今から100年ほど前、日露戦争の後日本はプレートの歪みやメタンハイドレートの採掘などが原因でその国土の多くを海中に失った結果、海上都市が増え、それらを結ぶ海上交通などの増大に依り海運大国になった。
その過程でこれまで海軍が建造してきた軍艦は民間用に転用され、戦争に使わないという象徴として艦長は女性が務めた。
やがて、艦長だけでなく、乗組員も女性だけと言う艦が多くなり、女性の軍艦乗りは「ブルーマーメイド」と呼ばれ、日本における海の治安を守る女性の職業として女子学生の憧れの職業となっていった。
同様に海の治安を守る男性の職業も存在し、そちらは「ホワイトドルフィン」と呼ばれている。
そして、女子学生にとっては花形の職業と言う事で、ブルーマーメイドになりたいと言う女学生が此処近年急激に増え、文部科学省は将来のブルーマーメイド育成の為、専門の学校を作った。
そして、かつての軍艦のなかにはブルーマーメイドを育てる教育専用の船、教育艦として使用される軍艦が登場し、将来のブルーマーメイド達の育成に尽力した。
そんな世界の中、ある一通の知らせが 海上安全整備局へと届けられた。通報内容は硫黄島付近の海域を偶然に通った漁船が海に漂う不審な物体を発見したというのだ。海上安全整備局はもう一度それを発見した漁船に聞くが
「あんなもの見たことがない」
の一点張りで、海上安全整備局は直ちに調査の為、ブルーマーメイドに出動を要請した。調査に向かったのは、インディペンデンス級沿海域戦闘艦みくら以下3隻であった。そして戦闘のみくらの艦内ではネコミミを模したヘッドセットを装着した女性でこのみくらの艦長である福内典子とその隣にいる同僚でありブルーマーメイドの隊員である平賀倫子が、先ほど通報を受けた海域へと向かっていた
「もうすぐ着くわね・・・・・・一体何かしら?その漂流物って?」
「わかりません。漁船の人たちに聞くと水上スキッパーぽいものだが全く違う。とのことです」
「引き上げはしなかったの?」
「小型の漁船だったのと何よりあまりの怖さに飛んで帰っちゃったみたいです」
「情けないわね・・・・まあ仕方がないと言えばないけど」
軽くため息をつく福内。そしてみくらは硫黄島付近へと到着しレーダーや双眼鏡などで探すがそれらしきものは見当たらなかった
「見つかりませんね・・・・・もしかして悪戯だったのでしょうか?」
「あるいは海流に乗ってどっか遠くに行っちゃったかしらね?」
と、そう話し合っていると
「艦長!11時方向の岩礁に不明物を発見!!」
「「っ!?」」
見張り員の言葉に二人は驚き、双眼鏡で言われた場所を見ると、硫黄島近くの岩礁に何か不明なものが座礁していた。
「きっとあれね。確かに見たこともないわ」
「はい。一見水上スキッパーに見えますけど?」
「とにかくまじかで見て調べないとな」
そう言う。そしてその先は浅くみくらでは行けないため数名の隊員が水上スキツパーに乗りその岩礁へ乗り上げている物体のところまで近づく。そして隊員たちがその岩礁へと降りるとその物体に近づく。それは白と灰を混ぜたような色をした大きな水上スキーのようなもので、胴体には翼みたいなのがつけられていた
「ほえ~近くで見るとますます水上スキッパーみたいな物体だね?」
「ほんと。でも窓みたいなところのガラスは割れているし、胴体も結構穴が開いているね。まるで銃撃されたみたい」
「でも何のために?これが何かもわからないのに?それに尻尾みたいなところに書かれているこのマークは何だろう?狼かな?」
隊員たちは初めて見る謎の物体に首をかしげていると、先ほど窓の付いている部分を見ていた隊員が何かに気づいた
「あ・・・・・」
「どうしたの?」
「さっき。人影みたいなのを見ました」
「なんですって!?」
そう言うと隊員はその臆することもなく物体によじ登り、その窓の中を覗くと目を見開く
「班長!この中に人が乗っています!!」
「なんですって!?」
そう言い班長格の隊員もよじ登り窓を覗くと
「・・・・・・・子供?」
その中には中学生ぐらいだろうか、頭に帽子とゴーグルをかけた女の子と思しき子供がぐったりと倒れていた
「ちょっと!あなた大丈夫!?しっかりしなさい!!」
そう言い隊員はその人物の体に触れると、何やら冷たい感触がした。そして隊員はその人物に触った手を見ると
「・・・・血!?」
その手は赤く染まっていた。だがそれは自分の血ではなかった。よく見るとその人物の肩や足は赤黒く染まっていてさらにはその人物の頭から血が流れているのを見て先ほど手に血たちはその人物の血であることがわかり
「この子、怪我をしているわ!すぐにみくらに連れてって治療しないと!」
「あの、これはどうするんですか?」
「一緒に持っていくわ。たぶんこの子の持ち物だと思うから。ほら、急いで!この子死んじゃうわよ!!」
「は、はい!!」
そう言い隊員たちはその人物を引き出し、その謎の物体とともにみくらへと持ち帰るのであった
数時間後、
「なんなのよ・・・・これ」
横須賀ブルーマーメイド安全監督室ではブルーマーメイドの統括者である宗谷真霜が先ほどみくらに送られた謎の漂流物の資料を見て驚いていた。
「はい。硫黄島付近の海域の岩礁で乗り上げているのを発見しまして、そしてその漂流物の中から中学生らしき女の子を救出したとのことです」
「これに人が乗っていたの!?それでその女の子はどこに!?」
「はい。今は横須賀の病院に搬送されています。医者によれば体のあっちこっちから7・92ミリほどの銃弾が摘出されたみたいで、発見が遅ければ命は助かっていなかったとのことです」
「銃弾!?何でそんなものが!?」
「わかりません。それは本人に聞かないと、どうも・・・・ただ、例の物体のほかに彼女の身分を証明するものと所持品が見つかったとのことです」
「どんなの?」
部下の言葉にそう言い真霜はタブレットを動かすと、そこには救出された人物の所持品らしきものが写っていた。スマートフォンに拳銃、そして日本刀など
「どうして、子供がこんなものを・・・・・・・んっ!?」
不思議に思う中、真霜はあるものを見た。それはロケットペンダントであった。それを見た真霜は少し驚くと
「ねえ・・・・・このペンダントは・・・・?」
「は、はい。救出された子の胸に掛けてあったものです。そしてペンダントの中には写真が貼られていました」
「写真・・・・・もしかしてその写真も撮ってある?」
「はい。次のページに」
部下がそう言い真霜はタブレットをスライドさせると、そこにはペンダントがあかれた写真が写ってありそしてペンダントの中には一枚の写真が貼られていた。それは小さな短い髪のこと黒いポニーテイルの写真の子が一緒に写っている写真であった。
それを見た真霜は目を見開き
「・・・・・まさか・・・・・これって・・・・・」
「あ、あの?どうかされたんですか?」
部下の人が不思議そうに首をかしげると真霜は
「ねえ、その子がいる病院って横須賀のどこ?」
「はい。氷川病院にいます」
「そう・・・・わかったわ。後で私も行きますので、あとまた詳しい情報が入ったらすぐに報告して」
「了解です」
部下が一礼して部屋から出ると真霜は、そのペンダントと、そして救出された子の写真を見て
「・・・・・・・もしかして・・・・・・マーちゃん?」
と、どこか懐かしさと驚いた表情でその資料を見るのであった