ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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嵐の過去

守が機関科の子たちと食事をしている中、艦橋では・・・・・

 

艦橋では、ましろがラムネを飲んで、つい、げっぷをしてしまう。

 

「はっ!?」

 

げっぷをして、顔を赤くするましろ。

 

「あっ!?・・・炭酸駄目なのシロ・・・副長・・・」

 

ましろが炭酸ダメなのに気づいた明乃だが、まだ、気まずさが残っていたのか、ましろに言いきれなかった。

 

隣では、幸子が百々が作った節水に関する同人誌を読んでいた。

 

「あ、あのう・・もう直ぐ霧の中に入ります。」

 

すると鈴がもう直ぐ濃霧の中に入ると言った。

 

「あっ、うん!」

 

晴風は濃霧の中へと入って行く。

 

「サトちゃん探照灯をお願い。」

 

「了解ゾナ」 

 

濃霧の中で衝突を避ける為、聡子は探照灯を付け辺りを照らす。

 

「ココちゃん霧笛鳴らして!!」

 

「はい!」

 

更に霧笛を鳴らす。濃霧の中の霧笛は不気味に響き、探照灯の光が辺りを照らす。その光景は昔のホラー映画に出てきそうな感じがした

そんな中、守は後部甲板にある二式水戦に布をかぶせ固定させていた

 

「ふぅ・・・まさか、なつお整備長がした魔改造がこんなに役に立つとはな・・・・・」

 

守の乗る二式水戦は彼の専属整備士であるナツオ整備長が改造し、翼が特殊攻撃機晴嵐のように折りたためるようになっていた。守は武蔵の時の後、翼を折りたたんでいた。理由としてはそのままだと、邪魔になるうえ布が被せにくくなるためであった。そして守は再度、二式水戦を包んでいる布が風や波で飛ばされないかちゃんと固定されているかをチェックし終わると

 

「ふぅ…終わった。それにしてもこの霧だと・・・・降るな」

 

守がそうぽつりとつぶやく。そして・・・・・・・

 

ポタ‥‥ポタ‥‥ポタ‥‥ザァァァァー

 

雨が降り始めた。

水を求めた彼女たちからしたら恵みの雨とはまさにこのことだろうクラスメイト達は水着に着替えて甲板に出ると、雨水をためるバケツを置き、雨水を貯めた後、身体を洗った。

しばらくして、生徒達が雨に浮かれている時だった。

 

「私も手伝うよ・・・・!!・・・あっ・・・」

 

明乃がそう言い外に出ようとすると、雨が段々強くなり、更に強風が吹き、波で艦が大きく揺れ、海面は次第に荒れ始めた。

 

「うぃぃ・・・」

 

「雨水貯めると頃じゃないぞ!」

 

「いたい・・・・」

 

「揺れる・・・・」

 

「撤収ッス!撤収!大低気圧ッス・・・!!」

 

艦が大きく揺れ、甲板に立てないほどに強くなる

晴風は、低気圧の中に突っ込んでしまった様だ。これでは雨水を貯める事は不可能で出来るだけバケツを中に運び込んだ。

嵐は酷くなる一方で雷もなり始めた

そしてマストに雷がおちた

 

「・・・うわぁ・・・・!?」

 

雷が落ちた事に明乃は、怖がって蹲る。そこへ外の様子を見に来た守がやってきた

 

「これはすごい嵐だ・・・・瑞鶴以来だぞあんな嵐見るの・・・・・ん?明乃艦長?どうしたんですか?」

 

蹲る彼女に声をかける守、だが彼女は返事をしない

 

「艦長?・・・・・岬さん?」

 

「え?」

 

「大丈夫ですか?顔色が悪いみたいですけど?」

 

「だ・・・大丈夫だよ?」

 

明乃はゆっくりと立ち上がるが

 

バーン!!

 

「うわぁ・・・・!?」

 

またしても、雷が落ち、怖がる明乃は咄嗟に守に抱き付く。

 

「ちょっと本当に大丈夫ですか!?」

 

あまりの怖がりように守は心配そうに言うと・・・・

 

「艦長・・・・少しお話が」

 

その時カッパを来た美波が来た。

 

「へっ?」

 

 

 

 

晴風、艦内

 

『荒天につき上甲板の通行は禁止します・・・繰り返します・・・』

 

鶫が艦内放送で上甲板の通行を禁止する旨を伝える。

そんな中、慧とマチコは、洗濯物を運んでいた。

 

「上通れないと不便だよね!」

 

「・・・・」

 

「今日のご飯何だろう?」

 

そう言いながら、洗濯物を運んでいると

 

「でその時さ、相手の友達がね・・・」

 

反対側から麗緒と桜良がやって来て

 

『あっ!?』

 

4人は、出くわしたが道は一方通行のため・・・・

 

「どうぞ!」

 

慧とマチコは、直ぐに右側に寄り、2人に道を譲る。

 

「へへサンキュー!!」

 

麗緒と桜良は、そのまま通るが

 

「ぷぅ!?」

 

「御免ね・・・」

 

狭い艦内の為、慧の顔が桜良の大きな胸に埋もれる。

 

『うう・・・』

 

「ぷはぁ・・・!!」

 

「よいしょ・・・」

 

勢いで何とか桜良の胸から脱出する。

 

「はぁ・・・!?」

 

桜良の胸から脱出した慧は、今ので不思議な体験をした。

 

 

 

 

 

 

その頃、艦橋では、当直の明乃と鈴の姿があった。

「凄い‥‥あっ!?」

 

凄い時化に鈴が驚いていると

 

「うう・・・」

 

隣で明乃がカタカタと震えていた。

 

「岬さん、如何かしたの?」

 

心配になった鈴が明乃に声を掛ける。

 

「う、うん‥‥ちょっと‥‥」

 

明乃がそう答えた瞬間、目の前に雷が落ち。

 

「うわぁ・・・!?」

 

明乃は悲鳴を上げて、蹲る。

 

「御免…私もう・・・・当直代わって貰ってくる!!」

 

最早限界になり、明乃は、艦橋を急いで降りて行った。そんな彼女に木野もせずに大きな雷鳴が鳴り響く

 

「うわぁ・・・・・・!?」

 

降りて行く途中、またしても雷が落ち、明乃は、悲鳴を上げながら駆け降りる。その先にある晴風、売店では

 

「やだぁ・・・!!かっこいい!!」

 

マチコが寝間着姿のまま歯を磨いていて、側で美海がマチコに見とれていると

再び外で大きな雷が鳴り

 

「うわぁ・・・・!?」

 

更に明乃が悲鳴を上げて、マチコの胸に飛び込んできた。

 

「ああ・・!?わ、私のマッチが・・・!!」

 

それを見た美海は、驚愕する。

隣で美甘が美海を落ち着かせようとするが

 

「これが落ち着いていられるか!!成敗する!其処になおれ!!」

 

美海は、落ち着いていられず、マチコから離れる様、明乃に命令する。

 

「か、艦長!?」

 

「うう・・・」

 

だが、明乃は、雷で完全に怯えていた。

 

 

 

 

 

一方、副長室。ましろの部屋では守が彼女の部屋を訪ねていた。理由としてはましろが部屋に来ないか?と誘われたためである。そんな中にもう一人の客人がいた

 

「マユゲ抜くんも」

 

「同じ事なんでい!」

 

ミーナと幸子が任侠映画を見ていた。

 

「此処、えぇよな?」

 

「激しく同意であります!!」

 

2人が熱心に見ていると

 

「如何して、私の部屋で見るんだ?」

 

隣で勉強をしていたましろが何故、自分の部屋で見るのか尋ねると

 

「あっ、私の部屋にテレビ無いんで‥‥」

 

幸子の部屋には、テレビが無かった。

 

「食堂にもテレビがあったはずだけど?」

 

「今、他の科の子達がドラマを見ているんですよ」

 

守の問いに幸子が答える。どうやら、食堂で任侠映画は見ることが出来なかったから、

 

「副長も見るか?」

 

ミーナが一緒に見ないかと誘うが

 

「いい」

 

ましろは、あっさりと断る。

 

「じゃあ、守も一緒に見ないか?面白いぞ」

 

「特にこのエピソードは伝説的なんですよ?」

 

と、今度は守を誘うと守はちらっとましろを見るとましろは『好きにしろ』と目線で答える

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

そう言い守は幸子とミーナとともに任侠映画を見た。守も元の世界でテレビとか見れないときは、現地の映画で映画を見ることがあったりdvdかブルーレイを借りて見たりしていた

因みに守の好きな映画は「紅の豚」である

ましろの邪魔にならないように守が静かに見る中・・・

 

「おっ、此処じゃ、此処じゃ!!」

 

「やっぱりこのシーンはいいですね!!」

 

任侠ファンである二人は興奮気味に見ていた

其処へ

 

コンコン・・・

 

急にノックの音が聞こえた。そして扉が少し開き

 

「副長‥その‥夜分にすみません‥‥」

 

訪ねて来たのは、明乃だった。

 

「・・・何です?」

 

ましろは、今にも死にそうなくらい気分悪そうな顔で明乃に何の用か尋ねる。

 

「あ、悪いんだけど…当直代わってもらえる・・・?」

 

明乃は、ましろに当直を代わってくれる様、頼みに来たのだ。

 

すると、映画を見ていたミーナと幸子が

 

「どうしたん?」

 

「言うてみぃ!」

 

任侠映画を見ている二人はすっかりその気になっていた。

 

「ちょっと凄くて‥‥」

 

「何がじゃ?」

 

「言うてみぃ!」

 

「‥‥雷」

 

「えっ?」

 

「ほうか。わかった」

 

すると幸子が立ち上がり、

 

「ほいじゃあ行ってくるけぇの。風下には立たんけぇ」

 

幸子が明乃の代わりに当直に立つと言って部屋を後にしようとする。

 

「あっ、納沙さん、まって」

 

「ん?なんじゃい?」

 

「コレ、持って行って」

 

そう言い守は幸子にバスケット渡す。

 

中にはコーヒーが入ったポットと紙コップ、ミルクに砂糖、マドラーがあった。

 

「眠気覚ましにね」

 

そう言う守に対し、皆はいつの間に?という表情をしていたが幸子は

 

「お、おう。恩に着るけぇ若頭」

 

「誰が若頭ですか・・・・」

 

苦笑しながら、守は幸子にバケットを渡し、幸子は艦橋に上がった

 

明乃は、しばらく落ち着くまで、ましろの部屋に居る事にした。

 

「そろそろ寝たいんですが?」

 

ましろは、そろそろ寝ようとしたが

 

「そんなに雷が怖いのか?雷はヘソを盗ったりせんぞ?」

 

ミーナは、何故明乃が其処まで雷を怖がるのかを尋ねる。

 

「雷が怖いっていうか…」

 

「じゃあ何だ?」

 

「唯…思い出すの・・・」

 

明乃は、ポケットから懐中時計を出し、雷が怖い理由を2人に話す。

それは明乃が幼き日のころ、両親と乗っていたフェリーが嵐で岩礁に座礁する事故が起きてしまった。乗員には、避難命令が発令され、明乃は、両親に連れられ急いで甲板へと向かう。

甲板には、大勢の乗員が海に飛び込もうと集まっていて、下には、既に救難ボートが海に飛び込んだ乗員を救助していた。そして両親は明乃に海に飛び込み脱出するように言うが、明乃は余りの高さに戸惑う

それでも2人は、急いで飛び込むよう迫る。

だがその時、船が大きく傾斜し、甲板に居た明乃達乗員は、海へと投げ出された。

次に気が付いたら、既に救助に来たブルーマーメイドの救命ボートの上であり、目の前には座礁して左に大きく傾斜したフェリーがあった。

そして明乃は避難時に一緒に居た筈の両親の姿が無い事に気づき、救助員に訊くが何も言えなかった。この時明乃は両親を失ったのだった

 

「・・・私がもっと早く飛び込んでいたら・・・お父さんも・・・お母さんも・・・・もしかしたら・・・」

 

『・・・・』

 

話を聞いたミーナとましろは、何も言えなくなる。だが守は

 

「そんなに自分を責めない方がいいですよ。明乃艦長」

 

「・・・え?」

 

「自分を責めたところで両親が帰ってくることはない・・・・だがきっとご両親は自分を責めるより娘の姿より、幸せに生きる娘の姿を望んでるのかもしれませんよ」

 

「マー君」

 

そう言う守。すると明乃は

 

「マー君…そう言えばマー君は別の世界の人だったよね?元の世界でお父さんとお母さんはどうしているの?」

 

明乃言葉にましろは気が付く。そうだ守はもともとこの世界の人間ではない。別の世界の人間だ。だから元の世界ではきっと守の家族がいるし、戦争中だからきっと守の帰りを待っているはずだ。そう思ったが守は静かに語った

 

「俺の父親は俺が子供のころ、仲間と一緒に乗っていた船と一緒に行方不明に・・・・母親が戦争中・・・・ここに来る去年に病気で死にましたよ。俺が前線に言っている最中に・・・・最期を看取ってあげれなかった…いや最後に一緒にいてあげれなかったのが唯一の心残りです。」

 

「「「・・・・」」」

 

その言葉に三人は少し驚いた

 

「マー君は帰りたいと思っているの?」

 

明乃はそう訊くと守は首を横に振り

 

「元の世界に行っても俺の帰る場所はないですよ。それにあそこではもう俺は戦死扱いだと思いますし、それに俺にとってこの世界は第二の・・・・いや。本当の故郷のように感じています。最後はここで骨を埋めたいと正直思っていますよ」

 

「守・・・・・・」

 

守の家庭事情を知り、明乃もミーナもそしてましろも、いたたまれない気持ちになる。

 

そんな時、

 

『艦長!救難信号です!』

 

伝達管から幸子の声が部屋に響くのだった

 

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