ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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姉弟の再会。守とましろ

Uボートの戦いの後、明乃は保健室へと行っていた。

 

「美波さん、起きてる?」

 

「春眠暁を覚えず、魚雷に砲火の音、一服の茶をきすいする」

 

明乃が訪ねると美波は目にクマをつけ難しいことわざで答える。そして美波さんはマグカップを持ち明乃に渡す

 

「あ、ありがとう。」

 

明乃は礼を言い飲むのだが・・・・

 

「うぇ~!しょっぱ~い!?」

 

あまりの塩辛さに思わず、顔色を変えて咽こんでしまう

 

「青人魚名物、塩ココア」

 

「ひょとして、塩だけで砂糖を入れなかったの?」

 

「フっ・・・」

 

明乃が美波さんにココアに塩だけしかいれていないのか訊くと美波さんは小さく笑った

 

「美波さん。もしかしてわざと?」

 

明乃がそう言うと明乃は

 

「あ、そうだ。ところでシュペーの子は?」

 

明乃は、美波にミーナが何処にいるか聞くと

 

「何だ?・・ワシに何かようか?」

 

突然ミーナが医務室に入ってきた。

 

「さっきはありがとう。おかげで助かったよ」

 

「寝ていたところを叩き起こされたからな。それに礼を言うならあの軍服を着た少年に言ってくれ」

 

そいうとミーナはベッドに座る。明乃は彼女の隣に座り

 

「ねえ、あなたたちの艦に何があったの?」

 

「我等がアドミラル・シュペーか・・・・・」

 

「そう‥‥あっ、でも、もし、言いたくなかったら‥‥」

 

「いや、ワシもよくわからんが聞いてもらった方がいいな」

 

そう言うとミーナはあの時シュペーで何があったのかを思い出しながら明乃に話した

 

「我らの船も貴校との合同演習に参加する予定だったのは知っておるな?」

 

「ううん・・・・初めて聞いたよ」

 

明乃はシュペーとの合同演習があったなんて知らなかったため首を横に振った

 

「そうか…まあいい。ワシらは合流地点に向かっていたんだが、突然電子機器が動かなくなって調べようとしたら誰も命令を聞かなくなった‥‥」

 

「それって叛乱?」

 

「わからん。ワシは艦長から他の船に知らせるよう命じられて脱出してきた」

 

「艦長?」

 

「ああ‥帽子を拾ってくれたのは感謝している。あの帽子は我が艦長から預かった大事な物‥シュペーに戻って艦長に返さなければ。必ず‥‥」

 

そう話すミーナの瞳には明確な決意が宿っていた。

 

「分かった、私も手伝うよ!」  

 

「え?」

 

明乃もミーナが戻れるように手伝うと言うとミーナは、明乃の方を見る。

 

「同舟相救う。その船を同じくして渡りって、風にあう渡ればその相救うや左右の手の如し!!」

 

美波さんはことわざで二人にそう言う。美波さんが言いたいのは平素は敵どうしでも、いざと言う時には助け合う。つまり、敵同士でもいざと言う時は、お互いに助け合うべきだという意味だ。

美波さんの言葉に明乃は達は呆けていると明乃は

 

「あっ!そうだ。あの子は?ほら、シロちゃんの弟の」

 

明乃は守がいないことに気づき、美波さんに訊くと

 

「あの少年なら、さっき副長が連れて行った」

 

「シロちゃんが?」

 

 

 

 

 

一方、守はましろに誰もいない部屋に倉庫に連れてかれてた。そして倉庫で二人っきりになり、まず最初に言葉を出したのはましろだった

 

「おまえ・・・・・本当に守なんだな?」

 

じっと守を見るましろ。そして守は

 

「ああ。9年たって変わっちゃったけど。俺だよ姉さん」

 

守は小さくうなずくと。ましろは

 

「守・・・・・分かっているよな?」

 

ましろがそう言うと守はましろの言いたいことを理解しているのか頷いた瞬間倉庫内で乾いた音がし。守の頬は赤くなっていた。そうましろが守の頬を叩いたのだ。そして当のましろは目に涙を浮かべていた

 

「守・・・これはお前が9年前に私との約束を破った罰だ」

 

「ああ…分かってるよ」

 

守は頷く。守もましろに頬を叩かれることは覚悟していた。6年前の約束。それは守がずっと姉であるましろのそばにいるという約束だ。だが、あの時は突如、守は元の世界に戻ってしまい。その約束を果たすことができなかった

 

「守…本当に・・・・本当に心配したんだぞ・・・・・急にいなくなって私がどれだけ・・・・」

 

泣きながらそう言うましろに守は

 

「本当にごめん姉さん・・・・急にいなくなって。心配かけて」

 

守がそう言うとましろは

 

「本当だ・・・・お前は9年間何処に行っていたんだ。連絡もしないで」

 

「姉さん。そのことなんだけど。実は信じられない話なんだけど聞いてくれるか?」

 

「どんな話なんだ?言ってくれ」

 

「実は・・・・・」

 

ましろの言葉に守はすべてを話した。異世界から来たこと、いきなり元の世界に戻ってしまったこと、今回こちらの世界に来た経緯などをすべて話した。

 

「姉さん・・・・信じてくれないと思うけど、これが俺がいなくなった後の俺の経緯だよ。嘘だと言われるか頭がおかしくなったって言うと思うけど・・・・・」

 

守がそう言うとましろは

 

「・・・・守。お前が嘘を言えない子だというのは昔から知っている。だから今話したことも嘘じゃないんだろ?だから私は信じるよ」

 

「姉さん・・・・本当にごめん」

 

「謝る必要はないよ。故意でいなくなったわけじゃないんだろ?」

 

と。優しい笑みでそう言うましろ。そして守は

 

「それで、姉さん。姉さんは今、どういう状況なの?」

 

「それがだな・・・・・」

 

ましろは今の現状を守に話した。そしてその話を聞いた守は

 

「(やっぱり姉さんが反乱なんかしていないんだ・・・・それにしても遅刻程度で、しかも集合海域外の場所で古庄さんが発砲したなんてどうなっているんだ?しかも晴風撃沈命令って・・・・もしや真霜姉さんが?いやいや。姉さんに限ってそんなことはあり得ない。第一そのために俺が偵察飛行をしたんだから)」

 

ましろから晴風の反乱の真相。そして晴風撃沈命令を聞いて守は考えた。

 

「守・・・・・私たちはどうすれば」

 

ましろがそう訊くと守は

 

「たぶん・・・・大丈夫だと思いますよ?」

 

「え?」

 

守の言葉にましろが呆気な顔をすると。伝達官から艦橋にいるはずの幸子の声が聞こえる

 

『艦長、副長。・・・校長からの全艦帰港命令が出ました!』

 

「なに?」

 

「とにかく行こう。姉さん」

 

「あ・・ああ」

 

そう言いましろと守そして報告を聞いた明乃が艦橋に上がる。そして艦橋に着くと幸子が学校からの電文を読み始める

 

「えっと・・・『私は全生徒を決して見捨てない・・・皆を守る為にも全艦可及的速やかに学校に帰港せよ』との事です。」

 

横須賀女子海洋学校からの全艦帰港命令の内容に艦橋の皆は、ホッとした表情になる。

 

「(よかった・・・やっぱり真雪さんも姉さんたちが反乱してないってわかってくれていたんだ・・・・じゃあ、さっき言った晴風撃沈命令は一体・・・・)」

 

と守は安心するのと同時に姉から聞いた晴風撃沈命令を出したのは誰か考えた。真霜や真冬は除外として恐らくその上のお偉いさんが命令を下した可能性があると守は睨んだ。

 

朝食の席にて、明乃は学校からの帰港命令の内容を皆に伝えた。

しかし、深夜の潜水艦戦が影響しているのか、集まったクラスメイト達の何名かは舟を漕いでいたり、テーブルに突っ伏して寝ている者も居る

 

「学校から全艦帰港命令が出ました。晴風も学校側が責任をもって保護するので戻ってくるようにとの事です。尚、帰還中は一切の戦闘行為は禁止だそうです」

 

明乃の説明に皆はもう戦闘が無い事に安堵した表情になる。

 

「だが晴風に対する警戒は続いている。そして、現状我々は学校以外の港にも寄港できない状況だ。よって密かに学校に戻らねばならない」

 

ましろが皆にそう言うと明乃は

 

「あ、それから新しい友達を紹介します!!」

 

ある程度の説明を終え、明乃がミーナと守を皆に紹介する

 

「ドイツの・・・ヴィンナー・ブラウシュガー・インゲンマメ・・・あれ、何だっけ?」

 

名前が長かったせいか、明乃は途中で忘れる。それを聞いたミーナは苛立ち

 

「Scheisse! 」

 

ドイツ語でそう言うミーナに幸子とましろが驚くとミーナは今度は日本語で

 

「ヴィルヘルムスハーフェン校から来た・・・ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクだ・・・アドミラル・シュペーでは副長をやっていた。」

 

「う~ん。長いから、ミーちゃんで良いかな?」

 

「誰が、ミーちゃんじゃ!?」

 

名前が長いので明乃は、ミーナをニックネームで答える。明乃の言葉にミーナはつっこむ

 

「それともう一人います。シロちゃんの弟の・・・・えっと・・・」

 

「元海軍少尉の森守です。姉がお世話になってます」

 

と、紹介された守は礼儀正しく頭を下げると生徒たちはざわつく。皆が守がましろの弟だということに驚いていたからだ。

 

「じゃあ部屋は・・・ココちゃん、何処が空いてたっけ?」

 

明乃は、ミーナと守が寝泊まりできる様に空いている部屋が無いか、幸子に問う。

 

「う~ん・・・ベットの空きがあるのは・・・副長の部屋だけですが・・・・」

 

「あ、私は倉庫でもどこでも構いません。ミーナさんを姉さんの部屋にしてください」

 

「えっ!?・・・私の・・部屋・・・」

 

空いている部屋が自分の部屋だけだと知り、ましろは、固まる。幸子達は、ミーナをましろの部屋まで案内すると、ましろの部屋の中は何ともかわいらしいぬいぐるみがたくさん置いてある部屋だった

 

「うわぁ!?すご!?」

 

「夜いたサメさんも居ますね・・・」

 

「宗谷さんからは、想像できない部屋です!?」

 

それを、芽衣、まゆみ、幸子、が覗き、幸子は、ましろの部屋をタブレットのカメラで撮りまくる。

 

「良い部屋だな・・・今日からよろしく頼むぞ!!」

 

ミーナはましろに笑顔で礼を言う。

 

「はぁ~」

 

ましろは、顔を赤くし恥ずかしがりながらため息をつく。そして一方の守は明乃に倉庫へ案内された。ましろの部屋を除き、人が泊まれるスペースがある場所と言えばここしかないのだ

 

「では私は、倉庫で寝泊まりさせていただきます」

 

「ごめんね。ほかに部屋があったら貸せたんだけど」

 

「大丈夫ですよ。できれば毛布を貸してもらえれば助かるんですが」

 

「うん。後で持ってくるよ。・・・・あ、あと」

 

「ん?」

 

「これからよろしくね。マー君」

 

「・・・・・・はい。こちらこそ。よろしくお願いします岬艦長」

 

と、守は明乃に礼を言うのであった。そしてその後、守は岬に毛布を貸してもらい、倉庫の奥へと簡易的な寝床を作り、しゃがむ

 

「さて・・・・姉さんには再会できてうれしいけど。これからどうなるんだろうな・・・・」

 

と、独り言をつぶやくと、

 

「守。いるか?」

 

「あ、姉さん」

 

ましろが倉庫に入ってきて守のそばに座る

 

「どうだ?窮屈じゃないか?」

 

「いや大丈夫だよ。戦闘機のコックピットに比べれば快適さ。それより姉さんミーナさんの方は?」

 

「ああ・・・・まあ、気に入ってもらえたよ」

 

と少し恥ずかしそうに言う。

 

「そう言えば姉さん。なんでここに?」

 

「なんでって。弟と久しぶりに話すのに理由があるか?」

 

「・・・・・ないね。まずどこから話す?」

 

「そうだな・・・・・・」

 

そう言い二人は、幸子たちに呼ばれるまで空白だった9年分の会話をするのだった・・・・・・

 

 

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