赤道祭も無事に終わり乗員達の良い休息にもなった。
祭りの後片付けが進んでいく中、明乃は水平線深刻そうに水平線の彼方をジッと見ている。
「艦長・・・」
そんな明乃にましろは、声を掛けた。
「あっ!?・・・シロちゃん・・・」
「如何かしたんですか?」
ましろは、明乃が何を思い詰めているのか問う。
「うん、赤道祭・・・楽しかったな~って・・・」
それに対して明乃は、赤道祭が楽しかったと誤魔化すが
「それだけじゃ・・ないですよね?」
ましろにはお見通しの様だ。
「・・・艦の修理が終わったら、パーシアス作戦に参加する事になる・・・」
明乃は、ましろに自分が思い詰めている事を言う。
「それは、あくまで協力ですよね?」
「でも・・・もしかしたらまた・・・」
明乃の脳裏に前回のアドミラル・グラフ・シュペーやナチの水上戦闘機での戦闘の時に被弾した晴風の姿が過る。
「私・・・私ね、やっと晴風の皆と家族になれたような気がしたの・・・したのに・・・」
と言って、明乃は不安そうに怯える。今までの戦闘では、晴風の被害は少なかったが、アドミラル・グラフ・シュペーとの戦闘で晴風は、多大なる被害を受けたが死傷者は出なかった。
だが、次の武蔵との戦闘はそれだけでは済まないだろう。
おそらく死傷者も出るかも知れない。明乃はそれを恐れていたのだ。
「・・・・」
不安そうに怯える明乃にましろは何も言えず、唯黙って見ているしかなかった。ましろ自身も明乃と同じ武蔵の戦いでのことを考えていたのだ。
「明乃さん。姉さん」
そこへ守がやってきた
「マー君。お腹の傷はもう大丈夫なの?」
「ええ…さっき美波さんに抜糸してもらって完治したよ」
と、軽く脇腹を叩く。そして・・・・
「‥‥不安ですか?武蔵の戦いに?」
守の言葉に明乃は頷く。それもそうだろう。位置は第二陣形後方という予備兵力の位置であるが、相手はあの46㎝砲を持つ武蔵であり、第一陣で完全に防ぎきれるか100%の保証はない。
「マー君はどうするの?」
「俺は山口提督と共に
「そんなことないよ。マー君は十分戦ってくれたよ」
「艦長の言う通りだ守。むしろ、もうこれ以上は戦わなくていい・・・・もうこれ以上は・・・・」
ましろが守の肩に触れそう言う。潜水艦や比叡にシュペー。彼は十分晴風のために戦ってくれたと・・・・
ましろは思った。今度の武蔵の戦いで守は命を落としてしまうのではっと・・・・・
「・・・・・わかった。では俺はここまでのようです」
「うん・・・・マー君。後は私たちに任せて・・・・・」
「分かりました・・・・・じゃあ、ちょと俺最後に晴風内回ってくるよ・・・・じゃあ」
そう言うと守は船内に入る。その姿にましろは不安そうな顔をした。決戦に行くのは自分たちなのに…なぜか守は死んでしまうような・・・・そんな不安を感じたからだ。
機関室
「麻侖・・・・このバルブこれでいいか?」
「おう!・・・・おっ!ちょうどいい具合にしまってるじゃねえか!」
守は今機関室で、麻侖と一緒に機関の整備をしていた。途中は洋美たちもいたのだが、洋美が麗緒たちを連れて明石から工具を借りに行ってしまい今この機関室には麻侖と守しかいなかった
「決戦前だからしっかりしねえとな!」
「そうだな・・・相手は戦艦の帝王だしな」
と、ガチャガチャと整備する音だけが響いた。
「なあ、麻侖。これなんだけどさ・・・・」
「ん?どれだ?」
「いや、ここなんだけどさ」
守が指摘する部分を麻侖はのぞき込む。するとお互いの肩が触れ合った
「・・・・あっ!」
それに気づいたのか麻侖は顔を赤くして守から離れた
「麻侖どうしたんだ?…それにどうした服の匂い嗅いで?」
「い、いや・・・いまのあたし、油臭いし、それにちょっと汚れているだろ?・・・・」
と少し恥ずかしそうに顔を赤くしそう言う。その言葉に守は首を傾げ
「なにをいっているんだよ。整備士で油臭いのはきちんと整備仕事している証拠じゃねえかよ。急に変なこと言ってどうしたんだ?それにさ、整備している麻侖。輝いてて結構好きだぜ」
「ふぁ!?」
その言葉に麻侖は顔を真っ赤にし
「な・・なななな何言ってるんでい!!そ、そんなことより!どこだよ見てほしいところ!」
「お・・・・おう」
そんなやり取りがある中、二人は機関の整備をした
「なあ・・・・・守?」
「なんだ?」
「聞いたぞ。お前。残るんだってな・・・・」
「ああ・・・・上に謹慎命令出ちゃって・・・・」
「そっか・・・・・じゃあもう怪我しなくていいな・・・お前いつも頑張りすぎだから心配してたんでい」
「怪我は元の世界じゃしょっちゅうだったし、気にしてないさ。ただ一緒に行けないのが心残りかな?」
「何言ってるんでい。お前は十分やってくれたよ・・・・比叡の時だってあんな怪我してさ・・・・お前が死んじまうと思って心配したんだぞ」
「ああ・・・それ姉さんにも言われたな~~~本当に心配かけたよ…ごめんな」
「いいんでい。こうして無事なのが何よりなんだからよ・・・・なあ、守」
「ん?なんだ?」
守は麻侖を見ると麻侖は顔を赤らめ
「守・・・・ずっとあたしと友達でいてくれるか?」
「ん?当たり前だろ?麻侖はこの世界で初めてできた親友なんだからさ」
「親友か・・・・そっか・・・じゃあさ、今度この事件が終わったら、また一緒に釣りに行かねえか?」
「釣りか~いいなそれ!」
「じゃあ、決まりだな!よぉーし!じゃあ、さっさと整備終わらせるんでい!」
「おう!!」
とその後、俺と麻侖は機関の整備を終え、どこか問題はないかの最終チェックも済ませた
「ありがとな守」
「いや、いいってことだよ・・・・麻侖。怪我すんじゃねえぞ?」
「安心しろ!この私がいる限り!晴風は沈ませねえからよ!」
「そうか」
「なあ・・・・守」
「ん?」
そう言うのと同時に麻侖は守を抱きしめ顔を胸にうずめた
「ま、麻侖?」
「すまねえ・・・・ちょっとだけこうさせてくれ」
「お・・・・おう」
しばらく麻侖は守に抱き付くが、すぐに離れた
「すまねえな。驚かせちまって」
「いや、いいんだよ・・・・ちょっと驚いたけど・・・じゃあ、俺は行くよ」
「おう。次会うときは横須賀な!」
「ああ・・・・いづれな・・・・ああそうだ。麻侖。一つ頼みがあるんだ」
「頼み?なんだい?」
「ああ・・・・それは・・・・・・」
守はあることを麻侖に頼んだ
「おう!任せとけってんでい!」
「そうか。ありがとう」
そう言い守は機関室を後にし、残ったのは麻侖であった
「これでいいんでい・・・・これで」
麻侖はそう呟く。最初は告白しようと思った、だがすぐにそれは止めた・・・・短い恋。だがそれと同時に彼の親友として彼を支えようと思った麻侖。
そして麻侖は
「守・・・・いい匂いだったな」
先ほど彼の胸に顔をうずめた時に嗅いだ彼の香りを思い出し、顔を赤くする麻侖で会った