晴風が囮となっている間、スキッパー部隊はシュペーへと向かっていた
「皆…早く射程外に出て・・・」
明乃は、付近で待機しながら射程外に離脱する晴風を見ていた。
「あないようけん水柱が! 艦長なんとかならんのかの?撹乱とか?」
聡子は、射程外に離脱する晴風を援護しようと明乃に進言する。
「艦はシロちゃんと皆に任せたから私達は突入班に何かあった時に備えてなきゃ!」
だが、明乃は、アドミラル・グラフ・シュペーに乗り込んだ突入隊に何かあった時に備えて、アドミラル・グラフ・シュペーの付近で待機する。
その時、晴風の前方でアドミラル・グラフ・シュペーの主砲弾が着弾し、大きな水柱が立ち、晴風の艦首が跳ね上がる。
「晴風が!?」
「シロちゃん…お願い皆を守って・・・」
明乃がそう思いつつ突入隊の成功を待つ。
「・・・まだなのかぁ、艦長?」
一方、晴風、艦橋にいるましろも一方的に攻撃されてる状況を我慢しながら突入隊の成功を待つ。一方、アドミラル・グラフ・シュペーに乗り込んだミーナ、マチコ、楓、百々、美海、美波、五十六の6人1匹は、マチコを先頭に次々とウィルスに感染した生徒を倒していた。
倒した生徒は、美波が1人1人、抗体を注射する。
「・・・・こっちじゃ!」
『ん』
ある程度、甲板の制圧が完了したところで、ミーナの案内の元、テアが居る艦橋を目指しながら艦内に入った。
その頃、晴風の機関室では、アドミラル・グラフ・シュペーの砲撃を回避する為、最大出力が出しっ放し、その結果、サウナ状態に成っていた。
「ああ・・湿度90ぱぁ超えた・・!!」
「送風機止まってない?」
「熱いよ・・・」
「温度も40度越えてる・・・ヤバイよ!」
室内の温度は、40度も超え、既に4人は、厚さに駄々をこねていた。
「まだ全開なの?外は、如何なっているのよ!?」
洋美は、まだ全開を続けるのか、外の状況は、如何なっているのか伝声管で艦橋に問う。
すると
『あと少しだ!頑張ってくれ!』
「宗谷さん!?」
明乃かと思ったが、答えたのがましろだった事に洋美は、驚愕する。
『今は、私が指揮中だ!頼んだぞ!』
「はい!頑張ります!!」
明乃に代わって、艦長として、ましろが指揮している状況でましろにあと少しだけ頑張ってくれと頼まれ、洋美は、頑張りますと率直に言う。
「あと少し、頑張ろう!!」
そして、駄々をこねる4人にあと少し、頑張ろうと言い。
『お~う!!』
4人もそれに声を上げるが
「それ・・・麻侖の仕事なのに・・・!!」
洋美にセリフを奪われ、麻侖は頬を膨らませるのであった。
一方、ミーナ達は、艦橋を目指すべく、艦内を進んでいたが
「はっ!?」
前方からウィルスに感染したレターナ、ロミルダ、アウレリアの3人が立ちはだかった。
ミーナは、足を止めた。
「ん?」
その時、後ろに居た楓が前に出て来て、持っていた薙刀の布を外し
「万里小路流薙刀術・・・・・」
3人に向け薙刀を構える。
『うがああっ!!!』
3人は、楓に襲いかかてきた。
「当たると・・・痛いですよ!!」
襲ってくる3人を楓は、薙刀で素早く1人ずつ倒した。
「うぉ・・!凄いッス・・・!」
3人を一瞬に倒した事に百々は、驚きながら感想を呟いた。
「兵は敵に因りて勝ちを制す。」
美波もことわざを言いながら、楓が倒した3人に抗体を注射する。
「あれ?」
その時、倒した3人の1人の服の中から例のマウス、RATが出て来て、前方へと逃げて行く。
「ぬぉ~!」
それを見た五十六は、全速でRATを追いかける。
「五十六!!」
RATを追いかけていった五十六を百々が追いかける。
その頃、晴風は、まだアドミラル・グラフ・シュペーの射程外まで退避中であった。
『・・・・』
ましろは、まだ射程外から出られないのかと思いつつ唖然とする。
「シュペーから11マイル!副砲の射程外に出ました!!」
ようやく副砲の射程外に出たが、まだ主砲の射程内。
「くっ・・・まだか・・・まだなのか・・・?」
ましろは、耐えながら突入隊の成功をまだかまだかと待ち続ける。
「主砲射程外まで約10分!」
主砲の射程外まであと10分に成った時だった。
「副長、主砲弾直撃コース!」
アドミラル・グラフ・シュペーの主砲弾が晴風に向かってきた。
「回避!」
ましろは、今度は、躊躇わず回避の命令を出すが
「間に合いません!!」
時遅く、主砲弾は、晴風に命中しようとした。
その時
ボーン!!
何故か主砲弾は、晴風に命中せず、上空で爆発した。
『わぁ!?』
爆発の衝撃で艦は、揺れた。
「な、何だ?」
「空中で爆発!」
「如何なってんの?」
「うぃ!」
何故空中で爆発したのか、全く分からなかったが、その理由はすぐに判明した
「ふ~なんとか当たったな・・・・」
晴風の機銃座で守が安堵したようなため息をつきそう言う。そうあの砲弾の爆発は守は25ミリ機銃で撃って迎撃したからだ
「爆撃機の対空銃撃よけの経験がここで役に立つなんてな・・・・」
と、ぼそりと呟く。普通ならこんな芸当は不可能だが、爆撃機の迎撃に出てた守は爆撃機の対空銃撃をよく目にしていたため弾道がそれなりに見えていたのだ。だが確実に当てていたわけではなく来る咆哮を予測しありったけの銃弾を適当に撃っていたところ一発がその砲弾に命中したという強運が味方したことからできたことだった。
「岬艦長・・・うまくやってるかな?・・・・・・・ん?」
その時、守はシュペーから信号弾が上がるのを見た
「なんだ?作戦完了の合図は信号弾じゃなかったはずだけど・・・・」
守が不思議に思う中、シュペーの艦体後部から何か飛び立つのを見た
「あれは・・・・・っ!!」
その頃、突入隊は、艦橋目前の所まで来ていた。
「此処を上がれば艦橋じゃ!」
ミーナを先頭に楓、マチコ、美波、美海が艦橋に続く階段を登ろうとした時に後ろからウィルスに感染した生徒3人が迫ってきた。
それに気づいた美海は
「此処は行かせない!!・・・マッチは私が守る!」
そう言って、3人の前に通せん坊するが
「って!・・・多いな・・・・」
3人に飛び込まれて下敷きになる。
そして艦橋に着いたミーナ達は、辺りを見る。
辺りを見ると上には、射撃指揮所があって、その下にミーナと同じ士官服を着てコートを纏っい空に向けて信号銃を上げた1人の生徒が立っていた。
「・・・艦長!!」
ミーナは、その生徒に向かって艦長と呼ぶ。
その生徒は、紛れもなく、アドミラル・グラフ・シュペーの艦長であり、ミーナの親友テア・クロイツェルだった。
だが、ミーナが呼んだがテアは、ミーナの方を向いた時、テアの目がウィルスに感染した生徒と同じ目をしていたので、テアもウィルスに感染していた。恐らくあの時、ミーナがテアから退艦するよう言われた時からウィルスに感染していたのであろう。
「
ミーナは、もう一度、ドイツ語でテアに呼ぶが、
「はっ!?」
「うぅぅ・・いや!」
テアは、ミーナに対して、容赦なく回し蹴りをする。
「・・・」
テアの回し蹴りがミーナの顔にヒットするが、ミーナは、表情を変えず足を退かす。
テアは、ミーナから離れようとしたが、ミーナは、そのままテアを抱きしめ動けない様にする。
その隙に美波がテアに抗体を注射する。
抗体を注射され、テアは、そのまま落ち着きを取り戻し、ミーナに抱かれたまま気を失った。
「・・・遅れて御免なさい。」
気を失ったテアにミーナは、抱きかかえたまま救出が遅れた事を謝罪した。
その後、マストに制圧完了の白旗が上がる。
「あっ!?」
「艦長! やったぞな!!」
海上で待機していた明乃と聡子は、制圧完了の白旗を確認し
「あっ!?・・・やった!! 」
ましろも双眼鏡で制圧完了の白旗を確認。
それを聞いた艦橋の皆は、それぞれでハイタッチをした。
だが・・・・晴風の傍で水柱が上がる
「な、なんだ!?」
皆が驚く中、艦橋横で黒い何かが横切った。皆はそれを見ると
「あれって・・・・飛行機!?」
そこには二式水戦とは違う灰色と黒のまだら模様であり胴体や翼に鍵十字が描かれた水上飛行機が晴風へ攻撃していた
『くっ・・・・シュペーは制圧されたか…やっぱり同胞の武装隊を乗艦させるべきだったか・・・・このまま帰れば間違いなく私はゾル大佐に粛清される・・・・ならばここで晴風を葬ってやる!!』
水上機のパイロットは旋回し、晴風へと銃撃する。船は沈まなくても少なからず乗員を殺すことは出来ると踏んだからだ
「全員伏せろ!!」
ましろの言葉に全員が伏せ艦橋に向けて無数の銃弾と翼に取り付けたロケット弾が降り注ぎ、艦橋の窓ガラスが割れる。
「きゃあぁぁぁー!!」
その出来事に皆は悲鳴を上げる。それと同時にどこか爆発音が聞こえた
「みんな無事か!どこに当たった!!」
艦内に緊急アラームが鳴る中、ましろが伝達管で被害確認をした
「う、うん・・・・艦橋はは何とか・・・」
『電探室。以上ありません!』
『第一魚雷発射管被害なし!』
『第二魚雷発射管、大丈夫です!』
と、次々と被害状況を知らせるが・・・・・
「副長!射撃指揮所付近です!!」
「射撃指揮所!無事か!!」
ましろがそう呼びかけるが、応答がなかった。ましろは最悪の事態を考えた・・・・・しかし
『あ~こちら射撃指揮所。聞こえてます。小笠原無事です』
『竹田。異常なし』
『日置。大丈夫で~す』
射撃指揮所は水上機のロケット弾を喰らったものの、中は緊急用のエアバックが作動し、三人とも無事だった
その知らせを聞いたましろは安心し息をつくが油断はできなかった。空を飛ぶ、あの水上機はまだ晴風を狙っているからだ。
「このままだと・・・・」
シュペーの時でダメージを喰らい、そして対空戦に慣れていない晴風では太刀打ちができない・・・・どうすればいいか悩むましろ。すると・・・
「副長!後部甲板にあったマー君の飛行機がありません!!それにマー君もいません!!」
「なに!?」
まゆみの言葉にましろは艦橋から後部甲板を見ると、確かにそこにあるはずの二式水上戦闘機がなかった
「・・・・・まさか!!」
機関室
「そう言えば麻侖?この海域に来る前に守君と一緒に工具箱持って上に上がってたけど何をしてたの?」
洋美が麻侖に訊くと
「あ?ああ・・・ちょっと修理をな!いや~意外と楽しかったよ」
「修理って何を・・・?」
上空
『ふ・・・・・デストロイヤー・ハレカゼ!止めだ!!』
そう言い、トリガーを弾こうとした瞬間。背後から殺気を感じ、背後を見ると・・・・・
「いい加減にしやがれ・・・・・ナチ野郎!!」
怒りと殺気を含めた目で敵を見る守を乗せた二式水上戦闘機が飛んでいたのだった