4月15日18:00
横須賀女子海洋学校、会議室
「東舞校艦16隻が航行不能!?」
武蔵と東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊の戦闘の報は、直ちに横須賀女子海洋学校の真雪の元に齎された。
「まさか、武蔵が本当に反乱したの?」
報告を聞いた真雪は、驚愕する。武蔵が反乱した事に信じられなかったからだ。確かに武蔵に乗る学生は優秀な子が多い。だが反乱を起こすような生徒には到底思えなかったからだ
しかも、それを止め様と交戦した東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が全て航行不能になった事に驚いていた。
「この報告からは、判りかねます。」
報告した老松も真雪と同じ意見だった。
「武蔵の損害は、軽微、晴風も攻撃から離脱するのが精一杯で、目標をロスト・・・教員艦は最新鋭だった筈!?・・・なのに如何して‥‥?」
真雪は、何故、最新鋭の艦を持つ東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が武蔵に敗れたのか疑問視する。
いくら武蔵の生徒が優秀でも最新鋭の機材を搭載した高性能の戦闘艦なら、勝てる筈なのに如何して敗北したのか
すると老松が
「電子機器と誘導弾が全て機能不全を起こした模様です。」
敗北した原因を告げる。
「乗組員は?」
真雪は、教員艦隊の乗員の安否を聞く。
「3重の安全装置は、伊達ではありませんね・・・死者は0、軽傷者数名です。」
3重もの安全装置を装備してたお陰で死者はなく、軽度の負傷者が出たのみだった。
「はぁ・・」
それを聞いた真雪は、はぁと安心し、武蔵の燃料と弾薬を確認する。
「武蔵の燃料と弾薬は?」
「出航時に満載状態なので、推定で、燃料、弾薬共に8割以上残っている筈です。」
老松の確認で何と武蔵の燃料と弾薬は、満載状態で、しかもまだ8割以上残っている状態だ。
「何故そんなに搭載を?」
「大和型の砲弾を洋上補給するのは困難ですので‥‥」
如何やら武蔵の洋上補給が難しいと考え、あえて満載状態にした。だが今回はそれが仇となってしまった
「校長!?」
そんな時、追い打ちをかけるように突然、教頭が会議室に駆け込んできて
「比叡、鳥海との連絡が途絶しました!!」
新たに連絡が途絶した学生艦が出たと報告した。
「何ですって!?」
教頭からの報告を聞いて、2人は、驚愕する。
「‥‥武蔵以外に所在不明の艦艇は?」
真雪は、急ぎスクリーンで行方不明の学生艦を確認する。
「比叡、鳥海、摩耶、五十鈴、名取、天津風、磯風、時津風ならびにドイツより演習参加予定だったアドミラル・グラーフ・シュペー、ビスマルクです。」
行方不明の学生艦は、先の報告を入れて8隻、それにドイツからの留学生艦2隻を入れて、全部で10隻に及ぶ。
「そんなに‥‥今、動かせる艦は?」
行方不明の学生艦が10隻も居る事に真雪は、驚きながら、現在使用可能な学生艦を問う。
「補給活動中の間宮、明石、風早、護衛の秋風、浜風、舞風、偵察に出ている長良、晴風、浦風、萩風、谷風のみです。」
「山城、加賀、赤城、伊吹、生駒はドッグに入っていて、どんなに急いでも半年以上は動けません・・・航洋艦は多少前倒し可能ですがそれでもせいぜい三か月かと‥‥」
現在、使用可能な学生艦は、小型巡洋直接教育艦1隻と航洋直接教育艦8隻、支援教育艦2隻のみで、他の艦艇は、全てドックに入っていて、半年ぐらいは、動かせない状態だった。
「武蔵との遭遇地点に向かわせられるのは?」
真雪は、使用可能な学生艦の中で現在、武蔵の居る海域に向かえる学生艦を確認する。
「晴風以外は、他の艦艇の捜索に出ているので少なくともあと数日は…」
使用可能な学生艦の殆んどが行方不明の学生艦の捜索に出払っている状態なので現在、武蔵の居る海域に向かえる学生艦は、武蔵を追跡している晴風1隻のみだった。
老松からの報告を聞いた真雪は、深刻そうにスクリーンに映る晴風、武蔵を見るのだった
その頃、国土保全委員会では、今回の武蔵反乱の対策を練る為、幹部達が集まっていた。
「東舞校の教員艦が武蔵の攻撃で航行不能?」
「やはり学生の反乱なのか?」
委員会の幹部達は、今回の武蔵と東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊の戦闘報告書や戦闘を撮影した画像、また行方不明の学生艦の所在が映ってる図を見ながら、学生の反乱なのか協議していた。
「今のところはまだ確定してません」
「しかし、早く調べないと国会議事堂や首相官邸、皇居に46cm砲弾が撃ち込まれてからでは遅いぞ?」
「晴風の報告によると誘導弾は効かなかった・・・大量の魚雷を浴びせるか砲撃でなんとかならんのか?」
「武蔵には成績優秀な生徒が集められている・・・無誘導の魚雷が射程外からそう簡単に当たるか?」
「難しいな・・・」
晴風の報告を元、武蔵に対して、主力の高性能の誘導弾が使えない。後は、通常魚雷と砲撃による通常攻撃しかない。
だが、武蔵には、優秀な横須賀女子海洋学校の生徒が乗艦している。
従がって、射程外からの攻撃は、難しかった。
残る手は
「だとしたら…同等の戦力をぶつけるしかない。」
「18インチには18インチか?」
武蔵と同じ火力を持つ艦をぶつけるしかなかったが
「だが呉の大和も舞鶴の信濃もドッグ入りしている。」
「佐世保の紀伊は?」
「駄目だ・・遠洋航海中で地球の反対側だ!!」
「16インチ砲や14インチ砲では太刀打ちできん!」
武蔵以外、大和、信濃は、ドックに入渠中、紀伊は、遠洋航海で地球の反対側にいる為、間に合わない。
かと言って、他の艦艇では、武蔵に太刀打ちできない。
武蔵に対して、如何すれば良いのか、委員会の幹部達は悩む。
「ブルーマーメイドの宗谷監察官に保護された少年の持ってきた空を飛ぶアレなら・・・・」
「馬鹿を言いたまえ。あんな小さな機械で、大型艦を止めることができる物か。第一、その操縦者はまだまだ子供ではないか?」
「だが、報告によれば彼は現役軍人。しかも士官であり?戦闘の経験が豊富だとか?ここは彼をぶつけてみては?」
「あまりにも大博打すぎる。それに一機で何ができる?それこそ数百機以上は必要ではないのかな?」
「いや?たとえ数機あったとしても航行中の戦艦を果たして止めることができるのか?」
「不可能だな。そんな夢物語。実際そんなことが起きれば今までの軍事的常識が崩れ一変する」
と、彼らは頭を悩ませながら終わりのない会議を永遠に続けていたのだった
一方、ブルーマーメイド作戦室では・・・
「まさか、こんなことになるだなんて・・・・・」
真霜は武蔵や他の行方不明の学生艦の対応に追われため息をついていた。
「はい。まさか武蔵の攻撃で東舞校艦16隻が航行不能になるなんて・・・」
部下の平賀が、晴風の連絡内容を知って驚いていた。
「そう言えば、例の不明艦を調べに言ったべんてんの方はどうなの?」
「はい。べんてんの船員によれば、べんてんの艦長がその船の持ち主と思われる人物の事情聴取をしていたみたいなんですが・・・・・」
「何かあったの?」
真霜の言葉に福内は少し気まずそうに目線をそらし
「そ、それがべんてん艦長の宗谷二等保安監督官がですね・・・・」
とそう言うと、すぐに何か察した真霜は
「はぁ‥‥真冬ったら、また人のお尻を触ったのね?」
実は真冬には「根性注入」と称して、他人の尻を揉む悪癖があり、ましろや海洋学校時代の同級生はよく被害にあっていた。
そして今度の事情聴取されている女性にも同じことをやったのか福内に訊くと・・・・
「いえ・・・実はその行為をしようとした瞬間にその女性にアイアンクローされただけでなくジャーマンスープレックスを食らわされたそうです」
「え?それほんと?」
「はい。完璧に決まっていたっと報告していました・・・・」
そのことに真霜は驚いた。真冬が油断したこともあるだろうが、真冬の身体能力はかなり高く、以前、海賊が出現した時は単体で数十名の海賊を素手で倒し捕縛している。そんな彼女を簡単に技を仕掛けられるなんて思いもしなかったのだ
「はぁ…まあその件は真冬の自業自得だけど・・・・その人物何者かしら?この写真を見るからに一般人ではなさそうだけど。それにこの船も・・・」
「はい。本人はまだ喋らないうえ、その船に誰も乗せようとしません。無理に乗ろうとしたらすごい形相で睨まれたとか・・・・」
そう言い真霜はその人物の写真と彼女が乗っていた船を見る。その女性は年齢はおそらく20代後半。恐らく自分と同い年かそれより上。そして旧海軍の紺色の軍服。階級を見れば少将クラス・・・・そしてべんてんが撮った座礁した大型船。機銃や高角砲・・・こちらの世界の速射砲が付けられていることから武装艦だということが分かるが損傷が激しくまるで戦闘をしていたかのような状態だった。
そして真霜が何より注目したのは艦尾に書かれている船の名前だった
「(『信濃』・・・・・・・もしかしてこの船と女性。マー君の世界の・・・・)」
「宗谷一等監察官」
真霜がそう考えていると一人のブルーマーメイドの隊員が入ってきた
「どうしたの?」
「はい。例の謎の集団について調査しに行った隊員たちの消息が途絶えました」
「何ですって!?」
とある場所では
「これで全員か?」
「はい」
とある町の裏路地にて、複数の人物と、そして地面に横たわり血を流し死んでいる数名のブルーマーメイドの隊員がいた
「馬鹿な奴らだ。戦争の経験のない警備組織が我々武装ssに勝てるわけがないだろうがよ・・・・」
「しかも使うのはテーザーガン。まったく話にならんな」
拳銃をホルスターにしまう人物がそう言い
「おい。それより、海上安全整備局と国土安全委員会に潜入した奴らはどうした?」
「はい。実はこれを・・・・」
そう言い部下の一人が指揮官らしき人物にあるメールを見せる。そのメール内容を見た人物はふっと笑い
「ふっ・・・・これはいい情報が入った。おい引き上げるぞ。戻って大佐殿に報告だ。例の計画『ヴェアヴォルフ』がここでできるかもしれないとな」
「はっ!」
「それとその死体ちゃんと片しておけよ、見つかると面倒だ」
そう言い残し、その人物はその場を後にするのだった