ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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夕焼けの海と深海の狼

「(・・・武蔵からの救援要請・・如何しよう・・・)」

 

明乃は、先程、傍受した武蔵からのSOSを聞いて、心中は揺れに揺れ動いていた。

 

「・・・・・・」

 

しばらくして医務室から戻ってきたましろが心中が揺れ動く明乃を見て舵を握りながら見ていた。ましろも少なからず、明乃の気持ちがわかっていたが、どう言えばいいのかわからなかった。

一方、甲板では艦首先で、楓が午後17時を知らせるラッパを吹いていて、幸子は、被害状況を確認する為、各部を見回っていた。

そして第一主砲塔付近では

 

「武田さん!!主砲の状況は、どうですか?」

 

幸子は、美千留に各主砲の状況を聞く。

 

「見ての通り点検中・・・大部分は、自動化されてるけど、点検が大変だよ!!・・・どう、光?」

 

と美千留は砲塔の頂上で整備をしている光に訊くとゴーグルをつけて点検をしていた光は

 

「まだぐずてるんだよね、この子・・・」

 

汗を拭いながらそう返事をする

 

「あと、どれくらい掛かりますか?」

 

「日没までは、何とかするよ!!」

 

日没までには、主砲の修理作業が完了の予定の様だ

 

「よろしくお願いします!!」

 

『は~い』

 

幸子は、主砲の修理作業を美千留と光に任せ、第三主砲塔付近に向かうと美甘が修理が忙しくて、食堂室まで食べに行けない生徒に対して、おにぎりなどを配っていた。

 

「おにぎりできたよ~!!」

 

「「「ありがとう」」」

 

皆が美甘に礼を言いおにぎりを取る 

 

「顔になってるのが梅干が入ってるやつね・・・」

 

「松永さん!!姫路さん。こちらは何か異常ありませんか?」

 

二人がおにぎりを食べていると幸子が尋ねてきた。

 

「発射管は、異常な^~し」

 

「ま~あ、魚雷が一本も無いけど・・・」

 

そう答えると幸子が美甘の持つバットの中にあるおにぎりを見る

「皆さんのお食事は、おにぎりなんですね」

 

「みんな修理で食堂まで来れないし、忙しいから・・・・・・あっ!?そう言えば武蔵から非常通信が着たって、本当?」

 

美甘は、武蔵からのSOSが着た事を幸子に問う。すると理都子と果代子

 

「私もそれ聞いたよ」

 

「他の艦って、如何なってるのかな?」

 

と、二人がそう訊くと

 

「「・・・・・あ」」

 

二人は幸子の様子が変わったのに気づく。そして幸子は・・・・・・

 

「『世界の全てが敵に回っただと!!』『武蔵を沈める訳には、いかない!!南の果てまで逃げYO!』」

 

と、いつもの一人芝居が始まったのだが・・・・・

 

「そのネタ、あんまり面白くない!!」

 

「え~!!」

 

元ネタが分からないのか美甘から、あまり面白くないと言われ、幸子はがっかりする。

すると美甘が

 

「そう言えば、あれ結局なんだったの?」

 

と、高甲板に固定され置かれている二式水戦を見て幸子に訊くと

 

「さあ?私もよくは・・・・・ただ空を飛んでいたのは事実ですよ」

 

「それはみんなから聞いたけど・・・それに誰か乗っていたんでしょ?」

 

「はい。何でも副長の弟さんだとか?今は医務室で寝ていて目が覚めていないらしいですけど」

 

果代子の言葉に幸子がこう答えると

 

「「「副長の弟?」」」

 

と、三人は首をかしげるのであった。そしてその後、暫くして、各部の被害状況を確認し終えた幸子は、艦橋へと戻ると各部の被害状況を報告する。

 

「損傷の確認、出来ました!!」

 

「状況は?」

 

ましろが訊くと幸子はタブレットを動かし

 

「現在、機関修理中・・・3番主砲使用不能、魚雷残弾なし、爆雷残弾1発・・・戦術航法装置並びに水上レーダー損傷・・通信は、受信のみ出来ますが・・・」

 

幸子はましろに各部の被害状況は、深刻で、特にさっきのアドミラル・グラフ・シュペーとの戦闘で第三主砲は、損壊し修理は、不可能。更に機関も逃げる時に無理をした為、現在修理中。弾薬も残り少ない状況だったことを報告をする。

 

「航行に必要な所の修理最優先でどれくらい掛かる?」

 

「機関だけなら後8時間くらいですね」

 

「先ずは、其処からだな・・・」

 

ましろはそう言うと伝達官へと向かい

 

「・・・機関長!動きながらで大丈夫か?」

 

伝達管で麻侖に確認を取ると

 

『何とかする~!でも、巡航以上は、出せねいぜ~!』

 

麻侖は、機関を修理しながら、答える。

 

「分かった!!・・・・・・巡航で学校に戻る最短コースで良いですね・・艦長?」

 

麻侖の言葉にましろはそう返事をし、そして明乃に言うが、先ほどの武蔵の件で動揺していて気が抜けている為、全く反応がなく、すると五十六が明乃の頭の上に乗っかるが、まったくの反応なし。それをみたましろは

 

「艦長!!」

 

今度は、大声で呼んだ。

 

「えっ!?・・シロちゃん、何?」

 

ましろの呼び出しに明乃は、ようやく気付く。

 

「はぁ、気持ちはわからなくはないですが、しっかりして下さい!!」

 

「ごめん、つい・・・」 

 

ましろはため息をついてそう言い明乃は謝るのであった。一方、通信室では鶫が鼻歌を歌いながらスマホをいじっていた

 

「・・・ん?」

 

突然、どこかの通信を傍受する。

 

「海上安全委員会・・・・」

 

傍受した内容を鶫は、スマホに記録する。そして傍受した内容をまとめた鶫はその内容を幸子に連絡する。そして幸子は明乃たちのもとに向かい

 

「八木さんが、緊急電傍受したそうです」

 

「「何所から!?」」

 

「海上安全委員会からの広域通信ですね」

 

「広域通信・・・?」

 

幸子が通信内容が書かれたタブレットをましろと明乃に見せ、それをましろが読み上げる

 

「え~と・・・現在、横須賀女子海洋学校の艦艇が逸脱行為をしており、同校全ての艦艇の寄港を一切認めないよう通達する・・・また、以下の艦は抵抗するようなら撃沈しても構わない・・・航洋艦晴風!!?」

 

内容の中に晴風の名前が記載されていた事にましろは、驚く。

 

「げ・・げき・・・」

 

「撃つのは、好きだけど・・撃たれるのは、やだぁ~!」

 

撃沈という言葉を聞いて志摩と芽衣が頭を抱え動揺する

 

「何所の港にも寄れないって事?」

 

「そう言う事だろ?・・・」

 

「私たち完璧にお尋ね者になってるよぉ~!!」

 

明乃とましろの言葉に鈴は涙目でそういうと、明乃は先ほどの武蔵の緊急通信を思い出す。

 

「もしかして、武蔵も同じ状況なのかも・・・だから、非常通信を・・・」

 

「こっちと違って、簡単に沈むような艦じゃない」

 

「でも、助けを求めてた・・だから・・・」

 

「我々の方が助けが必要だろ!!それに、実技演習もしてない私達が如何やって助ける気だ!」

 

明乃の言葉にましろはそう大声で言う。そしてましろはこう続けた。

 

「艦長。気持ちは私にも少しはわかります。ですが今はこっちを・・・・みんなの安全を優先するべきです。学校へ戻る方針を変えるべきじゃない・・・武蔵の事は、学校に報告して任せよう」

 

ましろは明乃は武蔵の艦長を心配している姿を見て、自分と守のことを重ねてたため。少しは彼女の気持ちも理解できた。しかし、現状を見て今はここ、晴風の乗員の安全を優先すべきと考えたましろは武蔵の事は、学校に任せ、我々は、学校に帰投すべきである事を告げる。

そしてそれを聞いた明乃は少し考えると小さくうなずき

 

「わかった・・・シロちゃんの言う通り、学校へ戻ろう。」

 

「うぃ・・・・」

 

明乃はそう言うと志摩もうなずく

 

「じゃあ私が艦橋に入るから、皆は、休んで」

 

「うぃ?」

 

明乃はみな休むように言うと志摩が首を傾げ幸子が

 

「今夜の当直は私と鈴ちゃんです」

 

タブレットを動かし当番の予定表を明乃に見せる。そしてましろも

 

「正しい指揮をする為には、休むのも必要です」

 

そう二人が言うが明乃は

 

「私は大丈夫だから‥‥」

 

と、いうが・・・・

 

「良いから休んでください!!」

 

「うん・・分かったよ・・・シロちゃん」

 

ましろの剣幕に明乃はしぶしぶ承諾し、休むため艦長室へと向かうのであった。そしてましろは明乃が艦長室へ向かったのを確認すると、

 

「やれやれ・・・・」

 

と、そう言い艦橋を出る

 

「あれ?副長。そっちは医務室ですよ?」

 

幸子がそう言うとましろは

 

「休む前にもう一度、守の様子を見に行く・・・・・・」

 

背を向けたまま幸子に言いその場を去るのであった。明乃にきつく言ったましろであったがその内心はいまだに守のことを心から心配していたのだった、

 

「(これじゃ、艦長のこと言えないな・・・・)」

 

軽くため息をつき、ましろは医務室へと向かうのであった。

 

そして同じころ艦長室ではベッドに転がった明乃が浮かない表情をしていた。

 

「(もかちゃん・・・助けに行きたい・・・でも、今は・・・)」

 

「はぁ~もっと艦長として、しっかりしないと・・・」

 

明乃は、そう言いながら眠りつく。

 

 

 

 

 

 

その頃、晴風のすぐそばの海域で海の中、一隻の潜水艦が動いてた。船体は黒くまるで鋼鉄のクジラのようだった。そして甲板らしきところには赤地の中央に白い丸。そしてその白丸の中央に鍵十字が書かれていた

 

「謎の海流から逃れてレーダが回復しました艦長」

 

「で?状況は?」

 

船内で一人の船員が将校服を着た女性に訊くと、女性は振り返り乗員に訊くと

 

「右舷前方、10マイルで一隻の船が航行中。エンジン音からして民間船ではありません。恐らく軍艦かと」

 

「この海域にいる軍艦は味方はいません。恐らく日本国海軍(ヤーパン)の哨戒任務に就いている艦艇です。たった一隻。絶好の獲物です」

 

「潜望鏡をあげろ・・・・・」

 

女性将校がそう言うと、潜水艦は潜望鏡を上げる。そして潜望鏡を覗く将校は・・・・・

 

「艦橋や航海灯の明かりがつけっぱなしだな・・・・・・アジアの制海権を奪還したからって油断しているのか?艦影から見るにカゲロウ(クラス)に似ているな・・・・・・よし、驚異の芽は早くに摘み取らないとな」

 

そう言うと、

 

「1番、2番。発射用意!!」

 

「Heil!!G7魚雷装填開始!!」

 

将校の命令で船内があわただしくなり兵員が魚雷発射管に魚雷を装填する

 

「1番、2番。発射用意!!」

 

「発射口、開口!!」

 

と兵員が言う中、将校が軍帽を深くかぶり

 

「ふん!恨まないでよね。こんなところで一人だけうろちょろしているあんたらに運がないのよ…Sieg Heil Viktoria」

 

そう言いにやりと笑うのであった

 

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