晴風の食堂
「お~い。ごはんおかわりくれますか~?」
「は、はい。どうぞ」
「おおきに!ん~やっぱり日本の料理は最高やな~~~」
晴風の食堂で、皆が食事をとる中、捕虜になっているはずのナチスドイツ軍の飛行兵の少女が白米と焼き魚を嬉しそうに頬張ていた。
それは少し時間を遡ること数十分前のことである。
晴風の一室で、晴風を襲撃した水上戦闘機のパイロットを監禁している部屋に守が入ってきた
「・・・・・」
そのパイロットは明乃たちと変わらない歳であり、茶髪のショートヘアーの少女だった
「何や?やっと事情聴取かいな?」
なぜか大阪弁で言う少女に対し、守は
「・・・・日本語喋れるのか?てかなぜ関西弁?」
「ああ…こう見えて祖母は日本の関西人や。日系ドイツ人三世や。関西弁は祖母のが移っただけやさかい」
「そうか・・・話せないならドイツ語で話すつもりだったけど手間が省けるな・・・・・早速訊くぞ」
和住と青木が見守る中、守は事情聴取を始めた
「・・・・お前の名は?」
「ハルカ・メルダースや。階級は少尉や」
「何処出身だ?」
「そんなもんドイツ出身や。ドイツのミュンヘン出身だ」
「俺が訊きたいのはどっちのドイツだ?鉄十字か?鍵十字か?」
「そんな質問、うちの機体見ればわかるやろ?」
「そうだったな・・・・で、所属部隊は?」
「第4帝国空軍。JG52部隊や」
「ん?空軍?お前。SSじゃないのか?」
「あんな大量虐殺快楽主義集団と一緒にすんなや。うちはまともなほうやで。人種差別大反対や」
「だったらなぜナチスにいる?」
「いや~給料が良かったのと、恩人がナチスの空軍大佐でその恩返しかな?言っとくけどうちら空軍は、ホロコーストや虐殺行為には加担してないで」
「そうか・・・」
「なんや。疑わへんの?」
「こんなべらべら喋るssはいないからな。それに純粋のナチ思想の奴だったらそんな陽気な目をしとらん。みんな闇を纏った目をしていたからな。まあよく見ればお前のその服装もドイツ空軍の服装だしな・・・・・でそのドイツ空軍さんがなぜ、ssと一緒にこの異世界に来た?」
守が目を細め彼女に訊いた。そう彼女が空軍出身なのであればssと一緒にいる理由が分からない。
「ああ、それは、うちの上官の命令やで」
「命令?」
「うちの上司・・・・・クロイツェル大佐ちゅうんだけど。その大佐が奴らが何やら危ない実験をするという情報を手に入れてな。監視としてうちを奴らの中に潜入させたんや。無論、ss将校の服着て成りすましてな」
彼女の話を詳しく聞くと…彼女の上官であるティア・クロイツェル空軍大佐・・・・・シュペーの艦長と似た名前だが偶然なのか?まあ、その大佐と、今回の事件の首謀者であるゾル大佐とは犬猿の仲であり、空軍穏健派のクロイツェル大佐と親衛隊過激派のゾル大佐はいつもで対立していた。
そしてクロイツェル大佐はゾル大佐が総統の命令で何か危険な行動をするという情報を入手し、奴らを監視するため彼女をss将校として潜入させていたという
「・・・・・で、潜入して、何を掴んだ?」
「うちがそれを言うと思うか?」
「言っとくけど拒否権はないぞ。言わないのであれば・・・・・」
「はぁ~わかった。わかった。そんな怖い目で見るなや。うちかてssの連中に義理立てする気ないし、いいで。知ってる分だけ話す。けど、情報少ないけどいいか?」
「構わない。知ってることすべて言え」
守の言葉に彼女は頷き知っている情報を話すのだった。
一方艦橋では
「マー君たち・・・・大丈夫かな?」
明乃たちは事情聴取している守たちを心配していた
「あの人。悪い人なんだよね?暴れたりしないかな?」
鈴も心配そうに言う
「拘束しているし大丈夫だとは思うが・・・・」
ましろも若干心配そうな表情をする
「でもあの子私たちと同じくらいの歳だったね?マー君と言い異世界の人ってあのぐらいの歳で戦争に行くのが普通なのかな?」
「さあ・・・異世界ですから何とも?それにそれを言うなら私たちも似たような感じですし・・・・」
芽衣の言葉に幸子も首をかしげる
「(・・・・守)」
ましろは振り返り心配そうな表情をする。比叡と言い今回のシュペーの時と言い。無茶する自分の弟のことが心配でたまらなかった
「大丈夫だよシロちゃん。マー君は強いから」
「だといいのですが…」
明乃の言葉にましろは不安そうな表情をするのであった
場所は戻って守たちは彼女から情報を聞き出していた。
内容的ににゾル大佐ら武装ssは敗北の濃厚となった戦況を覆すため生物兵器であるRatを利用して何か企んでいることぐらいしか知らず、詳しいことを知っているのは大尉クラス以上の人間しか知らないということだ
「ま、これが知っていることのすべてや。これ以上訊かれてもわからへん」
「わかった・・・・じゃあ最後に一つ訊く・・・・・なんで晴風を襲った?」
「この晴風の船員はこの生物兵器もうちらのことを知りすぎた。まあ「目撃者は消せ」という奴や、うちらの世界の戦争でもよく有ったことやろ?」
「この世界は俺たちの世界とは関係ない。俺たちの戦争とは無関係だ」
「うちかて、この世界の人間迷惑かけようとは思っておらへん。しかしss上官どもが、シュペーでの作戦失敗したら、うちの乗った水上戦闘機で殺せと命令されていてな。命令無視して戻れば奴らに殺されるのは明白や。少しでもダメージ与えておかないといけない・・・・ほんまに心苦しかったがこれも任務を・・・」
「ふざけるなっ!!」
そう言い、守はハルカの胸ぐらをつかむ
「だからと言って民間人…学生を攻撃してもいいのか!貴様軍人としてのプライドないのか!!それでもルフトバッフェか!!」
「うちかてプライドくらいあるさかい!戦争は軍人と軍人の戦い。民間人の殺戮が目的じゃない。それくらいわかっておるわ!でもなその学生が乗っているのはただの民間船やない。軍艦や!武装付けた船攻撃するのは当たり前のことやないか。この世界がどういう事情で学生を武装艦に乗せてるかは知らへんし、知りとうない。この世界の常識はうちらの取っては非常識や、それくらいお前でもわかるやろ!」
彼女の言い分に守は少し黙る。確かに学生が駆逐艦に乗るだないいて自分の世界ではありえないことだ。もし自分が彼女の立場であるなら理解できる
だが・・・・
「・・・はぁ…すまん。うちも熱くなりすぎたようや。ここは異世界。世界は似ても全く違うんや。それをどれが正しいなんて言うのも馬鹿らしいな・・・・」
「いや。お前の言い分もわかる。だが・・・・」
「構わへん・・・・うちも長い間軍隊生活、戦争生活で人間らしい感情忘れとった。どんな事情であれ人を殺めるのは罪やたとえ戦争であってもなくてもな・・・・」
「ああ・・・・殺すのが当たり前だと思ったら最後だな・・・俺たちは人間だ。血の通った人間だ。決して殺戮兵器にはなっちゃいけないな」
そう言いうと二人は顔を見合わせふふと笑い
「どうやら、うちらは信じあえるみたいだな少なくとも」
「そのようだな・・・・・・和住さん」
「あ、うん何マー君?」
二人の話し合いに、黙っていた和住が反応すると、守は
「この人の拘束外してくれる?危害はなさそうだ」
「え?いいんすかマー君?」
百々が心配そうに訊くと
「かまわないよ責任は俺がとるから」
「分かったわ」
そう言うと和住は、ハルカの拘束を解く。すると・・・・・
ギュ~ルルル
ハルカのお腹が鳴る
「あ・・・すんまへん。このところまともに食事しておらへんのや」
「そうか・・・もうすぐ夕食だし。食ってけよ」
「え?うちも一緒に食ってもいいんか?」
「構わないよ。一人よりみんなで食べた方がいいだろ?」
「そうか。おおきに」
とニコッと笑い。守らと一緒に食堂へ案内されるのであった