蔵‥‥からです」

 

「武蔵!?」

 

武蔵の言葉を聞いて、明乃は、驚愕しながら、幸子から受話器を受け取る。

 

『こちら武蔵・・こちら武蔵・・』

 

「もかちゃん!?あたし明乃、如何かしたの!?何があったの!?」

 

明乃はもえかに話しかけるが、向こうの無線機の受信感度が低いのか、明乃の応答にもえかは答える事無く、必死に救援要請を伝える。

 

『非常事態発生…至急救援を…現在、アスンシオン島北西…アスンシオン島北西…至急救援を…至急救援を……』

 

やがて、受話器からもえかの声は聴こえなくなり、晴風の艦橋は不気味な程の静寂に包まれた。

 

「もかちゃん‥‥」

 

明乃は受話器を持ったまま固まってしまう。砲撃してくるアドミラル・グラフ・シュペーから無事脱出に成功した晴風、そして9年ぶりに再会したましろに新たに武蔵からのSOSという不可解な事態に遭遇するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同時刻、某海域の岩礁に乗り上げられた巨大艦にいる謎の女性がいた

 

「やれやれ・・・今日も一隻の船も飛行機も来ないか・・・・まあ、食料や水はまだあるし、何とかなるだろうな・・・・・」

 

そう言い女性ははタバコに火をつけフーと息を吐くと

 

「それにしても・・・なんだか波や風が妙に荒々しいな・・・・・これは何か良からぬことが起きそうだな・・・・そうだろ?信濃よ」

 

と、ポツリと呟くのであった

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