VillainのVはVOICEROIDのV   作:捩花

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Voice2 雄英襲撃 山岳エリアの異変

 結月紫が二度目の悲鳴を上げた同時刻。

 雄英学園にある演習場。 ウソの災害や事故ルーム(USJ)では(ヴィラン)連合の襲撃が行われていた。

 敵連合主犯格の一人、黒霧の個性ワープゲートによって生徒たちは施設内に離れ離れとなり、同じく散開しているヴィラン集団と戦闘が始まっていた。

 施設の出入り口から最も離れた山岳ゾーンでは稲妻が発生し眩い光を放ち、しばらくして唐突に明かりが消えた。 電撃の発生していた場所には死屍累々と気絶している敵、そして隠れていた敵に捕らわれた生徒の上鳴電気(かみなりでんき)八百万(やおよろず)(もも)耳郎響香(じろうきょうか)の姿。

 手から稲光を放つヴィランが電気の首根っこを掴み、肌に指を食い込ませる程強く握りしめてニタニタと笑っていた。

 

「さあ、両手を上げな。 同じ電気個性としては殺したくはないが、追い詰められちゃあしょうがないよなぁ?」

「ヴ、ヴェ……イ」

「くそ、伏兵がいたなんて」

 

 響香が現状の苦境に歯噛みする。 隣にいる百も両手を上げながら、相手の個性と背負っている武装を見て敵対する相手の重要性を見抜いていた。

 

「背負っているのは恐らく通信抑止装置。 轟さんの言っていた連絡網を分断しているのはこのヴィランです!」

「ん? あれで妨害ってどうやってんの?」

「通信機器の周波数に妨害電波を当てて、圏外と誤認させる物ですわ。 本来ではコンサートホールや劇場で使われる物ですが、施設で見た物よりもずいぶんと大きいです」

「例えの場所がセレブ……!!」

 

 断言する百の言葉を受け、だから何だとヴィランの余裕は崩れない。

 

「正解だ嬢ちゃん。 それに加えて改造品でな、これ一つでセンサーの類も含めて誤作動させる代物だ。 だが、それがわかった所で俺には手出しできないのは変わらんだろうが、ええ?」

 

 電気を掴んだまま、ヴィランは二人に近づこうとして足を止める。 その眼には響香の個性である耳から伸びているイヤホンジャックが映っていた。

 

「そっちの耳タブ女。 その伸びている部分は見える場所に出せ。 さっき足の部分に伸ばして攻撃してたからな」

「くっ!!」

「気づかれないと思ったか? こちとら個性のわからん連中と嫌というほど殴り合ってんだ。 目に見えてわかるモンを放置するほど馬鹿じゃねえさ」

 

 響香がやろうとしたことを先手で潰され顔を歪める。 ヴィランはその様子を見て堂々と二人に近づいていく。 無意識に二人は後ずさるが、ヴィランは気にすることなく距離を詰め寄ってきた。

 

「ヒーローの卵が人命を軽視するんじゃないぞ? 怪しい動きをしたらこいつの首が」

 

BOMB!!!

 

 ヴィランが台詞を言いきる前に頭部が爆発し、爆風によって体が吹き飛び数回ほど地面をはねて横たわった。 同時に吹き飛ばされた電気は「ウェ!?」と叫んでヴィランと同様に放り出される。

 

「上鳴さん!?」

「何、どこから……ひっ」

「……これは」

 

 転がった電気に駆け寄る百と響香は転がったヴィランを見て息を飲む。

 爆発したヴィランの頭部は消失しており、痙攣しながら少しずつ赤い液体が池を作っていく。 既に命の消えた亡骸となったことを直視してしまい、二人の体が硬直してしまった。

 電気だけ何が起こったかを理解しきれていない、人の死が起こった場所に女性の明るい声が響き渡る。

 

「Head Shot! 見てた(あかね)ちゃん!! 綺麗に吹っ飛ばしたよ!!!」

「せやな。 せやけど、通信抑止機器から煙出てんで。 もう時間無いから急がなあかんし、マキ、どないする?」

「……あなた方は、いったい?」

 

 いつの間にか岩場の上に現れた女性二人組に呆気にとられる百。

 金色の長髪、癖毛の二本が若葉のようにはねている女性と、頭部左側に赤い紐の装飾品を身に着けた少女がそこにいた。 先ほどのヴィランを倒した攻撃は金髪の女性らしく、巨大な十字架型の銃器を誇らしげに掲げている。

 

「説明はー、っと。 このままだとすぐに見つかっちゃうし……下、行ってからね?」

 

 響香の直感が危険な相手であると確信した直後、マキと呼ばれた女性の手が響香の首を掴む。 視線の先には誰もいない場所に地面へ落ちる銃器だけだった。

 掴んでいる人物を認識したと同時に、理解を超える速度で接近した相手に対応できず体が硬直する。 近くにいた百もまた、茜と呼ばれた少女にいつの間にか腕を掴まれていた。

 口を開く間もなく二人の体が後ろに引っ張られる。 否、超低空で放り出されていた。

 

「さて行きましょうか、崖下スペシャルプラクティス!」

「すまんな。 せやけど、やらなあかんことやから」

 

 響香達の思考が追い付かない中、自分たちが飛んでいると理解した時には敵二人の飛び蹴りが腹部へ直撃した。 先ほど立っていた場所よりも、二人がくの字になりながら低い場所に向かっていることだけしかわからない程の衝撃と速度で落下していく。

 

「……ウェイ?」

 

 山岳ゾーンには未だ正気に戻っていない電気が一人取り残され、音の無くなった周囲に首をかしげるだけだった。

 

 

 

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