ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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貴女を乗せて

初めて飛行機を動かし空を飛んだ人はこう言った

 

『初めて空を飛んだ時はとても言葉に表すことができない』

 

 

・・・・と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろと守は修理が完了した二式水戦へと乗り込む。操縦席が守。そして修理の際、改装し操縦席に簡易的座席があるところのましろが乗った

 

「ねえ?本当にあれ動くのかな?飛ぶのかな?」

 

「私飛ぶところ見たよ」

 

「そう?なんか想像しずらいな~?」

 

艦橋や船外にいて二式水戦が飛ぶところを見たメンバーはともかく、艦内にいた子たちは艦橋にいた子たちの話を聞いただけで、とても今目の前にある二式水戦が飛ぶようには見えなかった

 

「よし・・・・燃料は満タン。フラップは・・・・」

 

そう言い守は操縦桿と方向舵ペダルを動かすと主翼のフラップや補助翼。垂直安定板の方向舵や昇降舵が正常に動くかチェックする

 

「よし、異状なし」

 

「守・・・・大丈夫か?」

 

機体のチェックをする守に後ろ席に乗るましろが心配そうに訊くと守は

 

「大丈夫だよ、あとはエンジンをかけるだけだよ」

 

と振り向いてニコッと笑う。そして守は二式水戦のエンジンをかける

 

「エンジン始動!」

 

声とともにプロペラが回りやがてエンジンからすさまじい轟音が響く

 

「うわっ!?すごい音!!」

 

「それにすごい風!?」

 

轟音とともに拘束に回転するプロペラの風圧に皆は驚き、中にはプロペラの風によってスカートがめくれそれを必死に抑える子もいた

 

「回転数異常なし!発動機、計器の異常なし!」

 

エンジンを始動し、計器盤にあるすべての計器に異常はないか瞬時にチェックし、異常がないかを確認し、そしてエンジン音に問題はないかも確認。結果はすべて異常なしだ

守は操縦悍を動かし、そして二式水戦は動き出す。そして少し晴風から離れると、

 

「よし!じゃあ、姉さん飛ばすよ?舌噛まないようにね」

 

「え?わ、分かった」

 

守の言葉にましろは頷くと、守は頷き、一気に二式水戦を加速させる

 

「うわっ!?」

 

激しい揺れと水飛沫でましろは驚くが、速度が増してくると揺れはだんだん収まり、やがてふわっとした感覚がした

 

「え?」

 

いきなり揺れが収まり静かになったことにましろは少し驚く。すると

 

「姉さん。外を見てごらん」

 

守の言葉に恐る恐るましろは外を見ると・・・・・

 

「・・・・飛んでいる?」

 

窓の外の景色は先ほどまで目の前にあった小島の山が下に見えており、そして晴風も小さくなっていった。そう彼女は飛んだのだ。この世界の住人で初めて空を飛んだのだ。そしてその光景は晴風のみんなも見ていた

 

「おぉ‥飛んだ‥‥」

 

「本当に空を飛ぶなんて‥‥」

 

「すごい!!本当に飛んでいるよ!!」

 

と、みんなが驚いている中、ましろも

 

 

「本当に飛んでいるんだ・・・・・」

 

ましろは以前、記録係の納沙幸子が「水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船って造れないですかね?」と聞いて来た時、「あんなもの空想の産物だ」と言いかけた。だが守と出会い、そして幼いころ守が言っていた飛行機に今自分が乗って空を飛んでいる。

もし守と出会わなければ、空を飛ぶこともましてや飛行機の存在を否定していただろう。すると操縦席から

 

「姉さん。大丈夫?怖くない?」

 

と最愛の弟の声が聞こえるその声は若干心配しているようにも聞こえたがましろは首を横に振り

 

「いいや。むしろ最高の気分だ守・・・・これが飛行機。これがこれが雲の上から見た海・・・お前が見ていた世界なんだな?」

 

「ああ。この景色を姉さんに見せたかったんだ」

 

高度4千メートルの世界の中、守はそう言う。守は元の世界で予科練性の時やラバウル時代で空を飛んだ時、この空の世界を守はずっとこのましろに見せてあげたかった。だが、ましろが高いところが平気なのか心配だったが・・・

 

「ああ。船の上では絶対に見れない光景だな」

 

どうやら、喜んでくれたみたいだ

 

「なあ、守。もっと高く飛べるか?」

 

「ああ。今は高度4千だけど。その気になれば限界高度の一万メートル行ける。でもあの世界は寒いからな防寒機と酸素マスクがないとちょっと厳しいよ」

 

守はそう言う。二式水戦改の性能なら高度一万まではいける。だがその世界はかなり寒く酸素マスクがないと下手をすれば気絶してしまう世界。飛行服を着ている守とは違い夏服の薄手のセーラー服を着たましろをそこに連れて行くことはまだできない。もし連れて行けば下手して凍傷する可能性があった

 

「そうか・・・・でも確かに少し肌寒いかな」

 

ましろは若干震えながらそう言う。真夏の暑い日とは違い空は高ければ高いほど寒い。高度4千でもましろにとっては肌寒かった。

 

「でも、見て見たいな…その世界」

 

「今度、飛行服を作って、その時またチャレンジしようよ姉さん」

 

「うん。そうだな」

 

と、そう言うましろ。だが、少し元気がなかった

 

「ん?姉さん。どうしたの?」

 

「いや・・・立派になったんだなって・・・・」

 

「どうしたの急に?」

 

急なことに守は思わず首をかしげると

 

「守は約束を果たしてくれたのに私はまだお前のとの約束を果たせてないなって思ってな・・・・」

 

「約束・・・・」

 

ましろの言葉に守は思い出す。それは昔ましろが『自分の乗る船に守を乗せる』という約束だった

 

「いや。約束は果たしていると思うよ姉さん?」

 

「確かにそうだけど。本当は大型艦の艦長をしている私が守を乗せるつもりだったんだ・・・・でも今の私は航洋艦の副長・・・これじゃあ」

 

「何を言うと思えば。そんなの気にしないし。大丈夫だよ姉さん。むしろ姉さん。副艦長も立派な仕事だよ。それに姉さんの船乗りの体験は始まったときだ。いろんな経験を積んでから艦長なのもいいんじゃないか?」

 

「守・・・・」

 

「それに飛行機乗りになっている俺が言うのもなんだけど。俺が今こうして飛行機乗りになったのは取り返しのつかないこと(・・・・・・・・・)をいっぱい積んだから・・・・」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない。まずはいろいろと経験を積むのが大事ってことだよ。だから姉さんもきっと立派な船乗りになる。そして姉さんもいつかは艦長になれるよ」

 

「守・・・・・ありがとう。いつも励ましてくれて」

 

守の励ましにましろは礼を言う。だがましろはとある言葉が気にかかったそれはさっき言った『取り返しのつかないこと』という意味だ。

守は飛行機乗りに早くなりたいがため、海軍航空隊に志願した。そして今ある飛行技術は数多の敵機を撃ち落としたときの経験によるものだ。

守は撃ち落とした敵機を一機たりとも忘れたことはない

だからこそ今の自分の能力は人を殺したのを引き換えに覚えた技なのだ。

だが、守は姉であるましろに自分が戦争に参加したことは言っていなかった。もし言ったら彼女は自分を拒絶し怖がるんじゃないかと怯えたのだ

 

「(やっぱり、俺は弱虫だな・・・・)」

 

そう内心思っていた。そしてましろは顔こそ見えなかったが背中で悲しんでいるように見える弟を見た

 

「守?どうしたんだ?」

 

「いや。なんでもないよ姉さん・・・・・名残惜しいけど、そろそろ降りようか?多分、晴風のみんなはましろ姉さんの感想を聞きたがっていると思うし」

 

「そ、そうだな」

 

守の言葉にましろは頷くと、守はゆっくりと高度を下げた。その時ましろは

 

「(守・・・・なぜさっき。悲しい顔をしたんだ?私には言えないことがあるのか?)」

 

自分の弟が何かを隠している。それもかなり悲しいことを背負っているんじゃないかとそう思うましろ。

そして自分の過去を言いたくない守。二人が互いのことを考えている中、二人を乗せた二式水戦はみんなの待つ晴風のもとへと降りていくのであった

 

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