伊豆半島東方沖、平賀部隊を壊滅させた武蔵は、浦賀水道へ、あと20分で侵入しようとしていた。
『二番艦、三番艦、四番艦、航行不能・・一番艦発揮可能速度6ノット・・』
「このままでは・・・あと20分で武蔵が浦賀水道に侵入する!?」
横須賀ブルーマーメイド庁舎、作戦本部で、平賀隊壊滅の知らせを聞いた真霜は焦りの色を見せていた
武蔵があと20分で浦賀水道に侵入そして武蔵は、毒ガスの入った砲弾を撃ち込み、東京を全滅させるのはもはや時間の問題であった
『繰り返します!・・・全員ただちに退艦してください!!・・・繰り返します!・・・全員ただちに退艦してください!!』
一方、横須賀女子海洋学校では、校内に残っている生徒や職員に退艦命令が発令されていた。
そして、真雪は、フロート艦の艦橋でフロート艦の航行準備の作業を行っていた。
その時
『校長!』
「あっ!?」
突然、教頭から通信が入り
『晴風から通信です!』
「えっ!?」
晴風からの通信が入っていると言って、繋ぐ。
『航洋艦晴風艦長の岬明乃です・・・武蔵への作戦行動を許可願います・・・クラス全員の同意は取れています・・・やらせてください!!」
明乃は、真雪に武蔵の足を止める作戦実行の許可を要請する。
既に晴風では、殆んどの生徒が足止め作戦に同意している。
あとは、真雪の決断次第
「・・・・・・武蔵への作戦行動を横須賀女子海洋学校校長宗谷真雪が許可します・・・但し、攻撃は一回だけ・・・地上側でも武蔵への対応を準備しています・・・反復攻撃の必要はないわ・・・五分…いえ、三分時間を稼いでくれれば十分よ!」
『はい!』
真雪は、遂に武蔵の足を止める作戦を許可した。
真雪としては、平賀部隊も既に全滅し、ウィルス感染した武蔵が迫り、そして毒ガス弾を発射しようとしている今、心苦しいがもはや手段を選んでいる暇はなかった。
本音を言えばもうこれ以上生徒を危険な目に遭わせたくはなかったが、このままウィルスに感染した武蔵が横須賀に入れば国家そのものが危機にさらされる。
真雪は断腸の思いで晴風に攻撃命令を許可した。
「待ってください宗谷校長!!・・・武蔵は、既にブルーマーメイド艦隊3隻を航行不能にしています・・・晴風単独では、あまりにも・・・」
だが、通信を聞いていた真霜は、武蔵相手に晴風1隻では危険だと判断し、作戦に反対するが
『後20分で武蔵が浦賀水道に入ります!』
『姉さん、いえ宗谷監督官!』
「あ!?」
突然の妹であるましろからの通信に、真霜は驚く。
「我々でも、武蔵を止められないかもしれません、でも少しでも足を遅くして、時間を稼ぐ事はできます。」
『それにもかちゃん・・・・、いえ武蔵の艦長が艦橋に立てこもって奮戦中なんです!』
「武蔵艦長と連絡が取れるの!?」
真霜は、武蔵に生存者がいる事に驚く。
『無線は通じませんが、発光信号での通信は可能です・・・やらせて下さい宗谷監督官!・・・今武蔵を止められるのは、私達だけです!!』
「ん・・・・分かったわ!・・・武蔵への接近及び作戦行動を了承します・・・頼むわね!」
そして遂に真霜は、晴風による武蔵の足を止める作戦を了承した。
『ん!』
作戦は了承され、明乃、ましろは、一心同体になる。
「ぬう!」
「ニャン!」
それに同調するかのように五十六も多門丸も鳴き出す
「行こう!」
「狙われるものより狙う方が強いんです!」
「その通り!」
「うぃ、うぃ!」
そして、全員が一心同体になった。これによりこれより、晴風による武蔵の足止め作戦が開始された
「艦長、指示を!」
「・・・30度ヨーソロー!」
「30度ヨーソロー!」
「前進いっぱーい!」
明乃の指示で晴風は武蔵へと向かい始める
晴風、機関室
「前進一杯でぇい・・・!!」
晴風は、速力を上げ始める
『武蔵まで30!』
マチコが適時に武蔵との距離を報告する。
「晴風が接近してきます!」
武蔵でも亜衣子が晴風の接近に気づき
「はっ・・・!?」
それを聞いたもえかは、艦橋から外を見る。
「晴風が?」
「近づかないでって、信号送ったのに・・・・・ミケちゃん・・・」
主犯であるゾル大佐は今回の事件をかぎつけた晴風を始末するため武蔵を最後の刺客としてコントロールしているはず、ならば武蔵は集中的に晴風を攻撃する。
警告に従わない晴風をもえかは、心配するのだった。
「タマちゃん!武蔵の主砲塔を狙って!」
「うぃ!」
「絶対に武蔵を絶対止めよう!」
「う~い!」
志摩がピースをしながら返事をする。
「うん・・・メイちゃん!武蔵の側面に来たら全魚雷発射!」
「憧れの全射斉発射…ま、まじ!?」
芽衣が水雷長としては憧れの全魚雷発射命令が出て興奮する。
「射撃のチャンスはおそらく1回だけ1回でなんとか足を止めたい!」
「集中的に艦尾を狙いましょう!スクリューがある艦尾を集中的に狙えば速度は、かなり落ちる。」
「うん!わかったシロちゃん!」
明乃とましろは武蔵の何所を狙うか指示をする。
「分かった!絶対命中させる!・・りっちゃん、かよちゃんいくよ!」
「了解でーす!」
「はーい!」
そして晴風は、武蔵の横に着き全主砲と魚雷発射管を武蔵に向ける。
「(ミケちゃん・・・・雅か!?)」
もえかは、晴風が単独で武蔵を止めようとしている事に気づく。
「目標!・・武蔵艦尾!・・攻撃始め!」
「照準点武蔵艦尾!・・全弾当てるよ!発射用意!・・・撃てぇ!」
晴風から魚雷8本が発射され
「発射!」
続いて、全主砲が連続して射撃する・・・・・・しかし
「駄目だ…ビクともしない!?」
砲弾は、全弾武蔵艦尾に命中したが、武蔵の装甲の前に全く効果がない。
そして次に魚雷が武蔵艦尾に全弾命中し、水柱が立つ。
「よっしゃ! 全弾命中!!」
魚雷全弾命中に芽衣は、ガッツポーズを決める。
『武蔵速力低下!』
魚雷によって武蔵は速力が低下した。だが止まるには至らなかった。
「(やはり、駄目なのかな・・・)」
真白が不安に思う中、更に晴風の攻撃に気づき、武蔵の全主砲、副砲が晴風に向けられる。
「来るぞ!」
「全員衝撃に備えて!」
『武蔵!発砲!』
武蔵は、物凄い発砲炎を出しながら晴風に向けて主砲を放つ。そして武蔵から放たれた砲弾は晴風の至近に着弾。
『うわぁ・・・!?』
その衝撃で晴風は大きく揺れる。
「うわっ!」
明乃がその衝撃によって転びそうになる。
「大丈夫ですか?」
ましろが転びそうな明乃を押さえる。
「あっ!?ありがとう」
「艦長・・・・」
幸子が明乃が落とした艦長帽を渡す。
一方、航行不能になっているみくらの艦橋からも武蔵が晴風に向けて発砲してる様子が窺える。
「晴風・・・」
平賀は、晴風の無事を祈る。
『後部発煙機使用不能!』
『爆雷投射機損傷!』
『第4運用化倉庫火災発生、消火作業中・・・』
最初の砲撃で晴風は、各部に多大な損害でていた。
「い、一撃で、此処まで・・・」
「やば凄い・・・」
武蔵の砲撃の威力に、鈴と芽衣は驚愕する。
「ん・・・・あ、だめだ・・壊れちゃてるよ・・・」
衝撃のせいで無線機が故障、送受信が出来なくなった。
『無線機損傷!!』
そして、艦橋に無線機が故障した報告が入る。
「無線も駄目か!」
ましろと明乃は、時計を見て
「艦長!・・5分稼げました。そろそろ離脱を!」
ましろは武蔵の浦賀水道侵入を5分遅らせた事を確認し、離脱することを進言した。
「うん!・・・リンちゃん急いで武蔵から離れて!」
明乃もそれに従い、鈴に武蔵からの離脱を命じる。
「任せて!」
鈴は、急いで武蔵から離脱を図ろうとするが、武蔵はそれを逃さないない様に、続けて砲撃をしてきた。
「武蔵発砲!」
「来ます!」
マチコと慧の発砲報告があると武蔵の砲弾は晴風の進行方向に着弾する。
「ミケちゃん!!」
晴風の被弾に武蔵の艦橋で見ていたもえかは、叫ぶ。
『一番砲自動装填装置故障!』
『烹炊室で火災発生!消火作業に入るね!』
2度目の砲撃で更に被害が増えていく。
「これが武蔵・・・・・戦艦の皇帝といわれる船ですか・・・」
「進行方向を抑えられています!」
「逃げ場が無いよ・・・」
『…!』
武蔵の攻撃になすすべも無かった。
武蔵、艦橋
「艦長!?」
「如何なさたんですか!?」
一方、武蔵艦橋では、もえかが突然、艦橋の入り口を塞いでいたバリケードを外し始めた。
「砲撃を止めるの・・・」
何ともえかは、砲撃を止め様と射撃指揮所に向かおうとバリケードを外す。だが、それは無謀だった。
「無茶です!」
「艦長!」
もえかの無謀の行動に夏美と亜衣子は、止め様とするが
「じゃないと晴風が!!」
もえかは、明乃の事で自暴自棄になりかけていた。
その時
「あっ!?」
「落ち着いてください・・艦長!」
自暴自棄になりかけていたもえかを亜衣子が引き留めた。
「・・・・・・御免なさい・・・・」
今自暴自棄になれば事態をより悪化させてしまう。いや下手をすればビールスに感染し、みんなと同じように操られ、より一層晴風を危険に回してしまう
それを思い出したもえかは、落ち着きを取り戻し、バリケードを外すのを止めた。
その頃、晴風の機関室では、災厄の事態が起きていた。瑠奈が慌てて階段を上り
「機関長!水! 水!」
「何だと!?今行く!」
何と砲撃のせいで機関室が浸水していたのだ。
晴風、艦橋
『艦長!左弦機関室に浸水!』
『えっ!?』
洋美から機関室浸水の報告を受け、明乃は驚愕する。
「ありたけのポンプ持ってきな!!、釜の火を消すなよ・・・!!!」
このままでは、航行不能になる。麻侖達は、必死に防水作業をする。
「機関室まで・・・」
麻倫の報告に機関室まで被害が拡大した事、明乃は愕然とする。
「艦長!・・・皆に離艦準備させますか?」
ましろもそれを察し、明乃に総員離艦の準備させ様と進言する。
「マジ!?此処で逃げるの?」
「蛇は頭が食べられたら生き返るものも生き返らないんですよ!」
ましろの進言に、芽衣と幸子は反対する。
「御免なさい!私がもっと操舵できてたら…」
鈴が悔し涙を流す。
「う~い・・・・」
もう無理だと志摩は、首を振るう。もう如何する事もできない。
「総員離艦よう・・・あっ!?」
遂に明乃が離艦命令を下そうとした時だった。
ズドーン!!ズドーン!!
武蔵の周りに幾つもの水柱が立った。
「これは!?」
突然の事態にましろは、何が起こっているのか分かるない。
「鈴ちゃん面舵いっぱ~い!」
明乃は、直ぐに武蔵から離れるよう鈴に命じる。
「面舵いっぱい!」
鈴は、急いで武蔵から離れる。
『後方!艦影視認!』
晴風の後方から正体不明の艦艇群が現れた。
「…ブルーマーメイドか?」
ましろは、ブルーマーメイドかと思ったが援軍に出せる艦は、殆んどない
「見てきます!」
幸子もデッキへと向かう。
『識別信号確認!・・・比叡・・舞風・・浜風・・・アドミラル・シュペー・・・それから・・・・てんじんです!』
後方から現れた艦艇は紛れもなく、横須賀女子海洋学校の大型直接教育艦比叡と航洋直接教育艦の舞風、浜風の3隻とドイツのヴィルヘルムスハーフェン海洋学校の小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペーだった。
「えっ?」
そして、更に
「てんじん・・・」
「うちの学校の艦です!」
横須賀女子海洋学校のインディペンデンス級教育艦のてんじんも駆け付けてきた。その指揮を取るのは
「古庄教官!」
病院で入院していた筈の指導教官の古庄だった。
「間に合って良かったわ、遅くなって御免なさい!」
古庄は申し訳なさそうに言う
「野間さん!・・無線機が使えない事を伝えて!!」
マチコが駆けつけて来た艦艇に向かって手旗信号で送る。
「ココ・・・!!皆・・・!!」
アドミラル・グラフ・シュペーの艦橋からミーナが手を振っていた。
「来てくれたんですね・・・!!」
それに気づいた幸子は、手を振って返す。
「Es ist Zeit, die Schulden !!(今こそ借りを返す時だ!)」
シュペー艦橋でテアがドイツ語にて、今こそ借りを返す時だと宣言する
「艦長如何します?」
「皆が来てくれたならまだやれる!」
増援部隊が来た以上、離艦する意味はない、このまま攻撃を続けるべきだと、明乃は判断する。
「私に異存は、ありません」
ましろもそれに同意する。
「作戦変更!これより武蔵に乗り込む!」
明乃は、武蔵の足止め作戦から武蔵への乗り込み作戦に変更する。
「よしゃ!」
「うぃ!」
「頑張ります!」
「はい!」
「やりましょう」
「やろやろ!!」
皆もそれに賛同する。
『シュペーが作戦を尋ねています!』
見張り台にいるマチコがシュペーからの発光信号を読み明乃に伝える。
「武蔵に乗り込こみます!晴風の援護を・・・」
明乃は、増援部隊に武蔵への乗り込み作戦の援護を頼むと信号を送る。
ドイツ、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校所属、小型直接教育艦アドミラル・グラフ・シュペー、艦橋
「え、ん、ご願う・・との事です艦長!」
「うむ、了解した!任せろ・・・」
晴風からの信号を受け、テアは了承する。
「これより我々は、晴風の武蔵乗艦作戦に対してこれを援護します・・・てんじん、シュペーは武蔵右舷から・・・比叡、舞風、浜風は左弦から攻撃し、晴風を援護!・・・各艦、突撃準備を成せ!・・・目標!・・・武蔵!!」
そして増援部隊・・・・
「風が吹いた・・希望の風が・・・」
増援部隊を見たもえかは、希望の風が吹いたと感じた。
「全艦突撃せよ!」
画して、武蔵への乗り込み作戦が開始され、てんじんが切り込みの砲撃を開始し、各艦が砲撃と雷撃を始める。
そして砲弾は武蔵の周りに大量に着弾し、武蔵が反撃の砲撃をし、その砲弾がアドミラル・グラフ・シュペーの近くに着弾する。
「怯むな!」
だが、アドミラル・グラフ・シュペーは、怯む事なく砲弾を続ける。
てんじんからも魚雷が発射され、武蔵に命中する。
それに反応して、武蔵の砲撃がてんじんにも集中する。
「くぅ・・・くれぐれも武蔵艦橋付近には、当てないよう全艦に通達!」
「分かりました。」
「晴風は?」
そして、その晴風にも武蔵の砲撃が集中していた。
「!!!!」
鈴は、怯えながら回避する。すると・・・・
「え?・・・・」
突如ましろは耳を傾けた。強い風が吹き、その風と共に船のエンジン音や砲撃音とは違う爆音が聞こえた
「この音は・・・・・・」
「え?・・・・」
武蔵艦橋でもえかは、黒い大きな影を見た
「なにあれ……鳥?」
その影は、武蔵だけではなく他の艦艇からも見えた・・・・・
「あれは・・・・」
晴風の艦橋にいた真白はその影を見た
『右舷より上空を接近中!!あれは……飛行機です!!」
「守・・・・・!!」
マチコの言葉に、ましろはすぐにその飛行機を操縦している人物が分かった
「やっと間に合った!!日本国海軍森守少尉!助太刀する!!!」
大型魚雷を搭載した艦上攻撃機「流星」の乗った守がそう言うのであった
次回、決着です