ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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比叡でピンチです!後編

 

『以上が作戦の概要です。』

 

真雪からの作戦許可を得た明乃は、明乃は、艦内放送で生徒全員に作戦の概要を説明した。

 

「其処までして、止めなきゃならないの?」

 

美海は、比叡を止めるのに、其処までする必要があるのかと疑問視する。

 

『それは・・・』

 

明乃は返事に戸惑うが・・・・・

 

『比叡はウィルスに感染している。』

 

明乃の代わりに美波が止める理由を説明をする。

 

「え!?」

 

美波の言葉に艦内全員が驚く

 

「先日の砲術長の症状を思い出してくれ、さるしまも武蔵も同じウィルスに感染したと思われる・・・これに感染したものは、自分の意思が制御できなくなる。しかし、私が抗体を開発した。』

 

「あの時のアレ!・・・抗体の実験だったんだ。」

 

美波の説明を聞いた媛萌は、あの時の人体実験は、抗体の実験だったと納得する。

 

「データは学校に届けた。だから足止めさえして置けば、比叡の生徒は、後日治療出来る筈だ・・・しかし・・・今、比叡を放置すれば、トラックの住民に感染するかもしれん・・・と成ると・・・おのずと世界中に感染が広がる。」

 

「私は皆助けたい!!・・・比叡の子達もトラックの人達も・・・海の仲間は家族だから!!」

 

明乃は、比叡とトラック諸島に住む人々の両方を助けたいと告げる。

 

「で、また1人で飛び出すつもり?」

 

それに対して、機関室の洋美がまた勝手に単独で飛び出すのかと問う。

だが、明乃は

 

「うんうん、この作戦を成功させるには・・・皆の力が必要なの!!だけど、皆にも危険が及ぶから、私1人じゃ決められない・・・皆の意見を聞かせて?」

 

1人で飛び出さず、生徒全員と一緒に戦う意思を告げる。そして明乃は、生徒全員の意見を問う

 

「比叡クラスって、優等生だよね?」

 

「私達じゃ・・無理っぽくない・・・?」

 

「大型艦だもんね・・・・」

 

「武蔵の時も怖かったし・・・」

 

明乃の放送を聞き機関科及び通信員以下殆んどの生徒が先の武蔵との戦闘で消極的になっており、作戦に賛同するか疑問に思っていた。だが、そんな時

 

「わ…私やります!頑張ります!」

 

艦橋にて鈴が目一杯の声を張り上げた。

 

「タマはどうする?」

 

「うぃ!!」

 

「私はやるよ!!ドンパチ撃てるし」

 

「うぃ!!」

 

鈴の精一杯の行動に艦橋メンバーはやる気を出した。

 

「やぶさかではありません!」

 

「わしも手伝う。他人事ではないしな」

 

「私達もやります!!」

 

「艦長は私たちを助けてくれたし!!」

 

「今度は、私達の番!」

 

『だよね!!』

 

艦橋に来た理都子と果代子も明乃への恩を返す為、賛同する。そして艦橋メンバーに次いで砲術委員、水雷委員も比叡の救出に賛同する。

 

「ま、なんとかなるぞな」

 

勝田が海図を広げる。

 

「波飛沫一滴さえも見逃さない!」

 

マチコが展望デッキにて、比叡を睨む。

 

「マッチもやる気になっているみたいだし頑張ろう!」

 

やがて、消極的だったクラスメイト達も次々と比叡救助に賛同していく。

 

「私達は…」

 

「どうすれば…」

 

「う~ん…とにかくご飯を炊こう!」

 

炊飯委員は戦勝後にクラスのみんなに心尽くしの料理を食べてもらおうと、夕食の準備を行った。

 

「でもやっぱり無茶よ!・・・機関が持つかどうか…ねぇ麻侖?」

 

各所が明乃の作戦に賛同する中、洋美は最後まで反対し、麻侖も同じ意見だと思った。

 

「・・・よ~し!やってやろうってんでぇい!」

 

しかし、麻侖は、作戦に賛同する。

 

「ええ?」

 

麻侖の作戦に賛同に洋美は、驚く。

 

「艦長ってのは、神輿よ!軽くて馬鹿でも神輿を担ぐのが江戸っ子の心意気でぇい!」

 

「いや、千葉出身でしょ、機関長殿!」

 

「でもまぁ、機関長が言うなら…」

 

「やりますか!」

 

麻侖に続いて、洋美以外の4人も賛同した。

 

「それによクロちゃん。ここで逃げたら、守に顔向けできねぇよ。それに守もきっとトラック諸島の人を助けるために同じこと言うさ・・・・私はそれに答えてぇ・・・・」

 

「麻侖・・・・」

 

麻侖の言葉に洋美は何も言えなかった。麻侖は悔しかった。自分の大切な友達が怪我したにもかかわらず何もできないことに…だが明乃の言葉にマロンは賛成した。無論、守のためだけじゃない。自分自身も明乃と同じようにトラックの人を救いたいという気持ちがあったからだ

 

「宗谷さんはどうなの?・・・・無理だと思うかしら?」

 

洋美は伝達管でましろに問うとましろは

 

「・・・互いの艦の特性を考えれば、不可能ではないと思う・・それに私も守の犠牲を無駄にはしたくない。だから・・・頼む・・・力を貸してくれないか?」

 

「宗・谷・さ・ん・・・・分かった・・・」

 

洋美は、ましろの言葉にショックを受ける。だが彼女自身も守とは親しかったため、麻侖の言う通り彼の犠牲を無駄にはできないと感じ賛成する

 

これで、殆んどの生徒が、この作戦に賛同した。

 

「艦長!・・やるからには、私も全力を尽くします。」

 

ましろがそう言うと艦橋に居る生徒達は明乃を見る。

 

「皆・・・ありがとう」

 

明乃は皆に感謝する。

 

「ニャン!」

 

すると多聞丸も賛同した。

 

「ん!」

 

明乃は、多聞丸の返事を受け取る。

 

「戦闘よーい!これより晴風による比叡座礁作戦を開始しする!!」

 

画して、晴風による比叡座礁作戦が開始された。晴風は、比叡の砲撃を避けながら、航行する。

 

「艦長! 見てください!」

 

幸子が明乃に手持ちのタブレットを見せる。

タブレットには現在晴風と比叡がいる海域の潮流と水深などの詳細のデータが出されてる。

 

「・・・凄いねこれ…」

 

明乃は、幸子から見せられたデータに驚いてる。

 

「データはより多く、より新しくがモットーでして、個人的に収集しています。」

 

「助かるよ!ありがとう」

 

「お主やるではないか!!」

 

「このへんでええとこ見せんともう舞台は回ってきませんけぇ!」

 

「間尺に合わん仕事かもしれんのぅ・・・」

 

こんな時でも何故か任侠映画のセリフを吐く幸子とミーナであった。

 

「メイちゃん、タマちゃん準備を! 」

 

明乃は、芽衣と志摩に砲雷撃戦の準備を命じる。

 

「よしきった!」

 

「うぃ」

 

芽衣と志摩は、気合いが入る。

 

「艦長!進路の候補でました!」

 

幸子は、2人にタブレットを見せる。タブレットには、比叡を座礁させる幾つかの針路の候補が表示されていた。

 

「ん・・・このルートで行こう!リンちゃんお願い!」

 

「は、はい!!」

 

明乃は、鈴にその針路に航行するよう指示し、鈴は、明乃の指示通りに、その針路通り航行する。

 

「右舷に着弾!!」

 

比叡は容赦なく晴風に向け砲撃する。

 

「と~りか~じ!」

 

「と~りか~じ!」

 

明乃は、艦橋の天井部分から身を出し、回避指示を出すとましろがそれを復唱し、晴風が取舵を切る。

 

「もど~せ~!」

 

「もど~せ~!」

 

晴風が元の進路に戻ると、比叡の砲弾は晴風の右舷後方に着弾した。

 

「シロちゃん! 砲雷撃の指示、お願い!」

 

「分かった!」

 

此処で明乃がましろに晴風の砲雷撃の指示を一任する。

 

「戦闘、右手、砲雷同時戦、発射雷数2、比叡の左舷を狙え! 当てるなよ!」

 

「難しいな・・・」

 

芽衣は、水雷方位盤を見ながら答える。

 

「主砲、砲では抜けないから当てるつもりで撃って良い・・・但し左舷寄りに着弾させて少しでも右に誘導して!」

 

「うぃ!」

 

「攻~撃~始~め~!!」

 

ましろの攻撃指示の元、晴風の第二、三主砲が比叡に向けて砲撃を開始、更に第二魚雷発射管より魚雷2本が発射されるが同時に比叡も砲撃する。

 

「予定のコースをお進みください・・・海底に障害物がありません。」

 

楓からソナーで進路上の海底には、何もない事を艦橋に報告する。

 

「此処が勝負どころじゃ…」

 

「後がないんじゃ!」

 

台詞どころか顔も任侠を意識している。

 

「あ…当たりそう~…」

 

前方から降って来る比叡の砲弾に震えながら舵を握る鈴。やがて、比叡の砲弾が晴風の左舷側の岩礁に着弾する。

 

「魚雷左右に1発ずつ・・・」

 

「頼むから通ってよ・・・ 」

 

それに乗じて、今度は、第一魚雷発射管から2本の魚雷が比叡の両側に向けて発射する。

発射された魚雷は、比叡の両舷を通過し、進路をずらす事に成功した。

 

『比叡第一ポイントへの誘導に乗りました!』

 

マチコから比叡は、予定のコースに乗ったと報告が入る。

 

「ケンジ・・・」

 

「リーベリーヒ・・・」

 

「此処で座礁させれば沈めずに足を止められる!」

 

3人は、双眼鏡で比叡が座礁するのを見守るかのように比叡を見るが

 

「抜けられた!?」

 

比叡は、座礁せず、そのまま直進して、晴風に向かって再度砲撃してきた。

 

「撃ってきた!と~りか~じ!」

 

明乃は、急いで回避命令を出す。比叡の砲弾は、晴風の左舷後方の付近に着弾。

 

『きゃあ・・・・・・』

 

着弾の衝撃波が晴風に襲い艦橋に居る全員がよろける。

 

「至近弾、左舷後方に着弾!」

 

「損害は!?」

 

『後もう少しだけ頑張って・・・』

 

明乃は、もう少しだけ持ちこたえる様言うが

 

「わぁ!?」

 

「バルブ破損!!」

 

その時、機関室の圧力バルブが破損し水蒸気が溢れ出てきた。それを見た麗緒と留奈は、急いで下に降り、手動で圧力を調整する。

 

「ヤバイって! これ以上の出力維持できないよ!」

 

「わ~てる!まだか艦長!!」

 

『あと10分だけ持たせて!』

 

「分かったけどよ・・・本当に10分でぶっ壊れるぞ!」

 

麻侖は、明乃の指示の10分間だけ何とか機関を持たせる。その10分間が最後の賭けに成るのだ

 

「比叡、第2ポイント、通過を確認!」

 

マチコから比叡を座礁させる2つ目のポイントを通過したとの報告が入る。

 

「艦長! ・・・座礁させるポイントも今度も抜けて来られたぞ! ・・・如何する!?」

 

既に2か所も座礁ポイントを躱されて、ましろが明乃に次は、如何するのか問う。

 

「まだだよ!・・・まだ終わってない!」

 

それに対して、明乃は、まだ終わっていないと言う。

 

「しかし、艦長!もう・・・」

 

だが、ましろは、もう駄目かと思うのだが・・・・

 

「超えられない嵐はないんだよ!!」

 

すると、明乃は、超えられない嵐はないと言い、諦めないことを主張する。

 

「!」

 

ましろは、明乃の言葉に何かを感じたのか、キョトンとした顔をする。

 

「と~りか~じ!」

 

明乃は、左へと針路を取る。

 

「・・・はっ!?」

 

すると、ましろがある事に気づく。

 

「さっきと同じ所に戻ってきてる・・・ 艦長!此処じゃ比叡を座礁しなかったぞ!」

 

何と、最初に比叡を座礁させようとしたポイントに戻って来たのだ。

 

ましろは、今度も同じように座礁しないと思ったが

 

「ヒメちゃん、今!」

 

『了解、バラスト排水!!』

 

その時、明乃が媛萌に艦のバランスを取ってるバラスト水の排水を指示した。

 

「バラスト捨てたら安定性が・・・」

 

ましろの言う様にバラスト水を排水した艦の重さが軽くなり、速力を出しやすくなるが艦のバランスが不安定になる。

 

「いや、これで大丈夫!!」

 

「えっ!?」

 

明乃の発言に驚くましろ。

 

「リンちゃん速度一杯で・・・」

 

「嘘・・・」

 

「お願い!」

 

「は、はい・・・!!」

 

鈴は、それを覚悟で泣きながら速力を上げる。

晴風は速力を上げながら先ほどの第1ポイントを通過しながら比叡に向けて、砲撃と魚雷を発射する。

 

「比叡、先程と同じコースに入りました!」

 

比叡は、晴風からの砲撃と魚雷を避ける様に先程と同じコースに入る

 

「速力下げてくれ! 流石にもう無理だ!!エンジンが燃えちまうぞ!!」

 

機関室から麻侖がもう限界だと速力を下げる様言う。

 

『ん・・・・』

 

だが明乃は、比叡が座礁をするのを願う様に比叡を見つめる。

 

『艦長!まだっか!?』

 

機関室からまだっかと言ってきたが、次の瞬間

 

ドゴッ‥‥ズシャァァァ‥‥

 

轟音を立てて先程躱された座礁ポイントにて比叡は座礁した。

 

『比叡停止!!』

 

『比叡の機関停止を確認しました。』

 

とうとう晴風は比叡を座礁させる事に成功させた

 

「ど、どうして‥‥」

 

「比叡が?」

 

先程は座礁しなかったポイントなのに今回は何故、このポイントで比叡に座礁したのかを明乃を除く艦橋メンバーは不思議がっている

そして明乃はみんなに説明した

 

「潮の満ち引きか!?」

 

ミーナは驚いていると明乃は頷き

 

「ココちゃんのお陰だよ!・・・オンラインの海図だったから水深の変化はリアルタイムで分かったし・・・」

 

「成程!・・・前に通った時より潮が引いて、水位が下がっていると・・・」

 

「其処まで想定していたのか?」

 

明乃は、作戦開始時に幸子が収集したデータから海域の水深の変化を確認し、それを利用して、比叡を座礁へと追い込んだ。

だが、最初は、何故、比叡は、座礁しなかったのか、それは、最初の時は、まだ、潮が引いておらず水位がまだ下がっていなかったからだ。

だから、明乃は、水位が下がる時間を見計らって、もう一度同じ場所へと比叡を誘い込み比叡を座礁させる事に成功した。

あの時、晴風のバラスト水を排水したのは、座礁を防ぐ為、艦を軽くしたのだ。

そして、比叡は座礁したショックなのか砲塔が故障し、旋回し動けない状態であり完全に沈黙した。そして晴風はブルーマーメイドが到着するまで比叡を見張ることになったのだった

 

「私、今、艦長・・だったかな?」

 

「まぁ~らしかったです・・・幾分ですが・・・」

 

今回の作戦成功で明乃は、自分が艦長らしいかっと思うとましろは、幾分だが艦長らしかったと褒め、2人は、見つめ合う。

すると・・・・

 

「副長!!大変す!!大変っす!!!」

 

百々と媛萌が慌ててましろのところに転がり込んだ

 

「ど、どうしたんだ!?」

 

ましろは二人の慌てようにどうしたのか訊くと・・・・

 

「マー君が・・・・・マー君がっ!!!!」

 

「っ!?」

 

涙目で言う媛萌にましろは嫌な予感を感じ、慌てて、守のいる医務室へと走り出すのであった

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