ハイスクールフリート~鋼鉄の鳥~   作:疾風海軍陸戦隊

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追憶の若鷲「戦空の魂その1」

これは、アドミラルシュペーとの戦いが終わり、間宮や明石、そして座礁した信濃に向かっている最中の出来事である。

 

「う~ん・・・・そう来たか・・・マー君。やるね~」

 

「いやいや、西崎さんの方こそ」

 

今、守は食堂で芽依と将棋をしていた。シュペーも戦い後、飛行禁止と言われ、何より美波さんから

 

『傷が悪化する危険性があるから、抜糸して完治するまで何もするな』

 

と、きつく釘を刺され、いつものように飛行機の整備は愚か他の子たちの手伝いもダメと言われたのである。まあ、他にも守は働きすぎだから休めという意味合いもあった。何より姉であるましろと艦長である明乃にも

 

「傷が癒えるまでゆっくり休め」

 

と言われたため大人しくその指示に従うのだが、逆に何もすることがなくて日まで暇でしょうがなかった。そのことを麻侖たち機関科に相談するのだが

 

「定年退職後のサラリーマンか?」

 

と、呆れ顔で突っ込まれてしまう始末であった

だが、そんな暇を持て余していた守を見かねた水雷長である芽依が守を将棋に誘い今に至るというわけだ

 

「ほぉ~居飛車の舟囲いできたか・・・・でも!」

 

そう言い芽衣は駒を置く

 

「ここが急所なんだよね~これでマー君の船はバラバラ・・・・」

 

「フフッ…甘いですね水雷長!」

 

「なに?」

 

パチンと守は将棋の駒を置く

 

「なっ!まさかの逆落とし!?」

 

「ふふふっ・・・・船囲いの弱点は百も承知、あえて罠を仕掛けておきました」

 

「く~~~!!やるね!マー君!」

 

と、二人は将棋を撃つのに夢中になっていた。すると芽依は

 

「それにしてもマー君。将棋強いね~?誰かに習ってたの?」

 

「いや習ったというよりは、向こうの世界で将棋が趣味な先輩搭乗員とよく付き合わせられたので、よく負けては、悔しい思いをしながら秘かに一人将棋していました」

 

そう、苦笑しながら守は言う。そう言いながら守と芽依は将棋を続ける

そして将棋の駒を置く音を聞き守は思い出す

南方戦線で戦いであった戦闘機乗りを思い出すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20XX年、9月3日、南方ラバウル戦線

 

この日は9月だというのにかなり暑かったことを覚えている。当時の俺はラバウルの中堅搭乗員として戦っていた。上官だった杉田曹長はいまだに行方不明。小隊長である疾風少尉は目の傷のせいで一時期、陸戦隊に配属されていた時のことだ。先輩搭乗員である二人がいないのは心細いがそれでも俺は戦い続ければならなかった。

今、俺は零戦で単独偵察飛行をしていた。

 

「今日は何もいないな・・・・・」

 

飛行偵察の目的は敵機が飛んでいないかもしくは敵の船がいないかであった

だが、敵船を発見することが少ない、内陸・・・・陸続きなら敵の部隊か戦車を見つけられるとは思うが広い海の上では相手と接敵することは結構少ない。

俺は少し退屈な気持ちをしながら昼食を取った。ご飯はかんぴょう巻き立った。

 

「戦争はつらいけど、食事がうまいのは唯一の救いだな・・・・」

 

と、つぶやきながら操縦桿を両ももに挟みながらご飯を食べるそうでないと片手にかんぴょうを食べながらラムネを飲むことができないからだ

 

「・・・・・ん?」

 

その時、俺は上で何かが光るのを見た。もしかして敵機かと思い、俺は食事を中断し。操縦桿を握った瞬間、何かが急降下して俺のゼロ戦に向かって銃撃した

 

「うわっ!?」

 

俺はすかさず、銃弾をよけ、そして急降下し、通り過ぎて行った飛行機・・・・俺を銃撃してきた機体を見た。それは液冷エンジン特有のとんがった機首をした機体だった。

最初は敵のメッサーシュミットかと思ったが胴体に日の丸を確認した

 

「あれは・・・・陸軍の三式戦闘機!?」

 

それは陸軍の三式戦闘機「飛燕」であった。どの飛燕は、緑と白のまだらであり、尾翼に鶴のマークが描かれていた

俺は無線を取り

 

「馬鹿っ!!味方を撃つ奴がいるか!!」

 

俺が怒鳴ると、三式戦は翼をくいくいと振る。それは味方機であり友軍の合図であるバンクだった

 

「今頃味方機だと気づいたのかよ・・・・・遅いんだよ、まったく」

 

呆れながら俺はため息をつく、その後、飛燕は遠くへ飛んでいき、しばらくして偵察飛行を終えて、基地に戻った。

 

「はぁ・・・・今日はボウズなうえ、味方機に撃たれるとは・・・・ついてない」

 

「まあまあ、准尉。そう言う時もありますよ」

 

無事に着陸し零戦から降りてため息をつく俺に小柄で黒髪のツインテールの子がなだめる。彼女はつい最近入った新人の女の子であり、名は中野梓。

俺の二番機についている俺の後輩である

 

「ん?あれは・・・・」

 

俺は飛行場の隅に置かれている数機の戦闘機を見た

 

「あれは・・・・陸軍の戦闘機ですね?」

 

「ああ。ここの飛行場は確か陸軍と共同だったな・・・・だけど数が増えたな・・・・増強されたのか?」

 

「機種は四式戦に…そのうち一機は三式戦ですかね?珍しいですね?一機だけ飛燕だなんて。三式戦は突っ込みが効きますけど格闘戦には不向きな機体なのに?」

 

「ああ・・・・・てっ!あの機体!!」

 

俺は隅に置かれた一機の三式戦を見た。その三式戦闘機はしろと緑のまだらとそうで尾翼に鶴のマークが描かれていた

あの尾翼の鶴のマーク間違いない!

しかもその飛燕にはその搭乗員らしき人物が整備兵と何か話していた

丁度いい、さっきのこと抗議しに言ってやる!

 

「あっ!ちょっと守先輩!!」

 

俺がその搭乗員のもとに行くのを見て中野は後を追いかけた

 

「ちょっと!そこの陸軍の戦闘機搭乗員!」

 

「……私に何か?あなたは・・・・海軍の人ですよね?」

 

俺が声をかけるとその搭乗員は振り向く。短い髪をした女性だった。眼は少し細く眠たそうな表情をしていた

 

「何か?じゃないだろ?こっちは敵と間違えられてあなたに撃たれたんですよ!!覚えていますか!!」

 

と、抗議するが彼女は何も感情のない声で

 

「・・・・・・・・ああ・・・・あの時の零戦の搭乗員ですか・・・・・すみませんナチのfw190と見間違えてしまいました。水面の光で見えにくかったが撃ちながらぎりぎり近づいてやっと味方機だと気が付いたのですが・・・・・・・」

 

「見間違えましたで済む話ですか!敵ではなく味方に撃ち落とされるのがどれだけ嫌なことか、同じ戦闘機乗りならわかるはずでしょ!それに!さっきからなんも感情もなく。失礼です!本当に申し訳ないと思っているんですか!!」

 

「ちょっ!ダメですよ!先輩!」

 

と、怒りに任せて彼女に言う俺に対し、中野は俺を止める

 

「だが、梓!」

 

「気持ちはわかりますけど落ち着いてください!それに階級!彼女の階級見てください!!」

 

「階級?・・・・・っ!?」

 

俺は冷静になり彼女の襟につけられている階級章を見た。その階級章は・・・・

 

「ちゅ、中佐!?」

 

それは下士官である俺よりも階級が高くしかも士官であり佐官であった。

 

「し、失礼しました中佐殿!」

 

俺は慌てて敬礼する。相手は士官つまり上官に当たる人物なため大声出したことを謝罪するが、彼女は首を横に振り

 

「いや、君が怒るのも無理はないし、君の言い分は正しい。本当に申し訳なかった。」

 

と、深々と頭を下げる姿に逆に俺の方が申し訳なく思ってきた

 

「あ、頭を下げないでください!下の者に対して・・・」

 

「いいや。非は私にある。お詫びに今夜空いていたらでいい。私のところに来てくれ。一杯奢らせてくれ…と言いたいが見たところ君は未成年だし、夕食を奢ることで勘弁してくれないか?」

 

「そんな悪いですよ」

 

「いいや。君の言う通り味方に撃たれるのは屈辱的なことです。それに私の気が収まりません。どうか・・・・」

 

「わ…分かりました・・・あの・・・」

 

「すまない自己紹介が遅れた渡した陸軍第67飛行戦隊、戦闘隊長の加藤静江。階級は中佐だ・・・・・君は?」

 

「えっと・・・・自分は海軍ラバウル航空隊301部隊所属の森守准尉と申します!」

 

これが加藤中佐との出会いであった

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