ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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霧の戦艦です

ブルーマーメイドの本部を爆破したゾル大佐は

 

「さて・・・・・そろそろか・・・我々の放った偽情報で晴風が動くころだな」

 

「それで大佐。我々も晴風の始末に行くべきですか?」

 

「いや。始末するのは我々ではない・・・・・駆逐艦程度なら戦艦で十分だ」

 

そう言うとゾルはにやりと笑い

 

「皮肉なもんだだな・・・・生徒を救うために動く晴風が同じ学校の生徒に始末されるんだからな・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、晴風では

 

「お~い。麻侖。ここのバルブはこれぐらいでいいか?」

 

「どれ?・・・・・・おう!ちょうどいい具合にしまってるな!」

 

守は今、機関室で麻侖と一緒に機関の整備の手伝いをしていた。

 

「ほんと助かるわ守君。ここのバルブ結構力がいるから」

 

と、洋美も彼に礼を言う

 

「いやいや。俺、いわば居候みたいなものだし、何か手伝いしなくちゃ居心地が悪かったからさ」

 

笑顔で返す守。守はこの船で世話になっている最中、いろんなところの手伝いをしていた。特に機関科では力仕事が多いため機関科を手伝うことが多かった。そのため守は機関科の子たちと仲が良かった。特に機関長である麻侖とは彼女が入学前に出会った友人であり一番仲がいい間柄だった

 

「そう言えばマー君て・・・元の世界では軍人さんで、あの飛行機?だっけ其に乗ってたって前に聞いたけど・・・何年乗ってたの?」

 

留奈が守にそう言うと

 

「そうだな・・・・訓練期間を含めると3年・・・実戦だったら約二年ぐらい飛んでいたな・・・・思えばずっと飛行機と一緒だったな」

 

「ずっと・・・二式水戦に?」

 

「いや、二式水戦に乗り始めたのはこの世界に来る2か月前だよ。それ以外は零戦に乗っっていたよ」

 

「「「「零戦?」」」」

 

守の言葉に皆は首をかしげると

 

「零戦ていうのは零式艦上戦闘機の略で、簡単に言えば二式水戦に足付けた機体だよ・・・・はいこれ」

 

そう言い、守はスマホで撮った写真を見せる。それはラバウル時代のころの写真だった。一機の零戦に守を含む7人の搭乗員が写ったいわば集合写真であった

 

「これが零戦てやつか?」

 

「ああ。零戦22型・・・俺が長く乗っていた機体だよ」

 

そう言い懐かしむように写真を見る守。守は二式水戦意外だと、零戦の22型や52型。もしくは紫電に乗っていたことがあったが、一番長く乗っていたのは22型だった

 

「ふ~ん・・・・そう言えばマー君の他に写っている人って・・・」

 

「ああ、ラバウル時代の仲間だよ。みんないいやつばかりだったよ・・・・・」

 

「だった?・・・・・ということは」

 

洋美が守の言葉で何か察すると守は頷き

 

「ああ・・・・・アジア航空戦の中で最大の戦いだったポートモレスビー攻略作戦でみんな死んだよ・・・・写真の中で生きのこったのは俺だけだった・・・・」

 

守は思い出す。ナチスのアジア最大拠点であるポートモレスビー。その血を奪還するべく海、陸、空と激しい激闘が繰り広げられていた

「ごめんなさい・・・・」

 

「いいや。黒木さんが謝ることじゃないよ。戦争だったんだし・・・・皆覚悟の上だったんだからな」

 

そう言うと守はスマホをしまい

 

「それじゃ・・・・麻侖。俺はそろそろ行くよ」

 

「ああ・・・そういや、二式水戦で偵察飛行に行くって言ってたな?」

 

「ああ。なんでもこの海域近くで武蔵を見たって情報がブルマーから来たって話だ。それで確認のため俺が飛ぶことになったんだよ」

 

そう実は数分前に、ブルマーから晴風周辺近くで武蔵らしき艦艇が目撃されたという情報が入ったため晴風はその海域に向かうことになった。そして守はその海域に武蔵が航行しているか、確認するべく二式戦闘機に乗り偵察に出ることを明乃たちに進言したのだ

 

「そっか~がんばれよ!」

 

「おうよ!」

 

と、マロンと守はハイタッチし、守は機関室を後にするのだった。

そして麻侖は・・・

 

「無事に戻れよ・・・・守」

 

守が見せた写真を見たせいか、嫌な予感を感じたのか麻侖は友人である彼を心配するように小声でそう言うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それでは行ってまいります!岬艦長!!」

 

甲板で飛行服に着替えた守が岬や姉であるましろに敬礼しそう言う。そして海面では晴風から降ろされた二式水戦が浮かんでいた

 

「お願いねマー君・・・・でも怪我しないようにね」

 

「それに武蔵から攻撃を受けたらすぐに引き返せ。いいな守」

 

「大丈夫ですよ。この世界に対空戦闘の概念はないし、こっちの巡航速度は500キロ出せる。撃ってきてもすぐに回避し振り切ってみますよ・・・・それに俺にはこのお守りがあるから必ず戻ってきますよ」

 

守はそう答えると、胸に下げているロケットをましろに見せる。それは9年前にましろが守にプレゼントとして挙げたものだった。それ以来守はこれをお守りにして大切に持っている。守はましろを安心させるよう笑顔を見せ、そして二式水戦に乗り込むと、守はエンジンを始動させ、飛び立つのだった

 

「守・・・・・・」

 

飛びだった二式水戦をましろは見えなくなるまで、見送った。そして何か胸がズキズキする痛みを感じた。それは何かしら嫌な予感を感じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・雲が出てきたな」

 

晴風から飛び立って、しばらくすると先ほどまで快晴だった空が突如曇り始めてきた。そして雲の間、間を飛んでいるうちに気流が乱れているのか翼がガタガタと震えていた

 

「いやな天気になってきた・・・・・これじゃあ補足もできないし・・・・しょうがない雲の下を飛ぶか」

 

守はこの状態では危険と判断し高度を下げる。すると今度は霧の中だった

 

「霧の中・・・・これじゃあ、雲の上を飛んだ方がましだったかな・・・・・」

 

ぽつりとつぶやく。どっちにしても今現在は見えずらい状況なのは変わりはなかった。すると無線から

 

『マー君。どう?何かわかった?』

 

無線から明乃の声が聞こえ、守は無線機を取り

 

「こちら守。今、現在のところ霧のせいで艦影は見え・・・・・・ん?」

 

無線連絡中に守はちらっと何かを見つけた

 

『どうしたのマー君?』

 

「今、航跡らしきものが見えました。武蔵の可能性があるため追って・・・・・」

 

そう言いかけた時、突如無線機から大きなノイズ音が響いた

 

「ん?明乃艦長?・・・・・ダメだノイズ音で無線がつながらなくなった・・・・・とすると近いな」

 

守は今までの体験で例のウィルスに感染した船の近づいた時は皆通信機がノイズを発し電波障害を起こし通信できないことを知っていたため、感染した船がすぐ近くにいると判断した

 

「この濃霧だ。衝突しないように慎重に飛ぶしかないな・・・・」

 

守はスロットルレバーを動かし、速度を400まで落とした。これは万が一船と急接近してもすぐに回避行動に写れるための行動だった。すると目の前に大きな影が見えた

 

「っ!?」

 

守は急いで操縦桿を引き、その影を避けた

 

「なんだ!?」

 

守は旋回し、その影を見た。

 

「(形からして武装艦・・・・戦艦クラス・・・艦種は)」

 

大きさからみて戦艦だということが分かったが、それが武蔵なのかはわからなかった。

 

「(少し危険だが近づいてみるか・・・・対爆撃機の度胸試しが役に立つかも!!)」

 

守はスロットルレバーを最大にしてその船に近づいた。そして、近づくにつれその船の艦橋がはっきりと見えてきた

 

「(あの艦橋・・・・・あれって!!)」

 

守はその姿を見た瞬間、こちらに気づいたのか、甲板にある機銃でこちらに向けた生徒を見た

 

「(まずい!!?)」

 

守は回避するため艦橋と煙突の間をすり抜けようとした。そのまま旋回すれば弾丸が当たると判断した結果だ。そして艦橋と煙突の間をすり抜けようとした時、艦橋で機関銃を向けた生徒を目撃した

 

「っ!!?」

 

守が驚く中、生徒が機銃を撃ったが守はそのまま、艦橋と第一煙突の間をすり抜けた。普通ならぶつかる危険性があるため、こんな芸当は難しいが、爆撃機相手に急降下攻撃をするため一番的とぶつかる可能性があるエンジンをあたりをすり抜ける「前上方背面垂直攻撃」をよくしていたため、難なくすり抜けることに成功したのだ

 

 

 

 

 

 

 

『マー君!大丈夫!返事して!!』

 

『守!』

 

例の船から離脱した守は無線機から明乃とましろの声がするのに気づき無線を取った

 

「こちら守」

 

『マー君!突然ノイズが出て聞こえなくなったから心配したよ?』

 

「すまない・・・・例のウィルスに感染した船と遭遇してその時の妨害電波で通信ができなくなっていた」

 

『え!?船って・・・・武蔵?』

 

「いや・・・あの艦橋からして・・・・とにかくすぐに晴風に戻ります」

 

『守!怪我はしてないか!?』

 

ましろの問いに守は

 

「機銃に撃たれたけど大丈夫だ・・・ただ弾丸が翼に当たって少し煙吹いてる」

 

守は左翼を見ると機銃の弾が当たったせいか白い煙が吹いていた。そして

そして守はすぐに晴風のもとに帰るといい無線を切った

 

バルルル・・・・

 

少ししてエンジンも息をつき始めオイルが漏れているのにも気づいた

 

「・・・・・・持つかな・・・・いろいろと」

 

守はそう小さく呟く、だが問題はエンジンだけではない。守はあの時、嘘をついた。ましろには無事だと言っていたが、守の脇腹は赤黒く染まって血が流れていたのだった

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