時間は少し遡り、時系列は、武蔵を追跡中の晴風に戻る。
アスンシオン島沖
「・・・もかちゃん・・・」
「・・・・・」
2人は、スキッパーから去っていく武蔵を見る。すると、武蔵の第三主砲の1門が追跡してくる晴風を砲撃。
『はぁ!?』
武蔵の砲撃を晴風は、回避する。しかし、その為、二人は武蔵の追跡を断念する。そして守と明乃はスキッパーに乗り直し急いで晴風に戻る。
戻る中
『い、いい加減にしろ!!・・・毎度毎度、自分の艦をほったらかしにして飛び出す艦長が何所の世界に居る!!・・・海の仲間は家族じゃないのか!!・・・この艦の仲間は、家族じゃないのか!!・・・如何なんだ答えろ!!』
艦内でましろに言われたことを思い出す明乃
「・・・私、やっぱり艦長失格なのかな・・・」
明乃は、ましろの言葉を思い出し、自分は、艦長失格なのかなと思う。そんな彼女に守は何か思う顔をするが何も言わなかった
「用収よし!」
スキッパーが晴風に戻りそして媛萌がクレーンでスキッパーの収容を終える。
「くちゅん!」
帰還した途端、明乃は、突然、クシャミをする。
「大丈夫?」
クシャミをする明乃に鈴がタオルを手渡す。
「ありがとう。鈴ちゃん」
「マー君も」
「ありがとう知床さん」
鈴は守にもタオルを渡し、守は礼を言いそれを受け取り
「濡れたままだと風邪ひくよ!お風呂に入ったら?」
鈴が明乃にお風呂に入るよう勧める。
「うん・・・・でもマー君は?」
「俺は大丈夫だ。俺は一番最後でいいから、岬艦長は先に行ってさっぱりしてきてください」
そう言いタオルを頭にかぶったまま守は艦内へと入っていこうとすると・・・・
「マー君」
明乃が呼び止め、守は立ち止まり振り向くと
「ありがとう・・・・」
明乃は守が自分を武蔵のところまで運んでくれたことに礼を言うと守は不適の笑みを見せ艦内へと入るのだった
一方、艦橋ではましろが複雑な表情をしていた
「あの艦長の事だし、どうせ無事だと思っていたけど・・・まさか副長の弟があんなにスキッパーの運転がうまいなんて思わなかったよ」
「うぃ!」
芽衣の言葉に志摩が頷くと
「武蔵〜凄かったぞな・・・!!」
鈴と交代していた聡子は、先の武蔵の戦闘を見て、興奮していた。
「勝田さん、現在位置は?」
ましろは、興奮する聡子に晴風の現在位置を問うのだが・・・・・
「分からんぞな?」
「えっ!?」
「ぞな!?」
「ぞ~な?」
方、聡子の伊予弁の語尾に変な口調と思った二人がおかしなものを見る様な目で勝田を見る。
「武蔵を追いかけるので精いっぱいで位置を把握する余裕など欠片もありませんでしたぞ」
「んん・・被害報告と周辺状況確認!!」
ましろは、呆れながら伝声管で被害報告と周辺状況を確認する。
すると
『前方何も見えません。』
「左舷何も見えません。」
「右舷もです。」
『電探真っ白です。』
『通信も駄目でーす。』
『水測も聞こえません。』
「うう・・・一斉に言うな!!」
一斉に報告が来たに対して、一斉に言うなとましろは大声でそう言う。
「何か電子機器が全滅ぽいです。」
先程の報告で電子機器が機能不全を起こしたと幸子が察する。
「壊れたのか?」
「原因不明のノイズばっかりで…」
如何やら故障ではなく、何か電子機器に障害が発生している様だ。この場合はジャイロコンパスと天測が頼りとなる。
その時彼女たちの足元に例の五十六が捕まえたネズミみたいな生き物が走っていたのだがましろたちは気づいていなかった。
「星が見えまーす」
再び展望指揮所のマチコから空に星が見えると報告が入り、
「天測急いで!」
ましろは六分儀による天測を命じた。
「「了解」」
山下と内田が六分儀を使って天測をし、
「現在位置でましたー」
「北緯29度15分29秒、東経136度4分35秒!」
天測された数値を納沙のタブレットに打ち込んでいく。
すると‥‥
「現在地はえっーと‥‥」
二人からの天測で位置は分かったが、突然、幸子は、報告しにくくなる。
「何所だ?」
「あの・・・その・・・」
「報告は素早く正確に!!」
ましろの迫りに更に報告しにくくなる幸子だがましろは、早く言えと迫る。そして彼女は答えた
「琵琶湖中心です!!」
「そっかー琵琶湖か!」
「そうだよね。今入れるもんね。」
「道理で波が静かだと思ったぞな!」
山下、内田、勝田はなんか納得したように言うが、
『ってんなわけないだろ!』
ましろ、幸子、西崎、そしてさっき納得した勝田が山下と内田にツッコミを入れる。
「「すみませ~ん。もっかい調べま~す」」
山下、内田が天測をやり直して、晴風の現在位置を割り出し、海図へと記入した。
一方、明乃は鈴に連れられ鈴に連れられ、晴風の大浴場へと向かおうと更衣室に入る。
更衣室では、機関員四人衆の麗緒、留奈、桜良が居た。
「うわぁ、汗でビショリ!」
「さ、さとお風呂は入って、サッパリしたいね・・・」
3人は、機関室で受けた汗を流そうと服と下着を脱ぐ。
そんな時、明乃が更衣室に入ってきた。
その時、留奈が入ってきた明乃に気づく。
「あれ、艦長?・・・今は、機関科の時間だよ?」
今は、航海科の時間ではないのに何で此処に居るのか留奈が問う。
「ああ・・・」
明乃は、理由を言おうとした途端、隣から
「トップが順番を守らないのは、如何かと思いますが・・・」
服を脱いでいた洋美に注意される。そのことに明乃は気まずくなってしまう。その様子を鈴は心配そうに見つめ、そして何事かとミーナがやってきて首をかしげる。すると
「なんでぇい!なんでぇい!・・何揉めてぇね!?」
先に入っていた機関長の麻侖が気になって、顔を出した
「ん、艦長・・・あらら、びしょ濡れじゃねえか!?・・・非常時に、順番も経た暮れもあるか、さっさと入んな!!」
麻侖の機転のお陰でこの場は、凌げた。
「ふぅ・・・」
この場を凌いだ事に鈴は、ふぅと安心する。すると
「ん!?・・・あんたらもそんなところで見てないで、さっさと入んな!!」
『え!?』
後ろに居た2人に気づき、麻侖は、一緒に入ろうと誘い2人は、一緒に風呂に入るのだった。三人が着替える中、何故か、麗緒、留奈、桜良の3人が同じく服を脱いでいるミーナに釘付けになる。
その理由は胸であった。その旨は晴風の中で一番大きい桜良よりも大きかったのだ
「まさしくあれは46センチ砲クラスね・・・・」
瑠奈が小さく呟くと桜良と麗緒は頷くのだった
そしてみんなが服を脱い議題浴場の浴槽に入る。お湯の温度は暑すぎず冷たすぎずの丁度いい湯加減だった
「今回主砲が5インチから、3.9インチになったんじゃろう。」
入浴中にミーナは、晴風の主砲の事を話す。すると隣で体を洗っている桜良から
「5インチには、5インチの良さがあったのに・・・」
と、10cmより12.7cmの方が良かったのにとガックリする。
「しっかし、これは良いな・・・うちの艦にも欲しいぞ!!」
晴風の大浴場の良さを褒め、自分の艦にも欲しいと言う。シュペーは基本シャワーで済ましているためこんな風に風呂でゆったりすることがほとんどないからである
「6万馬力でたいた晴風自慢の風呂でぇい!!」
ミーナに褒められ、麻侖は自慢げに言うのだが
「御守りが大変だけどね・・・」
「しょっちゅう駄々こねるし・・・」
「そうそう・・・結局、出力落としてるから、高圧艦とか意味無くない・・・」
「艦橋からは、直ぐ全速って、言ってくるしね・・・」
他の3人からは、高圧機関の性能に対し不満を漏らし、更に洋美はジト目でいつも出力最大の命令を言う岬にそう言うと岬は申し訳なさそうな表情をする
「で、艦長、上では、如何なってんでぇい?」
話を和もうと麻侖が現在の状況を明乃に問う。
「上?」
「うちら釜たきは、外の事は、全然分かんね・・・こんな時じゃねっと話しが聞けねから・・・」
「あ・・・えっと、東舞校の教員艦が武蔵と交戦してって・・・」
明乃は、麻侖達に武蔵と東舞鶴男子海洋学校の教員艦隊が戦闘していた事を言う。
「武蔵って、うちの学校の!?」
「東舞校って、此間の潜水艦の!?」
「教員艦だから、最新鋭のでしょう!?」
「うちらも先生に撃たれたけど・・・」
それを聞いた3人は、驚愕し、さるしまの時の事を思い出す。
「それと、同じ状況だったって?」
さるしまの時と同じ状況だったのか、麻侖は、明乃に問う。
「分からない、だから止め様と思っったんだけど・・・」
それに対して、明乃は、分からないと答え、自分は、止め様と武蔵に行こうとした事を告げた。
「艦長なのに、また飛び出したからよ!・・・スキッパー1隻で止められるわけ無いでしょ!」
と洋美がそう言うと
「うん。それマー君にも言われた」
「守に?」
「うん。でもその代わりマー君。スキッパーに乗せてくれて私を武蔵の近くまで連れてってくれてくれたんだけど・・・・」
というと洋美は
「守君まで巻き込んで・・・・他にもっと艦長に向いている人が居るんじゃない!」
と、またもや明乃の悪口を言い、明乃よりも、ましろを艦長に推薦するなど、責めている一方だ。
「クロちゃん!!」
それを見かねたのか麻侖が洋美にこう言った
「昔から言うだろう神輿は、軽くって馬鹿がいいて、アハハハ・・・!!」
『うん、うん』
麻侖の言葉に他の3人もそれに同調する。
「まあ、守が運んでくれたんだったら後で礼を言った方がいいぞ艦長?」
「うん・・・・そう言えばマロンちゃんはマー君と仲がいいよね?」
「おうよ。入学前にチンピラに絡まれてたところを守に助けてもらって以来。暇なときはクロちゃんとたまに遊びに行っってたんでい」
「まさか宗谷さんの弟だとは思わなかったけどね」
「へ~機関長とクロちゃんってマー君と仲がいいとは思ったけどまさかそんな関係が・・・・」
守との出会いを話す麻侖と洋美に麗緒がそう言うと、ミーナは
「それにしても・・・・・あの守という少年はいったい何者なんじゃろうな・・・?」
「・・・え?」
ミーナの言葉に皆が注目する
「何者って・・・シロちゃんの弟でしょ?」
「確かにそうなんじゃが、見たこともない飛行機械を使ったり、潜水艦との戦いでも見事な戦術じゃった…まるで戦いに慣れている・・・・そんな感じじゃの・・・・」
「戦いに・・・・・」
「そう言えばマー君。前に日本海軍少尉って言っていたよね?」
「そう言えばそんなこと言っていたね?」
鈴が前に守が言っていたことを思い出すと、岬も頷く
「日本に海軍があったのは昔のことだよね?機関長。何か知ってる?」
「いんにゃ。守あんまり自分の昔話いわねえぇからな?」
「そう・・・・」
「まあ、いつか守の口から話してくれるんじゃねえか?」
と、麻侖がそう言いこの話は終わるのであった。
一方、ましろはというと看護長である美波に呼ばれていた
「どうしたんだ美波さん?」
「気になることがある・・・・・副長の弟についてだ」
「守のこと?」
美波の言葉にましろは守のことについて聞かれ首をかしげると美波は
「副長の弟・・・・・森守はいったい何者なんだ?」
「え?」
美波の言葉にましろは少し困惑する。彼が異世界人であることを知っているのは晴風の中でましろだけだった
「前に彼が漂流してきた時、体の状態を見て副長を心配させないように問題ないと言ったが・・・・・」
「守に何か病気とか患っているのか?」
美波の言葉に守は実は体に何か患っているのか訊くと美波は首を横に振り
「いいや・・・・何も病気もなく健康そのものだ・・・・ただ」
「ただ?」
「彼の体中に銃創の跡があった」
「銃創・・・・」
「しかも拳銃の弾じゃない。あの傷跡は機関銃の・・・7・92ミリぐらいの物だ。それに彼の持っていた物の中には拳銃と日本刀があった。さすがに危ないから私が管理している・・・・」
「なんでそんなものを守が・・・・」
「それはこっちが訊きたい・・・・・副長。もう一度訊く。彼はいったい何者だ?」
美波の問いにましろは何も答えることができなかった。そして彼女の脳裏に浮かんだのは彼が明乃のもとへ行く際に言った言葉だった
『大丈夫だよ。こう見えて俺は戦闘の専門家だ。伊達に向こうの世界で3年以上太平洋の…ソロモン諸島で戦争をしてきたわけじゃないよ』
「(守・・・・・お前は私と別れて戻った世界でいったい何があったんだ・・・・?)」
弟である守に疑惑を抱くましろであった