守がブルーマーメイドに救助されてから数時間後、
「む、宗谷一等監察官。そんなに慌てなくても!」
「そう言うわけにはいかないわ。すぐにでも氷川病院へ行かないと」
「ですけど、ほかにも仕事が・・・・」
「そんなもの、もう終わったわ!」
と、真霜は平賀にそう言う。漂流物とその漂流物に乗っていた人物のことを聞いてから彼女の様子がおかしかった。無論。仕事はいつもより、むしろ早く終わらせていた。そして彼女は車に乗り氷川病院へと向かおうとしていたのだ
「ほら。運転して!」
「わかりました・・・・・」
運転手は困惑し、しぶしぶ氷川病院へと車を走らせるのであった。そして真霜は車に乗りながら考え事をしていた
「(写真で見る限り、そして確実なのはあのペンダント。やっぱりあの保護された子は守君・・・・・マーちゃんだわ。でもなんでマーちゃんがあそこに・・・・)」
険しい顔をし私は考える。9年前、母である真雪がどこからか保護した謎の少年。森守。年齢はましろより少し下だが、どこか人懐っこい子であり不思議な子でもあった。たった一か月ではあったがほんとの弟みたいな存在であった。次女の真冬も特に末っ子のましろは彼のことを本当にかわいがっていた。だが彼は突然と姿を消した。
お母さんは『元々いる家に帰った』と、言ってはいたが、真冬はそれが信じられず体中ぼろぼろになるまで探し回ったり、特にましろは大泣きしながら夜遅くまで守を探していたのをはっきりと覚えている。
そして9年たった今、守じゃないかと思われる少年が病院にいる。すぐにでも自分の目で確かめたかった。そんな焦りが襲う中、私のポケットから電話が鳴る。電話の相手はブルーマーメイドの技術者の夕張さんからだ。私は電話を取ると
「もしもし・・・・夕張さん?」
私がそう訊くと夕張さんは
『あ、もしもし、真霜さん?さっきみくらから送られた変な物体。一応調べたわよ』
「そう・・・・で、なんなの?」
『其れがさっぱり。何のためのものか、何のために作られたのかは謎だ。ただ胴体に12・7ミリ機銃が二丁とその胴体にある翼みたいなところから20ミリ機関砲、それに60キロ爆弾が二個が発見されてなおそらくあれは何かの兵器よ。それに胴体に製造会社と名前が書いてあったわ』
「名前?」
『ええ、二式水上戦闘機って書かれていたわ。それに製作会社はスバルって書かれていたわ』
『スバルって・・・あの自動車会社の?で、向こうと連絡はしたの?」
『したけど、社長も含め『そんなもの作ったことがない』て言われてね。もうなにがなんだかわけがわからないわよ。長年、飛行船やスキッパーなんかの仕事をやって来たけど初めて見る分野の代物よ。まあもう少し調べてみるよ』
「そう・・・・お願いね」
そう言い私は電話を切る。そして軽くため息をつくと
「マーちゃん・・・・あなたは一体何者なの?」
と小さくつぶやくのであった。
9年前
「ほら、マーちゃん。ましろ。もッとよってよって」
「うん。こう?真霜お姉ちゃん?」
「そうそう言い感じよ二人とも」
横須賀の三笠公園で俺とましろが戦艦三笠を背にして並んでいた。そして正面には真霜姉さんがカメラを構えていてシャターを押す。そして真霜姉さんはにっこりと笑い
「はい。撮れたわよ二人とも」
「え?本当お姉ちゃん?」
「ええ、はい」
ましろ姉さんがそう言うと真霜姉さんはにっこり笑ってカメラに収めた写真を見せるとましろ姉さんは嬉しそうに笑う。
「ねえ、ねえお姉ちゃん」
「わかっているわ。少しだけ待っててね。夜にはできると思うから」
と、そう言い真霜姉さんはどこかへ行ってしまった。
「ねえ、ましろ姉ちゃん。なんで真霜姉ちゃんここで写真を撮ったの?」
俺は不思議そうに首をかしげてそう訊くとましろ姉さんはニコッと笑って
「それはもうすぐわかるよマーちゃん」
とそう言った。因みにマーちゃんは俺の仇名だ。その後、家に帰って自室でゆっくりしていると、突如ノックの音がし
「マーちゃん。いる?」
と、ましろ姉ちゃんの声がした
「ましろ姉ちゃん?開いているよ?」
俺がそう言うとましろ姉ちゃんが部屋に入ってきた。その顔はにこにこと笑っていた
「お姉ちゃん。どうしたの?何か嬉しいことでもあったの?」
俺がそう訊くとましろ姉ちゃんはポケットからロケットペンダントを出すと
「はい!マー君にプレゼント!!」
笑顔で俺に渡す
「え?これ僕に?」
「うん!マーちゃんいつも私を助けてくれたからそのお礼!」
そう言い姉さんは俺の手にペンダントを置く
「・・・・・・本当にいいの?」
「うん!あっ!そうだマーちゃん!そのペンダントの蓋開けてみて!」
「え?うん」
そう言い開けてみるとそのペンダントの蓋を開けてみると先ほどましろ姉さんと一緒に取った写真が埋め込まれていた。すると姉さんが
「もし・・・・・もしだよ。マーちゃんが家に帰っちゃって寂しくなったら、それを見て私を思い出してね」
と、少し寂しそうな顔をする姉さん。俺はこの家に保護されている子だ。もし保護者が見つかればその人とともに家に帰らなくちゃいけない。だが・・・・
「ありがとう姉ちゃん。でも大丈夫だよ!僕。ずっと姉ちゃんと一緒にいるから!」
「ほんと?」
「うん!約束するよ!だからそんな寂しい顔しないでよ姉ちゃん!姉ちゃんには笑ってほしいからさ!」
「うん!ありがとマーちゃん」
と、姉さんは嬉しそうに笑うのであった。それは俺が元の世界に帰る前日のことであった・・・・・・・
「ん・・・・・」
何か光がさしたと思い俺はうっすらと目を開ける
「なんか、デジャブるなぁ・・・。」
目を覚ますと、また俺はベッドに横たわっていた。
「また病室か・・・」
白一色で統一された部屋は9年前もお世話になった病室を思い出させる。
「どうやら・・・・・生きているみたいだな・・・・俺」
メッサーシュミットの銃撃で負傷して二式水戦もろとも海面に突っ込んだことまでは覚えている。もしかして運よく機体から放り投げられ海を漂っている最中、サメに食われず味方に救出されたのかな?
小さい時から運がいい方だったが、この時も運に助けられたみたいだ
「目が覚めたかしら?」
「・・・?あ、看護士さん・・・ですか?」
「ふふ、白衣の天使じゃなくてごめんなさいね」
と、そこへ海保とか海自に似た白い制服を着た女性二人が入ってきた。というよりその一人がなぜか猫耳カチューシャをつけているんだが・・・・・
「えと…貴女たちは?」
「私たちはブルーマーメイドの福内よ。そしてこっちが同僚の平賀よ。さっそくで悪いけど事情聴取してもいいかしら?」
「え・・・・・あ、はい」
ブルーマーメイド?あれ?それ、どこかで聞いたような・・・・・・
「じゃあ早速だけど、貴方の名前を聞かせてちょうだい。」
「は、はい。森守。年齢は15歳で東京江戸川区出身。所属は日本国海軍452航空隊。階級は少尉です」
「「・・・・え?」」
俺は素直に言うと二人は目を丸くする
「え?どうしたんですか二人とも?」
「えっと・・・森守君だったわね?出身もそうだけど、大日本帝国海軍は1945年に解体されているわよ?」
「いや、俺は旧海軍じゃなくて日本国で新たに設立された対テロ用防衛部隊の日本国防海軍の出です」
「その対テロ用防衛部隊って?」
「それは2005年9月1日ドイツ国内で「ナチス第4帝国」と名乗る武装テロ集団が現れて、それに対抗するために自衛隊の陸海空に続き、臨時に作られた部隊です」
「そう・・・・・」
そう言うと福内さんは目を細め何やら怪しむように俺を見ていた。俺としては事実を全部言って虚言は一切言っていない。それに彼女たちの様子だとまるでテロリスト戦争ことなんて知らないみたいな表情だ。現に福内さんの後ろにいる平賀さんなんかは話についていけないのか唖然とした表情をしていた
そして
「森君。一つだけ聞いてもいいかしら?」
「・・・・・なんでしょう?」
「貴方は何者なの?」
「何者って、先ほど名乗った通り俺は日本国海軍の・・・・・」
俺がそう言おうとしたとき福内さんは首を横に振り
「残念だけど日本にはそのような組織は存在しないし、ナチス第四帝国とかいうテロリスト集団もいないわ。それにあなたは江戸川区出身といっていたけど江戸川区は今は海の中なのよ」
「え!?」
海軍がない?それにナチスも存在せず。しかも俺の住んでいる江戸川区が海の中・・・・・・・て、あれ?なんかデジャブを感じる。確か同じようなことが前にもあった気が・・・・・
俺が頭の中を整理する中、福内さんはタブレットを動かし
「それと、これ、あなたが乗っていたものだけどこれは何かしら?」
そう言い俺にいせたのは岩礁に乗り上げている俺の愛機である二式水戦であった
「これって・・・・・二式水戦のことですか?」
「二式水戦?」
「ええ、正式名称は二式水上戦闘機。機首に12・7ミリと翼に20ミリ機関砲を備えた水上戦闘機です」
「戦闘機?それはどういうものなの?」
「え?どういうものって、航空機の一種で、機銃や機関砲を備え敵戦闘機や爆撃機と交戦するために作られた機種です」
「なるほど・・・・・それで航空機とはどういうものなの?」
「え?航空機を知らないんですか?」
「ええ、初めて聞いたわ・・・・」
その言葉に俺は驚く。子供でも知っているはずの航空機を知らない・・・・・あれ?この文化というか場面をどこかで見たような・・・?
回想9年前
「ねえ、真冬お姉ちゃん」
「ん?なんだ守?」
「ここ、飛行機が飛んでいないね?」
「飛行機?なんだそれ?」
「飛行機は飛行機だよ。空を飛んでいる乗り物」
「ん?空を飛んでいるのは気球か飛行船だぞ守?」
「・・・・・・・・え?」
回想終了
「あ・・・ああああああああああああああああ!!」
「「っ!?」」
俺の叫び声に二人は驚く
「そうか・・・・・そう言うことか」
俺は納得した。俺は再びあの世界に来たんだと・・・・・・・
数分後、
「それで、平賀二等監察官。その子について何かわかったの?」
数分後、真霜が病院につき出迎えた平賀に保護した少年のことを訊くと
「は、はい。宗谷一等監察官。一応簡単な聴取はできはしたのですが・・・・その何と言いますか・・・・」
「なに?何か問題でもあったの?」
「はい。本人曰く『異世界から来た』・・・・だそうです」
「異世界から?……まあ、それはいったん置いときましょう。それで名前は?」
「はい。名前は森守15歳で東京都江戸川区出身。何でも自分のいた世界では軍人をしていたとのことです」
「(森守・・・・・・やっぱりマーちゃんだわ。でも異世界ってどういうこと?それに軍人って・・・・)それで今、その子はどうしているの?」
「は、はい。何でも過去にもこの世界に来たらしくその時お世話になった人に会いたいとのことです」
「会いたい人?その人の名前は?」
「は・・・はい。何でも横須賀に住む宗谷一家だそうです。あ、あの宗谷一等監察官もしかしてお知り合い・・・・・」
平賀がそう言いかけた時、真霜は目を見開き
「ねえ!その子のいる病室はどこにあるの!!」
「え?ええ。ここをまっすぐ行って突き当りにある501号室です」
「っ!!」
「あっ!ちょっと待てください宗谷さん!!」
平賀の言葉を聞くや否や真霜は急いでその病室まで走るのであった。そして突き当りについたとき
「・・・・・・ここね」
501と書かれた部屋についた真霜はそっとドアを開けるのであった。そしてドアを開けるとベッドの上に女性みたいに華奢で幼い顔のした少年が座っていた。そして少年は真霜を見ると目を見開く。それは真霜も同じであった。そして少年が口に出した言葉は・・・・
「・・・・・・真霜姉さん?」
「っ!?」
その言葉に真霜はその少年に絶対な確信をもった。今目の前にいる少年は9年前に行方不明となった自分の弟が今、目の前にいたのだから・・・・・・