病室で暇を持て余していると、突然ドアが開きそこから平賀さんや福内さんと同じ制服を着た女性が入ってきた。その女性に俺は見覚えがあっった
「・・・・・・真霜姉さん?」
忘れもしない。9年前にお世話になった真雪さんの娘さんで弟のようにかわいがってくれたあの三姉妹の長女である真霜さんだった
俺が真霜姉さんの名前を言ったとき、真霜姉さんは驚いた顔をし
「もしかして・・・・マーちゃん・・・・森守君!?」
俺の言葉に驚いてそう言う真霜姉さんに俺はゆっくりと頷く
「本当に・・・・・本当に・・・・・マーちゃんなのね?」
涙を流しながらそう言う真霜姉さんに俺は
「・・・・・お久しぶりです。姉さん」
「マーちゃん!!」
俺がそう言うのと同時に姉さんの目から涙があふれると同時に俺に抱き着く
「もうっ!9年間、別れも言わないでどこに行っていたの!心配したのよ!!」
「・・・・ごめん。真霜姉ちゃん。心配かけて・・・・・」
俺は泣いて抱き着く真霜姉さんにそう言う。よくよく考えたら俺って別れも告げずにいきなりいなくなったんだよな。俺はそっと真霜姉さんの肩をたたき
「ごめん…ごめん真霜姉さん。ちゃんと訳を話すから・・・・・」
俺がそう言うと
「もう!宗谷一等監察官!廊下は走っちゃだめですよ!」
「そうですよ。もし患者さんにぶつかったらどうするんですか!」
と、先ほど俺に事情聴取をしていた福内さんと平賀さんが入って来たんだが・・・・・
「「・・・・・何をしているんですか宗谷一等監察官?」」
二人の目に映ったのは自分の上官がこれから再び事情聴取する相手に抱き着き泣いている姿であった
数分後
「えっと・・・・・つまりこの森君は宗谷一等監察官の弟さんということですか?」
「はい。9年前に宗谷さんのところでお世話になっていました」
「本当なんですか宗谷一等監察官?」
「ええ、血はつながってはいないけど。私も妹も彼のことを本当の弟みたいにかわいがっていたのよ」
あれから少し落ち着き、再び事情聴取が始まった。
「さて、マーちゃん・・・・いいえ森君。あなたのことはさっき平賀から聞いたけど。異世界から来たってどういうこと?」
真霜姉さんが神妙な顔で俺にそう訊くと俺は
「姉さん・・・・これから言うことは信じられないことかもしれないけど真実だ」
と、俺は真霜姉さんに説明する。自分は別世界の人間で幼いころなぜかこの世界に来てしまった事、そして自分のいた世界では真霜たちのいた世界とは違い日露戦争後、いろんな戦争が起き、特に三回にわたる世界大戦争が起きたこと。そしてその第二次世界大戦でほろんだナチスドイツが復活し、第三次世界大戦が勃発し、その戦争では第二次大戦で使用されたものを使用すること、そしてその第三次世界大戦で自分もその戦争に兵士として従軍したこと。南太平洋でのナチスとの死闘。そして単独での強行偵察中に敵戦闘機と交戦し、被弾して墜落し死んだ思ったら再びこの世界に戻ってきたことを話した。
その話を聞いた三人は信じられないような顔をしていた
「世界大戦・・・・・しかも三回も」
「ドイツと戦争だなんて・・・・」
と、平賀さんと福内さんは信じられない表情をしていた。確かに普通ならおとぎ話かSFの類の笑い話になる。だが、これは事実だ。
「信じられない話でしょうが事実です・・・・・普通は信じられないと思いますけど」
俺はそう簡単に信じてもらおうなんて思っていなかった。もし逆の立場であったならきっと同じ表情をしただろう・・・・・すると真霜姉さんは
「ねえ、守君・・・・・私の目を見て」
「え?」
「いいから見て」
そう言われ俺は真霜姉さんの目をじっと見る。一体、姉さんは何をしようとしているのだろ?俺が不思議に思っていると姉さんは
「守君・・・・・私、あなたの言葉を信じるわ」
「え?ほんと姉さん?」
「ええ。あなたの目を見て嘘をついているような目じゃなかったわ。それに自分の弟が嘘をついているなんて思ってもないもん」
「本気ですか宗谷一等監察官?」
「ええ。今思えばマーちゃん・・・・守君が突然現れて、突然消えた理由も納得がいくし、何よりも、守君と一緒に運ばれた例のあれが決定的な証拠になるわ」
「あれっといいますと・・・・あの変な物体ですか?」
「そうよ。あのようなもの、この世界にあると思う?」
「それはそうですけど・・・・」
「アルもの?」
俺は姉さんたちの話していることに首をかしげると姉さんはタブレットを動かし俺に見せる
「守君・・・・・これ、あなたが乗っていたものだけど。これ守君の世界のものだよね?」
そう言って見せたのは二式水戦であった。それを見て俺は頷き
「ああ・・・・二式水戦・・・間違いなく俺が乗っていた機体だよ」
「守君。その二式水戦って何なの?それにさっき事情聴取で航空機とか言っていたけどそれは何?」
「そうか・・・姉さんたちの世界には航空機は存在しないんだっけな。航空機というのは気球や飛行船に使われている水素やヘリウムを一切使用していない空飛ぶ乗り物だよ。そしてこの二式水上戦闘機は第二次世界大戦で使用された水上戦闘機で、もともと艦上戦闘機であった零式艦上戦闘機を水上機化させた戦闘機です」
「水素やヘリウムを使わないで飛ぶですって!?」
平賀さんは驚いてそう言う。確かに気球や飛行船しかない世界の人にとっては信じられないだろう。すると真霜姉さんは
「守君・・・・その航空機が誕生したのはいつのころ?」
「え?確か日露戦争より少し後にライト兄弟という兄弟が初の有人飛行機を発明して、その後第一次世界大戦で航空機が活躍し始めてそして第二次世界大戦では航空機を主流。つまり空の戦いが中心になっていたな・・・・・」
「でも、私たちの世界ではライト兄弟という兄弟は聞いたこともない。恐らくその人たちは飛行機を発明できなかったのでしょうね。それに第一次、第二次、そして第三次世界大戦も起きていないから、守君の言う飛行機は登場せず。この世界には気球と飛行船しか存在しないというわけね・・・・」
「そういうことになりますね。でも俺にとっては平和でいいと思います。日露戦争後は世界中どこも戦争なんてしていないのだから・・・・・・」
少し寂しそうに俺は言う。正直この世界が羨ましいと思った。飛行機はないが代わりに血で血を洗う血生臭いあの悲劇的な大戦争が起きていないのだから・・・・
「守君・・・・・・」
「そうね・・・・それを考えると私たちの世界は少し恵まれているわね」
と、軽くため息をつく真霜姉さん
「それで姉さん。俺の二式水戦は・・・・・」
「今は横須賀のブルーマーメイドが所有する倉庫に保管されて解析されいるわ。もし行きたかったら行けるように手配させてあげるから安心して」
「そうか・・・・・」
俺はほっと息をつくと、平賀さんが
「ところで守君・・・・守君はこれからどうするの?」
平賀さんの言葉に俺は今後、どうするべきが考える。病院を退院した後俺はどうするべきか。この世界は俺にとってもう一つの故郷のような世界。だが俺はもともとこの世界の人間ではない。だから住む家もないし当てもない。いわば漂流者だ。どうするべきか困っていると
「それなら問題ないわ。守君は家で面倒を見てあげる。6年前もそうだったし」
と、ニコッと笑う。確かに9年前俺は宗谷家に住んでいた。だから俺を引き取っても大丈夫だと姉さんは言った。それに何かあった時にすぐそばに入れるから問題ないと言う
「ふふっ・・・・楽しみね。真冬もましろもマー君が帰って来たと知ったらきっと喜ぶわ」
真霜姉さんはウキウキしながら嬉しそうにそう言う。真雪姉さんとましろ姉さんに会える。それは俺にとって嬉しい話だった。特に俺はましろ姉さんに会えることをうれしく思った。だが、すぐにあることに気が付く。そうだ。そうだった・・・・・俺はもう・・・・
「?どうしたの守君?暗い表情をして?嬉しくないの?」
俺が暗い顔をしているのに気が付いた真霜姉さんは顔を覗き込むようにそう訊くと俺は手に持ったシーツをぎゅっと握りしめると・・・・・
「真霜姉さん・・・・・・一つ頼みがあるんだ」
「ん?なになに?どんな頼みなの?」
少しお茶らけてそう言う姉さんに俺は真剣な表情で
「姉さん・・・・・俺がこの世界に戻ってきたことを真冬姉・・・・・・特にましろ姉さんには秘密にしてほしいんだ・・・・・俺は姉さんたちには会えないよ」
「っ!?」
俺に言葉に真霜は目を見開き驚くのであった
あんなに会いたがっていたましろに会わないと言い出した守。なぜ彼はそんなことを言い出したのか・・・・・
次回も頑張って書きたいと思います。感想、指摘などお待ちしております